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2016年5月15日 (日)

生誕50周年記念のベストアルバム

Title:シルシ
Musician:浜崎貴司

FLYING KIDSのボーカルとしてデビュー。FLYING KIDSとしても人気を博する一方でバンド活動と並行し俳優業などでもソロ活動。さらには1998年のFLYING KIDS解散後は音楽でもソロ活動を続ける浜崎貴司。本作は、その彼の生誕50周年を記念してリリースされた初のソロベストアルバムです。

FLYING KIDSといえばファンクロックというカテゴリーで語られるバンド。もちろん、彼のソロ活動でもファンク、あるいはブラックミュージックからの影響も顕著。例えば「オンナLIFE」は非常にファンキーなナンバーですし、「サンクチュアリ(SEIなるふたり)」なども基本的にはポップな作品ながらもファンクの要素をリズムから感じられるFLYING KIDSらしさも感じるナンバー。また「時はただ今だけを乗せて」もゴスペル風なコーラスが入るなど、ソウル的な要素の強いナンバーになっています。

ただ、基本的にはファンクあるいはブラックミュージックの要素を前面に押し出した楽曲というよりもストレートなポップスロックなナンバーがメイン。メロディーライン的にも十分にフックが効いており、ヒットポテンシャルがある曲が並んでいます。もっと売れてもいいと思うんですが・・・って、FLYING KIDSは十分に売れたバンドといえばバンドなんですが。

また彼の楽曲で特徴的なのはその声。ちょっと渋みのあるこの声色はなかなか独特で、FLYING KIDSの曲でもそうなのですが、この声で歌えばなんでも浜崎貴司の曲になるような、彼の楽曲でも大きなインパクトとなっています。

今回のベスト盤でもうひとつ特徴的だったのが他のミュージシャンとのコラボ曲が多く収録されている点でした。FLYING KIDSを敬愛するKICK THE CAN CREWのMCUと組んだ「オンナLIFE」や「サーフライダー」、斉藤和義と組んだ「オリオン通り」や奥田民生と組んだ「君と僕」などといった楽曲が並んでいます。

もともと2013年に数多くのシンガーとのコラボ曲を収録した「ガチダチ」という企画盤をリリースした影響も大きいのですが、なによりもFLYING KIDSとしての長年の活動や音楽に留まらない幅広い活動が、様々な交友関係を築いてきたということでしょう。

そしてこのコラボでもやはり生きてきたのが彼の声。どんな楽曲でも彼の声が入ればきちんと浜崎貴司の曲として機能しているのはさすが。例えば斉藤和義と組んだ「オリオン通り」は、楽曲的には斉藤和義らしい曲調なのですが、彼の声が入ることでこのアルバムの中でも全く違和感ありませんし、「サーフライダー」も基本的にはMCUのラップがメインなのですが、その中でも浜崎貴司のボーカルはきちんと響いてきています。

FLYING KIDSは個人的にも好きなバンドなのでこのソロベストも期待していたのですが、期待以上に名曲が揃った素晴らしいアルバムでした。ちなみにFLYING KIDSは現在、再結成し、ライブを中心にコンスタントに活動を続けているようですが、次はFLYING KIDSとしてのニューアルバムを期待したいところ。ただ、浜崎貴司ソロとしてもFLYING KIDSとしてもまだまだ名曲を期待できそうと感じるベストアルバムでした。

評価:★★★★★

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