« 今週は韓流 | トップページ | 毒舌OLのメジャー第2弾 »

2016年5月 6日 (金)

45年のキャリアを網羅

Title:謀らずも朝夕45年
Musician:鈴木慶一

日本語ロックの先駆的バンド、はちみつばいのメンバーとしてデビュー。その後、主にムーンライダーズとして活躍する傍ら、THE BEATNIKSやTHE SUZUKIなどといった数多くのユニットでも活動。さらには映画音楽にCMソング、さらにはアニメソングやゲーム音楽など幅広い音楽活動を続ける鈴木慶一。彼が音楽活動を開始45周年を記念して、その幅広い彼の活動のすべてを網羅し総括した、オールキャリアベストがリリースされました。

3枚組のアルバムとなっている本作は、Disc1、2は彼が活動いていたムーンライダーズやTHE BEATNIKS、はちみつぱいやソロ作などを集めたベスト盤。Disc3は彼が他のシンガーに楽曲提供をした曲を集めています。彼の幅広いキャリアを物語るフルボリュームの内容になっていました。

そのうちDisc1については、時代に寄り添った雰囲気の曲が並んでいます。ある意味、その時代の先端を行くような実験的、挑戦的な曲といった感じでしょうか。おもいっきり70年代の空気を感じるはちみつぱいの「塀の上で」から、ムーンライダーズの「欲望」はシンセの音に時代を感じてしまいます。挑戦的な曲も多いという意味でも、鈴木慶一のアーティスティックな側面を強く感じる内容だったと思います。

逆にDisc2は軽快なギターロックの秩父山バンド「未来のラブ・オペレーション」からはじまり、比較的シンプルなポップスが並んでいる印象を受けます。時代に寄り添ったDisc1は曲によっては正直、ちょっと古臭さを感じてしまう部分があったのに対して、こちらのDiscに収録されている曲は時代を超えた普遍的な魅力を感じました。それはやはりあくまでもポップなメロディーラインを主軸に置いた作品が並んでいるからでしょう。アーティスティックな部分を強く感じたDisc1に比べると、こちらはポップス職人としての鈴木慶一を強く感じる内容だったと思います。

そしてDisc3は他のシンガーへの提供した曲を並べた内容。CMソングとしてスタンダードナンバーとも言える(今でも「懐かしのCM」みたいなテレビ番組が行われた場合には必ずといっていいほど流される)斉藤哲夫の「今のキミはピカピカに光って」からはじまり、PANTA&HALや有頂天といったロックミュージシャンから杏里、野田幹子といった女性シンガー、さらには演歌歌手の細川たかしに、直近ではうどん兄弟という女性アイドルグループにまで楽曲を提供しています。

こちらの楽曲のバリエーションの豊富さもまた、鈴木慶一の職人技を感じます。ポップスからロック、St.Paul's Cathedinal Choirへ提供した「EIGHT MELODIES」は宗教音楽的な雰囲気を感じますし、原田知世の「さよならを言いに」ではレゲエの要素も感じます。さらには最後のうどん兄弟の「ママが歌うアイドルの歌」ではラップも取り入れたりします(ただこのラップはかなり癇に障るようなひどいラップで、本作の後味を悪くしているのですが・・・)。

そんな鈴木慶一の幅広い才能を感じられる本作。様々なミュージシャンや伴奏音楽への楽曲提供で見られるように基本的に鈴木慶一の個性をあまり表に出さないような職人的な作品も多いのですが、そんな中で共通項として感じたのは、どこかエキゾチックな雰囲気を感じさせる曲が多いな、ということでした。

ムーンライダーズとしての作品にもどこかトライバルな雰囲気を感じさせるリズムを入れてきたりもしているんどえすが、Disc3に収録されている曲でも南国風な杏里の「マウイ・ムーン」、エキゾチックな雰囲気の鈴木さえ子「ガールスカウト」など、どこか異国的な雰囲気を感じさせる曲が多く、それが彼の大きな魅力にも感じました。

ムーンライダーズも鈴木慶一の曲も、そんなに積極的に聴いてこなかった私ですが、このオールタイムベストで、あらためて彼の魅力を感じることが出来たと思います。鈴木慶一というミュージシャンの実力と多くのミュージシャンから慕われる理由が嫌というほどわかるベスト盤でした。

評価:★★★★★

鈴木慶一 過去の作品
シーシック・セイラーズ登場!
ヘイト船長回顧録


ほかに聴いたアルバム

5/80kidz

途中、ミニアルバムを挟みつつ、フルオリジナルアルバムとしては約1年ぶりとなる新譜。いかにもなロッキンエレクトロチューン「Five」からはじまり、メロディアスなメロディーラインを入れつつ、気持ちよいEDMナンバーが楽しめるという意味では80kidzへの期待へそのまま応えたような作品。目新しさみたいなものは薄かったのですが、難しいこと抜きで楽しめる作品でした。

評価:★★★★

80kidz 過去の作品
THIS IS MY SHIT
THIS IS MY WORKS
WEEKEND WARRIOR
TURBO TOWN
80:XX-01020304
FACE
Gone EP

|

« 今週は韓流 | トップページ | 毒舌OLのメジャー第2弾 »

アルバムレビュー(邦楽)2016年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 45年のキャリアを網羅:

« 今週は韓流 | トップページ | 毒舌OLのメジャー第2弾 »