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2016年6月12日 (日)

32年ぶりのニューアルバム・・・・・・・??

Title:DEBUT AGAIN
Musician:大滝詠一

大きな話題となった大滝詠一の「ニューアルバム」。今回の作品は彼が他のミュージシャンへ提供した楽曲を自らのボーカルで歌ったバージョンをまとめたもの。多くは彼の逝去後の遺品整理の段階で見つかった作品だそうです。いわば企画盤的なセルフカバーアルバムなのですが、公式には「EACH TIME」以来32年ぶりのオリジナルアルバムという取り扱い。まあ、そういう取り扱いの方が広告的に威力を発揮するということなのでしょう。ここらへん、大人な事情も見え隠れしてしまうのですが。

ここらへんの音源が残されていた理由は不明ということですが一説には楽曲提供相手へのガイドボーカルだったのではないかと言われているそうです。実際、今回本作で収録されている曲に関しては基本的に原曲に忠実なアレンジ。ボーカルも比較的に淡々とした感じで大滝詠一としての提供曲とは違う解釈、というのはあまりありません。

それだけに逆に、奇をてらわないカバーを素直に楽しめる内容、という印象。また、そんな「ガイドボーカル」的な内容ながらも聴いているとちゃんと大滝詠一の楽曲になっていると感じました。それはアレンジやメロディーラインを含めて誰への提供曲でも、大滝詠一らしさ、というものが大きな理由のように感じます。

楽曲的には言うまでもありませんがナイアガラサウンド全開のポップチューンから「星空のサーカス」のようなドゥー・ワップチューン、「探偵物語」のような歌謡曲風な曲まで様々なタイプがありつつ、どの曲もポップソングの楽しさを体現化するかのようなキュートなポップチューンが並んでいます。他の人への提供曲のセルフカバーとはいえ、間違いなく大滝詠一の魅力がつまったアルバムだったと思います。

ただ、死後、本人の承諾をもちろん得ることなくリリースされたアルバム。楽曲のよってはデモ音源色も強く、生前にはとても発表の許可が出たとは思えません。加えて生前、彼自身、セルフカバーというスタイルには否定的だったようで、そういう意味ではミュージシャンが死んだあとによくリリースされがちな、本人の意思に沿った作品であるのか、かなり疑問に残るような内容ではあります。

実際、Amazonのレビューでもファンの複雑な心境を垣間見れるようなレビューもちらほら。ただ一方では「彼本人も理解してくれるはずだ」的な、若干勝手な(苦笑)論調も多く、まあファンなんてものは勝手なものだなぁ・・・なんてことも感じてしまいました。もっとも、全体的には肯定的な評価が多いみたいです。この手の死後にリリースされる企画盤は内容によってはファンにもそっぽを向かれるケースも少なくないだけに、そういう意味ではこのアルバムはリリースされた意義のあった作品、と言えるのかもしれません。

そんな訳で、大滝詠一の良質なポップソングが終始楽しめる傑作。熱心なファンではなくてももちろん楽しめる素敵なポップアルバムでした。

評価:★★★★★

大滝詠一 過去の作品
EACH TIME 30th Anniversary Edition
Best Always
NIAGARA MOON -40th Anniversary Edition-

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