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2016年8月19日 (金)

生々しい演奏が迫力満点

Title:Live in Paris(邦題 不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)
Musician:TINARIWEN

サハラ砂漠遊牧民のトゥアレグ人によるバンド。そのサウンドは「砂漠のブルース」という異名を持ち、アフリカ音楽というジャンルに留まらない幅広い人気を獲得しています。2012年にはグラミー賞も受賞しており、最も著名なアフリカのミュージシャンの一組と言えるでしょう。

彼らのアルバムは何度もこのサイトでも紹介していますが、本作は彼ら初となるライブアルバム。アルバム「Emmaar」をひっさげてのライブツアー最終日、2014年12月13日、パリ、ブッフ・デュ・ノール劇場でのステージを収録したアルバムとなっています。

さてそんなライブアルバム。彼らのライブは残念ながら一度も見たことないのですが、このアルバム、彼らのライブの模様がダイレクトに伝わってくるようなそんな迫力ある内容になっています。録音状態についてはちょっと粗さもある感じ。ただ、会場の歓声もそのまま収録されているその内容は、粗さゆえに会場の空気感をそのまま伝えています。

楽曲については正直言ってそれほどバリエーションがある、といった感じではありません。基本的にはギターの音色とパーカッションのリズムを主軸としたサウンドに男性ボーカルが朗々と歌い上げ、そのボーカルにコールアンドレスポンスが加わる感じ。基本的にはアフリカ音楽らしいスタイルといった感じなのですが、このスタイルが基本的にはアルバム全体を貫いています。

ただこの演奏がシンプルなだけに非常に迫力があります。例えば「Tinde Lala Badi Part 1」などはパーカッションとボーカル、さらには手拍子のみのシンプルな構成ながらも非常に迫力あるボーカルとパーカッションの演奏が耳に迫ってくるステージとなっています。また「Tiwayyen」は後半、ジャム演奏になるのですが、ギターの音とパーカッションの音の疾走感ある絡みがかなりスリリング。さらに会場の手拍子がこれに加わることにより、会場全体で音楽を作り上げているというライブならではの雰囲気がリスナーまで伝わってきます。

全体的に非常に生々しさを感じさせる演奏になっており、パリでの演奏ながらさながらアフリカの大地、それも野外でライブを聴いているような感覚になるライブアルバムでした。スタジオ音源ということでどこか西洋的な装飾が加わるオリジナルアルバムに対して、ライブだからこそ彼らがアフリカの現地で演奏しているような音楽がそのまま伝わってくるような内容だったと思います。スタジオ音源のアルバムとはまた異なるTINARIWENを聴ける傑作。ライブ盤だからと聴いていなかったとしたらかなりもったいない作品です。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR

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