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2016年7月24日 (日)

安定感の5枚目

Title:Vキシ
Musician:レキシ

前作、本作と連続でベスト10ヒットを記録し、すっかりメジャーミュージシャンの仲間入りを果たした池田貴史のソロプロジェクト、レキシ。デビュー作がリリースされた時は、インパクト重視の一発ギャグ的な企画モノというイメージがあったのですが、その後もまさかに第2弾、第3弾とリリースを続け、気が付けば5枚目のオリジナルアルバムとなる本作。すっかりレキシとしての活動も定着してきました。

そんなレキシとしての作風も、前作から本作にかけてかなり安定してきた感じがします。デビュー当初はより強かったファンク的な要素が後退し、変わりに楽曲のバリエーションが増し、インパクトあるポップな作品が増えたような印象を受けます。例えば本作にしてもニューオリンズ風で軽快な「古今 to 新古今」や歌謡ロックテイストの「SHIKIBU」、森の石松さんこと松たか子がボーカルに加わり感情たっぷりに歌い上げるポップナンバー「最後の将軍」など、1曲1曲が別々のスタイルでリスナーを楽しませてくれるバラエティーに富んだ構成となっています。

豪華なゲストはもちろん本作でも健在。また本作ではむしろゲストミュージシャンの音楽性を取り込んだ楽曲も目立ちました。一番顕著なのがネコカミノカマタリことキュウソネコカミが参加した「KMTR645」。楽曲的にはアレンジふくめてまんまネコカミなパンクロックになっています。ハッピー八兵衛ことASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が参加している「やぶさめの馬」もアジカンらしい太いサウンドのギターロックに仕上がっています。このゲストの音楽性も積極的に取り入れているあたりはレキシとして方向性が定まり、安定感が出てきたという証拠なのではないでしょうか。

歌詞の方も日本史ネタを上手く取り込むスタイルも板についてきています。デビュー当初のような日本史の学術的知識も取り込んだような「知らず知らずに日本史の知識が身につく」ような楽曲は残念ながらほとんどなくなってしまいましたが、ネタの選び方と曲への組み込み方にも安定感を覚えます。ここらへん、既に職人技の域かも(笑)。

日本史をさほど詳しくなくても笑えるネタも多いし(とはいえ、中学レベルの日本史の知識は欲しいところですが)、なにより日本史をネタにしながらも堅苦しくなく難しいこと抜きで楽しめるポップソングに仕上げている点は見事。日本史ネタという同一コンセプトながらも、5枚目になってまだまだ「マンネリ感」もなく、歌詞にしろサウンドにしろこれだけのバリエーションを取り込んでくるあたりにもすばらしさを感じます。

まさに「安定感の5枚目」というにふさわしい、いい意味でのレキシのひとつの完成形を感じさせるとともに、これからの活動を見据えることが出来るアルバムになっていたと思います。これからもまだまだユニークで楽しい傑作が聴けそうです。

評価:★★★★★

レキシ 過去の作品
レキツ
レキミ
レシキ

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