デビュー10年目にして・・・
Title:southview
Musician:MONKEY MAJIK
在日カナダ人の兄弟2人と日本人2人からなる、洋邦混合バンドMONKEY MAJIK。2006年のデビュー後、10周年となる今年にリリースされた10枚目となるアルバムが本作。本作は「心躍らす」をテーマに、ダンスミュージックを主軸に据えたテーマ性あるアルバムに仕上げてきています。
MONKEY MAJIKについてはデビュー当初よりほぼ全てのアルバムを聴いてきました。「良質なポップソング」というイメージの強いバンドで、派手さはないもののグッドミュージックを書いているバンドという印象がある一方でインパクトという面ではちょっと薄く、特にここ最近のアルバムに関してはマンネリ気味では?という感想を抱いていました。
それだけに今回のアルバムに関してもさほど高い期待はしていなかったのですが・・・しかし聴いてみてビックリ。本作、MONKEY MAJIKというバンドのイメージはそのままながらも、非常に魅力的な傑作アルバムに仕上がっていました。
メジャーデビュー10年目、十分中堅の域に達している彼らがここに来てこれだけの傑作をリリースしてきたのが驚きなのですが、まずひとつ傑作だと感じられる大きな理由がいままでのアルバムと比べて洋楽テイストが強く出たアルバムだった、という点があげられると思います。
英語詞の作品も多く、また、今回はダンスミュージックをテーマとしているためダンサナブルでスタイリッシュな作風の曲がメイン。いままでの作品も洋楽テイストが強い反面、アルバム全体では悪い意味でのJ-POPらしさが出てしまっていて、どうも野暮ったさが目立ってましたが、今回の作品は野暮ったさをあまり感じることはありません。
今回のアルバムに関してもそういうJ-POPらしさを感じる曲はあります。例えば最後を飾る「The Mistakes I've Made」などはわかりやすいポップなメロディーラインにJ-POPっぽさを感じますし、「Splash」などはグループサウンドからの影響を感じさせるような、実に歌謡曲らしい作品になっているなど、MONKEY MAJIKらしさである「和風」の要素は強く感じます。
ただ一方でエレクトロサウンドを取り入れたディスコチューン「Delicious」や、同じく四つ打ちダンスチューン「Undercover」など、英語詞のダンスチューンに関してはかなり垢抜けた感があり、「J-POPらしい」という言葉に内包されている、悪い意味での野暮ったさは感じません。他にも「Breathe」も80年代的なにおいを感じるファンキーな、実に心地よいナンバーに仕上がっています。
今回のアルバム、おそらく洋楽っぽくあか抜けていると感じるのはリズム感の良さなんでしょうね。いままでの彼らのアルバムでももちろん、そのリズム感の良さを感じる側面もあったのですが、今回、ダンスミュージックを前面に取り入れたことにより、そんな彼らの良さが、より表に出てきたアルバムに仕上がっていたように感じます。
他にもレゲエの要素を取り込んだ「Utopia」や
「囚われている
姫を救え
山駆けて
海を渡れ
きのこ食べて
大きくなって
いくぞ決戦
跳び越せ
GAME OVER」
(「Gamer」より 作詞 Maynard/Blaise/TAX)
なんていう、あきらかに特定のゲームを彷彿とさせるような歌詞もユニークな「Gamer」なんて曲もあったりと、最初から最後まで聴きどころの多い作品に仕上がっています。
デビュー10年目にして(こう言うと失礼かもしれませんが)まさかの最高傑作!いや、申し訳ないけどもここまでの傑作がいまさら聴けるとは思ってもいませんでした。また、MONKEY MAJIKというバンドの実力を再認識したアルバムになっていました。一時期に比べると人気という面では若干落ちてきたのは否めない彼らですが・・・昔、聴いたことがある、という方も是非とも聴いてほしい傑作。これはこれからの活動も楽しみになってきます。
評価:★★★★★
MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE
DNA
Colour By Number
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コメント
マルーン5に通ずるようなグルーヴと軽快さが両立するサウンドが素晴らしかったですね。
僕的には何気に今年のベストアルバム候補です。
投稿: ひかりびっと | 2016年10月26日 (水) 18時28分
>ひかりぴっとさん
本当に、グルーヴ感と軽快さが両立していますね。このアルバム、私も年間ベストの候補になるくらいの傑作だと思います!
投稿: ゆういち | 2016年11月 1日 (火) 00時59分