シンプルに女の子の心境を描写
Title:SHISHAMO 3
Musician:SHISHAMO
まずミュージシャン名からしてなんでこんな名前を付けたの?と思ってしまいます女性3人組のロックバンドSHISHAMO。今年1月には初の武道館ワンマンを実施。さらにこのアルバムはアルバムチャートでもベスト10入りするなど着実に人気を伸ばしています。
私は彼女たちについては以前から名前を知ってはいたものの音はノーチェック。このアルバムではじめて彼女たちの音源を聴いてみました。で、まず感じたのは非常にシンプルでわかりやすいバンドだな、ということでした。
まずサウンドの方は基本的によくありがちなオルタナ系のギターロック。特に複雑なことをやっているわけではなく、とてもシンプルなバンドサウンドを奏でています。カントリー風の「推定移動距離」やちょっとシティポップテイストの「熱帯夜」など楽曲によってそれなりにバリエーションも加えていますが基本路線にはあまり違いはありません。基本、スリーピースなサウンドが主体でギター、ベース、ドラムス以外の音を積極的に取り入れているという感じではないのですが、かといってスリーピースにこだわっているわけでもないらしく、このアルバムのラストに収録されている「みんなのうた」ではホーンセッションを取り入れたりもしています。
さらにそんなサウンド以上にシンプルだったのが歌詞。同年代の女の子の心をストレートに歌ったラブソングがほとんどで、歌詞も難しい表現は皆無。具体性ある歌詞の内容になっているため聴いていてもとてもわかりやすさを感じます。
「笑顔のとなり」のような恋愛まっただ中のおのろけの歌詞もあるのですが、基本的には「生きるガール」のような失恋の歌や「君とゲレンデ」のような片想いの曲がメイン。やはりテーマ的に歌いやすいからでしょうか?歌詞はいずれも具体性あるだって主人公の心象描写をしっかりと描いたようなものばかりとなっています。
正直言ってちょっと気にかかるのはメロディーにしても歌詞にしてもいまひとつフックの効いた、という側面ではインパクトが薄いのが気にかかります。そのためアルバムを聴き終わっても、これといったフレーズが浮かびにくいのが残念。ただその反面、わかりやすい歌詞にシンプルなサウンドだからこそ、聴いていてついついメロディーと歌詞に聴き入ってしまうのはプラスの要素。そしてそのあたりが彼女たちの人気の要素なのでしょうか。
変に難しいことをやらずにシンプル路線を突き進んでいる彼女たちの姿勢には素晴らしいものも感じます。良くも悪くも変なこだわりはないのは今時の若者といった感じなのでしょうか。ただ、今後も下手な挑戦をするよりも愚直に今の路線を突き進んでほしいなぁ。いい意味で万人受けしそうな楽曲なので、ロックを聴かなくてもポップス好きでも楽しめそうなアルバムです。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
ダウトの行進/空想委員会
これがメジャー2作目となるギターロックバンド。恋愛敗者の青春群像を描いた歌詞は個人的に心の柔らかい部分を攻め込まれた感じもあって思わず聴きいる部分も。ただメロディーやサウンドについては、エレクトロサウンドを取り入れつつもよくありがちなギターロックといった感じ。メロディーにもそこそこインパクトがあって悪くはないのですが、こちらについてはもうちょっと彼らなりの個性が欲しいように感じてしまいました。前作「種の起源」でももう一皮むけてほしい、と感じたのですが、残念ながらまだまだ成長の途上といった印象。
評価:★★★
空想委員会 過去の作品
種の起源
The World's on Fire/MAN WITH A MISSION
人気のオオカミバンドによる2年ぶりの新作。シンセを主体としたロックサウンドは疾走感あるものの意外と軽くポップ。このちょっと軽めのサウンドに意外とベタなメロディーラインが個人的にはピンと来なかったのですが、本作は楽曲としてのバリエーションも増え、特に英語詞の曲に関してはカッコよさを感じる曲もチラホラ。もうちょっとサウンドの重心が下だとより楽しめる感じがするのですが・・・。
評価:★★★★
MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly
5 Years 5 Wolves 5 Souls
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2016年」カテゴリの記事
- ファンによる選曲がユニーク(2016.12.27)
- パンクなジャケット写真だけども(2016.12.24)
- バンドの一体感がさらに深化(2016.12.23)
- 初のフルアルバムがいきなりのヒット(2016.12.20)
- 10年の区切りのセルフカバー(2016.12.17)
コメント