「ただいま」のアウトテイク集だけども
Title:粗品
Musician:ズクナシ
女性3人組ソウルバンド、ズクナシの新譜は6曲入りのミニアルバム。今回のアルバムは昨年8月にリリースしたアルバム「ただいま」を制作する際に録音されながらもアルバムに収録されなかった曲を集めたもの。一言で言えば「ただいま」のアウトテイク集といった感じでしょうか。「粗品」というタイトルも謙遜の意味も込められつつも、「ただいま」収録曲に比べると、という意味合いも強いのかもしれません。
ところがこれがアウトテイク集と言ってしまうには惜しいぐらいの名曲揃い。つーか、ぶっちゃけていってしまうと個人的には「ただいま」よりもこちらのアルバムの方が好きかもしれません(^^;;アウトテイク集というよりも「ただいま」の流れの中で入れられなかった曲が多かったのかもしれません。
というのもわずか6曲入りながらも、どれも個性豊かな「濃い」楽曲が並んでいるから。アカペラの「SHIKI」からスタートし、メンバーのコーラスラインを聴かせる「しあわせ」、そしてユニークだったのが「そこまでじゃない けど」と「どっちかっていうと」の2曲。この2曲、いわばバージョン1、バージョン2といった感じの同じ曲の別バージョン。ある男性に対する感情をユーモラスに描きつつも、ソウルのリズムにきちんとのせているのが非常におもしろい楽曲で、ソウルフルで彼女たちらしいインパクト満点の曲になっています。
ラストの「たまらない音頭」もユニーク。タイトル通り、日本の音頭を取り入れた楽曲で、歌詞もユニークながら音頭とソウルを上手く融合させたリズム感も見事。日本の伝統的な音頭という音楽とブラックミュージックの根底に流れる共通項を見事すくい出した楽曲となっています。
ある意味非常に濃い作品だったため「ただいま」の中で組み込むと浮いてしまい、そのためアルバム未収録になったのではないか、そう推測したくなるような6曲。楽曲としては間違いなく「ただいま」の収録曲と全く遜色ありません。
若干インパクト不足を感じた「ただいま」に比べて、それだけ濃い曲が並んでいただけにインパクトも十分すぎるほど十分。まあ、わずか6曲入りというコンパクトさゆえに、1曲あたりの印象がより強くなったという面もあるのでしょうが。「粗品」というタイトルや「ただいま」のアウトテイク集ということでパスしている方がいたらもったいない傑作。また、ソウル好きなら間違いなく要チェックの傑作です。
評価:★★★★★
ズクナシ 過去の作品
ただいま
ほかに聴いたアルバム
HEAD ROOMS/tacica
2人組となり2枚目のアルバムとなるtacicaの新作。彼らのストレートなギターロック路線は嫌いではないし本作も「夜明け前」のメロディーラインなどはなかなか良くて期待もしたのですが、アルバム全体としてはやはりこれといった特色のないギターロックといった感じにおさまってしまっています。tacicaだけが持っているような何かが欲しいのですが・・・。
評価:★★★
tacica 過去の作品
jacaranda
jibun
HOMELAND 11 blues
LOCUS
SUMMER TOUR '83 渋谷公会堂~KING OF LIVE COMPLETE~/RCサクセション
1983年6月25、26日、当時絶頂期だったRCサクセションの渋谷公会堂ライブの模様をおさめたライブ盤。もともと「KING OF LIVE」というタイトルでリリースされていたのですが、全セットリストが発掘されたためコンプリート盤としてリリースされたそうです。
さて全盛期の彼らのライブ音源なだけに内容的には文句なしでカッコイイ!特にライブになるとニューオリンズの雰囲気の強いキーボードやホーンセッションが加わり、原曲以上にブラックミュージックの要素を強く感じられ、彼らの音楽的嗜好をより強く感じます。RCサクセションの魅力がよりはっきりと伝わってくるとも言えるかもしれません。本作、DVDでもリリースされているのですが、DVDも見てみたいな・・・。
評価:★★★★★
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