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2016年8月

2016年8月31日 (水)

男性アイドルグループの熾烈な争い

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

しばらくAKB系の1位が続いていましたが今週はようやくAKB系以外が・・・といっても結局ランクインしてきたのはジャニーズ系なのですが・・・。

1位初登場はKis-My-Ft2「Sha la la☆Summer Time」が獲得。「ウナコーワ」CMソング。ラジオオンエアはアイドル系らしく60位と低迷しましたが、CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位。PCによるCD読取数1位、Twitterでのつぶやき数も1位と文句なしの1位獲得となっています。

一方2位につけたのは名古屋のローカルアイドルグループBOYS AND MEN「YAMATO☆Dancing」。ただ実売数は2位である一方、PCによるCD読取数は圏外という結果に。iTunesチャートなどでは上位に見当たりませんし、12種同時発売という発売形態で明らかに複数枚買いの影響が大きい模様。ならもっと順位が下でも良いような気もするのですが・・・Twitterつぶやき数5位という結果が、順位を押し上げたのでしょうか。

今回1位2位と男性アイドルグループが並びました。オリコンでも1位2位は同じだったのですが、初動売上がKis-My-Ftsが26万6千枚に対して、BOYS AND MENが21万枚と肉薄。特に発売初日のデイリーではBOYS AND MENが順位を上回るなど、ちょっとした話題となったようです。Kis-My-Ft2に関してはファンの購買運動があったなんて記事もあったりするのですが(ただネタ元の信ぴょう性はかなり低いのですが)とりあえずジャニーズ系の面目躍如という結果となっています。

ちなみに初動売上はKis-My-Ftsは前作「Gravity」の21万2千枚(1位)から若干のアップ。BOYS AND MENは「Wanna be!」の6万2千枚(1位)と大幅アップ。非ジャニーズ系の男性アイドルグループがジャニーズ系の売上を上回れば痛快といえば痛快だけども「売り方」に関しては少々問題も大きい感じではあるので、それでジャニーズ系を上回ったところでかなり微妙といえば微妙な感じもします。

3位はRADWIMPS「前前前世」が先週の7位からランクアップ。チャートイン9週目にして初のベスト3ヒットとなりました。映画「君の名は。」の劇中歌。映画のクランクインや映画サントラ盤のリリースなどにあわせてダウンロードでの売上が増加。実売数3位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数3位の他、ラジオオンエア数では1位を獲得するなど軒並み上位にランクインしてきています。

続いて4位以下の初登場曲です。4位にはロックバンド[Alexandros] 「Swan」が先週の52位からCD発売にあわせてランクアップし初のベスト10入り。フジテレビ系ドラマ「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」主題歌。実売数5位、ラジオオンエア数3位、PCによるCD読取数4位、Twitterつぶやき数8位と軒並み上位にランクインしてきています。ただ楽曲自体はドラマタイアップを意識したのかメロが歌謡曲的でちょっと平凡な印象を受けてしまいました。ちなみにオリコンでは初動2万3千枚で5位初登場。前作「NEW WALL」の1万1千枚(7位)から大幅増となりました。

5位はアニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」のユニットAqours「ユメ語るよりユメ歌おう」がランクイン。昔、WANDSに「愛を語るより口づけをかわそう」って歌があったよなぁ・・・なんて思ってしまったりして。実売数4位、PCによるCD読取数2位と上位だったもののラジオオンエア数圏外という結果の影響か、この位置に。オリコンでは初動4万枚で3位初登場。「決めたよHand in Hand」の3万5千枚(5位)からアップ。

7位にはLiSA「Brave Freak Out」がランクイン。アニメ「クオリディア・コード」オープニング・テーマ。初期の相川七瀬あたりを彷彿とさせる典型的な90年代風のガールズロック。ラジオオンエア数は35位と奮いませんでしたが、実売数7位、Twitterつぶやき数7位を記録しこの位置に。オリコンは初動1万8千枚で9位初登場。初動売上は前作「Empty MERMAiD」(10位)から横バイとなっています。

9位はEXILE THE SECOND「Shut up!! Shut up!! Shut up!!」がランクイン。実売数は11位にとどまりましたが、PCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数6位とベスト10入りしてきた結果、総合順位ではベスト10入り。ただし、前作「YEAH!!YEAH!!YEAH!!」では2位を記録していますので、そこからはかなり順位を落としています。レゲエ風リズムの今風のエレクトロチューン。ちなみにオリコンでは初動3万2千枚で4位にランクインしています。ただしこちらも前作「YEAH!!YEAH!!YEAH!!」の7万4千枚(2位)からは半減以下という苦戦の結果に。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年8月30日 (火)

デビュー25年目でも「醒めない」

Title:醒めない
Musician:スピッツ

スピッツの約3年ぶりとなるニューアルバム。メジャーデビュー25年目を迎える今年。よくありがちな25周年記念のベスト盤リリースなどはないんですね。それがまた彼ららしい感じもするのですが。

今回のニューアルバムに関してざっと聴いてまず感じたのは卒ない出来という印象でした。スピッツらしい作品。別に今回のアルバムに限らないのですが特に目新しいサウンドに挑戦といった感じはありませんし、シングル曲についてはそれなりにインパクトを持っているものの、一度聴いたら思わずフレーズが口から出てくるようなインパクトを持ったキラーチューンという曲はありません。

ただそんな中、今回は比較的ロック寄りの作品が多かったような印象を受けます。例えば「八の針」などはへヴィーなギターリフが楽曲全体に流れていますし、「ガラクタ」もノイジーなギターサウンドが前面に押し出したロックテイストが強い楽曲になっています。なによりタイトル曲「醒めない」という曲自体、

「まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められてる
さらに育てるつもり」

(「醒めない」より 作詞 草野正宗)

とまさにロックの初期衝動から「醒めない」という曲になっています。この曲をタイトルチューンにもってくるあたり、まさにロックテイストの強いナンバーをあえて持ってきていることは明確。また初期衝動から醒めないと歌っているように、比較的スピッツの初期中期あたりの雰囲気を感じさせる曲が多く、そういう意味でもスピッツらしいアルバムという印象を強く感じる要素となっています。

さらに最後に収録されている「こんにちは」はブルハ直系のパンクテイストの強いナンバー。もともとインディーズ時代の彼らはパンクロックを演奏していたということ。そういう意味ではこういう曲を最後に持ってくるあたりも初期に立ち返った「醒めない」と似たようなスタンスを感じさせます。

そんな今回のアルバム、最初聴いた時はちょっと地味な印象も受けてピンと来ない部分もあったのですが、2度3度聴くとそのメロディーラインの妙を感じ、徐々にはまっていく名盤になっていました。先行シングル「みなと」やデジタルシングルとしてリリースされた「雪風」なども彼ららしいミディアムチューンを聴かせてくれる名曲ですし、SUBARUのCMソングとなった「ヒビスクス」も哀愁感あふれるメロディーが心に響くスケール感ある名曲。

他にも軽快なギターロック「ガラクタ」も楽しくなってくるポップチューンですし、大サビで分厚いコーラスでタイトルを連呼する「子グマ!子グマ!」もユーモラスで楽しいポップとなっています。

アルバム全体としてはデビュー25年としてのベテランらしいいい意味での安定感、センスが光るメロディーラインを感じる一方、25年がたつのにいまだに若手バンドのよう瑞々しささえ感じさせる部分もある名盤でした。まだまだ彼らはたくさんの名曲を世に送り出してくれそうです。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる
おるたな
小さな生き物

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2016年8月29日 (月)

頭をからっぽにして楽しめる

Title:KPP BEST
Musician:きゃりーぱみゅぱみゅ

日本の「かわいい」文化の代表的アイコンとして世界規模でも話題となり中田ヤスタカプロデュースにより大々的にデビューしたきゃりーぱみゅぱみゅ。そんな彼女のデビュー5周年を記念して初のベストアルバムがリリースされました。デビュー5年でベスト盤は早いかな、と思う反面、デビューからもう5年もたつのか・・・と時間の早さに驚かされもしました。

このベスト盤で彼女の代表曲を一通り聴くことが出来たのですが彼女の曲に関してあらためて思うのは彼女の曲はとにかく徹底的に楽しいポップチューンばかりということでした。まずはインパクト重視。「つけまつける」「ゆめのはじまりんりん」「にんじゃりばんばん」など、タイトルだけでなんのことかわからないのに非常に強いインパクト。中田ヤスタカの書くエレクトロポップもサビのインパクトに焦点をあてており、一度聴いたら忘れられないフレーズが連続しています。

そのためこのベスト盤、正直言ってエレクトロポップという方向性はすべての曲に共通しており楽曲のバリエーションはあまりありません。しかしこのインパクト重視のポップソングのため、最初から最後までワクワクしながらまったくダレずに聴きとおすことが出来ました。難しいこと抜きに、というよりも日々の嫌な事も忘れるような楽しい彼女の楽曲は、ある意味理想的なポップソングと言えるのかもしれません。

ただその上であえて言わせてもらうと、今回のベスト盤、今後の彼女の活動を考えると非常に気になる部分がありました。まず1点目はサビのインパクトを重視するあまり、サビ以外が若干やっつけ気味になっているという点。(これは以前も書いたのですが)例えばGAOの「サヨナラ」のパクリではないかと一部で話題となった「ゆめのはじまりんりん」のAメロ部分ですが、単なる音階を上下するだけの工夫もなにもないフレーズ。はっきりいってパクりたいと思うほどのフレーズか?とも思ってしまいます。この曲に限らずサビのインパクトを重視する一方、それ以外の部分については平凡なフレーズも目立ちました。

また2点目は一発アイディア重視のインパクトであるため若干ネタ切れ気味になっている点。初期の作品は歌詞とフレーズがしっかりと一体となって強いインパクトを作り出していました。ただ一方最近の作品に関してははっきりいってネタ切れ気味。初期のようなインパクトあるフレーズや歌詞も少なくなってしまいました。

結果としてアルバムを聴きとおした時、このベスト盤については文句なしに楽しめた反面、今後については強い不安を感じてしまうアルバムになっていました。事実、シングルではベスト10の常連だった彼女ですが、ここ数作はベスト10入りを逃してしまっています。残念ながらかなり飽きられ気味という印象は否めません。そしてこのベスト盤を聴いてみると、確かに即効性の強い楽曲であるがゆえに、飽きられるのも早いかもしれないな、ということも感じてしまいました。

今回、私は初回盤で聴いたため中田ヤスタカのセルフリミックスのDisc3とDVDも収録。Disc3については・・・正直、何も目新しさのないリミックス・・・これ、中田ヤスタカ以外の人がリミックスした方が意外性があっておもしろかったのでは?DVDは彼女のインタビューとPVをベースにきゃりーぱみゅぱみゅの歩みを振り返る内容。まあオーソドックスな内容だったのですが、きゃりーぱみゅぱみゅって、もっと自分の楽曲に関して自分の意思を関与させてると思ったのですが・・・思ったよりも「操り人形」だったんですね・・・悪い意味でアイドルらしいインタビューでちょっと残念に感じました。

そんな感じでレビューはかなりマイナス要素を強く押し出してしまいましたが、このベスト盤の内容については上にも書いた通り、頭をからっぽにして最後まで楽しめた、ある意味理想的なポピュラーミュージックのアルバムだったと思います。逆に言えば彼女みたいなタイプのミュージシャンはこういうベスト盤で十分、と思わないこともないのですが。彼女の曲をシングルでは知っているもののアルバム単位ではちょっと手を出しずらいと思っていた方は是非ともチェックしてほしい、非常に楽しいアルバムでした。

評価:★★★★★

きゃりーぱみゅぱみゅ 過去の作品
なんだこれくしょん
ピカピカふぁんたじん

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2016年8月28日 (日)

「今」のR&Bを知るために

まず今日は音楽関係の本、2冊の紹介から。

こちらは昨年の7月に出された「新R&B入門 ディアンジェロでつながるソウル・ディスク・ガイド1995-2015」、そしてもう1冊が

こちらは今年発売された「新R&B教室 マイケル・ジャクソンでつながる ソウル/ブギー・ディスク・ガイド1995-2016」。どちらも音楽評論家の林剛氏と荘治虫氏による共著。タイトル通り、現在の視点からR&Bの名盤を取り上げたディスクガイド。それぞれディアンジェロ、マイケル・ジャクソンという重要な2人のミュージシャンを取り上げ、それにつらなるミュージシャンたちを紹介するというスタイルを取っています。

「新R&B入門」はディアンジェロの音楽からマーヴィン・ゲイ的な要素、プリンス的な要素、カーティス・メイフィールド的な要素・・・と様々なミュージシャンの要素に分解した上で、そこにつらなるミュージシャンたちのアルバムを紹介しています。ジャズやファンクという音楽性を取り込みつつ、比較的挑戦的な音楽性を感じるディアンジェロからつながるミュージシャンなだけに、本書のIntroでも書かれている通り、ビヨンセやニーヨ、アッシャーなどの現在の王道系のR&Bシンガーは紹介されていません。

一方「新R&B教室」はおなじくマイケル・ジャクソンをスタートに「メロウ/センシティヴ編」「キッズ/ヤングスター編」などといった様々な要素に分解しそこに連なるミュージシャンを並べています。音楽的なつながりが強い「入門」に比べて「教室」はどちらかというとマイケルのスタイルに着目した分類のため、王道系のシンガーも取り上げられたりしており、より幅広いジャンルをフォローしています。

ただどちらの本にも共通するのが、林、荘両氏の主張がかなり強く出ているという点。取り上げられているのは最近のミュージシャンが多いため正直評価が定まっていない部分も大きいため、「誰?」といった感じのミュージシャンも少なくありません。またそのため著者両氏の主張がより強く出ているスタイルとなっているのでしょう。そのため、例えば本書を10年後に読んだ場合、かなり違和感を覚えてしまう可能性も否定できません。ただ一方、現時点で見た「聴くべき」ミュージシャンたちのアルバムを取り上げているだけに、非常にリアリティーがあり、2016年の今、R&Bを聴くリスナーとしてはひとつの指標としてとても参考になるのは間違いないかと思います。

さて、そんな本書に基づいたオムニバスアルバムがリリースされました。

Title:New R&B primer ~新R&B入門

こちらは「入門」の方のオムニバス。1曲目にディアンジェロからスタートし、「入門」で取り上げられたミュージシャンたちの曲が並びます。

Title:New R&B school~新R&B教室

で、こちらは「教室」の方のオムニバス。こちらもマイケル・ジャクソンからスタート。「教室」で取り上げたミュージシャンたちの曲が並びます。

まず感心するのが両方ともきちんとディアンジェロ、マイケル・ジャクソンの曲が収録されている点。ディアンジェロはともかく、マイケルなどはなかなかこの手の企画盤オムニバスへの収録許可が下りなさそうな印象があるのですが・・・。ここらへん、関係者の尽力に頭が下がります。

またこの両作品で素晴らしかったのは楽曲の構成。ディアンジェロ、マイケルからスタートし、違和感なく、彼らの音楽性の伝播あるいはルーツの模様がわかるようになっています。例えば「New R&B primer」ではディアンジェロの「Brown Sugar」からスタートしつつ、その雰囲気を徐々に変化させながら14曲目Musiq「Newness」までたどり着くのですが、この曲は完全にフィリーソウルな楽曲。この流れによって、ディアンジェロの音楽が元をただせばフィリーソウルに行き着くことが非常に自然な流れで理解することが出来ます。

一方、「New R&B school」はマイケル・ジャクソンの「Love Never Felt So Good」からスタート。書籍「教室」の方はマイケルのスタイルに沿ったセレクトになっていましたが、オムニバス盤の方はいわゆるマイケルっぽい曲が並んでおり、マイケル・ジャクソンの音楽的影響の広さがわかります。

ただこちらもマイケルっぽいとはいえいろいろなタイプの曲が並んでおり、このつなぎ方が見事。序盤はファンキーな曲を並べておきながら徐々にスタイルを変え、中盤のメロウな女性ボーカルのナンバーへ上手くつなげています。後半は音楽的には少々異なるものの「兄妹つながり」ということでJanet Jacksonの「No Sleep」が収録。この若干他とはタイプと異なるナンバーも他のメロウな女性ボーカルの曲を上手く挟むことによって違和感なく聴くことが出来ます。

そういう意味で両方とも実に構成を考えこまれている素晴らしいオムニバス盤になっていました。またどちらのアルバムもまさに今という時代を知れる楽曲が並んでおり、それぞれ書籍を読みつつ並行して聴くとワクワクしてくる曲にたくさん出会える選曲になっています。R&Bの今を知るためには最適なディスクガイドとオムニバス盤。逆に2016年の今しか読めない/聴けない作品かもしれませんが、そのリアルタイムさも大きな魅力だと思います。ブラックミュージックに興味があるならとりあえずはチェックしておきたい作品です。

評価:
どちらも ★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Montage of Heck: The Home Recordings/Kurt Cobain

2015年にリリースされたNIRVANAのカート・コバーンのドキュメンタリー映画のサントラ盤。とはいえ本作は映画音楽ではなく、カート・コバーンのデモ音源集。それもタイトル通り、自宅でおそらくカセットテープを使用してレコーディングしたかなりラフな録音集で、カセットテープを切る音まで収録されている生々しい音源。カートの息の音まで聴こえてきそうな音源で、後々のNIRVANAの楽曲につながるようなどこかで聴いたようなギターリフから、お遊びと思われる録音まで収録されています。ただ、それだけに普通に楽曲を聴く感覚でこのアルバムを聴くとかなりキツイものがあります。どちらかというと貴重な資料集という感じの作品。そのためNIRVANAのファン以外には全くお勧めできない反面、NIRVANAのファンにとっては絶対にチェックしておきたい貴重な1枚。下記評価は普通のリスナーにとっての評価ですが、NIRVANAのファンにとっては文句なしに5つだと思います。

評価:★★

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2016年8月27日 (土)

SUKIYAKIからの派生イベント

スキヤキ・ナゴヤ

SAHRA HALGAN TRIO/ALKDO

会場 TOKUZO 日時 2016年8月24日(水) 19:00~

Sukiyakinagoya2016

家の事情から今年に入って全くライブに行けなかったのですが、本当に久しぶりにライブへ足を運んできました。以前、毎年足を運んでいた、富山で実施されるワールドミュージックの音楽フェス、SUKIYAKI MEETS THE WORLD。これはその派生イベントで、SUKIYAKIに出演するミュージシャンが名古屋は今池のTOKUZOに出演するイベントライブでした。

この日、仕事の都合で会場に入ったのは19時半ちょっと前。1組目、ALKDOのライブは既にはじまっていました。ALKDOはこれまた私が何度か足を運んだことのある「橋の下音楽祭」の主催者でもある愛知県を中心に活動をしているバンド、TURTLE ISLANDから数人がアコースティック形態でバンドを組んだユニットだそうです。

スタイルはアコギ1人+パーカッション2人というスタイル。TURTLE ISLAND自体、日本の祭囃子を取り入れたバンドで、「橋の下音楽祭」もアジア圏のワールドミュージックを主体としたフェスであったりとSUKIYAKIとも相性よさそうなバンド。私がついた時はレゲエ風の楽曲を聴かせていたのですが、その後もワールドミュージックの要素を取り入れたポップミュージックを聴かせてくれました。

その後はアコギを三線に持ち替えて韓国民謡の「アリラン」を。これはソウルフラワーモノノケサミットでも何度か聴いたことあるナンバーですね。ソウルフラワーでは中川敬の力強い歌声が印象に残りますが、ALKDOのボーカル、永山愛樹も中川敬に負けない骨太の力強いボーカルで歌い上げていました。

最後はアフリカ民謡を日本語で替え歌にしたナンバー。アコースティックメインでどちらかというと和風な雰囲気もあるカバーでアフリカ音楽というイメージは薄かったのですが、わずか3人、それもアコースティック編成でありながらも非常にダイナミックで力強い演奏を聴かせてくれました。

ライブは20時10分頃に終わったので約1時間のステージ。そのうち半分程度しか聴けなかったのですが、3人というミニマムな編成ながらも広がりのある音楽を聴かせてくれた、とても楽しめたステージでした。

続いて登場してきたのがSAHRA HALGAN TRIO。内戦状態が続くソマリアの中にあって、奇跡的に安定した政情が保たれているソマリランド出身の女性シンガーサハラ・ハルガンを中心とした3人組バンド。スイスのギタリスト、マエル・サラートとBKO QUINTETとしても活躍しているパーカッションのエムリック・ルロールからなる3人組。今年のSUKIYAKIにも出演しているバンドです。

サハラ・ハルガンはソマリランドの伝統的な歌を歌う歌手だそうで、看護婦として独立戦争の前線でも活動していたこともあるとか。それだけに最初はどちらかというと静かにその歌を聴かせる、というイメージを持っていました。しかし、登場したのは失礼ながら大柄のおばちゃんシンガー。そのスタイルにかなり意外な印象を受けました。

楽曲は彼女の歌をしっかり聴かせるシンプルな演奏。で、聴いていて感じたのが非常に日本の演歌と親和性の強さ。そういえばエチオピアの音楽って日本の演歌との類似性を語られたりするのですが、ソマリランドもエチオピアに近い地域。それだけに音楽の雰囲気も似ているものがあるのかもしれません。

サハラ・ハルガンの歌もこぶしが効いた骨太の力強い歌い方。クリアな歌声を聴かせる・・・といった感じではなく力強いボーカルを聴かせるようなスタイル。今回のライブに際して彼女たちの音楽は全く聴かずに足を運んだのですが、正直、この音楽のスタイルはちょっと意外に感じました。

また彼女自身、独立戦争に参加していただけあってソマリランドに強い思いを抱いているようでこの日も終始、ソマリランドの旗をもってのステージ。ソマリランドの旗には「I LOVE Somaliland」の文字も。途中のMCでもソマリランドへの想いを語っているのが印象に残りました。

ステージは最初、彼女の歌声を聴かせるステージだったのですが中盤以降はアップテンポな曲に。これがまた日本のお祭りを彷彿とさせるような日本人にとって魂をひかれるようなメロディー。思わず身体が踊り出してしまうようなステージでした。SUKIYAKIでは野外ステージでのライブになるのですが、彼女たちのステージ、野外で見てみたら気持ちよかっただろうなぁ!ライブの後半はこのような踊り出してしまうアップテンポな曲が続き、これまた当初の予想からはちょっと意外な展開でした。

最後はなんとメンバー3人がステージから観客席に降りてきて観客と一緒に踊り出しました。まさに会場全体が一体となって盛り上がった瞬間。日本人にとってもなじみのあるこぶしの効いたお祭り風のメロディーが非常にワクワクさせるステージでした。

ステージはアンコール含めて1時間強程度のステージ。SUKIYAKIに出演するミュージシャンはいつも素晴らしいミュージシャンばかりなので期待はしていたのですが、期待以上に素晴らしいライブを聴かせてくれました。

セットチェンジを含めて全2時間半程度のステージ。おなか一杯になったライブでした。SUKIYAKI MEETS THE WORLDにもまた足を運びたいなぁ。世界にはまだ私たちが知らない素晴らしいバンドがたくさんいることをあらためて実感させられたライブでした。

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2016年8月26日 (金)

キャリア35年のオールタイムベスト

Title:51 Emotions -the best for the future-
Musician:布袋寅泰

布袋寅泰のキャリア35周年を記念してリリースされたオールタイムベストアルバム。全3枚組となるベストアルバムで、Disc1は比較的ロックテイストの強い作品が、Disc2はメロディーを聴かせるようなポップテイストの強い代表曲が並んでおり、Disc3ではギターインストのナンバー、カバー曲、Iggy PopやBRIAN SETZERとのコラボ曲などちょっと異質なナンバーが並んでおり、さらにセルフカバーとなりますがBOOWYやCOMPLEXの曲なども収録されています。

つい先日、BOOWY時代の盟友、氷室京介のオールキャリアベストも発売されました。氷室と布袋というとその音楽性の相違がBOOWYの解散理由となった話を聞くのですが、布袋と氷室のオールキャリアベストを聞くと確かにその音楽性に大きな違いを感じます。

氷室京介はあくまでもその音楽の中心にいるのは彼自身。音楽的には正直平凡なJ-POPという印象が強く、氷室本人のキャラクター性から楽曲自体にも惹かれる部分はあるのですが、氷室京介というキャラクターを差し引いたら音楽的には決しておもしろいことをやっている感じはしません。

一方、布袋寅泰に関してはシングル単位ではもちろん以前から知っていたのですが、ベスト盤であらためて彼の曲をまとめて聴いてみました。そこで感じたのは楽曲的にバラエティー富んで非常におもしろいという点。基本的にはBOOWYにつながるようなビートロックの路線を主軸となっているのですが、様々な音楽へ貪欲に挑戦しておりミュージシャンとしてアーティスティックな側面を強く感じます。

特にロックにデジタルサウンドを取り入れた曲が多く、「サイバーシティーは眠らない」などタイトルからしてデジタル志向を感じるのですが四つ打ちの打ちこみサウンドが軽快なデジロックに仕上がっています。また、ご存じレッド・ツェッペリンのカバー「IMMIGRANT SONG」などもデジタルサウンドを取り込んだダイナミックなカバーに仕上げています。

かと思えば一方では「CAPTAIN ROCK」などはローリングストーンズからの影響を感じますし、ハードロック路線の曲から一方でグラムロックの影響を感じる軽快なロックの楽曲も目立ちます。またDisc3に入っているインストナンバーではフュージョンからの影響を感じる曲もあります。

またあらためて彼の代表曲を聴いてみるとそのメロディーセンスの良さも感じます。J-POP的なわかりやすさを持ちつつ、一方ではフックの効いたメロディーラインは洋楽的な要素も入れつつ、よくありがちな平凡さに陥らずポップなメロディーを楽しめます。

そしてなにより彼の楽曲は純粋に聴いていて楽しくなってくるようなエンタテイメント性を感じます。彼のロックは決してルーツ志向の「本格派」ではないもののほどよくロックなギターサウンドを入れつつ、打ちこみやホーンセッション、ピアノなどを入れて分厚く仕上げたサウンドは純粋にワクワクするものがあります。タイトル通り、全51曲入り。3枚フルボリュームの内容でしたが、最後まで飽きることなく楽しむことができました。

氷室京介の楽曲には「ヒムロック」という呼称がありますが一方、布袋寅泰の楽曲にそのような呼び名はありません。ただそれはある意味、彼の楽曲が単純にひとつの言葉におさめられないような幅広い音楽性を持っているからのように感じます。布袋の魅力を強く感じることができるベスト盤でした。

評価:★★★★★

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2016年8月25日 (木)

6年間の集大成

Title:車輪の軸
Musician:Galileo Galilei

今年1月、突然バンドの終了を宣言したGalileo Galilei。10月11日の日本武道館でのライブを最後にその活動の幕を下ろすこととなってしまいましたが活動終了を前に最初で最後となるベスト盤がリリースされました。

Galileo Galileiといえばデビューから約6年の決して長いとはいえない活動期間中に音楽のスタイルを様々に変化させたことでも話題になりました。デビューミニアルバムに収録された「ハマナスの花」はauのCMソングにも起用されるなど、デビュー当初はあきらかにヒットを意図したような万人受けしそうなギターロック路線がメイン。良くも悪くも売り狙いという印象を受けました。

しかしそんなリスナーを驚かせたのが2枚目の「PORTAL」。デビュー当初の売れ線ギターロック路線から一転、エレクトロサウンドを大胆に取り入れた路線にチェンジ。ポストロックという言葉すら浮かんでくるほどの楽曲を展開し、Galileo Galileiのイメージを大きく変えるアルバムになっていました。

さらに3枚目の「ALARMS」では再びギターロック路線に戻ったものの今度はシューゲイザー色が強い作品に。そして今年リリースされたラストアルバム「Sea and The Darkness」ではガレージロックに女性ボーカルをゲストに迎えてのガールズポップ、さらにはAOR風の楽曲まで収録されるなど多彩な音楽性のアルバムになっていました。

そんな彼らの6年間にわたる楽曲を収録したのが今回のベストアルバム。彼らの楽曲を今回通して聴いたのですが、そこで感じてしまったのが中途半端という印象でした。

この中途半端さというのは以前から感じていたのですが、様々な音楽性を取り入れる割りには決して振り切れるわけではなくそれなりにエッセンスを取り入れるだけ。またそのサウンドにしても決して目新しさがあるわけではなくどこか聴いたような音がメイン。そこにフックの効いたポップなメロディーをのせてくるあたりが彼らの強みかもしれませんが、メロディーラインについてもそれだけで売りに出来るような圧巻なインパクトはありません。

このベストアルバムを聴いて、あれだけいろいろな作風に挑戦していた割りには、全体としては「ギターロック」という枠組みで意外と統一性があるな、ということも感じたのですが、逆に言えばそれがまた「振り切れていない」というマイナス要因でもあったりする訳です。例えば彼らが影響を受けたというくるりやスーパーカー、あるいはRADIOHEADなどもアルバム毎にスタイルを変えてくるミュージシャンですが、そのスタイルはアルバムによっては雰囲気が全く変わってしまうほど。楽曲によっては完全に振り切れており、それがおもしろさになっているのですが残念ながらGalileo Galileiに関してはそこまでの振り切れた感じはありませんでした。

この様々な音楽性に挑戦しながらも中途半端な振り切れなさがいまひとつブレイクしきれなかった大きな要因であって、最後までいまひとつ方向性が定まり切れなかったのがバンドが6年という比較的短いスパンで終わってしまった要因のひとつかもしれません。決して悪いバンドではないと思うのですが、いろいろな意味で惜しいバンドだったと思います。メンバーそれぞれの次の活躍に期待したいところです。

評価:★★★★

Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL
Baby,It's Cold Outside
ALARMS
SEE MORE GLASS
Sea and The Darkness

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2016年8月24日 (水)

SMAP解散の影響は

今週は集計対象がお盆休み中ということでアルバムの初登場が極端に少なくなりました。そのためシングルアルバム同時更新です。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週のチャートで目立ったのが先日8月14日に解散を発表したSMAPの曲の動向でした。解散発表後、SMAPのシングルの売上が急増。特に中居正広の誕生日でもある8月18日付のオリコンデイリーチャートでは「世界で一つだけの花」が1位を獲得するなど売上を伸ばしました。

Billboard Hot100でも今週、SMAP「世界で一つだけの花」が先週の15位から上昇し3位を獲得。7月18日付チャート以来、6週ぶりのベスト10入りとなっています。シングル売上・ダウンロード数・ストリーミング数(以下「実売数」)で7位を獲得。またTwitterでのつぶやき数では1位を獲得しています。一方、PCによるCD読取数では78位と低迷しており、新たにCDを購入したというよりも、既存のファンが今回の解散に対してのメッセージとして追加で購入したという要素が強いのでしょう。また「ありがとう」も先週の12位から6位にランクアップ。こちらも実売数17位、Twitterでのつぶやき数2位なのに対して、PCによるCD読取数では圏外となっています。

ちなみにオリコンでは「世界で一つだけの花」が3万3千枚を売り上げ17位から5位にランクアップ。「ありがとう」も8千枚を売り上げ、29位から16位にランクアップしています。

またSMAP解散の影響はシングルにとどまらず、今週、オリコンアルバムチャートでもSMAPのベストアルバム「Smap Vest」が50位圏外から7位にランクアップしベスト10入りを記録しています。

まさにビックニュースとなっていまでも芸能ニュースを騒がしているSMAP解散。ただ個人的にはちょっと騒ぎすぎではないかという感じもしないでもあらず。特にSMAPは事実としてグループとしての人気はピークを過ぎており、既に個々のメンバーが独り立ちしている状況。ある意味グループとしてやり切った感もありますし、そういう意味でもファンとして残念がるのはわかりますが、そこまで騒ぐほどのニュースなのかな、という印象も受けます。

また一部でも指摘があるように既存のCDをエールとして購入しても喜ぶのはジャニーズ事務所だけというのも間違いなく事実。それよりも今回、既発しているCDを買うよりも、解散後のメンバー(特にジャニーズ事務所から干される可能性がある4名)を応援するための資金としてまわした方がよいのでは?ファン心理としてはわからないこともないのですが、ちょっと疑問にも感じる部分もあったSMAP解散騒動でした。

さてチャート評に戻ります。今週1位はSKE48「金の愛、銀の愛」が獲得。先週の80位からランクアップし、CD発売にあわせての1位獲得。TBSテレビ系ドラマ「死幣-DEATH CASH-」主題歌。おもいっきり歌謡曲テイストのバラードナンバー。実売数で1位を獲得している一方、PCによるCD読取数は20位にとどまっており、複数枚買いの影響も大きそう。オリコンでは初動25万1千枚で1位獲得。前作「チキンLINE」の25万7千枚(1位)からダウン。

2位はEXILE「Joy-ride~歓喜のドライブ~」が先週の75位からCD売上にあわせてランクアップ。フジテレビ系「リオデジャネイロオリンピック」の中継テーマソング・・・ですが、流行のEDMナンバーでオリンピック色はあまりありません。実売数2位の他、PCによるCD読取数でも2位、ラジオオンエア数も12位と全体的に高順位となっています。オリコンでも2位初登場。初動6万7千枚は前作「Ki・mi・ni・mu・chu」の12万7千枚(2位)からダウン。最近、売上特典の影響でかなり初動売上の変動が大きく出ています。

続いて4位以下の初登場曲です。4位には元KARAのメンバー、JYによる「好きな人がいること」が先週の19位からランクアップし5週目にしてベスト10入り。同タイトルのフジテレビ系ドラマの主題歌。アコースティックテイストの軽快で爽やかなポップチューンとなっています。ちなみに8月31日リリース予定のCDからの先行配信。実売数3位、Twitterでのつぶやき数が8位の他、You Tube再生回数では見事1位を記録しています。

8位には女性シンガーAimer「蝶々結び」が先週の13位からCD発売にあわせてランクアップ。もともと「機動戦士ガンダム」の主題歌を歌って注目を集めた女性シンガーですが、本作ではRADWIMPSの野田洋次郎楽曲提供・プロデュースによるミディアムテンポで歌をしっかりと聴かせるナンバー。アニソン系からスタートしつつ、現在はサブカル寄りに舵を切っている感じ。実売数8位の他、ラジオオンエア数でも9位と好調。オリコンでも初動1万3千枚で10位初登場。前作「insane dream」の1万1千枚(13位)から若干のアップとなっています。

9位はBUMP OF CHICKEN「アリア」がランクイン。TBS系ドラマ「仰げば尊し」主題歌。配信限定のシングルとなります。バンプらしいスペーシーな雰囲気のスケール感あるナンバー。配信限定のためPCによるCD読取数は圏外となりますが、実売数5位、ラジオオンエア数15位を記録し、見事ベスト10入りを果たしました。

最後10位には東京パフォーマンスドール「純愛カオス」が初登場でランクイン。日テレ系アニメ「逆転裁判~その「真実」、異議あり!~」エンディング・テーマ。エセ小室系といった感じのトランシーなナンバー。実売数6位、またこの手のアイドルソングとしては珍しくラジオオンエア数も16位と上位にランクイン。ただPCによるCD読取数が圏外となっており、またiTunesチャートなどでも上位に見当たらないことから、6種リリースという複数枚買い戦略による影響が大きい模様。オリコンでは初動3万4千枚で4位初登場。前作「逆光×礼賛」の3万9千枚(2位)よりダウンしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

初登場が少なかった影響もありますが、根強い人気を見せました。

今週1位は西野カナ「Just LOVE」が先週の4位からランクアップし、まさかの4週ぶりの1位返り咲きとなりました。ただし、売上は先週の1万1千枚から9千枚にダウン。1万枚行かなくて1位獲得ですか・・・。

初登場最高位は2位初登場徳永英明「ALL TIME BEST VOCALIST」。4月にリリースされた「ALL TIME BEST Presence」に続くベストアルバム。こちらはタイトル通り、人気のカバーアルバムシリーズ「VOCALIST」から代表曲を収録したベスト盤になっています。初動売上は7千枚。直近のライブ盤「Concert Tour 2015 VOCALIST & SONGS 3 FINAL at ORIX THEATER」の4千枚(13位)からアップ。ただし、前作のベスト盤「ALL TIME BEST Presence」の1万8千枚(5位)からはダウン。

3位は先週6位の鷺巣詩郎・伊福部昭「シン・ゴジラ音楽集」がランクアップ。初のベスト3入りとなりました。ただし初動売上6千枚は先週の7千枚からダウンしています。

以下4位以下の初登場です。4位に人気女性声優飯田里穂「rippi-holic」がランクイン。初動売上5千枚は前作「rippi-rippi」の1万枚(7位)から大幅ダウン。

9位にはJun.K(From 2PM)「Mr.NOLOVE」が40位からランクアップし初のベスト10入り。ミュージシャン名とおり、韓国のアイドルグループ2PMのメンバーによるソロアルバム。発売日の関係で2週目にして3千枚を売り上げベスト10入りです。

また今週は返り咲き組もありました。まず6位に韓国のアイドルグループEXO「EX'ACT」がベスト50圏外から返り咲き。韓流アイドルグループにおなじみのリパッケージ盤がリリースされた影響。

さらに前述のようにSMAP「Smap Vest」が7位ランクインでベスト10返り咲き。小田和正のベスト盤「あの日 あの時」も先週の11位からランクアップし10位にランクイン。ただしこちらは売上3千枚で先週の4千枚からダウンしています。

今週のチャート評は以上。次はまた来週の水曜日に!

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2016年8月23日 (火)

10年目の初アルバム

Title:Progress
Musician:kokua

今回紹介するアルバムのkokuaというバンド。あまり聞き慣れない名前と感じる方も多いのではないでしょうか。ただ、このアルバムにも収録されているタイトルチューン「Progress」に関してはおそらく聴いたことあるという方が多いでしょう。NHKドキュメンタリー「プロフェッショナル 仕事の流儀」の主題歌であるこの曲は紅白歌合戦でも歌われています。え?この曲って、スガシカオの曲じゃないの??と思った方は私も含めて多いはず。実際、紅白ではスガシカオのナンバーとして歌われています。

実はこのkokuaというバンド、この「Progress」のために結成されたバンドで、楽曲の作詞作曲及びボーカルを手掛けるスガシカオを中心に、武部聡志、小倉博和、根岸孝旨、屋敷豪太という錚々たるメンバーが顔をそろえています。2006年にこの「Progress」をリリースした後、活動を休止。その後、何度かライブ出演はあったようですが、結成から10年目を迎えて再結成。なんと結成後10年にして初のアルバムリリースとなりました。

今回のアルバム、Simply Redの「Stars」の和訳カバーや、岡林信康の「私たちが望むものは」のカバー、その他スガシカオ以外のメンバーによる楽曲も収録されていますが、「Progress」を含め12曲中6曲はスガシカオの手によるナンバー。ボーカルも基本的には彼がつとめているためスガシカオのアルバムのように楽しむことが出来ます。

このスガシカオの書いた楽曲が名曲揃い。基本的にkokuaはバンドということもあるためか、またメンバーの好みであるためか、比較的分厚い音をアレンジしたダイナミックな曲調のナンバーが多いのですが、スガシカオの書くメロディーが非常に心に残るインパクトあるものに仕上がっています。

スガシカオといえば直近作「THE LAST」が傑作に仕上がっていたのですが、こちらはどちらかというと癖のあるサウンドが主軸となった作品。一方、こちらはストレートでポップなギターロックに仕上がっています。ソロと違って彼のやりたいことを自由にやっているというスタイルとは異なるかもしれません。ただ、彼の「変態性」が前に出てきた「THE LAST」と異なりこちらは彼のポピュラリティーがより前に出てきた感じ。「THE LAST」で見せたスガシカオの魅力とはまた異なるスガシカオの魅力が発揮されていたように感じます。

また、歌詞にしても前向きな人生の応援歌的な歌詞がメイン。もともと「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組自体、プロフェッショナルの仕事ぶりから私たちの生き方、働き方の参考になるような教訓を得ようという意図の番組なだけに主題歌である「Progress」の歌詞もそんな番組テーマに沿ったような歌詞なのですが、その「Progress」のために結成されたバンドなだけに、例えば同じ番組の挿入歌となった「夢のゴール」もそうなのですが、他の曲に関しても前向きな歌詞がメイン。そういう意味でも非常にわかりやすさを感じさせる内容になっていました。

アルバム後半はバンドの他のメンバーによる楽曲がメイン。こちらもまたスガシカオの趣味とは異なる作風の曲が並んでいるのがユニーク。骨太なブルースロックの「道程」では作詞作曲を担当した小倉博和がボーカルをとっていますし、武部聡志作曲の「kokua's talk 2」はAOR風のナンバー。スガシカオの方向性とはまた異なる雰囲気の曲が多く、バンドならではのスガシカオソロとは異なるバリエーションを聴かせてくれます。

そんな訳でアルバム自体、ちょっとJ-POP的とも言える分厚いアレンジも含めて、非常にストレートなポップに仕上げてあり聴きやすい傑作に仕上がっていました。特にスガシカオの楽曲に関しては「THE LAST」と同様、勢いを感じさせる名曲が並んでおり、彼自身、今、もっとも脂ののった時期に来ているんだな、とも感じさせてくれます。スガシカオが好きなら文句なしに要チェックのアルバムですが、それ以外の方にも聴いてほしい傑作アルバム。聴きやすい内容なだけに幅広い層が楽しめる内容だと思います。

評価:★★★★★

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2016年8月22日 (月)

様々な音楽性を取り混ぜた構成がユニーク

Title:THE BEAUTiFUL PEOPLE
Musician:SiM

SiMのアルバムを聴くのはフルアルバムではこれが2枚目、ミニアルバムを含めると3枚目。正直言ってしまうといままでの彼らの印象は「若者向けのよくありがちなへヴィーロックバンド」というイメージ。まあ積極的にポジティブな印象は持っていませんでした。

で、直近作であるミニアルバム「i AGAINST i」からは約1年7ヶ月ぶり、フルアルバムとしては約2年半ぶりの新作となる本作。さほど大きな期待はしていなかったのですが今回のアルバム、率直に言って予想していたよりもズッとカッコいいじゃん、という印象を受けました。

彼らに対しては「レゲエロックバンド」という称され方をよくしているようです。確かに楽曲のあちこちにレゲエの要素を多く取り入れているのが大きな特徴のひとつ。ただ楽曲全体としてはむしろハードコアの要素の方が強く、レゲエはそんな中に加えられたスパイス的な要素にすぎません。また、歌謡曲的な要素も感じられるポップなメロディーもひとつのインパクトになっていました。

今回のアルバムで私がカッコいいと思ったのは、この様々なジャンルを上手く取り入れて1つの曲の中で様々に展開していく構成のおもしろさ。例えば「THE KiNG」では最初、デス声も入れつつ、非常にへヴィーなバンドサウンドからスタートします。このハードコアな路線からBメロでは一転ポップなメロディーラインに変化。さらにレゲエ風のパートに展開していくなど1曲の中で様々な音楽性を展開していきます。

楽曲のバリエーションとしてもユニークで、ハードコアな曲が入ったかと思えば「Abei and Cain」はレゲエの横ノリを前に押し出したようなナンバーですし、「If I Die」はフックに効いたメロディーラインを聴かせる疾走感あるギターロック、「I DUB U」はタイトル通り、ダブの要素を入れてきていますし、「GUNSHOTS」はレゲエというよりもスカのリズムを取り入れつつ、どこか妖艶な雰囲気がユニークなナンバーになっています。

最後を締めくくる「EXiSTENCE」「Life is Beautiful」もハードコアとレゲエ、ポップなメロディーラインから構成した緩急いりまじるユニークな構成のナンバー。最後の最後まで耳が離せないユニークな構成の楽曲が続きました。

基本的に英語詞がメインな中、日本語の歌詞もチラホラ。得てしてこういう日本語英語詞が混合したバンドは英語詞の曲がカッコいい反面、日本語詞の曲はイマイチというケースが多いのですが、彼らの場合、日本語詞の曲もサウンドにうまくマッチしており違和感ありませんでした。もっともメロディーラインが歌謡曲テイストが強いだけにもともと日本語詞と相性がいいのかもしれませんが・・・。

いままでのアルバムはいまひとつピンと来ない部分があったのですが、今回のアルバムはフックの効いたメロディーの曲もありインパクトも増した印象も。へヴィネスなサウンドからポップなメロまで断然カッコよさを感じることができる傑作でした。

評価:★★★★★

SiM 過去の作品
PANDORA
i AGAINST i

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2016年8月21日 (日)

ついてない1日の終わりに聴きたいアルバム

Title:ついてない1日の終わりに
Musician:GAKU-MC

日本のHIP HOP黎明期に活動したグループEAST ENDのメンバー・・・というよりも最近は、ミスチル桜井和寿とのユニット、ウカスカジーとしての活動で知られるラッパー、GAKU-MC。最近はメジャーを離れインディーズで活動を続けていましたが、久々にメジャーに復帰。本作はオリジナルとしては3年ぶり、メジャーでのリリースとしては約7年ぶりとなる新作となりました。

もともとEAST END時代から明るいポップなテイストのラップが特徴的でしたが、本作の大きな特徴としては非常にポップス色が強いということがあげられます。はっきりとしたメロディーラインが流れているポップソングがメインになっておりHIP HOP的な要素は薄め。ラップも言葉をマシンガンのように打ち出すというよりもメロディーにのっかかった形でのスタイルが多く、さらっと聴いていると「あれ?ラップしてたっけ?」なんて思ってしまうほど。本作では「ラップラス」「rap love song」のように「ラップ」を明確に主題に持ってきたような曲も目立つのですが、その割にはあまりラップしてないよなぁ・・・なんて感じてしまいました。

そして本作の最大の特徴はその歌詞でしょう。本作ではいわゆる「人生の応援歌」的な歌詞が目立ちます。それも無理やり前に引っ張り出すような応援歌というよりも「ついてない1日の終わりに」というアルバムタイトル通り、ちょっと嫌な事が続いたような1日の終わりに、そっと背中を押すようなやさしい応援歌が並んでいます。

またそんな歌詞は身の回りをテーマとしたようなリアリティーあるという点も特徴的。特に家族をテーマとしたような楽曲が多く、タイトルそのまま「家族日和」という曲もありますし、タイトルからしてユニークな「シアワセの昼ビール」という曲はその「大人」なタイトルとは裏腹に、子供たちへのメッセージソングとなっています。

人生の応援歌的歌詞といえば悪い意味で昨今のJ-POP的典型的テーマと言えるかもしれません。たださすがに現在45歳、人生経験をつんでいるGAKU-MCの書く歌詞なだけに単純な抽象論ではなくリアリティーもあります。少なくとも歌詞については陳腐な前向きJ-POPという印象はありません。

ただ一方で手放しに絶賛できる歌詞か、と言われるとそれも正直言うと微妙。はっきりいってしまうとあまりに爽やかな歌詞であまりにも毒がない・・・・・・。上に「人生経験をつんでいる」と書いたのですが、それにしても人生のマイナスな面というか影の部分をあまりにも描いていなさすぎじゃないか?とも思ってしまいます。

家族をテーマという部分でも若干のあざとさを感じないではなく・・・。例えば「シアワセの昼ビール」では子供の声を入れているのですが、正直、そのわざと無邪気さを装っているようなセルフをふくめて少々あざとさが鼻についてしまう部分も・・・。アルバム全体としてそういう洗剤で消毒したかのようなわざとらしい毒のさなが気になってしまいました。

もっとも全体的にはメロディーライン主体のポップソングはHIP HOPを聴かない層にもアピールできるようなポピュラリティーがあり、素直なポップアルバムとしては問題なく楽しめる内容であるのは間違いないところ。そういう意味ではファンならずとも、例えばウカスカジーではじめてGAKU-MCを知ったような方を含めて楽しめるアルバムだとは思います。まさにタイトル通り、頭をからっぽにしたいような、ついてない1日の終わりに聴きたいアルバムでした。

評価:★★★★

GAKU-MC 過去の作品
世界が明日も続くなら

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2016年8月20日 (土)

今年1番のブレイクネタ(?)

Title:PERFECT HUMAN
Musician:RADIO FISH

お笑いコンピオリエンタル・ラジオの中田敦彦と藤森慎吾を中心に結成された6人組ダンス&ボーカルグループ。今年、オリラジのネタとしてこのアルバムの表題にもなっている「PERFECT HUMAN」が大きな話題となりブレイク。初アルバムとなる本作も、正直「PERFECT HUMAN」のネタが売れた時期からちょっと時間がたっていただけに売れるのか?とも思っていたのですが、見事ベスト10ヒットを記録しました。

ある意味お笑いコンビのネタ的なアルバムでもあるのでここで取り上げるのも意外に感じる方もいるかもしれませんが、いや、結構好きなんですよ「PERFECT HUMAN」のネタ(笑)。正直、オリラジも結構嫌いじゃなかったりするんで・・・。特に「PERFECT HUMAN」はネタとしてもシュールさを感じて面白いし、曲だけを取り上げてもノリのよいEDMチューンが聴いていてとても気持ち良いものがあります。

で、今回アルバムの方も聴いてみたのですが、簡単に言ってしまえばかなり真面目につくられたEDMテイストのポップアルバムになっています。「PERFECT HUMAN」から考えると予想通りといった感じの内容。お笑いユニットによるネタともマジともとる事ができそうな曲は珍しくありませんが、出来としては文句なし。「PERFECT HUMAN」でも披露されている藤森慎吾のラップも意外なほどしっかりとしており、全体的に楽曲としてはかなりしっかりとしたつくりに仕上がっています。

ただ楽曲としては良くも悪くも典型的な今時のJ-POPといった感じ。「PERFECT HUMAN」のようなEDM風のポップチューンがメインなのですが、「PERFECT HUMAN」のようなノリノリのナンバー以外のポップチューンも収録。楽曲としてバリエーションを持たせているのでしょうが、メロディーラインについては悪くはないけどベタなJ-POPといった感じ。例えば「TONIGHT」なんかはEXILEあたりが歌っていても不思議ではない曲になっていて悪くはないけど平凡という印象は否めません。

そういう意味では予想通りのアルバムといった感じで期待以上ではなかったかな、といった感じ。基本的には「PERFECT HUMAN」目当てで聴いたとしてもそれなりに満足はいく内容にはなかっていましたが「PERFECT HUMAN」以上の曲はなかったかな。個人的にはアルバム自体、40分弱の長さなんだから、全編、「PERFECT HUMAN」バリのアゲアゲのナンバーでまとめちゃってもよかったかなといった印象も受けます。そこそこ楽しめたアルバムではあるのですが、「PERFECT HUMAN」からのプラスアルファは残念ながら見えてこなかった作品でした。

評価:★★★

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2016年8月19日 (金)

生々しい演奏が迫力満点

Title:Live in Paris(邦題 不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)
Musician:TINARIWEN

サハラ砂漠遊牧民のトゥアレグ人によるバンド。そのサウンドは「砂漠のブルース」という異名を持ち、アフリカ音楽というジャンルに留まらない幅広い人気を獲得しています。2012年にはグラミー賞も受賞しており、最も著名なアフリカのミュージシャンの一組と言えるでしょう。

彼らのアルバムは何度もこのサイトでも紹介していますが、本作は彼ら初となるライブアルバム。アルバム「Emmaar」をひっさげてのライブツアー最終日、2014年12月13日、パリ、ブッフ・デュ・ノール劇場でのステージを収録したアルバムとなっています。

さてそんなライブアルバム。彼らのライブは残念ながら一度も見たことないのですが、このアルバム、彼らのライブの模様がダイレクトに伝わってくるようなそんな迫力ある内容になっています。録音状態についてはちょっと粗さもある感じ。ただ、会場の歓声もそのまま収録されているその内容は、粗さゆえに会場の空気感をそのまま伝えています。

楽曲については正直言ってそれほどバリエーションがある、といった感じではありません。基本的にはギターの音色とパーカッションのリズムを主軸としたサウンドに男性ボーカルが朗々と歌い上げ、そのボーカルにコールアンドレスポンスが加わる感じ。基本的にはアフリカ音楽らしいスタイルといった感じなのですが、このスタイルが基本的にはアルバム全体を貫いています。

ただこの演奏がシンプルなだけに非常に迫力があります。例えば「Tinde Lala Badi Part 1」などはパーカッションとボーカル、さらには手拍子のみのシンプルな構成ながらも非常に迫力あるボーカルとパーカッションの演奏が耳に迫ってくるステージとなっています。また「Tiwayyen」は後半、ジャム演奏になるのですが、ギターの音とパーカッションの音の疾走感ある絡みがかなりスリリング。さらに会場の手拍子がこれに加わることにより、会場全体で音楽を作り上げているというライブならではの雰囲気がリスナーまで伝わってきます。

全体的に非常に生々しさを感じさせる演奏になっており、パリでの演奏ながらさながらアフリカの大地、それも野外でライブを聴いているような感覚になるライブアルバムでした。スタジオ音源ということでどこか西洋的な装飾が加わるオリジナルアルバムに対して、ライブだからこそ彼らがアフリカの現地で演奏しているような音楽がそのまま伝わってくるような内容だったと思います。スタジオ音源のアルバムとはまた異なるTINARIWENを聴ける傑作。ライブ盤だからと聴いていなかったとしたらかなりもったいない作品です。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR

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2016年8月18日 (木)

再結成後、2度目の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

再結成後、見事2度目の1位獲得です。

今週1位はユニコーン「ゅ 13-14」が獲得。2009年に再結成した彼ら。再結成後のアルバム「シャンブル」で1位を獲得しましたが、それ以来の1位獲得となりました。ただし初動売上2万4千枚は前作「イーガジャケジョロ」の3万5千枚(1位)よりダウン。低水準なチャートに助けられての1位獲得という形になりました。

彼らに限らずTM NETWORKやX JAPAN、米米CLUBにLINDBERGと80年代から90年代のバンドブーム近辺で人気だったバンドの再結成が相次いでいますがどのバンドも再結成後、一応ライブ活動などを思い出したかのようにやっていたりするのですが、活動しているのかどうかいまひとつ中途半端な状態。そんな中、再結成後もコンスタントに活動をつづけ、新作もきちんと発表し続けているのはユニコーンくらいではないでしょうか?バンドでの活動のみならずソロ活動も継続しており、ある意味、理想的な形で活動を続けているのはさすがです。

2位初登場は刀剣男士 team三条 with加州清光「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~阿津賀志山異聞~」。ゲーム「刀剣乱舞」を元としたミュージカルの曲を集めたアルバム。初動売上2万3千枚。同名義の作品では以前、シングル「刀剣乱舞」の予約限定盤が収録曲の関係でアルバムチャートにランクインしています。その時の初動売上は2万枚(3位)でしたが、シングルで集計された枚数とあわせると4万1千枚の売り上げを記録しています。

3位はソンジェfrom超新星「It's Time」。韓国の男性アイドルグループ超新星のメンバーによるソロデビュー作。彼は約2年の兵役義務を終えたばかりだそうです。初動売上は1万8千枚。超新星からのソロデビュー作としてはユナク 「STARTING OVER」が初動1万1千枚(5位)、ソンモ「Tiramisu love」が初動2万5千枚(3位)、グァンス、ゴニル、ジヒョクの3名で結成したFunky Galaxy from 超新星「Funky Galaxy」が初動1万枚(5位)でしたので、そこそこ順調な滑り出しといった感じでしょうか。

続いて4位以下の初登場盤です。7位8位に同じアイドルグループからの派生ユニットのアルバムが並んでランクイン。7位にLady Note from OS☆U「愛してジャジー」、 8位にまねきねこ from OS☆U「アモーレ アモーレ!!!~ヒトナツコイ~」がそれぞれランクイン。いずれも名古屋のローカルアイドルユニットOS☆Uからの派生ユニットによるアルバム。どちらか勝った方が本体のアイドルグループの「一軍」となるそうです。初動売上はいずれも7千枚。彼女たち、メジャーデビュー作「ガンガン☆ダンス」がMUSIC CARD57種発売というメチャクチャな形態でオリコン2位初登場を記録して一部で話題となりましたが、こちらもアルバムでありながら9種同時発売で、全種類購入特典もつくなど露骨に複数枚買いを煽る戦略に。おそらくスタッフはファンを金づるとしか考えていないのでしょう。

アルバム初登場はあと1枚。9位にモン吉「モン吉1」がランクイン。ご存じ、元FUNKY MONKEY BABYSのメンバーによるソロデビューアルバム。同じメンバーだったファンキー加藤は一足先にソロ活動を開始し、最近では不倫騒動で悪い意味で話題となりましたが、彼も今年に入りソロ活動を開始。配信限定でのシングルリリースの後、初のアルバムリリースとしなりました。初動売上は6千枚。ちなみにファンキー加藤のソロデビューアルバム「ONE」は初動3万4千枚(3位)でしたので、それと比べると厳しい結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2016年8月17日 (水)

またAKB系が・・・

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで3週連続AKB系が1位獲得。

1位はAKB系、欅坂46「世界には愛しかない」が獲得。テレビ東京系ドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか?」主題歌。先週の37位からアップしてチャートイン6週目にしてCD発売にあわせて初のベスト10ヒットとなりました。CD売上・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)で1位、PCによるCD読取数でも1位を獲得しています。オリコンでも初登場1位を獲得。初動売上32万3千枚は前作でありデビュー作である「サイレントマジョリティー」の26万1千枚(1位)よりアップ。なんとなく乃木坂46の二番煎じな感じが・・・。

2位はEXILEの事務所に所属している女性アイドルグループの混合ユニット、E-Girls「Pink Champagne」が獲得。こちらも実売数2位、ラジオオンエア数5位、PCによるCD読取数4位といずれも高順位。軽快なEDM風のポップチューン。先週の100位からCD発売にあわせて大きくランクアップし初のベスト10入りしています。オリコンでも初登場2位。初動売上6万6千枚は前作「E.G.summer RIDER」の5万9千枚(2位)よりアップ。

3位は安室奈美恵「Hero」が先週の6位からランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。この曲、NHKの「リオデジャネイロオリコンピック・パラリンピック」のテーマソング。今、メダルラッシュで話題のリオ五輪ですが、頻繁にテレビから流れているだけに耳なじみある方も多いはず。実売数3位の他、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数でいずれも2位を記録。まだまだロングヒットが続きそうな予感がします。

続いて4位以下初登場です。4位にワルキューレ「絶対零度θノヴァティック」がランクイン。ワルキューレはアニメ「マクロスΔ」登場キャラクターによるユニットで本作はそのアニメのオープニングテーマ。メロディーラインはいかにもアニソンといった感じの展開で少々陳腐なのですがアレンジはストリングスを入れつつ抑えめのアレンジが今風な感じでなかなか聴かせます。実売数4位、PCによるCD読取数で7位を記録している一方、ラジオオンエア数がランク圏外なのがこの手のアニソンらしい感じ。オリコンでは初動2万5千枚で6位初登場。前作「一度だけの恋なら」の3万5千枚(3位)よりダウン。

8位にはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループMiLK「夏味ランデブー」がランクイン。若干、祭囃子の味付けがついているのですが基本的には軽快なアイドルポップ。これが初登場。実売数で5位だった一方、PCによるCD読取数は70位、またラジオオンエア数は圏外という結果に。カップリングが異なる3種同時リリースだったのですが、イベント目当てなどの複数枚買いが多かった模様。オリコンでは4位初登場。初動売上3万1千枚は前作「新学期アラカルト」の1万9千枚(4位)からアップ。

9位にはボーカルユニットKalafina「blaze」がランクイン。マイナーコード主体の仰々しいメロディー構成はいかにもアニソンらしい感じ。一方では美しいコーラスワークには惹かれるものがあります。TBSテレビ系アニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」エンディング・テーマ。実売数7位の一方、PCによるCD読取数20位、ラジオオンエア数22位と若干低調。ラジオオンエアが低いのはアニソンらしい感じ。PCによるCD読取数が低いのはiTunesチャートでもそこそこ上位にランクインしているためダウンロード売上の影響もあるでしょうが、5種同時リリースの複数枚買いの影響も大きそう。オリコンでは初動1万枚で10位初登場。前作「One Light」の1万1千枚(10位)より微減。

最後10位には韓国の俳優、チャン・グンソクによる「Darling Darling」が初登場。ホーンセッションも入った軽快なビートが楽しいポップチューン。実売数10位、Twitterつぶやき数では7位を記録しましたがラジオオンエア数はこの手のK-POPらしく圏外。またPCによるCD読取数も38位と奮いませんでしたが、これは6種同時リリースによる複数枚買いの影響と思われます。オリコンでは初動売上2万9千枚で5位初登場。前作「Let me cry」の11万9千枚(1位)から大きくダウン。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年8月16日 (火)

シンプルなメロに分厚いサウンド

Title:THESE PEOPLE
Musician:RICHARD ASHCROFT

元the verveのボーカリスト、リチャード・アッシュクロフトによる新作。前作のソロ作はバンドRPA&THE UNITED NATIONS OF SOUND名義のアルバム「THE UNITED NATIONS OF SOUND」でしたが、そこから6年ぶりとなる新作となりました。

その前作「THE UNITED NATIONS OF SOUND」はアメリカ音楽の影響を積極的に取り入れ、HIP HOPやソウル、ブルースなどの要素を強く感じるアルバムになっていました。その一方でぬぐいきれないイギリス出身の彼らしい、メロディアスで哀愁感あふれるいかにもイギリスらしいメロディーラインが要所要所に感じられたアルバムになっていました。

一方、今回のアルバムに関してはまさに彼の売りであるメロディーラインを主軸に据えたア作品になっています。。例えば1曲目「OUT OF MY BODY」。打ち込みを入れたテンポよいリズムの中で流れているメロディーラインはマイナーコード主体の哀愁感あって聴かせるメロディーライン。タイトルチューン「THESE PEOPLE」などもストリングスの伸びやかなサウンドをバックに聴かせる美メロを展開しています。

また分厚いサウンドを展開しているのも耳を惹きます。ジャケット写真の通り、基本的にはアコギの音が全体的に流れているのですが、上にも書いた通り、「OUT OF MY BODY」のような打ち込みの音を入れた曲がある他、全体的にアコギ+バンドサウンドにストリングスの音を入れることにより音の分厚さを増しています。個人的にはメロディーを聴かせるためならもうちょっとシンプルにしてもいいんじゃないか、と思う部分もあるのですが、ただストリングスを入れた美しいサウンドはメロディーラインの美しさを際立たせるために効果的であることも間違いありません。

楽曲としてどこかくすんだ雰囲気、乾いた雰囲気もあったりして、この乾いた雰囲気にはイギリスのギターロックというよりもアメリカっぽさを感じました。前作「THE UNITED NATIONS OF SOUND」で感じたアメリカへの憧憬ですが、基本的に本作もその影響を引き継ぐ部分があったのも間違いないでしょう。

全体的にはちょっと地味さも否めず、これといった感じの核になる決定的な1曲もないのですが、イギリスギターロックが好きな人、もちろんthe verveが好きな人なら間違いなく楽しめるアルバムだったと思います。素直にそのメロディーラインを楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

RICHARD ASHCROFT 過去の作品
THE UNITED NATIONS OF SOUND(RPA&THE UNITED NATIONS OF SOUND)

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2016年8月15日 (月)

アフガニスタン、コソボ、そしてワシントンD.C.

Title:THE HOPE SIX DEMOLITION PROJECT
Musician:PJ Harvey

イギリスの女性シンガーソングライターによる5年ぶりとなる新作。本国イギリスでは高い人気を誇り、本作もチャート1位を獲得しているのですが、日本ではさっぱり。日本では比較的イギリスのロックバンドの人気が高いため、彼女ももっと注目されてもいいと思うのですが・・・たしかにイギリスのロックバンドのようなわかりやすく日本人の琴線に触れるような美メロを書くタイプのミュージシャンではないのですが・・・。

日本で彼女があまり話題になりにくいのは楽曲に社会派的な要素が強いためかもしれません。前作「Let England Shake」では祖国イングランドの歴史をアルバムのテーマとしていましたが、本作はアフガニスタン、コソボ、そしてワシントンD.C.をめぐり、その戦争の現場を見て、その上でレコーディングにのぞんだという作品。さらにレコーディング風景は一般公開されており、アルバムタイトル通り、一種のプロジェクトとなっています。

確かに歌詞の意味がストレートに耳に入ってこない私たちにとっては彼女のテーマ性はなかなか伝わりにくいものがあります。ただ最後の「Dollar,Dollar」では冒頭、街の雑踏がそのまま収録されており「Dollar」と叫ぶ子供たちの声に彼女が見た現実が伝わってきており、歌詞がわからない私たちにとってもそのテーマ性を感じることは出来ました。

逆に非常に皮肉めいていたのが冒頭の「The Community Of Hope」。非常にポップで明るいギターポップなナンバー。インパクトもありこの曲だけなら前向きさも感じるポップソングなのですが・・・アルバム全体のテーマ性からみて、そのまま受け取れないのは明らかでしょう。

アルバム全体としてはロックテイストのナンバーが多く、いい意味での聴きやすさも感じます。2曲目「The Ministry Of Defence」はいきなりへヴィーなギターからスタート。途中、重厚なコーラスも入り、壮大さも感じるナンバーになっています。

この壮大さもまた今回のアルバムの中で強く感じた要素のひとつ。例えば「Chain Of Keys」でもホーンの入った分厚いサウンドに男性によるコーラスラインが入ったミディアムテンポのナンバーで壮大な雰囲気を感じるナンバー。同じく「The Orange Monkey」でもコーラスラインを重ねることによる楽曲に壮大さを与えています。

アルバムテーマがイングランドの歴史というローカルだった前作から一転、アフガニスタン、コソボ、ワシントンD.C.とグローバル規模のテーマとなった本作。壮大な音楽性はそのグローバル規模というテーマのスケール感から来るのか、とも想像してしまいました。

そのテーマのグローバル性ということからもうひとつ感じたのが楽曲によって様々な音楽的要素を入れてきているという点。例えば「Medicinals」はトラッド音楽の要素を感じましたし、「The Ministry Of Social Affairs」はブルースの要素を強く取り入れています。これも彼女が廻った様々な現場の音楽を楽曲の中に取り込んできているのかな、とも感じてしまいました。

アルバム全体としては正直若干地味かな、という感じもしないではありません。ただ、様々な音楽性を取り入れつつ、全体的にはロック的な要素が強くいい意味で聴きやすさを感じます。その社会派な要素を含めて日本でももっと受け入れられてもいいのに・・・と感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

PJ Harvey 過去の作品
Let England Shake


ほかに聴いたアルバム

OX4 -the best of RIDE/RIDE

80年代後半から90年代にかけて活躍したイギリスのギターロックバンドRIDE。シューゲイザー系の代表格としていまなお高い人気を誇る彼らですが、最近では2014年に再結成を果たしています。本作はもともと2001年に海外でリリースされたベスト盤が再結成にあわせて国内盤として再発されたアルバム。ホワイトノイズで埋められたギターサウンドはいかにもシューゲイザーといった感じですが、その音色は非常に美しくメロディーラインもとてもポップで聴きやすい内容。そのドリーミーな世界を楽しめるベスト盤でした。

評価:★★★★★

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2016年8月14日 (日)

また「改名」

Title:Bright Ground Music
Musician:モノブライト

ドラムス瀧谷翼が突然の脱退。3人組新体制となったモノブライトの2年半ぶりとなるニューアルバム。ヒダカトオルとの「結婚」前にミュージシャン名をそれまでの小文字でのmonobrightから大文字でもMONOBRIGHTに改名しましたが今回、再びバンド名を変更。英語表記からカタカナの「モノブライト」への変更となりました。ヒダカトオルの「離婚」の際はこのような変更がなかっただけに(そもそもおそらくヒダカトオル加入は当初から期間限定の予定だったのでしょうが)瀧谷翼脱退という出来事は彼らにとって大きな転機となったということなのでしょう。

ただ作品的にはあまり大きな転機といったイメージはありません。むしろいつも以上にシンプルでポップなメロで勝負をかけているといった印象のある作品。1曲目の「HELLO」からいきなりサビ先での構成となっていますが、それだけインパクト性を意識したのかもしれません。メインライターの桃野陽介が書く歌詞はいわゆる「ひねくれポップ」と呼ばれるような癖のあるメロディーラインが特徴的でしたが今回の作品に関しては「ひねくれ」度は軽め。「愛飢えを」などはそんなひねくれたメロディーラインが楽しめましたが、全体的には比較的素直なポップチューンが目立ったように思います。

モノブライトのもうひとつの特徴であったユーモラスさについても少々薄め。シンセのサウンドがユニークな「テクノロジックに抱いて」にはユーモラスさを感じますが、そんなユーモアさを感じるのはこの曲くらい。ひねくれポップの減少とあわせて全体的には正統派なポップソングで行こうというバンドの方向性を感じます。

ただもっとも「ビューティフルモーニング(Wake Up!)」「こころ」などもいままでの彼らと同様、どこか切なさを感じるメロディーラインが耳を惹きますし、ひねくれメロやユーモラスさは薄まってもサウンドやメロから感じるモノブライトらしさは健在。わかりやすい形ではあらわれていないものの、楽曲には彼ららしい独自のメロディーセンスが隠し味的に加えられているように感じました。

楽曲のバリエーションとしても「末裔シンドローム」のようなファンキーな曲もあったりするのですが、全体的にはそれほど新しいことにチャレンジしているという印象もありません。そういう意味でもアルバム全体としておとなしさを感じるアルバムでした。

もっとも今回のアルバム、新体制としての最初のアルバムとしてポップなメロディーラインで勝負という彼らとしての一番の原点に立ち返ったアルバムと言えるのかもしれません。正直、それならそれでメロディーにもうちょっとインパクトが欲しいなぁと感じる部分もあるのですが・・・ヒダカトオル脱退以降、いまひとつ派手な活動が少なくなってしまった彼ら。新体制として新たな前進を期待したいところです。

評価:★★★★

モノブライト 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME
新造ライヴレーションズ
MONOBRIGHT BEST ALBUM~Remain in MONOBRIGHT~
MONOBRIGHT three

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2016年8月13日 (土)

カバー曲も含めベスト盤的感覚で

Title:Concert Tour 2015 VOCALIST&SONGS 3 FINAL at ORIX THEATER
Musician:徳永英明

今年、デビュー30周年を迎えた徳永英明。先日、そのデビュー30周年を記念してベストアルバムがリリースされましたが、それに続きリリースされたのがこのライブアルバム。「VOCALIST 6」をひっさげて行った2015年のライブツアーから11月24日に大阪オリックス劇場で行った最終公演の模様を収録した作品となっています。

「VOCALIST」後のツアーということもあって楽曲は「VOCALIST6」からの曲を中心に、カバー曲が中心になっている構成。CDは全2枚組なのですが、1枚目は最初の「春なのに」から10曲目「月光」まですべてカバー曲が並んでいます。

その後はおなじみ「壊れかけのRadio」「レイニーブルー」など徳永英明の代表曲が収録されている構成に。自身のオリジナル曲に関しては印象として原曲からほとんど変化はありません。カバー曲中心の構成だから、オリジナルに関しては変にいじらず客の期待に応えたのでしょうか。カバー曲に関しては逆にアルバム収録のバージョンよりも歌い方にさらなる感情がこもっています。ライブで歌う中で、より楽曲に対して気持ちがこもってきたのでしょうか。ここらへんの変化を聴けるのもまたライブ盤の醍醐味といった家事でしょう。

ただ、アルバムの録音状態としては会場の音をあまり拾っておらずライブ会場の空気感をあまり出していなかったのは残念。おそらく「VOCALIST」の曲と徳永英明の代表曲をともに収録したベスト盤的な売り方をするためにわざと客席の音やMCなどを省略したのでしょう。例えば「君の青」では途中観客に歌わせる場面があるのですが、客の歌はほとんど拾っていません。確かにそのためライブ盤というよりもベスト盤的な楽しみ方が出来るアルバムになっていましたが、ライブ会場の雰囲気が伝わってこないのがちょっと残念でした。

もっとも確かに「VOCALIST」の曲と徳永英明の代表曲を一緒に聴けるという意味ではお得感のある構成。特に徳永英明といえば自身も数多くの国民的ヒットを抱えるミュージシャンなだけに「VOCALIST」でカバーした曲と自身のオリジナルの代表曲を並んでも全く遜色ないという点が大きな強み。ここらへん、最近よく出てくるカバー曲だけが売れているようなミュージシャンたちとは大きく異なるところでしょう。

とはいえその点についても「VOCALIST6」の後のツアーだからという理由はあるものの、全体のバランスとしてカバーが多すぎるのもちょっと残念。個人的にはやはりオリジナルの比率をもうちょっと増やしてほしかったな。

いろいろと残念な点はあるもののベスト盤的感覚で聴けるお得なライブアルバムではあると思います。先日、ベスト盤もリリースされたばかりですし8月にはカバー曲のベストも出る予定だそうですが、前作は3枚組、後作も2枚組というボリューム。本作もCDは2枚組ながらも2枚目は30分弱という適度な長さなので、ベスト盤のフルボリュームを聴くまででも・・・という方にはちょうどよい・・・のかも?

評価:★★★★

徳永英明 過去の作品
SINGLES BEST
SINGLES B-Side BEST

WE ALL
VOCALIST4
VOCALIST&BALLADE BEST
VOCALIST VINTAGE
STATEMENT
VOCALIST 6
ALL TIME BEST Presence

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2016年8月12日 (金)

AA=の魅力を卒なく収録

Title:#5
Musician:AA=

最近はBABYMETALをはじめとするアイドル勢への楽曲提供でも話題となっている、現在活動休止中の上田剛士によるソロプロジェクトAA=。その約2年半ぶりとなる新作がリリースされました。

基本的にTHE MAD CAPSULE MARKETSのメインライターとして活躍していた彼のソロ作なだけに、以前からマドカプの路線をそのまま承継するようなデジタルハードコアな作品がメイン。このアルバムでも不気味なノイズがアルバムへの期待を否応なく高めるイントロ的作品の「?erusrofyzarcuoyera」からスタートし、前半は「INEQUALITY」「DOWN」と強烈に強いデジタルビートがこれでもかというほど押し寄せるハードなナンバーが続きます。特に「FREE THE MONSTER」はデス声が前面に出ているナンバーでハードな前半のナンバーの中でも特にヘビネスさが目立つナンバーとなっています。

その雰囲気が一変するのが中盤の「Such a beautiful plastic world!!!」。これはマドカプのナンバーでもよく見受けられたのですが、デジタルハードコアなへヴィーなサウンドはそのままにメロディーラインは抜けるようなポップソングになっており、その対比がおもしろいナンバーとなっています。

へヴィーさを前面に押し出した前半と比べてバリエーションが多かったのが後半。複雑で破壊的なビートが特徴的のインストナンバー「BATTLEFIELD T vs NK」からスタートし、Dragon Ashの降谷建志とコラボした「M SPECIES」に、0.8秒と衝撃。のJ.M.とコラボした「→MIRAI→(ポストミライ)」はポピュラリティーがあってインパクトある楽曲。J.M.のコーラスがポピュラリティーを作り出すのにちょうどよいインパクトとなっています。

そんな訳でアルバム全体としてはデジタルハードコアのへヴィーなサウンドと強いビートを主軸としながらも、所々に挑戦的な作品があったり、あるいはポップな作品があったりとAA=の魅力をほどよく収録しているアルバムになっています。ただ、AA=、あるいはTHE MAD CAPSULE MARKETS時代の曲から含めて目新しさは少な目ですし、マドカプのような高揚感は低め。ファンならそれなりに満足度の高い作品で期待通りの作品といった感じなのですが、期待以上はなかったかな、という点がちょっと残念。ただ、上田剛士作品が好きなら間違いなく要チェックのアルバムです。

評価:★★★★

AA= 過去の作品
#1
#2
#
4

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2016年8月11日 (木)

珍機で遊ぶ

Title:Cheetah EP
Musician:Aphex Twin

前作「Computer Controlled Acoustic Instruments pt2」から1年半。アルバム「Syro」以降、精力的に活動を続けるAphex Twinが早くも(といっていいでしょう)リリースしてきた新作。今回のアルバムは少々特殊なEP盤で「Cheetah MS800」というシンセサイザーを用いて制作された作品。6月にアメリカ・ナッシュビルで行われた世界最大の楽器ショーNAMMでこのEPと「Cheetah MS800」を展示したブースが設置され話題を呼んだそうです。

この「Cheetah MS800」は1990年代にイギリス「Cheetah Marketing」より発売されたシンセ。非常に使いにくいことで知られる機材だそうで、市場にもほとんど出回らなかった珍機。それを彼がなんとか手に入れ、わざわざ本作作成のために使ったそうです。

そんな訳で、基本的にこの特殊な機材を「使う」ということに焦点があてられた作品なだけに本作自体は全30分強という長さの小品。楽曲的にはシンプルなデトロイトテクノの作品で、必要最小限に抑えられたサウンドで空間を聴かせるスタイルはAphex Twinらしい感じもするのですが、Aphex Twinらしい「癖」の部分は薄め。

そのため全体的にはポップで聴きやすい音が多く、例えば「CHEETAHT7b」は均一なテンポで耳なじみやすい作品ですし、「CIRKLON 1」もちょっと80年代的な空気を感じるメロディーが心地よい作品になっています。

もっともそうはいってもAphex Twinらしいアイディアも随所に聴くことが出来、しっかりとAphex Twinのアルバムとして楽しむことが出来るということも間違いありません。本作の中でもある種の核となっていたのが「CIRKLON3 [ Колхозная mix ]」。最初は軽快なピコピコサウンドからスタートしつつ、中盤、リズムはファンキーに展開。最後はちょっと不気味な雰囲気のエレクトロサウンドで微妙な後味を残す作品となっていました。

他にも最後を飾る「2X202-ST5」などはメロディーラインが微妙にゆがんでいてこれはこれで奇妙な感覚を覚えるAphex Twinらしい作品になっています。全体的に聴きやすいポップな作品ながらもAphex Twinらしい要素を1滴加えたようなそんなアルバムでした。

アルバム全体としてはこれで新しいことをやろう、といった感じよりも「Cheetah MS800」をつかって気軽に遊んだ作品といった印象を受けるアルバム。そういう意味ではAphex Twinの最初の1枚的な感じではあまりお勧めできません。ただ、彼のファンならチェックして間違いないアルバムだと思います。なにげに難しいこと抜きにリスナー側も気軽に楽しめる小品です。

評価:★★★★

Aphex Twin 過去の作品
Syro
Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP
orphaned deejay selek 2006-2008(AFX)


ほかに聴いたアルバム

The Monsanto Years/Neil Young+Promise Of The Real

ニール・ヤングの新作は、遺伝子組み換え種子販売企業の大手であるモンサント社への抗議がテーマとなった作品。遺伝子組み換えで作られた飼料で育てられた牛の牛乳を使用しているというスターバックスに対して抗議した「A Rock Star Bucks A Coffee Shop」も話題となっています。

今なお、社会に対して強いメッセージを発し続けるのはさすが。楽曲的にはちょっと70年代を彷彿させるようなギターロックをミディアムテンポで聴かせるスタイルで正直さほど目新しさは感じませんし、歌詞がわからないとメロディーやアレンジのみからだと演奏はパワフルというよりも淡々とした感じですし、それほど強い主張は感じないのですが、逆に歌詞にこめられたメッセージをしっかりと聴かせるスタイルといった感じなのでしょうか。

評価:★★★★

Niel Young 過去の作品
Fork In The Road
Psychedelic Pill(Neil Young&Crazy Horse)
Storytone

Anti/Rihanna

3年ぶりとなるRihannaのアルバム。今風のエレクトロサウンドを取り入れた楽曲は時代を追いつつ、基本的にはしっかりとメロディアスなポップソングにまとめあげています。一方では後半、特に「Love On The Brain」をはじめオーソドックスなソウルナンバーなども歌い上げており、音楽的な幅広さを感じさせます。いい意味でバランス感覚のあるポップソングが楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

RIHANNA 過去の作品
Rated R(R指定)
LOUD
TALK THAT TALK
UNAPOLOGETIC

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2016年8月10日 (水)

AKB系&ジャニーズ系

今週はアルバムの新譜が極端に少なかったためシングルアルバム同時更新です。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に引き続きAKB系が1位獲得

1位初登場はNMB48「僕はいない」が獲得。CD発売にあわせ先週の89位から一気にランクアップ。歌詞も含め哀愁感たっぷりの歌謡曲ナンバー。CD売上・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)1位、Twitterつぶやき数3位ながらもPCによるCD読取数が16位と低めなのは握手会目当ての複数枚買いの影響か。オリコンでも1位初登場。初動売上30万4千枚は前作「甘噛み姫」の23万枚からダウン。前作はAKB48総選挙前の買い控えの影響で売り上げが減少していました。ただし前々作「Must be now」の30万7千枚(1位)よりも若干ダウン。

2位はパンクバンドWANIMA「ともに」が先週の22位からランクアップしベスト10初登場。実売数2位、ラジオオンエア数3位、PCによるCD読取数3位といずれも高順位。ニベア花王「8×4」CMソング。タイアップからして完全に若者向きといった感じ。オリコンでは本作収録のシングル「JUMP UP!!」が4位に初登場。シングルとしては2枚目ですが、初動売上3万6千枚は前作「Think That...」の1万枚(14位)から大きくランクアップし、シングルでは初のベスト10ヒットとなっています。

3位は先週1位の乃木坂46「裸足でSummer」が2ランクダウン。実売数は5位にとどまりましたがPCによるCD読取数は2位を獲得しており、2週連続のベスト3入りとなりました。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にピカチュウ(大谷育江)「ピカチュウのうた」がランクイン。現在、アプリゲーム「ポケモンGO」が社会的現象と言えるほどの大ヒットをしていましたがこちらはテレビ東京系アニメ「ポケットモンスターXY&Z」のキャラソンプロジェクトから登場した曲。歌っているのがピカチュウだけに歌詞は「ピカ」と「チュウ」しか出てこない、ある意味「電波ソング」なのですが、思わず微笑んでしまうようなかわいらしい子供も楽しんで口ずさめるポップソングになっています。リリースは配信限定。実売数は47位でしたがTwitterつぶやき数で1位を獲得し初登場でのベスト10入りとなっています。

5位初登場は韓国の女性アイドルグループApink「サマータイム!」。実売数3位、Twitterつぶやき数では9位を記録していますが、ラジオオンエア数では圏外、PCによるCD読取数では84位と奮わずこの位置。特にPCによるCD読取数は14種同時発売の形態をとっているため複数枚買いの影響が大きかった模様。オリコンでは初動売上4万枚で2位初登場。前作「Brand New Days」の1万枚(11位)から大幅増で、前々作「SUNDAY MONDAY」以来のベスト10入りですが、初動売上急増の理由は前述の通り。

7位はAqours「決めたよHand in Hand」がランクイン。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」プロジェクトに登場するユニットによるシングル。ちょっと懐かしさすら感じる典型的な90年代J-POP風のポップスロックナンバー。実売数4位、PCによるCD読取数では1位と間違いなくCDは買われている一方、ラジオオンエア数圏外とコアなファン層以外に波及していないこのタイプのアニソンの典型的な傾向を見せています。オリコンでは5位初登場。初動売上3万5千枚は前作「青空Jumping Heart」の4万7千枚(4位)からダウン。

8位にはGLAY「デストピア」がランクイン。アニメ「クロムクロ」オープニング・テーマ。かなり歌謡曲テイストの強いビートロック。こちらも典型的な90年代J-POPといった感じ。先行配信されており、5月23日付チャートで23位にランクインしたもののその後は圏外に。これが2週目のランクインにして初のベスト10ヒットとなりました。実売数7位、ラジオオンエア数7位、PCによるCD読取数6位。オリコンでは本作を収録したシングル「[DEATHTOPIA]」が初動3万5千枚で6位初登場。前作「G4・IV」の3万9千枚(1位)よりダウンしています。

最後、もう1組韓国の女性アイドルグループ。AOA「Good Luck」が9位初登場。K-POPらしいアメリカのR&Bからの影響が強く感じるポップチューン。実売数は6位ながらもラジオオンエア数及びPCによるCD読取数いずれも圏外という結果に。全11種発売なので複数枚買いが売上増に大きな影響を与えた模様。オリコンでは初動3万8千枚で3位獲得。前作「愛をちょうだい feat.TAKANORI NISHIKAWA(T.M.Revolution)」の3万枚(3位)よりアップしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

初登場が極端に少なかった今週のアルバムチャート。1位は先週に引き続きHey!Say!JUMP「DEAR」が獲得。売上は1万6千枚と、1位としては異例ともいえる発売枚数の少なさでしたが、見事2週連続の1位となりました。

2位は先週4位に西野カナ「Just LOVE」がランクアップでベスト3返り咲き。3位は先週2位のスピッツ「醒めない」がワンランクダウンでベスト3キープという結果となっています。

初登場最高位は4位。クレイジーケンバンド「香港的士」がランクイン。横山剣のデビュー35周年を記念したアルバムで、オリジナル曲のみならずカバー曲やセルフカバー曲も収録したアルバムになっています。初動売上は8千枚。前作「もうすっかりあれなんだよね」の9千枚(3位)から微減。

5位には鷺巣詩郎・伊福部昭「シン・ゴジラ音楽集」が先週の34位からランクアップ。エヴァンゲリオンの監督である庵野秀明が総監督・脚本をつとめたことでも話題となったゴジラシリーズ最新作「シン・ゴジラ」のサウンドトラック。7月30日の土曜日発売という特殊なリリース形態だった影響で発売から2週目にして8千枚を売り上げ、初のベスト10入りとなりました。

初登場はあと1枚のみ。9位に葉加瀬太郎「JOY OF LIFE」がランクインです。ご存じバイオリニストとして知名度の高い彼ですが、意外なことにシングルアルバム通じてこれが初となるベスト10ヒット。初動売上4千枚で、直近の前作はベスト盤「葉加瀬太郎 25th Anniversary アルバム「DELUXE」~Best Duets~」で、こちらの2千枚(23位)よりアップ。オリジナルとしての前作「JAPONISM」の2千枚(33位)からもアップ。4千枚でベスト10入りというのは非常に低水準のチャートに助けられた結果ですが、売上的には前作を大きく上回る結果となっています。

他に先週11位の絢香「THIS IS ME~絢香 10th anniversary BEST~」が7位に返り咲き。ただし売上は7千枚から5千枚にダウンしています。

今週のチャート評は以上。次回も来週水曜日更新予定です。

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2016年8月 9日 (火)

アメリカで大ヒット中

Title:VIEWS
Musician:DRAKE

おそらく現在、アメリカでもっとも人気のあるHIP HOPミュージシャン、DRAKEの最新アルバム。ビルボードチャートでは初登場で1位を獲得。その後もなんとチャート1位を10週以上にわたって確保するなど驚異的な人気を見せています。

ただ今回の新作を聴いているとなんとなくその理由がわかるような気がします。まず本作、HIP HOPのアルバムでありながら、非常にメロディアスな作品に仕上げてきています。DRAKEの作品といえばいままでも非常に「歌心」のある楽曲が多かったのですが本作はさらにR&B色がより強まった作品に。その結果、HIP HOPの作品というよりも純粋にポップスのアルバムとして聴けてしまうような作品になっています。

例えば冒頭を飾る「Keep The Family Close」ではしんみりとした泣きのメロディーラインでメロディーを聴かせる曲になっていますし、そのスタイルはその後も「Redemption」「Controlla」などとアルバムの中に散見されます。一方で「Feel No Ways」やRihannaをフューチャーした「Too Good」などリズミカルな歌モノのポップチューンなどもあり、アルバム全体としてHIP HOPの色合いが非常に薄いものに感じます。

歌詞にしても「Keep The Family Close」では

「All of my "let's just be friends" are friends I don't have anymore」
(訳詞 「ただの友達でいましょう」って言った元カノは全員、もう友達じゃないんだよな)
(「Keep The Family Close」より Written by A.Graham,M.Bidaye 訳詞 押野素子)

なんていうなよなよっとした(ある意味「槇原敬之」ばりの)悲しい心境を綴った歌詞からスタートしており、ある意味、HIP HOPというよりもポップスのフィールドを狙った歌詞のようにも感じます。

一方トラックは、強いタイトなリズムに音数を絞ったシンプルなトラック。今風といえば今風。そういう意味では聴いていて、リスナーをちゃんと時流にのった最新のヒット曲を聴いている、という気分にさせられるような空気感を楽曲に詰め込んでいるように感じました。

もちろん「U With Me」みたいにちゃんとラップがメインとなっている曲も多く収録されています。「Grammys」みたいにちょっとハードな雰囲気を感じる楽曲なんかもあったりしてHIP HOP的な側面を求めるリスナー層にもきちんと満足させられるアルバムになっていたと思います。

そういう意味でちゃんと「今時」の空気を取り込みつつ、非常に広いリスナー層にアピールできるアルバムだったと思います。だからこそ、いかにも売れそうなアルバムと感じた1枚。もちろん、楽曲のクオリティーは十分すぎるほど高く、理想的なヒット作と言えるかもしれません。正直、DRAKEの作品としては目新しさもなく、いままでの作品と比べると物足りなさを感じる部分も否定はできないのですが、それを忘れさせてくれるくらい、十分すぎる良曲揃いの傑作アルバムだったと思います。おそらく今年を代表するヒット作になりそうですが、その大ヒットも納得の1枚です。

評価:★★★★★

DRAKE 過去の作品
Thank Me Later
TAKE CARE
Nothing Was The Same
If You're Reading This It's Too Late


ほかに聴いたアルバム

Drones/MUSE

そういえば最近、ドローンって聞かなくなりましたね。まあおそらくまだつかっている人はつかっているでしょうし、手軽な空中撮影の道具としてそれなりに重宝はされているんでしょうが・・・。で、そんなドローンをタイトルとしたMUSEの新作。ダブステップやエレクトロサウンドを取り入れた挑戦心を感じた前作と比べて今回のアルバムは良くも悪くもいかにもMUSEらしい作品。あえていえばへヴィーなギターサウンドを取り入れたりしてよりロック色が強くなった感じか?MUSEらしいダイナミックで複雑なロックサウンドが楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

MUSE 過去の作品
The Resistance
The 2nd Law(邦題 ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則)
Live at the Rome Olympic Stadium

FFS/FFS

日本でも人気のスコットランドのロックバンド、Franz FerdinandとアメリカのポップユニットSparksによるコラボユニット。Franz Ferdinandらしいポップスさを保ちつつ、歌い上げるようなボーカルとスケール感あるアレンジ。どこかオペラやミュージカルの雰囲気を彷彿とさせる壮大な世界観が提示されています。ちょっと仰々しい感じもするのですが、これはこれでポップなメロが楽しめる作品になっています。

評価:★★★★

FRANZ FERDINAND 過去の作品
TONIGHT
Right Thoughts,Right Words,Right Action

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2016年8月 8日 (月)

中川敬の音楽的模索

Title:ザ・ベスト・オブ・ニューエスト・モデル1986-1993
Musician:ニューエスト・モデル

今回紹介するアルバムは1980年代後半から90年代初頭にかけて活躍したロックバンド、ニューエスト・モデルのベスト盤。まあ、彼らについて既に知っているという方には説明するまでもない話かもしれませんが、彼ら、個人的に大好きなバンドの一組で当サイトでもよく紹介しているロックバンド、ソウル・フラワー・ユニオンの前身バンド。同じレーベルメイトだったメスカリン・ドライブと合体する形でニューエスト・モデルは発展的に解散。その後はソウル・フラワー・ユニオンとしての活動が続いています。

以前、ニューエスト・モデルとメスカリン・ドライブのシングルを集めたベスト盤を紹介したことがありましたが本作は純粋にニューエスト・モデルのみのベスト盤。ニューエスト・モデルの作品がインディーズ時代の作品も含めて発表順に並んでおり、ニューエスト・モデルの活動の流れがよくわかるようになっています。

で、今回のアルバム、この「発表順に並んでいる」というのがかなりのミソ。というのは彼らの楽曲、わずか7年の活動の間に劇的に変化しているから。それもニューエスト・モデルの作詞作曲を手掛ける中心人物である中川敬の貪欲な音楽的興味がダイレクトに反映されており、ある意味、彼が自ら理想とするロックを作り上げるための実験場となっています。そしてこのニューエスト・モデルで中川敬が行った「実験」は確実にソウル・フラワー・ユニオンの音楽へとつながっており、そういう意味でも非常に興味深いベスト盤になっていました。

結成直後のニューエスト・モデルの作品はあきらかにソウル・フラワー・ユニオンとは異なる音楽性でした。かなりへヴィーなサウンドを聴かせてくれる、ハードコア的な要素も感じられるパンクロック。そこから徐々にトラッドや祭囃子、ニューオリンズや民俗音楽的な要素を取り入れつつ、徐々にソウル・フラワー・ユニオンのようなスタイルに近づいていきます。

ソウル・フラワーらしさを感じるのは「雲の下」あたりからでしょうか。このあたりから中川敬のボーカルスタイルも定まってきますし、彼の盟友、奥野真哉のキーボードの音色も、今に通じるサウンドになってきています。その次の「ソウル・サバイバーの逆襲」で「ソウル」という言葉がタイトルに登場しますが、初期のパンク色が薄れ、ソウルの色合いも感じられ、ソウル・フラワー・ユニオンに近い作風になってきます。

その後もお祭りのような合いの手が入る「みんな信者」やトラッドの色合いの濃い「杓子定木」など私のようにソウル・フラワー・ユニオンから入った人でも抵抗感なく楽しめる楽曲が多く収録されています。ただその一方、ニューエストで挑戦しながらソウル・フラワーではあまり聴かれないようなタイプの曲もチラホラあったりするのもユニーク。例えば「知識を得て、心を開き、自転車に乗れ!<PART.1>」はどちらかというとボ・ガンボスの方向性に近い感じの曲になっていますし、「渡り廊下にランプを」のようなラテン調の曲もソウル・フラワーではあまり聴かれないタイプ。また「蒼白の祈祷師」はむしろサイケロックの色合いが強く、これもソウル・フラワーの音楽性とは異なります。

ここらへん、初期のパンクロックからソウル・フラワーの音楽へ至るまでの中川敬の音楽的思考の模索を感じられ非常に興味深い印象を受けます。いろいろな音楽を取り入れつつ、取捨選択して完成したロックがソウル・フラワー・ユニオンなんだな、ということを強く感じることが出来ました。

ただ一方で、彼らの初期のパンクロックもまた非常にカッコいい!ブルーハーツからはじまり今に至る、「行進曲」調のリズムのパンクロックとは全く異なるへヴィーなサウンドがズシリと響いてくる骨太なロック。この路線は路線でひとつ完成されており、実に魅力的に感じます。もしこの路線で活動を続けていたとしても、おそらくニューエスト・モデルは伝説的なパンクロックバンドになっただろうなぁ・・・なんてことを夢想してしまいます。

そんな訳で初期のパンク路線もその後のソウル・フラワーに続く路線も魅力的。ソウル・フラワー・ユニオン好きなら文句なしに聴くべきベストアルバムだと思います。なにげにパンクロックが好きならかなり楽しめるアルバムだと思うので、このアルバムにはまって、その後、ソウル・フラワー・ユニオンのアルバムを聴いてみる、という流れでもいいかも。もう30年近く前の作品なのですが、いまなお輝きを全く失っていない作品でした。

評価:★★★★★

ニューエスト・モデル 過去の作品
アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ(ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ)

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2016年8月 7日 (日)

「0」に戻って・・・

Title:0
Musician:スネオヘアー

3年ぶりとなるスネオヘアーの新作。前々作のタイトルがセルフタイトルの「スネオヘアー」。前作は8枚目のアルバムなので「8」と、ある意味そのままなタイトルが続いていましたが今回の最新作のタイトルは「0」。ゼロにもどって初心に帰るアルバムという意味もあるのでしょうか。

ただそんな「ゼロに戻る」というイメージからするとイメージ的に裏切られるスタートかもしれません。1曲目「Typhoon」はいきなりエレクトロサウンドのインストチューン。わずか1分強のインスト的なナンバーに続くタイトルチューン「0」もエレクトロポップな楽曲。スネオヘアーというとどちらかというとギターロック路線というイメージが強いだけにちょっと意外に感じられるスタートかもしれません。

今回のアルバムは比較的、このエレクトロサウンドを取り入れた曲が目立ちます。「Raindrops」もピコピコエレクトロポップな楽曲ですし、「LOVE」もエレクトロアレンジの作品となっています。ただ、このエレクトロアレンジのみならず今回のアルバムに関してはバラエティーに富んだ楽曲が目立ちました。例えば「帰って行くのね」はレゲエ風なアレンジ。「最高TONIGHT」はへヴィーでトライバルなリズムが印象に残る楽曲に仕上げています。

そういう意味では今回のアルバムタイトル「0」、原点回帰というよりは「0」に戻ってのリスタートという意味が強いのかもしれません。スネオヘアーとしてのリスタートで様々なジャンルに挑戦したアルバムと言えるかもしれません。

ただし基本的な路線は大幅には変わっていません。まずデビュー以来のスネオヘアーの最大の弱点は残念ながらそのまま。とにかく地味(苦笑)。マイナーコード主体のミディアムテンポの楽曲がメイン。アレンジは上に書いた通り、本作ではそれなりにバラエティーがあるものの、あくまでもメインはメロディーラインと歌なのでそれだけで聴かせるほどのパワーは持っていません。

もっともパッと聴いた感じは地味なのですが、良質なメロディーラインのポップスを書いているという良い意味でもいままで通り。特に「バンカーランプ」は抑えめながらもちょっと泣きメロが入ったメロディーラインが印象的。ギターサウンドにピアノやシンセを加えた分厚いアレンジも心地よい作品になっています。アニメタイアップのついた「無くした日々にさよなら」もメロディーラインにインパクト十分な作品。サビ先という構成もいかにもタイアップ付きの楽曲らしい、「売り」に出たような楽曲となっています。

良質なポップアルバムであることは間違いないと思うのですが、いかんせん全体的にインパクトが薄くて地味なアルバムなのはいままで通り。申し訳ないけど彼のボーカルスタイルもとにかく地味。個人的には彼はどちらかというと他人に楽曲を提供する職業作家的な素質があると思うんですが・・・。ただ楽曲的にはバリエーションが富んでおり、彼のここ数作のアルバムの中では一番の出来だったようにも感じます。このご時世だからこそ、アイドルへ楽曲提供すればヒットを飛ばせそうな気がするんですが・・・。

評価:★★★★

スネオヘアー 過去の作品
バースデー
ベスト
逆様ブリッジ
赤いコート
スネオヘアー
8

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2016年8月 6日 (土)

祝祭と終焉

Title:LAY YOUR HANDS ON ME
Musician:BOOM BOOM SATELLITES

この作品がリリースされる直前、5月31日にBOOM BOOM SATELLITESの公式ブログにアップされた文章に、音楽ファンの間で衝撃が走りました。

posted by nakano 2016.5.311(公式ブログ)

そこに書かれているのはこれが彼らにとって最後の作品になるということ。その理由としては川島道行の脳腫瘍による後遺症のためということ、さらにはその後遺症のために既に彼は正確な意思疎通を取ることすら難しいという事実・・・。川島道行が長らく脳腫瘍という病気と闘ってきたことはファンなら周知の事実でしたが、その予後が決して良い状態ではないという事実は非常にショッキングな事実でした。

そして最後の作品となる本作は全4曲22分からなる作品。収録曲数の関係で、オリコンチャートなどでは「シングル」として取り扱われていますが、上のブログでは「10枚目のアルバム」と言い切っています。ここでは本人たちの意思も尊重し、「アルバム」として紹介させてもらいたいと思います。

そんな彼らの10枚目となるアルバムはバンドとしてラストとなるアルバム、あるいは川島道行にとってもそのミュージシャン人生にとっておそらく最後となるであろうアルバムという後ろ向きな感覚は微塵も感じられません。ブログでも「祝祭と終焉、静けさ、そして新たな始まり」と表現されていますが、むしろ非常に明るさと、前向きなメッセージを感じさせるアルバムでした。

タイトルチューンでもある1曲目「LAY YOUR HANDS ON ME」はテンポよいスペーシーなトラックは前へ前へと突き進む希望あふれるナンバーになっています。幼い女の子が笑顔で飛び跳ねるPVもとても印象的で、未来への希望にあふれるナンバーになっています。

続く「STARS AND CLOUDS」も静かにはじまりつつ、スケール感あるサウンドに明るさを感じるナンバー。

「I and I
I'm in your heart
Here I go on

I go on」

(和訳 身も心も
現れては、また去っていく
僕と僕
君の心の中にいる
ここに居続ける
ここにい続けるんだ)

(作詞 BOOM BOOM SATELLITES 「STARS AND CLOUDS」より)

という歌詞もまた、彼らからの前向きな強いメッセージを感じると同時に、川島道行の心境も感じられ、少し切ない気持ちにもさせられます。

そして後半「FLARE」「NARCOSIS」は静かで美しいインストのナンバー。静かに幕を下ろしていくこの2曲は、「祝祭と終焉」で言うところの「終焉」ということでしょうか。ただここにも「終わる」というだけの暗さは感じません。むしろ「終焉」の向こうの希望を感じられるナンバーでした。

まさに本作1枚22分の中で様々な物語が展開し、彼らのメッセージを強く感じされるナンバー。わずか4曲の中で様々に詰め込まれた彼らのメッセージは、本作が「アルバム」と称するにふさわしいものを感じます。

彼ららしいエレクトロ主体のナンバーなのですが、全体的には静かに美しいサウンドで構成された本作。BOOM BOOM SATELLITESらしいバンドサウンドのダイナミズムは薄めなのですが、その反面、美しいサウンドの向こうに壮大な光景が見えるような、そんなアルバムだったと思います。

BOOM BOOM SATELLITESという偉大なバンドの最後を締めくくるにふさわしい傑作だったと思います。ちなみに初回盤には写真集が同封されているのですが、そこには砂浜でたたずみ笑い合う川島道行と中野雅之2人の姿が・・・この写真集にもグッと来るものがあります。しかし、これが最後という悲しみよりも、2人で音楽を出来たという喜びにあふれる作品・・・BOOM BOOM SATELLITESというバンドを好きでよかったとすら感じさせてくれる、彼ら10枚目となるアルバムでした。

評価:★★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED
EMBRACE
EXPERIENCEDII
SHINE LIKE A BILLION SUNS

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2016年8月 5日 (金)

基本的にはいつも通り

Title:Dancers In The Dark
Musician:HAWAIIAN6

約2年ぶりとなるメロコアバンドHAWAIIAN6のニューアルバム。ハイスタ直系のメロコアバンドとして根強い人気を誇る彼ら。今回のアルバムは6曲入りのミニアルバムとなっています。

HAWAIIAN6の魅力としては歌謡曲っぽさも感じられる哀愁感の強いメロディーラインと孤独や絶望感を描写した歌詞の世界。基本的にそのスタンスは以前から変化ありません。良くも悪くも大いなるマンネリ的な部分も感じられるのですが、今回のアルバムに関してもそのスタイルに大きな変化はありませんでした。

ただ前作「Where The Light Remains」にもその傾向は感じられたのですが、全体的にメロディーラインには明るさが増したように感じられます。1曲目を飾る「My Name Is Loneliness」はタイトルからしてそのまま、彼ららしい哀愁感あるメロディーラインがさく裂しているのですが、続く「Wonder」はメジャーコード主体の明るくポップなメロディーラインが特徴的。「Us」も非常にポップな出来に仕上がっており、アルバム全体的にポップという印象を強く受けました。

もっとも、明るいメロディーラインの曲にしても全体的にインパクトがある、ちょっと「ベタ」とも言えるメロディーラインであることには変わりありません。歌詞の方は相変わらずの全英語詞。メッセージ性の強い歌詞なだけに日本語で歌えば・・・と思う部分もあるのですがただ一方、英語詞の歌詞のメッセージは非常にわかりやすさもあり、ベタさもあるメロディーに日本語で載せてしまうと、楽曲全体が悪い意味でベタさが強くなってしまうのかな、とも思ってしまいます。

例えば「Prepare To Die」にしても

「Get back your freedom
Get back your future
We don't need a fake peace
This is not a battle field
This is not a dead end
Listen,we are not going to prepare to die」

(「Prepare To Die」より 作詞 安野勇太)

と、英語詞ながらも和訳も容易なわかりやすいメッセージ性。もちろんこれが彼らの大きな魅力だと思うのですが、おそらくこれを日本語で歌えば、伝わりすぎてちょっとウザったく感じてしまうかもしれないなぁ・・・とも思ってしまいます。

そんな訳で、基本路線としてはいつも通りの彼ら。もちろん、その変わらないスタンスが根強い人気の理由なのでしょう。ただ明るさの増したメロディーラインにこれからの彼らの新たな方向性も感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

HAWAIIAN6 過去の作品
BONDS
The Grails
Where The Light Remains

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2016年8月 4日 (木)

今週はアルバムチャートでジャニーズ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位はジャニーズ系。Hey!Say!JUMP「DEAR」が獲得しました。初動売上は25万7千枚で前作「JUMPing CAR」の17万6千枚(1位)からアップしています。収録内容が少しずつ異なるアルバムの種類が前作の2種類から通常盤と2種類の初回限定盤の3種類に増えたことも初動アップの要因でしょう。

2位はスピッツの約2年10ヶ月ぶりとなるアルバム「醒めない」が獲得。久々のアルバムでしたが初動売上8万3千枚は前作「小さな生き物」の7万6千枚(1位)よりアップ。1位獲得はのがしてしまいましたが初動売上は前作を上回る健闘を見せてくれました。

3位は韓流アイドルグループSHINeeのメンバー、テミンによるソロデビューアルバム「さよならひとり」がランクインです。初動売上は4万5千枚。SHINeeとしての直近のアルバム「DxDxD」が4万4千枚(1位)だったので、なんとそこよりアップという結果。ソロデビュー作としては大健闘といった感じでしょう。

続いて4位以下の新譜です。まず5位。矢沢永吉「LIVE HISTORY 2000-2015」がランクイン。タイトル通り、2000年から2015年のライブ音源を収録したライブアルバム。初動売上は2万7千枚。直近作はベスト盤の「ALL TIME BEST ALBUM II」で、こちらの初動3万7千枚(2位)よりダウン。ただライブ盤としてはかなりの健闘だったのではないでしょうか。

6位初登場は松野カラ松&松野トド松with弱井トト子(中村悠一&入野自由&遠藤綾)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ カラ松&トド松withトト子『ホストクラブ』 」。アルバムチャートには何度かランクインしている人気アニメ「おそ松さん」からのドラマCDの第6弾。初動売上2万6千枚は同シリーズの前作、松野十四松&松野トド松(小野大輔&入野自由)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ トド松&十四松『警察官』」の2万3千枚(6位)よりアップしています。

7位も韓流。イ・ジョンヒョン(from CNBLUE)「SPARKLING LIGHT」がランクイン。ミュージシャン名通り、韓流の人気バンドCNBLUEのギターボーカルによるソロデビュー作。初動売上は1万2千枚。CNBLUEとしての直近作「Colors」の3万枚(1位)からは大幅にダウン。まあ、ソロ作なんでこんなもんでしょうか。

8位には男性ボーカリスト天月-あまつき-による「箱庭ドラマチック」が入ってきました。ニコニコ動画への投稿により人気を博した男性ボーカリストのメジャー2作目。初動売上1万枚は前作「Hello,World!」の1万枚(9位)より微増。

そして10位初登場が個人的には一番驚いてしまいました。坂本慎太郎「できれば愛を」がベスト10入り。坂本慎太郎はロックバンドゆらゆら帝国のギターボーカリストとして活躍。ゆらゆら帝国解散後はソロにて活動を続けています。決して派手な楽曲ではないし、目立ったライブ活動なども実施していないのですが、その音楽性は高く評価され、ソロ3作目にして見事ベスト10ヒットを記録しました。ただし、初動売上7千枚は前作「ナマで踊ろう」の1万1千枚(11位)よりダウン。そういう意味では人気上昇というよりも低水準のチャートに助けられる形でのベスト10入りとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年8月 3日 (水)

予想通りの1位獲得

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週からランクアップし予想通りの1位獲得です。

今週1位は先週の10位からアップし乃木坂46「裸足でSummer」が獲得。CD売上・ダウンロード数・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位を獲得した他、ラジオオンエア数で5位、PCによるCD読取数で1位、Twitterでのつぶやき数でも3位と軒並み上位を記録しています。CD発売にあわせオリコンでも初登場1位獲得。ただし初動売上72万8千枚は前作「ハルジオンが咲く頃」の74万9千枚(1位)よりダウン。右肩上がりの初動売上を続けていましたが一段落ついた感じとなりました。

2位初登場はジャニーズ系。ジャニーズWEST「人生は素晴らしい」。前作に引き続き日テレ系アニメ「逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~」オープニング・テーマ。タイトルから容易に想像できそうな平凡な前向きJ-POPチューン。実売数2位の他、PCによるCD読取数でも2位を獲得で初登場でこの位置。オリコンでも2位初登場。初動売上12万2千枚は前作「逆転Winner」の11万5千枚(1位)から微増となっています。

3位には安室奈美恵「Hero」が入ってきています。バキバキのEDMチューンが続いた彼女ですが本作は伸びやかなバラードナンバー。歌を聴かせるポップチューンで、彼女にしてはJ-POP色の強いナンバーとなっています。NHKテレビ「リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック」テーマ・ソングなので、今後、テレビに耳にする機会がグッと増えそう。先週の44位からランクアップし、チャートイン2週目にしてベスト10入り。実売数3位、ラジオオンエア数3位なのですが、PCによるCD読取数は6位。オリコンでも初登場6位といるのですが、iTunesチャートでは上位にランクインしており、おそらくCD売上よりもダウンロード数が先行した結果でしょう。オリコン初動売上は2万8千枚で前作「Mint」(4位)からほぼ横ばい。現時点ではタイアップ効果はあまりありませんでしたが、今後のオリンピック中継にあわせてロングヒットも期待できそうです。

続いて4位以下の初登場。まずは5位。UVERworld「WE ARE GO」がランクイン。テレビ東京系アニメ「パズドラクロス」オープニング・テーマ。前作「I LOVE THE WORLD」はEDMを取り込んだナンバーになっていましたが今回は一転、へヴィネスさを感じるロックらしいナンバーになっています。実売数5位の他、PCによるCD読取数も5位を記録しましたがラジオオンエア数は52位と伸び悩みました。オリコンでは初動3万6千枚で4位初登場。前作の初動3万9千枚(2位)よりダウンしています。

6位にはハロプロ系アイドルグループこぶしファクトリー「サンバ!こぶしジャネイロ」がランクイン。露骨にリオ五輪にからめた曲なのですが、タイアップは何もついていない模様・・・。実売数は6位なのですが、PCによるCD読取数は54位。iTunesチャートでも上位に見当たりませんし、あきらかに複数枚買いが押し上げた結果な感じが。オリコンでは初動3万9千枚で3位初登場。前作「桜ナイトフィーバー」の3万3千枚(1位)よりアップ。

7位初登場はSCANDAL「テイクミーアウト」。実売数12位でオリコンでも11位とベスト10入りを逃したのですが、ラジオオンエア数及びTwitterによるつぶやき数で10位を記録しており、Hot100ではベスト10入りを果たしました。オリコンによる初動売上は1万7千枚。前作「Sisters」の1万4千枚(9位)よりアップしています。

8位には新田美波(洲崎綾),鷺沢文香(M・A・O),橘ありす(佐藤亜美菜),高森藍子(金子有希),相葉夕美(木村珠莉) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 04 生存本能ヴァルキュリア」が初登場。ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」挿入歌。実売数7位、PCによるCD読取数3位と上位に入ってきていますがラジオオンエア数が圏外というのがこの手の楽曲らしい感じ。歌謡曲テイストも強いアイドルポップなのですが、いかにもアニソンらしい癖は薄め。オリコンでは初動売上3万1千枚で5位初登場。同シリーズの前作佐々木千枝(今井麻夏),櫻井桃華(照井春佳),市原仁奈(久野美咲),龍崎薫(春瀬なつみ),赤城みりあ(黒沢ともよ) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 03 ハイファイ☆デイズ」の8万9千枚(1位)より大幅ダウンしています。これは前作にライブの抽選券が挿入されていた影響が大きい模様。

9位にはスピッツ「醒めない」が入ってきています。先日発売されたアルバムのタイトルチューン。先週の68位からランクアップし、チャートイン4週目にして初のベスト10入り。実売数は82位でしたが、Twitterによるつぶやき数で6位、さらにラジオオンエア数では見事1位を飾り、ベスト10入りしてきました。

最後10位にはEXILEの事務所所属のHIP HOPグループ、DOBERMAN INFINITY「GA GA SUMMER」がランクイン。タイトル通りの爽やかでポップ色強いサマーチューン。実売数は8位でしたが、ラジオオンエア数23位、PCによるCD読取数49位、Twitterによるつぶやき数60位と伸び悩み、結果この位置に。オリコンでは初登場7位。初動売上2万4千枚は前作「いつか」の3万1千枚(2位)よりダウン。

今週の初登場は以上ですが、今週は1曲、返り咲き曲がありました。それが4位にランクアップしたRADWIMPS「前前前世」。アニメ「君の名は。」の主題歌。4月16日付チャートで6位にランクインしましたが、それ以来の返り咲き。8月にリリースされるアルバム「君の名は。」からの先行配信がリリースされ、その影響で再びベスト10に戻ってきました。4月のランクインもTwitterによるつぶやき数が1位を獲得した影響なのですが、今週付チャートでもTwitterによるつぶやき数1位を記録。これに実売数4位という記録が加わり、見事ベスト10ヒットとなりました。

今週のチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年8月 2日 (火)

2016年上半期 邦楽ベスト5

昨日に引き続き私的ベストアルバム。本日は邦楽編です。

5位 THE LAST/スガシカオ

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オフィスオーガスタを離れインディーズとして活動し、このほどSPEEDSTAR RECORDSと契約しメジャー復帰したスガシカオの待望の新作。インディーズの作品はメジャーデビュー時を思い起こさせる「変態」ちっくな独特のファンクサウンドがさく裂していましたが、本作はそんなインディーズ時代と地続きになるような作品。独自色を強く感じ、彼の本当にやりたいことをやっているなぁ、と感じさせるようなアルバムになっていました。これからの活動が実に楽しみになってくるような傑作でした。

4位 Valentine/ACO

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2年ぶりとなるACOのニューアルバムは豪華メンバーが参加した作品。アルバム全体が3部構成にわかれた作品となっているのですが、へヴィーなバンドサウンド、ストリングスなどを取り入れた美しいサウンド、そしてポップな曲とACOの魅力がそれぞれにつまった作品になっています。デビュー20年目を迎えた今なお意欲的かつ挑戦的な活動を感じられる傑作に仕上がっていました。

3位 不良品/氣志團

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正直氣志團ってキャラクター的にはおもしろいと思っていたのですが一方音楽的には80年代のバンドブームそのままのベタなビートポップでさほど高くは評価していなかったのですが、本作はこれが全く予想外の傑作に仕上がっていました。メンバーそれぞれのキャラクターを上手く反映させたバラエティーあふれる楽曲にEDMやマージービート、ハードコアまで取り入れた幅広い音楽性。ミュージカルを意識したようなアルバム構成も素晴らしいし、最後にはきちんと聴かせる楽曲を持ってきて真面目な側面も見せています。ミュージシャン氣志團の実力を再認識させられた傑作でした。

2位 幸福/岡村靖幸

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一時期はもう聴けないんじゃないかとも思われた岡村靖幸の新作。なんと12年ぶりとなる新作となったのですが、これがブランクを全く感じさせない傑作に仕上がっていました。岡村ちゃんの全盛期である90年代を彷彿とする楽曲がある一方で2010年代の今ならではの作品もあり、過去と今をしっかりとつないでいるアルバムになっています。50歳をすぎて脂がのりまくっている彼。もう間違いは犯さないで欲しいなぁ。これからの活動も期待できそうです。

1位 UMA/水曜日のカンパネラ

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昨年リリースされた「ジパング」も私的ベストアルバム1位でしたが、続く本作も上半期1位。まさかのメジャーデビュー作となった本作ですが、メジャーになったからといって丸くなるどころかむしろ前作よりもエッジが尖ってきました。なによりもケンモチヒデフミのつくるトラックがメチャクチャカッコいい傑作。コムアイのユーモラスなラップが少し後ろに下がってしまったのは残念なのですが、それを補って余りあるバギバギのエッジが効いたエレクトロトラックがアルバム全体を貫かれています。いままで以上に攻めの姿勢を強く感じる傑作でした。

そんな訳で個人的に今、最もはまっているミュージシャンの一組である水曜日のカンパネラが上期1位獲得。まさかの私的ベストアルバム2年連続1位もあるか?

ただこの上半期、洋楽と同様、かなりの傑作揃いとなりました。他のベスト盤候補は

青の光景/秦基博
女の46分/チャラン・ポ・ランタン
BABEL,BABEL/GRAPEVINE
6×9=53/KAN
SPARK/上原ひろみ THE PROJECT
southview/MONKEY MAJIK
帰ってきた街のSOS! 二村定一コレクション1926-1934/二村定一
BLACKBERRY JAM/NONA REEVES
PROUD/清水翔太

とかなりの数になっています。さてそんな上期ベスト5をあらためて並べると

1位 UMA/水曜日のカンパネラ
2位 幸福/岡村靖幸
3位 不良品/氣志團
4位 Valentine/ACO
5位 THE LAST/スガシカオ

このうち1位から4位については順位含めてほぼ即決。頭ひとつ間違いなく出ていた傑作だったと思います。残る1枚については迷ったのですが・・・結局この結果に。下期もこの流れが続いてさらなる傑作がリリースされることを期待したいところです。

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期

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2016年8月 1日 (月)

2016年上半期 洋楽ベスト3

毎年恒例の上半期私的ベストアルバムの紹介。まずは洋楽編です。

3位 I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it/The 1975

聴いた当時の感想はこちら

邦題「君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。」。強烈に長いタイトルもインパクトながらも、最近の洋楽としては珍しい邦題もまたインパクト。前作のロック寄りスタンスからファンク、ブラックミュージック寄りスタンスに変わった本作ですが、基本的に80年代を彷彿とさせるようなポップなメロディーラインは健在。音楽性の幅広さとメロディーセンスの良さをあらためて感じさせました。前作から一段の成長を感じさせる傑作でした。

2位 A MOON SHAPED POOL/RADIOHEAD

聴いた当時の感想はこちら

突如ダウンロード作品としてリリースされたRADIOHEADの新作。今回もナイジェル・ゴドリッチによるプロデュースワークが魅力的な作品なのですが、アルバム全体としてまず感じるのは捉えどころのなさ。毎回の彼らの作品に感じるのような奇抜な作風はありません。ただ一方で美しいメロディーラインが印象に残りつつ、ストリングスを主軸としたアレンジも美しさを感じます。ロック色は薄いのですが、1曲1曲が繊細な作品に仕上げており、聴きどころも多く、2度3度聴くうちにどんどんとはまっていくような傑作でした。

1位 Lemonade/Beyonce

聴いた当時の感想はこちら

間違いなく今年を代表する問題作であり大傑作。昔ながらもソウルから今風のエレクトロ、ロック、HIP HOPまで意欲的に取り込んだ幅広い音楽性もさながら、夫Jay-Zの浮気ネタに端を発しつつ、アメリカ社会の中で最もマイノリティーであるアフリカン・アメリカンの女性問題という社会派ネタまで昇華させたテーマ性が実に見事。さらにビジュアルアルバムという位置づけで映像作品もついてくるのですが、このテーマ性をダイレクトに表現しており強い印象に残ります。まだ上半期ですがおそらく今年、これを上回る傑作は出てこないんじゃないかな?そう感じてしまうような大傑作でした。

今年上半期についてはかなり豊作となった傑作揃いの半年でした。特に1位に関しては年間ベスト1確定か?とすら感じさせるような傑作アルバム。そのテーマ性も含めて実にインパクトある作品だったと思います。

他にベスト盤候補として・・・

Chaosmosis/primal scream
Weezer/Weezer
The Life Of Pablo/Kanye West
We Are King/KING
Coloring Book/Chance The Rapper

あたりでしょうか。ただこのうちベスト3の3枚については順位含めてほぼ即決。それだけずば抜けていた傑作アルバムだったと思います。

あらためてベスト3を並べると

1位 Lemonade/Beyonce
2位 A MOON SHAPED POOL/RADIOHEAD
3位 I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it/The 1975

下期についてもこの勢いが続き、さらなる名盤が登場してくることを期待したいところです。


ちなみに過去の洋楽ベストアルバムは・・・

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期

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