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2016年4月 9日 (土)

南半球からあらわれたoasisフォロワー

Title:Hills End
Musician:DMA's

オーストラリアの3人組インディーギターロックバンドのデビュー作。昨年、EP盤がリリースされた時、音楽誌などで「oasis直系のサウンド」と称されていたため気にはなっていたのですが、その時はスルーしていました。そしてはじめて聴いたのが本作。ふてぶてしい感じのジャケット写真もいかにもoasisからの影響を感じるのですがアルバムを聴いて思わず笑ってしまいました。まさしくoasisの1st、2ndあたりの作風をそのまま受け継いだような楽曲が並んでいたからです。

例えば疾走感ある分厚いバンドサウンドでグイグイと押してくる「Too Soon」などはいかにも90年代のoasis近辺のサウンドを彷彿とさせますし、「In The Moment」のミディアムテンポのメロディーの節回しなんかはまさにそのまんまoasis!oasisのファンならおもわずニヤリとしてしまいそうな楽曲が並んでいます。

ただメロディーラインやギターサウンド以上に彼らの楽曲がoasisに似ていると感じさせるのはボーカルの歌い方。高音部に展開する時にしゃくりあげるように歌い上げるスタイルといい、ちょっとしゃがれたボーカルの声色といい、完全にリアム・ギャラガーそのまんま。彼らの音楽がそのまんまoasisに感じられる大きな要因がこのボーカルだと思います。

あえてoasisと違う部分を探すとすれば、oasisよりもポップ志向が強い点でしょうか。「Lay Down」のような軽いメロディーラインはoasisとはちょっと異なるような感じがします。またoasisに比べてアコースティック志向もある点も異なる点。「Delete」「So We Know」のようなアコースティック路線の曲もアルバムの中では聴くことが出来ます。

ただ、そこらへんの相違点はあってもアルバム全体の印象としてはやはりoasisフォロワーというイメージはぬぐえません。ここらへん、口の悪いギャラガー兄弟が彼らのことをどういうのか聴いてみたい気もしないことはないのですが(笑)。

私個人としてはこのアルバム、正直言って素直に最後まで楽しめました。oasisファンとしてはぶっちゃけ壺に入るようなサウンドではありますし、1stや2ndとは違うことをしようと、解散するまでもがいていたoasisと比べると、無邪気に1stや2ndの頃のサウンドをフォローしている彼らの曲は、率直にいってoasisに求めたかった音だったりします。

しかし、単なるフォロワーにとどまってしまっていてDMA'sとしての個性があまり出ていなかったな、と感じたアルバムでもありました。oasisのフォロワーとしてももうちょっとDMA'sらしいプラスアルファが欲しかったですし、現在の視点からの新たな解釈とかが欲しかったと思ってしまいます。難しいこと抜きに、下手に横道にそれず素直なポップ路線を貫いたという意味ではいさぎよさも感じるのですが・・・。次回作はDMA'sだけが持っている何かを聴きたいなぁ。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Citizen Zombie/The Pop Group

1978年にイギリスブリストルで結成されたポスト・パンクバンド。名盤名高い「Y」「For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?」という2枚のアルバムを残し、1981年に解散してしまいました。そんな彼らがなんと2010年に再結成。さらに35年ぶりにリリースした新作が本作です。

アバンギャルドでパンキッシュな作風はかつての彼らからそのまま。今聴いても古さを感じさせないのはそれほど彼らの作品が先駆的であった証拠でしょう。もともと彼らのバンド名「The Pop Group」は皮肉を込めてつけられたそうですが、本作は意外とポップにまとまっていたのも特徴的。斬新さ、勢いという意味ではかつての2枚の名盤には並びませんでしたが、35年ぶりの新作としてはそれなりに期待に沿えた内容だったのではないでしょうか。

評価:★★★★

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