シンプルなメロに分厚いサウンド
Title:THESE PEOPLE
Musician:RICHARD ASHCROFT
元the verveのボーカリスト、リチャード・アッシュクロフトによる新作。前作のソロ作はバンドRPA&THE UNITED NATIONS OF SOUND名義のアルバム「THE UNITED NATIONS OF SOUND」でしたが、そこから6年ぶりとなる新作となりました。
その前作「THE UNITED NATIONS OF SOUND」はアメリカ音楽の影響を積極的に取り入れ、HIP HOPやソウル、ブルースなどの要素を強く感じるアルバムになっていました。その一方でぬぐいきれないイギリス出身の彼らしい、メロディアスで哀愁感あふれるいかにもイギリスらしいメロディーラインが要所要所に感じられたアルバムになっていました。
一方、今回のアルバムに関してはまさに彼の売りであるメロディーラインを主軸に据えたア作品になっています。。例えば1曲目「OUT OF MY BODY」。打ち込みを入れたテンポよいリズムの中で流れているメロディーラインはマイナーコード主体の哀愁感あって聴かせるメロディーライン。タイトルチューン「THESE PEOPLE」などもストリングスの伸びやかなサウンドをバックに聴かせる美メロを展開しています。
また分厚いサウンドを展開しているのも耳を惹きます。ジャケット写真の通り、基本的にはアコギの音が全体的に流れているのですが、上にも書いた通り、「OUT OF MY BODY」のような打ち込みの音を入れた曲がある他、全体的にアコギ+バンドサウンドにストリングスの音を入れることにより音の分厚さを増しています。個人的にはメロディーを聴かせるためならもうちょっとシンプルにしてもいいんじゃないか、と思う部分もあるのですが、ただストリングスを入れた美しいサウンドはメロディーラインの美しさを際立たせるために効果的であることも間違いありません。
楽曲としてどこかくすんだ雰囲気、乾いた雰囲気もあったりして、この乾いた雰囲気にはイギリスのギターロックというよりもアメリカっぽさを感じました。前作「THE UNITED NATIONS OF SOUND」で感じたアメリカへの憧憬ですが、基本的に本作もその影響を引き継ぐ部分があったのも間違いないでしょう。
全体的にはちょっと地味さも否めず、これといった感じの核になる決定的な1曲もないのですが、イギリスギターロックが好きな人、もちろんthe verveが好きな人なら間違いなく楽しめるアルバムだったと思います。素直にそのメロディーラインを楽しめるアルバムでした。
評価:★★★★
RICHARD ASHCROFT 過去の作品
THE UNITED NATIONS OF SOUND(RPA&THE UNITED NATIONS OF SOUND)
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