美しいメロディーとボーカルが耳を惹く
Title:The Colour In Anything
Musician:JAMES BLAKE
5月6日に突如配信でリリースされ話題となったJAMES BLAKEの3枚目となるアルバム。その後、CDでもリリースされたようですが・・・RADIOHEADやBeyonceも同様の形態で突如アルバムをリリースしており、こういうタイプのリリース、最近多いですよね・・・。
デビューアルバムとなった前々作「JAMES BLAKE」ではダブステップを全面的に取り入れた曲調が特徴的だった一方、2作目「OVERGROWN」はメロディーを前面に押し出した「歌モノ」なアルバムに仕上がっていました。で、今回のアルバムに関してはどちらかというと「OVERGROWN」に続くアルバムといった感じでしょうか。ファルセットを積極的に取り入れた美しい歌声を全面的に聴かせるアルバムになっています。前作では「Bon Iverに似ているなぁ」なんて書いたのですが、今回の作品、「I Need A Forest Fire」ではそのBon Iverが参加していたりして話題となっています。
アルバムは全編、シンプルで静かなサウンドを主体としつつ、美しいメロウなメロディーラインを聴かせるような楽曲がメイン。特に「F.O.R.E.V.E.R」やタイトル曲「The Colour in Anything」などピアノのみをバックに彼がその美しい歌声で歌いあげる楽曲は聴き入るものがあります。基本的には正直、シンプルなサウンドで同じようなタイプの曲調が多いのですが、エレクトロ主体のサウンドの中に、上で書いたようなピアノを取り入れたアコースティックな雰囲気の曲を入れてきたり、「Waves Know Shores」のような静かなホーンセッションを入れてきたりとサウンド的にはそれなりのバリエーションを入れてきています。
また今回のアルバムでは「Timeless」や「Put That Away and Talk to Me」のようなデビューアルバムを彷彿とさせるようなダブテイストのサウンドも要所要所にのぞかせており、それも含めて前作の路線を踏襲しているとはいえサウンドのバリエーションはグッと増えた印象を受けます。前作ではちょっとおとなしくまとまってしまったかなといった感があるのですが、今回のアルバムでは静かなサウンドでメロディーを聴かせるというスタイルはそのままながらに、デビュー作を思わせる刺激的な要素も増えたようにも感じました。
個人的にはデビュー作には及ばなかったものの、ちょっと物足りなさを感じた前作を十分上回る傑作だったと思います。ただ全17曲76分はちと長い・・・。その美しいメロディーラインに聴き入ってしまうとはいえ、やはり似たタイプの曲が多いだけに若干だれてしまう部分もなきにしもあらず。この点はマイナス要素だったと思います。もうちょっと曲目を絞ってほしかったな。それだけはちょっと残念でした。
評価:★★★★★
JAMES BLAKE 過去の作品
JAMES BLAKE
ENOUGH THUNDER
OVERGROWN
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