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2016年4月 2日 (土)

バンドとしては勢いを感じる新作

Title:両成敗
Musician:ゲスの極み乙女。

昨年末は紅白歌合戦に初出場して話題になったものの、今年に入ってボーカル川谷絵音の不倫騒動で悪い意味で世間を賑わせてしまったゲスの極み乙女。。そんなネガティブなイメージにも負けず、バンドとしては前作から初動売上高も大きく更新し、シングルアルバム通じて初となるチャート1位を獲得しています。

ワイドショーネタ的な話題の部分はともあれ、本作にはまずバンドとしての勢いを感じます。その勢いを感じるのはなんといってもメロディーライン。ゲスの極み乙女。といえば、いままでもちょっと哀愁感の漂う歌謡曲テイストを感じるメロディーラインが魅力的でしたが一方では少々インパクトの弱さを感じてしまっていました。

しかし今回のアルバムではそのメロディーラインの強度がグッと増したように感じます。タイトルチューンとなっている「両成敗でいいじゃない」や続く「続けざまの両成敗」も、「両成敗」というちょっと硬い言葉が上手くメロディーに溶け込んでインパクトを持たせていますし、「ロマンスがありあまる」もサビからスタートするというJ-POPの王道的なつくりなのですが、そのサビの「ロマンスがありあまる」というフレーズが妙に耳に残る内容になっています。

また、いままでの彼らの楽曲で私にとってはマイナス要素となっていたのが妙に斜めから見たような歌詞だったのですが、今回の作品についてはその斜に構えたような雰囲気は少なくなり、比較的ストレートなラブソング、それも失恋を歌ったような曲が多かったのが印象的でした。

先行シングルともなった「ロマンスがありあまる」もどこか終わった恋を感じさせる歌詞なのですが、アルバムの後半「心歌舞く」「セルマ」などはあきらかに別れを歌ったナンバー。「無垢な季節」もおなじく別れを彷彿とさせるような歌詞になっています。これらの歌詞がのるメロディーラインも胸を打つような切ないメロディーラインが魅力的に仕上がっています。メロディーにしても歌詞にしてもいい意味でわかりやすい方向にシフトしたように感じます。このストレートな路線、川谷絵音がやっている別バンド、indigo la Endに近くなったように思いました。

サウンドの方は今回も空間を生かしたタイトさを感じるバンドサウンドが魅力的。ジャズ風なピアノが魅力の「勤めるリアル」やファンキーなギターを聴かせる「心歌舞く」などブラックミュージック的な要素を入れつつ、ラップやあるいは川谷絵音の語りを楽曲の中に取り入れたり、女性メンバーとのからみもいれてきたりと楽曲のタイプも様々。後半、メタリックなサウンドからアバンギャルドに展開する「Mr.ゲスX」など、バリエーションあるサウンド構成で最後まで飽きさせません。

個人的にはいままでに聴いた彼らの作品の中ではベストの内容。少々マニアックな部分もあったいままでの作品と比べて、その「マニアック」な部分を残しつつ、広い層へのアピールポイントも増やしたアルバムだったと思います。

しかしそれにしてもあの不倫騒動、川谷絵音の行動を擁護するつもりは1ミリもないのですが、それとバンドの音楽の内容を混同したような発言が多いのは閉口しちゃいます。彼の行動は問題でも彼の作る音楽には何ら罪はないはず。これからもゲスの極み乙女。の活動と彼の作る音楽を応援していきたいと思います!

評価:★★★★★

ゲスの極み乙女。 過去の作品
踊れないなら、ゲスになってしまえよ
みんなノーマル
魅力がすごいよ


ほかに聴いたアルバム

HOTEL MALIFORNIA/GOKU GREEN

GOKU GREENは北海道旭川在住の若干21歳の男性ラッパー。「MALIFORNIA」というタイトル自体、あきらかに「マリファナ」と「カリフォルニア」を混ぜた造語であり、アルバム自体もマリファナをテーマとしたようなちょっとやばげなナンバーが。サウンドも全体として音を絞った静かな構成の中にダークなサウンドやメロウなトラックが流れてきており非常に耳を惹きます。ドープという表現がピッタリ来るのでしょうか?HIP HOPの大きな魅力である「やばさ」という要素をビンビンと感じてしまうアルバムでした。

評価:★★★★★

最高の仕打/片平里菜

これが2作目となる女性シンガーソングライターの新作。シングルアルバム通じて自身初となるベスト10ヒットを記録しています。内容的にはよくありがちな女の子の本音を歌ったギターロック。ポップなメロはそれなりにインパクトあって決して悪くはないものの、miwaやら矢野真紀やら、要するにここ最近よくありがちなギターを抱えた女性シンガーと差別化できておらず、よくありがちという印象を受けてしまいます。もうちょっと片平里菜だけが持っているような個性が聴ければいいのですが。

評価:★★★

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アルバムレビュー(邦楽)2016年」カテゴリの記事

コメント

バンド側と文春双方の思惑がかち合った結果として、ネタてきな消費をされがちなんですが、音楽的には成熟していってる感じがします

投稿: yono | 2016年4月 9日 (土) 01時06分

>yonoさん
お返事遅れてすいません。
なんかこの問題いまだにくすぶっているんですが・・・音楽的にはかなりよく出来たアルバムだと思うので、バンドとしてはこれからもがんばってほしいですよね!

投稿: ゆういち | 2016年5月10日 (火) 23時26分

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