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2016年7月12日 (火)

20年全く変わらないサウンド

Title:2020 -T.M.Revolution ALL TIME BEST-
Musician:T.M.Revolution

今回紹介するのはいつもここで紹介しているようなミュージシャンからするとちょっと意外な感じのセレクトかもしれません。デビュー20周年を迎えるT.M.Revolutionのオールタイムベスト。最初期の作品については聴いていたこともあり、またベスト10入りしてくるようなシングルについては一応はチェックしていたのですが、彼の作品をまとめて聴くのはこれがはじめてとなります。

さて、T.M.Revolutionといえば作曲及び編曲は一貫して浅倉大介が手掛けています。それでひとつ強く思うのはデビュー時から今に至るため楽曲が一貫しておりほとんど変化がない、という点。もともと浅倉大介といえばTM NETWORKのサポートメンバーとしてデビューしており、そのためTM NETWORK時代の小室哲哉の影響を強く受けています。そしてその音楽性は一言で言ってしまえばTM初期の小室哲哉の亜流。もっとも私自身、TM NETWORKのファンであるため、浅倉大介の仕事ぶりが気になったというのが今回のベスト盤を聴いてみた大きな要因なのですが、その音楽性は予想以上に変化がありませんでした。

確かに若干変わっている部分もあるといえばあります。例えば「crosswise」をはじめ2000年代後半の曲あたりからはトランス色が濃くなりますし、「Summer Blizzard」あたりはビートも強く、この頃日本でも流行り出したEDMからの影響も感じます。ただ全体的にはスクエアな四つ打ちのデジタルビートにハードロック風なギターが軽く重なりロック調を醸し出したサウンドというスタイルはデビュー当初から今に至るまでほとんど変化はありません。

これは浅倉大介が強い影響を受けた小室哲哉と比べると実に対照的。小室哲哉といえばTM時代から小室系がブレイクした時代、さらにその後と、その時代時代の音楽性を積極的に取り入れていきました。ただその結果としてあれだけ一世を風靡した小室系人気は一気に下火に。一方大いなるマンネリ路線の浅倉大介の楽曲は20年経った今でもT.M.Revolution人気もあり支持を受けています。

もっともこれだけ音楽性を変えないというのは他のタイプの楽曲がつくれない・・・ということもあるのかもしれませんが、それ以上に逆に覚悟がいること。そしてまたこの良くも悪くも変化のない音楽性が20年に及ぶ長いT.M.Revolutionの人気を支えてきたのも事実でしょう。

また、今回あらためて彼の楽曲について思うのは、実にJ-POPらしいJ-POPだな、ということでした。上にも書いたスクエアなリズムパターンやギターサウンドもそうなのですが、なにげに歌謡曲テイストが強いメロディーラインやらベタに盛り上がるサビやらムダにエフェクトを入れて分厚くなったサウンドやら、まさに売れ線J-POPの典型といった様相となっています。

そしてそれは同時にアニソンとの親和性の高さを感じました。実際、彼の楽曲はガンダムの主題歌となったりしてアニメソングも多く歌っているのですが、彼の楽曲の持つベタなダイナミックさや歌謡曲的なマイナーコードを入れてくるメロディーラインは実にアニソン的。実際、人気声優の水樹奈々とのコラボ作を歌っており、本作でもそこで発表された2曲が収録しているのですが、どちらもT.M.Revolutionの曲としても水樹奈々の曲としても全く違和感ありません。

さてそんな彼のベスト盤。では普段あまり浅倉大介やらT.M.Revolutionやらを聴かないような方にお勧めできるのか、と言われると正直微妙です。一般的なイメージそのままですし。ただ愚直なまでに自分のスタイルを貫きとおす浅倉大介サウンドに関しては敬意を感じますし、なにげに聴きやすくインパクトあるサウンドは全3枚というボリュームでもあまりダレずに聴きとおすことが出来ました。そういう意味で下のような評価に。これからもこのサウンドで30年40年と続いていきそう・・・。

評価:★★★★

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