ボーカリスト安藤裕子の実力
Title:頂き物
Musician:安藤裕子
約1年1ヶ月ぶりとなる安藤裕子のニューアルバムはなかなかユニークな企画盤的な内容。「頂き物」というタイトルからわかるように彼女と親交があるミュージシャンたちにより楽曲提供を受けた曲を収録したアルバム。数曲、彼女自身が作詞を手がけて最後の「アメリカンリバー」は彼女が作詞作曲をつとめているのですが、その他の曲に関しては、他のミュージシャンたちがすべて作詞作曲を手掛けています。
また楽曲の提供を受けたミュージシャンたちもなかなかユニーク。堀込泰行や世武裕子、Charaや小谷美紗子あたりは予想の範疇といった感じですし、TK from 凛として時雨や銀杏BOYZの峯田和伸も彼女とはジャンルはちょっと異なるものの、まあありうるかなといった人選ですが、スキマスイッチや大塚愛あたりは普段、安藤裕子のファン層とはあきらかに異なる感じでかなり意外に感じましたし、DJみそしるとMCごはんなんかも、彼女のあの個性的な曲をどうカバーするんだ??なんてことを思ってしまいました。
しかし出来上がったアルバムを聴いてみるときちんと安藤裕子のアルバムに仕上がっていました。特に興味深かったのはどの曲もパッと聴いただけだと、誰から提供してもらった曲であるのかわかりにくかった点。まあ、歌詞も含めて強烈な個性があって、かつそのまんまだったDJみそしるとMCごはんが提供した「霜降り紅白歌合戦」はすぐにわかりましたが(笑)。
例えばスキマスイッチの提供した「360°サラウンド 」なども、まあタイトルからしてそのまんまスキマスイッチなのですが、サビにむかって徐々に盛り上がっていく展開からサビ前に1音符置いてサビでは高音部のメロディーラインで盛り上がる構成などまんまスキマスイッチなのですが、安藤裕子が歌うときちんと安藤裕子の曲になっています。
今回の楽曲の中で一番安藤裕子のボーカルにあっていると思ったのがCharaが提供した「やさしいだけじゃ聴こえない」。こちらもネチッとした歌い方を要求するメロディーラインはいかにもCharaらしいのですが、このメロディーラインが安藤裕子のボーカルにもピッタリマッチ。なにげにCharaの曲との相性の良さを感じました。
峯田和伸が提供した「骨」も、フィルスペクターばりのポップソングながらもどこかノイズが混じる楽曲が峯田らしい楽曲。こちらも安藤裕子は見事歌いこなし、自分の曲としています。
そんな訳で、アルバムには様々なタイプの曲が並んでいるにも関わらず、アルバム全体としてはひとつの作品としてしっかりとまとまっていました。いつもはシンガーソングライターとしての活躍も見える安藤裕子ですが、歌手としての実力を強く感じることの出来るアルバムだったと思います。もちろん、参加しているミュージシャンのファンも是非ともチェックしてほしい傑作。逆に安藤裕子のファンは、これを機に、参加ミュージシャンの曲を聴いてみてもおもしろいかも。
評価:★★★★★
安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い
グッド・バイ
Acoustic Tempo Magic
あなたが寝てる間に
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2016年」カテゴリの記事
- ファンによる選曲がユニーク(2016.12.27)
- パンクなジャケット写真だけども(2016.12.24)
- バンドの一体感がさらに深化(2016.12.23)
- 初のフルアルバムがいきなりのヒット(2016.12.20)
- 10年の区切りのセルフカバー(2016.12.17)
コメント