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2016年5月14日 (土)

アイドル勢などへの楽曲提供も経験に?

Title:純情ランドセル
Musician:赤い公園

最近、SMAPの「JOY!」をはじめ、他のミュージシャン、アイドル勢への楽曲でも名前を見かけることが多くなったガールズバンド赤い公園のメインライター津野米咲。本作は、そんな中リリースされた約1年半ぶりになる赤い公園のニューアルバム。本作では會田茂一、亀田誠治、島田昌典、蔦谷好位置、PABLO a.k.a. WTF!?の5名の豪華プロデューサーがプロデュースを担当したことでも話題となっています。

赤い公園といえばポップなメロディーラインと、それと反するようなサイケやアバンギャルド、パンキッシュなアレンジとの対比がユニークなバンド。楽曲のジャンルもパンクから歌謡曲、アイドルポップ風の曲からソウル風な曲までバリエーション富んだ作風が楽しいアルバムをいままでリリースしてきましたが今回の作品も、そんな赤い公園の特徴がそのまま引き継がれたような作品でした。

特に今回のアルバムで印象に残ったのがポップなメロディーライン。最近では楽曲提供によってJ-POPの中心にて活動をしている津野米咲ですが、例えば「東京」「あなたのあのこ、いけないわたし」などのメロディーラインなど実にJ-POP的。このJ-POP的なメロディーラインは以前から彼女たちのアルバムの中に顔をのぞかせていたのですが、いままでの作品についてはこのJ-POP風なメロディーラインが悪い意味での「ベタ」さを感じさせていました。しかし今回のアルバムに収録されている楽曲については、ベタといえばベタなのですが、それが変に鼻につかなくなり、いい意味で垢抜けたようにも感じます。

楽曲のバリエーションの広さも相変わらず。「Canvas」のようなギターロック路線もあるかと思えば、「ショートホープ」などはメロウなソフトロック風。かと思えば「ハンバーグ!」は非常に明るいポップソングになっていますし、さらに「黄色い花」はブラコン風の軽快なポップチューン。若干ルーツレスな部分を感じる部分もあり、それがまた「J-POP的」なのですが、ただ、それが気にならないほど、様々なジャンルの音楽を上手く取り込んでいます。

そんな中でも「ボール」のようなサイケなサウンドを取り込んだ曲もあったり、「喧嘩」のようなパンキッシュでアバンギャルドさを感じさせる曲があったりと挑戦的な作風もチラホラ感じられたりするのもまた彼女たちの非常におもしろいところ。

またメロディーラインの側面でユニークさを感じたのは先行シングルにもなった「KOIKI」。正義の味方の苦悩を描いたような歌詞もユニークなのですが、サビに入る展開の妙が実にユニークで耳に残りました。

音数の多いサウンドは少々詰め込みすぎで整理されていない感じもしないではなく、そういう意味でも前々作、前作同様、まだまだ伸びしろを感じる部分はあるのですが、前作に比べてメロディーラインが垢抜け、一歩前へ進んだように感じた傑作でした。今後もヒットチャートの中心でも津野米咲の名前はさらによく見かけそうですが、赤い公園としても是非ともさらなるヒットを期待したいところ。これからの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか
ランドリーで漂白を
公園デビュー
猛烈リトミック


ほかに聴いたアルバム

飾りのない明日/熊木杏里

ヤマハへの移籍第1弾となる女性シンガーソングライターの新作。基本的に奇をてらわないような素直なポップスソングが魅力的な彼女。今回の作品でも切なさを感じるメロディーラインをしんみりと聴かせるようなポップソングがメイン。目新しさはありませんが、いい意味で安心して聴けるポップソングが並んでいました。

評価:★★★★

熊木杏里 過去の作品
ひとヒナタ
はなよりほかに
風と凪
and...life
光の通り道

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