いつも通り!
Title:チラノザウルス四畳半
Musician:ギターウルフ
3年ぶりとなるギターウルフの新作。このアルバムを聴くためにプレイボタンを押して、まず感じるのが音の悪さでしょう。ハイレゾ音源なる言葉が当たり前に使われるようになった現在、割れてしまってさえいるこの音の悪さはある意味衝撃的ですらあります。もちろん、彼らにとってこの音の悪さは意図したところ。この音の悪さゆえに逆に凶暴的ともいえるギターのサウンドが耳をつんざくアルバムに仕上がっています。今回のアルバム、初回限定盤ではなんとカセットテープが同封されているのですが、あえて音質を悪くすることにより音の迫力を増そうとする彼らの意図を強く感じます。
ギターウルフといえばご存じのように耳をつんざくように最高レベルまで音量をあげたギターサウンドをガンガン鳴らしつつ、シンプルなガレージロックを奏でる3ピースバンド。また歌詞についても意味よりもインパクトを重視した歌詞でこれでもかというほどハイテンションのサウンドを展開していくバンド。このスタイルは基本的にデビュー当初から全く変わりません。
今回の作品ももちろんそのスタイルは全く変わっていません。タイトルチューンの「チラノザウルス四畳半」は若干ロックンロールの色合いが強かったり、「バミューダの女王」ではへヴィーなギターリフを入れてきたりと若干曲によってバリエーションがあったりするのですが、基本的な路線はシンプルなガレージロックから大きく変わっていません。
歌詞にしても意味よりもインパクトを重視した内容という点も変わらず。「アランドロンの逆襲」やら「忍者のシーズン」やら、とにかく一度聴いたらタイトルを忘れなさそう。「ソ連のヒロシ」なんて曲も「ヒロシはいきなり ソ連に逃げた」なんて歌詞が飛び出して、いったいいつの時代の曲だよ!なんて感じてしまったりして。
ただ一方で、タイトルチューンでもある「チラノザウルス四畳半」などはタイトルだけでもインパクト十分な歌詞なのですが
「チラノザウルス
四畳半に住む
チラノザウルス
四畳半に住む
この屋根を、いつ、ぶち破ろうか、考えてるところさ」
(「チラノザウルス四畳半」より 作詞 ギターウルフ)
と、世の中で埋もれながらもいつか世間でブレイクすることを夢見ている人たちをテーマとして扱っており、なにげにインパクトだけの歌詞ではない点が興味深かったりします。
そんな聴きどころもありつつも、アルバム全体としては難しいこと抜きにしてギターの爆音に身をゆだねる作品。まあ変わり映えしないといえば変わり映えしないのですが、いい意味で「大いなるマンネリ」な作品だと思います。ロックのカッコよさを体現化しているという点は間違いありません。まだまだ彼らの勢いは止まらなさそうです。
評価:★★★★
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