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2016年6月 4日 (土)

45年目でなお旺盛な創作意欲

Title:Records and Memories
Musician:鈴木慶一

先日、キャリア45周年を記念してオールタイムベストをリリースした鈴木慶一ですが、続いてニューアルバムがリリースされました。ここ最近、ソロアルバムでは曽我部恵一プロデュースによる「ヘイト船長」シリーズが続いていましたが今回は「SUZUKI白書」以来24年ぶりとなるセルフプロデュースのアルバムだそうです。

45年目の大ベテランの彼ですが、いまだに積極的な音楽活動を続けている彼。そんな彼の最新アルバムは現役感ある楽しいポップアルバムに仕上がっていました。

1曲目の「男は黙って・・・」は行進曲風。タイトルからしてビールのCMソングを意識したような感じの曲からスタート。続く「愛される事減ってきたんじゃない?ない」はタイトルからしてコミカルなのですが、楽曲もアコーディオンを入れつつコミカルに仕上げたポップソングになっています。「Sir Memoria Phonautograph邸」などはタイトルも奇妙ながらもちょっと不気味な雰囲気を醸し出すサイケなアレンジが耳を惹きます。ただそれでもどこかコミカルな明るさが感じられる楽しいポップスに仕上がっていますし、「バルク丸とリテール号」「LivingとはLoving」はどちらもメロディアスなポップソングなのですが、シンセのサウンドがキテレツなひねくれた音を奏でています。

そして終盤、「Untitle songs」は全10分にも及ぶ大作。ゆっくりとノイジーなギターサウンドからスタートしたかと思えば、途中からストリングスが入りスケール感を出しつつ、後半はミュージカル風にまとめあげるという、10分間で様々な顔をのぞかせるユニークな構成の楽曲になっています。そんな「実験的」な曲が入ったかと思えば最後の「My Ways」はメロウな作風でブルージーな色合いも感じるシンプルなポップソング。最後は比較的シンプルな楽曲で締めくくっています。

シンセ、ピアノ、ギター、ストリングス、ホーンセッションなどを用いてユニークなサウンドをつくりあげている本作。セルフプロデュースということもあって彼自身、好き勝手に自由に作ったアルバムという印象も受けます。ある意味、癖が強いアルバムではある反面、どの曲もしっかりポップなメロディーラインが流れているだけに、決してマニアックに陥ることなく幅広い層にアピールできるポップアルバムになっています。

サイケな作風に実験的なポップスということもあって、個人的にはちょっとThe Beatlesの「Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band」を思い起こさせるような部分もあったアルバム。いまなお衰えない鈴木慶一の創作意欲を感じさせます。ただ一方で最先端の音を積極的に取り入れているか、と言われると若干微妙で、正直、彼の年齢なりのものを感じる部分も否定できません。それはベテランだからマンネリに陥っている、という意味ではなく、音の使い方、楽曲に対するセンスなどに64歳という年齢を感じる部分があるということ。どんな部分が、と言われると具体的には説明しずらいのですが・・・曽我部恵一プロデュースの前作に感じられた若さが今回のアルバムには感じられませんでした。

まあ、そういう意味では「時代の先端」といった感じではなく、マイペースといった感じの作品なのですが、それでもユニークなアレンジがとても楽しい聴き応えあるポップアルバムに仕上がっていました。これからもまだまだ次々と作品を世に送り出してくれそうな予感もする、彼の旺盛な創作意欲を感じられるアルバムでした。

評価:★★★★★

鈴木慶一 過去の作品
シーシック・セイラーズ登場!
ヘイト船長回顧録
謀らずも朝夕45年


ほかに聴いたアルバム

あにしんぼう/スチャダラパー

全6曲入りのミニアルバム。軽快でファンキーなトラックに、リズミカルだけどしっかりと言葉を刻んでいるラップがのるいつものスチャダラパーのスタイル。最後の「再見Adios」などは昭和歌謡曲が織り込まれている歌詞がユニーク。前作「1212」もそうでしたが、こういう「昭和」な色をあえて入れてくるのがここ最近の彼らの傾向か?

評価:★★★★

スチャダラパー 過去の作品
THE BEST OF スチャダラパー 1990~2010
11
CAN YOU COLLABORATE?~best collaboration songs&music clips~
1212

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