スピッツのサポートでも話題に
Title:CALL
Musician:スカート
スカートというWebで検索しずらいこのミュージシャンは澤部渡によるソロプロジェクト。なにげに本作は既に5枚目となるアルバムでデビュー作から6年がたっている中堅どころ。以前から名前は知っていたのですが、今回、はじめて音源を聴いてみました。
さて今回、スカートについての感想を書くにあたって澤部渡のことをちょっと調べてみたいのですが、どうも彼、ミュージックステーションに出演したスピッツのサポートとして登場してちょっとした話題になったようですね。彼自身、他にも川本真琴やyes,mama ok?のサポートをつとめているみたいでそういうサポートミュージシャンとしての側面も持っている方のようです。
ただそんな中スピッツというと、スカートの楽曲自体、非常にスピッツに近いものを感じます。例えばタイトルチューンの「CALL」。ミディアムテンポのメロディアスなメロディーライン自体もスピッツが好きなら壺に入りそうなのですが、ギターの使い方もスピッツに近いものを感じますし、歌い方自体、どこか草野マサムネからの影響も感じてしまいます。
基本的にはそんなスピッツが好きなら気に入りそうな、派手さはないものの心にそっと触れてくるようなメロディアスなギターロックが特徴的な彼。ジャンル的にはシティポップとなるのでしょうか。ただ、その「シティポップ」という枠組みの中、「スピッツ風」と一言ではとどまらない音楽性がひとつの魅力に感じました。
例えば「いい夜」で聴かせてくれるちょっとネチッとした歌い方は、ちょっとオリジナルラヴの田島貴男っぽさを感じますし、続く「暗礁」もオリジナルラヴっぽさを感じるソウルテイストのポップチューンに仕上げています。
かと思えば「アンダーカレント」のように、ピアノを入れてきてちょっと爽やかさを感じるシティポップにはキリンジっぽい雰囲気も感じました。「ひびよひばりよ」などもホーン入って爽快さを出しつつ、ちょっとひねったメロディーラインにはスピッツ+キリンジ÷2といった印象も・・・そういえばタイトル自体もどこかスピッツとキリンジを足して2で割ったような感じだな・・・。
そんな感じで、シティポップと一言で言ってもその中に垣間見れる様々な要素が魅力的。良質なポップソングが楽しめるアルバムと言えるでしょう。ただその一方、このアルバムの説明で様々な既存のミュージシャンを出してきたことからもわかるように、目新しさという意味で言えば、スカートならではの個性あふれる尖ったサウンドという要素はちょっと薄いかも。どこかで聴いたような・・・という既聴感がつきまとってしまいます。もっとも、それがまた彼の楽曲を安心して聴ける要素ではあったりもするのですが。
もっとも外連味のない良質なポップソングが楽しめるという意味では幅広い層にもお勧めできそうな1枚。上にも名前をあげたスピッツやオリジナルラヴ、キリンジのファンなら楽しめるアルバムだと思います。派手さはないけどもどこか心に残るメロディーが魅力的な作品でした。
評価:★★★★
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