脂がのった時期の未発表音源集
Title:Here's One You Didn't Know About-From The RPM&Kent Vaults
(邦題 知られざるキングの秘宝-RPM/ケント未発表音源集)
Musician:B.B.KING
昨年5月、惜しまれつつこの世を去ったブルース界のレジェンド、B.B.KING。その後、よくありがちな話ですが様々な企画が持ち上がっており、この作品もそんな流れでリリースされたアルバムのひとつ。タイトル通り、彼が1950年代から60年代にかけて所属していたレーベル、RPB/ケントに残された未発表音源を収録したアルバムになっています。
50年代から60年代といえば彼が20代から30代の頃。まさに彼が脂にのりまくっていたころの作品。「未発表音源集」ということで、基本的に発表済の音源の別テイクが主。そういう意味でマニア的な聴き方という意味では発表済の音源と聴き比べて、というのが正統派な聴き方なのでしょう。ただ、そのようなマニア的な聴き方をしなくても彼の最盛期の音源を楽しむベスト盤的な聴き方で十分すぎるほど楽しめるアルバムだったと思います。
この時期の彼について一言で言ってしまえばとにかく明るいB.B.KING。全編ホーンセッションも入って陽性な楽曲が並んでいます。ブルースというと詳しくない方にとってはどちらかというと「暗い」というイメージがあるかもしれませんが、そんなイメージをぶっとばすようなエンタテイメント性あふれるダンスミュージックが並んでいます。本作にも収録されている「Sweet Little Angel」などはまさに王道ともいえるブルースナンバーなのですが、そんな曲でも明るさがあふれています。
ボーカルもギターも非常に力強さを感じる曲ばかりでこの点でも脂がのりまくっている彼の姿が見て取れます。ボーカルもギターも20代30代という若さを感じさせる勢いがある一方で、老練されたような表現力も感じることが出来、B.B.KINGの才気あふれる演奏といった表現がピッタリ来るような内容。未発表音源ということでいわゆる「ボツ」テイクなのですが、全くそんなことを意識させられません。
ただ、「ボツ」テイクということで、例えば「Sweet Little Angel(Version2)」などではちょっと演奏のミスがあったりするのもユニークな感じ。ただそういう部分も含めて、ボツテイクならではの肩の力が抜けた感じも楽曲によっては感じられたのもまた魅力だったりします。
そんな訳でB.B.KINGのベスト盤的に楽しめたアルバムでした。「未発表音源集」ということでともすればマニア向けに捉えられそうですが、むしろアルバム1枚に収録されている点も含めて、入門盤的にも使えそうな1枚。若く勢いのあるB.B.KINGの演奏を存分に楽しめた1枚でした。
評価:★★★★★
B.B.KING 過去の作品
LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL 2011
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