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2016年6月11日 (土)

ジャジーに大人な雰囲気で

Title:Toko Furuuchi with 10 legends
Musician:古内東子

結婚・出産のため長らく事実上の活動休止状態だった古内東子。久しぶりとなる新作はカバーアルバムとなりました。このカバーアルバム、いわゆるJ-POPの名曲をかっばーしたアルバムなのですが、ユニークなのが「with 10 legends」と名付けられたタイトルの通り、カバーの原曲を歌うミュージシャンたちとのドゥオというスタイルになっていること。そういう意味では純粋なカバーアルバムとはちょっと異なった企画盤になっています。

選曲されているのは基本的に80年代以降のJ-POPがメイン。奥田民生の「愛のために」や斉藤和義「Don’t cry baby」などのロック系が目立つほか、鈴木聖美 with Rats&Starの「ロンリー・チャップリン」を鈴木雅之とのデゥオで歌ったり、ちょっと異色なところでは前川清の「花の時・愛の時」のカバーなんかも。また、以前ベスト盤に収録されていた平井堅とのデゥオ「さよならレストラン」や槇原敬之とのデゥオ「誰より好きなのに」も収録されています。

アレンジはジャジーで落ち着いた大人な雰囲気に仕上げています。全面的にホーンセッションやピアノ、ストリングスなどといったアンプラグドな音色を奏でつつ、その歌声を聴かせるスタイル。「ロンリー・チャップリン」などは原曲との違いを出すためか、ラテン風なアレンジになっていたのも印象的。ただその中で一番印象的だったのが奥田民生とのデゥオ「愛のために」。原曲のイメージとは大きく異なるジャジーなアレンジに、しんみりと落ち着いた歌声を聴かせる古内東子に対して、どこかとぼけた雰囲気を醸し出す奥田民生のボーカルとの対比がユニーク。ある種のアンマッチさがユニークなカバーに仕上げいています。

ただ、このカバーアルバム全体でちょっと気になったのは、奥田民生にしろ斉藤和義にしろ鈴木雅之にしろ、非常に濃いボーカルに対して古内東子のボーカルが比較的淡白だということ。確かに彼女のオリジナル曲では彼女のボーカルもひとつの魅力になっているのですが、今回のカバーアルバムのように濃いボーカリストたちとの対比となると、若干パンチ不足を感じてしまいました。ジャジーなアレンジに彼女のボーカルもマッチするのですが・・・インパクトある他の参加ミュージシャンの影になっていた部分も否めませんでした。

あと・・・これはアルバムの内容とは直接関係ないのですが気になったのがアルバムタイトル。今回参加したミュージシャンたちを「レジェンド」と称しているのですが、正直、レジェンドと呼べるほどの大物か??というのが率直な感想。いや、個人的に奥田民生も斉藤和義も平井堅も槇原敬之も大好きなミュージシャンですが、レジェンドと呼べるほどかは疑問。TEEに至っては?が10個くらいついてしまいます。

というか、この「レジェンド」という言葉に限らず、最近、言葉が軽くなりすぎていません?個人的に大キライなのは、大絶賛する時によく使われる「神」という言葉。AKB48近辺で乱用されていますが、軽々しく使っていい言葉じゃないと思うんですけど。なんか最近、社会全般的に「言葉」が軽くなってしまっているような気がするんだよなぁ。今回のアルバムタイトルに関してもかな~り違和感があります。

ま、アルバムタイトルについては内容とは直接関係のないお話。アルバムの内容としては上に書いた通り気になる部分はあるのですが、ここに参加しているミュージシャンのファンならとりあえずは聴いて損のない内容かと思います。なによりジャジーな雰囲気の良質なポップスが最近のJ-POPに物足りなさを感じるようなアラフォー世代以上にとっても惹かれる内容になっていた1枚でした。

評価:★★★★

古内東子 過去の作品
IN LOVE AGAIN
The Singles Sony Music Years 1993~2002
Purple

透明
夢の続き
and then...~20th anniversary BEST~

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