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2016年4月10日 (日)

10年目のベスト盤

Title:"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-
Musician:a flood of circle

ガレージロックバンドa flood of circleが活動10周年を記念してリリースされたオールタイムベスト。全17曲入りとなる本作は、1曲目が直近の最新シングル「花」からスタートし、その後は過去の曲から発表順に並んでいる構成となっています。

a flood of circleについてはデビュー直後からアルバムは一通りチェックしています。このサイトでも以前から書いているのですが、彼らの悪い意味での大きな特徴としてアルバム毎に出来不出来の差が大きいというのがあげられます。その最大の理由が佐々木亮介のボーカル。彼の声は線が細くその一方非常に端整。これが彼らの演っているガレージロックというジャンルでは残念ながらマイナス方向に働いてしまっています。エッジの効いたギターをバリバリに聴かせるガレージロックについてはそんなボーカルでも気にならないほどカッコいい音を出している一方、ポップ路線に少しでも走ると一気に平凡なJ-POPに早変わり。もし彼らが売れ線のポップバンドならばプラスの方向に働きそうな要素が彼らの志向する音楽性の中では残念ながら非常にマイナスの要素となってしまっています。

ただし、今回のベストアルバムに関していえば、当たり前ですがさすがベストな選曲である、ということもあってそんな彼らのマイナスな側面がほとんど出ていません。また今回のベストアルバムは比較的最近の曲に偏った選曲になっています。最近のアルバムになればなるほど、彼らがきちんと佐々木亮介のボーカルにあった曲を書いてくるようになったため、彼らのこのマイナス要素が表に出てこなくなっていました。マイナスの側面がほとんど出てこない理由としてはその選曲の時期的な偏りも大きな要因でしょう。

そんな訳で楽曲によって質の差が大きい彼らですが、このベスト盤に関しては彼らの魅力的な側面のみがクローズアップされたアルバムになっていました。特に最新シングルであり1曲目に配置された「花」が素晴らしい出来。疾走感あるガレージロックで、ポップなメロディーラインも特徴的。孤独の中で、それでも世界を信じてひたむきに歌い叫ぶあるシンガーの姿を描いており、その心象風景が心に突き刺さる歌詞になっています。時系列順に並んだ今回のベスト盤の中でこの曲をあえて1曲目にもってきた、という理由もよくわかる名曲ですし、ある意味a flood of circleのテーマとも読み取れる楽曲になっています。また、これだけの名曲を作り出してきた、という意味でもこれからの彼らの活動に大いなる期待を持てる作品だったと思います。

ただ一方で今回のベスト盤を聴いて感じたのが、a flood of circleといえば良くも悪くもガレージロックのバンドというイメージが強いのですが、意外といろいろなタイプの曲を書いてきたバンドだな、ということを再認識させられます。「博士の異常な愛情」ではファンクの要素を、「I LOVE YOU」では軽快なモータウンビートを取り入れていますし、基本的にしゃがれ声のボーカルでミッシェル・ガン・エレファントからの影響の強いバンドなのですが、「I'M FREE」では破壊的な歌詞を含め、どちらかというとBLANKEY JET CITY的な要素も見て取れます。

ここらへんの曲に関しては基本的に「ガレージロック」という範疇での幅広い音楽性なので彼らにとって大きなプラス要素なのですが、例えば「ベストライド」などはむしろメロコア的な要素が強く、彼らにしては方向性がチグハグな印象が。ここに関しても幅広い音楽性の追求が、バンドにとって時としてマイナスに走ってしまっている点が、悪い意味で彼ららしいな、とも感じてしまいました。

とはいえ、ミッシェル・ガン・エレファント解散後、日本では数少ない、愚直にロックし続ける数少ないガレージロックバンドとなってしまった彼ら。それだけに個人的にはかなり期待し聴き続けています。実際、その期待した通りの名曲があるかと思えば、「え?」と思うような曲もあったりしてもどかしい思いをするバンドではあるのですが・・・。ただこのベスト盤に限って言えば、間違いなくa flood of circleというバンドのすばらしさを存分に感じることが出来るアルバムだったと思います。まず最初の1枚としてお勧めの作品。ミッシェル・ガン・エレファントが好きだった、という方にも是非とも聴いてほしいアルバムです。

評価:★★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド


ほかに聴いたアルバム

YCAM LIVE / NYANTORA/Duenn/Hair Stylistics

元スーパーカーの中村弘二によるアンビエントソロユニットNYANTORA、暴力温泉芸者としての活動でも知られる中原昌也のソロユニットHair Stylistics、それに福岡のカセットレーベルDuennのオーナーの3名により、2015年2月に山口で行われたライブの模様を収録したライブアルバム。全31分で1曲入り。前半は不気味な雰囲気の中、ノイズも流れるもののアンビエント色も強いナンバーで、NYANTORA主導といった感じでしょうか。後半は完全にノイズミュージックになり、Hair Stylisticsの世界といった感じ。ノイズミュージックの傾向が強いのでリスナーは選びそうですが、30分間、次々と展開される不気味な音の世界は飽きさせません。

評価:★★★★

Night Rainbow/WEAVER

ピアノ、ベース、ドラムという構成が特徴的な3ピースバンドの約2年ぶりとなる新譜。個人的にはこの手のピアノロックバンドは壺、ということもあってほぼ毎作聴いているのですが、彼らに関してはどうもメロディーラインが平凡というかひねりのないよくありがちなJ-POPになってしまっているのが気にかかります。本作に関しては前半についていえばかなりカッコよかった。ただ、いかにもK-POP亜流的な「クローン」をはじめ中盤以降はいまひとつな印象が。個人的に、もっとピアノ、ベース、ドラムという3ピースというバンドの要素を生かせばおもしろいと思うのですが・・・。

評価:★★★★

WEAVER 過去の作品
Tapestry

新世界創造記・前編
新世界創造記・後編

ジュビレーション
Handmade
ID

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