ストーンズの原点回帰
年内のニューアルバムリリースにむけて楽曲制作中というニュースが大きな話題となったTHE ROLLING STONES。主だったメンバーが既に70歳を超えていながらも積極的な活動が目立つ彼らですが、今回、新たに映像作品がリリースされて話題となっています。
それが本作、「TOTALLY STRIPPED」。「Stripped」とは、94年から95年にかけて日本のスタジオでのセッションやパリやアムステルダム、ロンドン、リスボンで行われたアコースティックセットでのライブの模様をおさめたライブアルバム。もともとこのプロジェクトの試みを追ったテレビのドキュメンタリー番組が制作されたのですが、本作はそのドキュメンタリー番組に映像を追加、再編集した作品だそうです。
この「Stripped」というアルバム、決してストーンズを代表するようなライブアルバム、という訳ではなく実は私も今回の作品がリリースされるまで聴いたことありませんでした。それなので今回、本作を見るにあたって「Stripped」を購入し、聴いてみました。
映像作品の方は、その「Stripped」収録作品も含めたライブ映像とメンバーのインタビューがほぼ交互に収録されています。「Stripped」のプロジェクトで行われたライブは、いずれも非常に小さいライブ会場でのライブだったようで、そのチケット獲得を巡る競争の模様もチラッとドキュメンタリーの中では触れられています。また「Stripped」のライブについては多くのメンバーがストーンズにとっても原点回帰と語っていて、キースも「俺たちはクラブバンドだ」と語っていたのが印象的。スタジアムバンドとなって久しい彼らにとって、狭い会場でのライブは昔を思い起こさせるものだったのかもしれません。
実際、間に挟まれるライブ音源は狭い会場でも全くものともしないイキイキとしたメンバーの姿が収録されています。インタビューでミックは「狭い会場は動けないことが難点だ」と言っていましたが、キースは「狭い会場でもミックにかなうやつはいない」と語っており、確かにライブ映像を見る限り、狭い会場でもミックのパフォーマンスは人を確実に惹きつけるものを感じます。
今回聴いたアルバム「Stripped」は聴きなれたストーンズのアルバムのアコースティックバージョンが収録されています。最初聴く前に、ストーンズといえばミックのボーカルと共に、あの独特のグルーヴ感あるキースのギターが大きな特徴なだけにアコースティックアレンジになるとどうなるんだろう、と思っていたのですが、アルバムを聴いてみるとアコースティックアレンジでもしっかりストーンズの曲になっていました。
この映像作品には初回限定盤としてライブCDがついてきています。こちらに収録されている曲は「Stripped」と重複を避けた選曲がなされていました。そのため、アコースティックな作品はあまり収録されておらず、このライブCDだけだとアコースティックセットというイメージはありません。ただ狭い会場でのライブなだけにスタジアムライブの音源とはまた異なる迫力が感じられます。全体的に引き締まったようなタイトな演奏といった感じでしょうか。スケール感とか派手さとかはありませんが、ストーンズの魅力が凝縮されたようなライブパフォーマンスを楽しむことが出来ました。
正直、「全盛期のパフォーマンス」ではありませんし、アコースティックセットなだけに派手さはありませんが、一方で円熟されたストーンズのパフォーマンスが実に魅力的な作品。「Stripped」が未聴でも十分楽しめる作品でした。
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