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2016年6月10日 (金)

レミオロメンの藤巻亮太ではなく

Title:日日是好日
Musician:藤巻亮太

現在活動休止中のレミオロメンのフロントマンでメインライターである藤巻亮太によるソロアルバム。フルアルバムとしては「オオカミ青年」に続く約3年半ぶり2作目。ただその間にミニアルバム「旅立ちの日」がリリースされておりその前作からはわずか10ヶ月というインターバルでのリリースとなりました。「オオカミ青年」から「旅立ちの日」は2年半ものスパンをあけてかつミニアルバムというリリースペースが気になっていたのですが、今回は比較的短いスパンでのリリースで、かつフルアルバムでのリリース。ミュージシャンとしての勢いが戻って来た、といった感じでしょうか。

さてそんな彼のソロアルバムですが、楽曲的には前作「旅立ちの日」と同じような方向性を感じます。比較的シンプルでメロディーラインをしっかりと聴かせるような曲がメイン。シンプルなメロディーラインという意味ではレミオロメンの方向性を引き継いでいるような感じですが、一方でバンドサウンドにピアノやストリングスの音を積極的に取り入れており、音を分厚くする傾向にあり、素朴な雰囲気だった初期レミオロメンとは方向性を異なる音楽性になっています。

歌詞にしてもシンプルで前向きな歌詞がメイン。

「My Revolution 光の方へ 何度だって歩き出せる
七転び八起き信じてるのさ」

(「My Revolution」より 作詞 藤巻亮太)

なんて歌う「My Revolution」など典型例ですが、そもそもタイトルチューンの「日日是好日」にしても思いっきり明るさと前向きさを感じることが出来ます。彼自身、前作から1年弱で新作を発表できる状況といい、この明るく前向きな言葉をアルバムタイトルにつけるところといい、かなり状況が良いことには間違いないでしょう。

ただ今回のアルバムでひとつ大きく感じたことがあります。それは既に彼自身、ソロでの活動をメインの活動と位置付けているんだな、ということです。前作「旅立ちの日」に収録されていた「名もなき道」ではソロとしての決意を感じさせる曲でしたが、今回のアルバムはいわば「レミオロメンの藤巻亮太のソロアルバム」ではなくレミオロメンという名前を背負わない「ミュージシャン藤巻亮太のアルバム」になっているように感じました。

そう感じる理由としてはスケール感を感じる楽曲や、十分ヒットポテンシャルのあるインパクトある楽曲が並んでおり、ソロアルバムでよくありがちな自由度の高い実験的な部分もある作品というよりは、あくまでもミュージシャンとして活躍することを見据えた作品になっているという点。また、楽曲的にレミオロメンのイメージと被る部分もあり、レミオロメンからのソロであることをあまり意識していないように感じる作品が多い点もその理由でした。

それだけにインパクトある内容なのですが、その反面、レミオロメンとしての活動はおそらく今後当分は復活しないんだな・・・と感じてしまうような作品。もっとも、レミオロメンの活動は最後行き詰っているようにも感じただけに仕方ないのかもしれませんが・・・ちょっと残念にも感じました。

全体的には藤巻亮太のメロディーセンスを発揮した良質なポップスアルバムといった印象。ただ下手にスケール感を入れたり、音を分厚くしたりした結果、良くも悪くもJ-POPなアルバムといった感じがします。レミオロメンが好きなら十分楽しめる反面、初期レミオロメンの雰囲気を追い求めると物足りなさを感じてしまうかも。ただ今後はやはりこの方向性を続けていくのかなぁ。

評価:★★★★

藤巻亮太 過去の作品
オオカミ青年
旅立ちの日


ほかに聴いたアルバム

DANCEABLE/夜の本気ダンス

最近、話題の若手バンドの新作ということで聴いてみたのですが・・・ごめん、全然面白くないや。確かに名前の通り、踊れる4つ打ちのロックナンバーがメインなのですが、リズムパターンはどれも似通っており、かつ、ダンスミュージックとして突き抜けたトランシーなサウンドを聴かせるわけでもなし、TRICERATOPSのような昔ながらのロックンロールのような空気を出しているわけでもなし、非常に中途半端。よくありがちなオルタナ系ギターロックの音で、なんとなく4つ打ちにしてみました、的な感じで個性はほとんど感じません。正直なところ完全に期待はずれでした。

評価:★★★

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