素直なギターロックが魅力
Title:勇気も愛もないなんて
Musician:NICO Touches the Walls
途中、アコースティックアルバムやベスト盤のリリースはあったのですが、純然たる新譜としては約3年ぶりとなるNICO Touches the Walls6枚目のアルバム。正直なところ以前からミスチルの亜流的な「よくあるギターロックバンド」という彼ら。それなりにポップなメロディーは魅力的だったものの、プラスアルファがない、という印象を強く持っていました。
このミスチルとの類似性についてはベスト盤のレビューの時に書きました。低音のメロディーから徐々に上がっていき、サビでは一気に高音部で展開していく構成。今回のアルバムにもその要素は少なからずあります。
ただ、3年前にリリースされた前作「Shout to the Walls!」は、そんな枠組みの中でもメロディーに垢抜けた印象を受け、絶賛するような傑作とまではいかないものの、NICO Touches the Wallsというバンドの印象がグッと良くなった作品でした。また直近のアコースティックアルバム「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」も彼らの曲のメロディーラインの良さを素直に感じられる作品になっていました。
それに続く今回のアルバムに関しても、「Shout to the Walls!」の流れに続くような、NICO Touches the Wallsというバンドが一皮むけたように感じたアルバムになっていました。正直言ってしまえば本作に関してもいままでのニコの曲調が大きく変わったといった感じはありません。特にこれといって大きな特徴もないシンプルなギターロック。上にも書いた通り、あいかわらずミスチルとの類似性を感じる部分もありますし、個性的なバンドサウンドを奏でるわけでもありません。
しかし、個性的ではないかもしれませんがある意味全く奇をてらわないようなシンプルなバンドサウンドとメロディーが、結果として彼らの魅力となったのが本作。特に前作から感じられるようにメロディーラインが垢抜けてきてインパクトが出てきたのが一番大きな要素かもしれません。
例えば「ローハイド」などは、シンプルでサビの出だしなどいかにもミスチルっぽさを感じるものの、サビのメロディーの強いインパクトが印象的。「渦と渦」のように、それなりにへヴィネスさもあるバンドサウンドを入れてきたりするのも魅力的だったりします。
素直でシンプルなメロディーライン。Aメロ→Bメロからサビで盛り上がるといった、J-POP的なわかりやすい構成。目新しさはありませんが、難しいこと抜きにギターロックを楽しめるアルバムに仕上がっていました。デビューから6作目。ある意味、目新しいことをやりたがる時期でもあるのですが、この素直なギターロック路線は潔さも感じます。また、バンドとしての勢いも感じさせる本作。幅広い層にお勧めできそうな1枚です。
評価:★★★★★
NICO Touches the Walls 過去の作品
Who are you?
オーロラ
PASSENGER
HUMANIA
Shout to the Walls!
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト
Howdy!! We are ACO Touches the Walls
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コメント
変な気負いや青臭さが抜けて等身大の大人になった彼らのギター・サウンドが心地よい傑作ですね。
投稿: ひかりびっと | 2016年10月16日 (日) 11時37分
>ひかりびっとさん
本当にこのアルバムで成長したように感じます。これからの活躍も楽しみです。
投稿: ゆういち | 2016年10月22日 (土) 01時11分