恋愛至上主義バンドの3作目
Title:メケメケ
Musician:THEラブ人間
メジャーからインディーズに戻り、6人体制となったTHEラブ人間の、3枚目となるフルアルバム。THEラブ人間のアルバムは、メジャー1stの「恋に似ている」以来、基本的にすべてのアルバムを聴いてきました。「恋愛至上主義」を標榜している彼らは、楽曲についてはもちろんラブソングのみ。メロディーやアレンジも基本的に非常にシンプルな内容となっています。
ただそんな中でメジャー期の2作に関しては強いメッセージ性を感じられましたし、恋愛描写の切り取り方も非常にユニーク。それだけに一気に気になるバンドの一組となりました。しかしインディーに戻ってはじめて聴いた2枚のミニアルバムは正直なところ平凡なラブソング。最初、本当にあの「恋に似ている」「SONGS」を書いたバンドなのか?と疑ってしまったほど。悪いアルバムではないかもしれまえんが、メジャー期の2作と比べると1枚も2枚も見劣りがしてしまう内容でした。
今回の作品に関してももちろん「恋愛至上主義」という彼らのスタンスは変わらず、全編ラブソングとなっている作品。非常にシンプルな作風になっている一方、歌詞については恋愛の情景が浮かんでくるようなストーリー性の強い作品になっています。そんな歌詞の世界は片思いや失恋、別れた後の恋人の歌など、「うまくいっていない恋愛模様」がメイン。そんな恋愛模様を描きつつ、最後に来る「花嫁の翼」はタイトル通りのウェディングソング。最後は大団円で終わる構成になっており、この組み立て方にはなかなかの巧さを感じさせます。
ただ、歌詞の内容については「恋に似ている」や「SONGS」のようなメッセージ性も感じさせなければ、恋愛をユニークな切り口で描いている、という歌詞もあまりありません。あえていえばお笑いと恋愛模様を重ねた「コント」などはユニークだったと思うのですが・・・。決して悪い歌詞ではありません。むしろ十分に楽しめる内容でした。しかし、メジャー期の2作に比べると正直なところ物足りなさは否めませんでした。
サウンドについてはメンバーにバイオリン担当がいることもあって、ストリングスを全面的に取り入れた爽やかな雰囲気の曲調がメイン。「クリームソーダ」みたいなラウンジ風な作品でちょっと渋谷系っぽい雰囲気の作品もあったり、「気分を出してもう一度」や「FUSHIGI DANCE」のようなギターロック色の強い作品があったりと、基本的にはメロディーと歌詞を重視するシンプルなサウンドがメインなのですが、その中でも最後までリスナーを飽きさせない程度のバリエーションも感じさせます。
そんな訳で、シンプルなメロディーのシンプルなラブソングが楽しめる良作といった感じの本作。ただ、メジャー期の2枚に比べると、前回リリースした2枚のミニアルバムに比べるとよかったものの、物足りなさを感じてしまうのも事実。普通、インディーの頃の方がおもしろい作品をつくって、メジャーに進出すると無難になるというのが一般的なパターンなのですが、彼らの場合なぜか逆なんだよなぁ。次回作はもっと刺激的なラブソングも聴きたいところなのですが・・・。
評価:★★★★
THEラブ人間 過去の作品
恋に似ている
SONGS
きっとずっと彼女は友達
恋は全部まぼろし
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