TK流ダンスミュージック(小室哲哉じゃないよ)
Title:Secret Sensation
Musician:TK from 凛として時雨
バンドと同時並行的にコンスタントにソロ活動を続ける凛として時雨のボーカリスト、TKによるソロアルバム。約1年半ぶりとなる新作は全5曲入りのミニアルバム。ただ、1曲目がタイトルチューンとなっており、5曲目はライブ音源なので実質的にはシングルに近い内容と言えるかもしれません。
基本的には収録されている楽曲はいままでのソロと同方向。凛として時雨と同じ雰囲気を醸し出したマイナーコード主体のメロディーラインにTKのファルセットボイスを織り交ぜたボーカルで哀愁感たっぷりに聴かせるナンバー。ただバンドサウンドメインの凛として時雨に対して打ち込みなどを入れることによりソロとしての違う方向性を出しています。
タイトルチューンである「Secret Sensation」は打ち込みメインのダンスナンバー。ただこれも流行のEDMを取り入れました・・・というよりも凛として時雨のサンドにエレクトロサウンドを取り入れたといった感じ。そのダンサナブルなサウンドにもメロディーラインにもインパクトがあるのですが、例えばタイトルをコールした後、一気にブレイクして入るサビの構成といった部分など、ベタといえばベタ。ただこのベタさもインパクトとして心地よい感じがします。
続く「subliminal」もダンサナブルなナンバーという意味では1曲目に続く楽曲。ただこちらはギターサウンドがより前面に出ていてダイナミズムが増している印象。さらに続く「ear+f」はストリングスとピアノを取り入れたナンバー。こちらもノイジーなギターを加えることによりダイナミズムが増し、さらに悲し気なメロディーラインも強調されています。
ここまではダイナミズムなサウンドで押し一辺倒の楽曲が並びますすが続いての「like there is tomorrow」はガラッと雰囲気がかわります。最初はピアノのみでしんみり聴かせるナンバー。中盤以降バンドサウンドが入ってくるのですが、最後まで基本的にはミディアムテンポのメロディーラインを聴かせる楽曲になっています。
そんな訳で基本的に楽曲はダイナミックな「押し」の要素が強い楽曲がメイン。メロディーラインもインパクト満点で、良くも悪くもベタな要素も見受けられます。正直なところ、これが10曲以上続くとお腹いっぱいで食傷気味にもなりそうなのですが、楽曲はライブ音源含めて4曲入り。それもちょうどよい4曲目でバラードナンバーが入ってくるなどほどよい構成に落ち着いていました。前作「Fantastic Magic」のレビューではマンネリ気味なのが気にかかったと書きましたが、確かにエレクトロサウンドの取り入れ方とか新しいサウンドへの挑戦も感じたものの、全体的な雰囲気はいつも通り。ただそれも5曲入りのミニアルバムという長さだっただけに、マンネリというマイナス要素をあまり気にならないうちに終わったアルバムでした。
これがフルアルバムだとどうかなぁ、という感想も持ってしまうのですが、この作品に関しては間違いなく最後まで十分に楽しめた傑作だったと思います。さて、次は時雨の作品になるのか、それとも・・・。
評価:★★★★★
TK from 凛として時雨 過去の作品
flowering
contrast
Fantastic Magic
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