脱力ガールズロック
Title:Leave Me Alone
Musician:HiNDS
今年、最も注目を集めているバンドのひとつHiNDS。スペイン・マドリードを拠点に活躍している女性4人組のガールズバンド。2014年に発表したデモ音源が話題となった後、2015年のワールドツアーも大きな評価を得て、そしてついに今年に入り初となるアルバムがリリースされました。
彼女たちの奏でる楽曲はローファイのガレージサウンド。カルロッタ・コシアルスとアナ・ぺロタのふたりのツインボーカルにシンプルでかつ粗さも感じられるギターロックサウンドが特徴的。HiNDSを紹介しているサイトでは似ているタイプのバンドとしてMac DeMarcoがあげられていましたが、個人的にはボーカルのカルロッタ・コシアルスが好きなミュージシャンとして名前をあげているVelvet Undergroundとの類似性も強く感じます。
またタイプ的にはバンドサウンドをゴリゴリと押し出す感じではなく、ポップなメロディーラインが前に出ており、いい意味で聴きやすさを感じます。例えば「Fat Calmed Kiddos」などはローファイなガレージサウンドにけだるさも感じるボーカルで、HiNDSのイメージを体現化しているような楽曲なのですが、ツインボーカルがユニゾンで奏でるメロディーラインにはポップスさとキュートさを感じます。またポップスさといえば「San Diego」。こちらもガレージサウンドにユニゾンのボーカルが印象に残るのですが、飛び跳ねるようなリズムが軽快な明るいポップチューンに仕上げていますし、また2014年にデモ音源をリリースして話題となった「Bamboo」などはちょっと60年代のガールズポップ的な雰囲気を感じられるキュートなポップチューンとなっています。
さらに彼女たちの楽曲の特徴として、上にも書いていますがユニゾンのツインボーカルという点があげられます。そこで彼女たちの曲を聴いて思い出すのがPUFFY。脱力感のある楽曲にユニゾンのツインボーカルという側面で共通点を感じます。また、同じく女性ボーカルでローファイなガレージロックという観点からは少年ナイフとの共通項も感じます。そういう意味でも日本人へのなじみやすさを感じるバンドでもありました。
リリースが1月だったのに対して国内盤リリースが3月とちょっと遅れてしまったのですが、日本でも十分売れそうなバンドですし、なによりキュートさも感じるボーカルやメロディーラインは幅広く受け入れられそうな素地を持ったバンドだと思います。この手のバンドはサマソニあたりが真っ先に呼びそうなのですが、今年のサマソニには呼ばれていない模様・・・先物買いが好きなロックファンは間違いなく要チェックの1枚です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
SATURNS PATTERN/Paul Weller
御大の約3年ぶりとなる新作。そのいい意味でベテランのキャリアを彷彿とさせないような若々しいサウンドが毎回魅力的ですが、今回も現役感あふれる若々しさを感じます。今回は比較的ストレートなロックを基調としたへヴィーなサウンドが目立つ作品。そういう意味でも彼の「若さ」がより強調されているように感じました。
評価:★★★★
Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
Sonik Kicks
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