ここ数作のスタイルを踏襲
Title:BABEL,BABEL
Musician:GRAPEVINE
コンスタントに安定感ある新作をリリースし続けるGRAPEVINE。今回の作品も前作からわずか1年というインターバルでのリリースとなりましたが、本作もリリース間隔の短さを感じさせない安定感ある傑作に仕上がっていました。
GRAPEVINEの曲のここ最近の傾向として爽やかな雰囲気の楽曲が多いという点があげられます。本作も基本的にその傾向を引き継いだ作品。1曲目「EAST OF THE SUN」も爽快なアコギの音色からスタートし、「SPF」も爽快さを感じるメロディアスなギターロックになっており、アルバム全体としてもゴリゴリのグルーヴ感を聴かせるというよりも軽快なポップソングを聴かせるという方向性の強い仕上がりになっています。
歌詞にしてもあいかわらず田中和将が書く文学的で深読みできそうな歌詞、あるいはグルーヴ感重視であきらかに意味のわからない歌詞という方向性は相変わらずなのですが、その中でも比較的意図がわかりやすい歌詞がチラホラ見受けられるというのもここ最近の作品に共通する方向性。例えば本作で言えば
「天空に唾して
溢れ出す言葉を操ろうと
憂国かざして
群衆を単純化してしまうのでしょうね」
(「BABEL」より 作詞 田中和将)
なんて歌詞はまさに今の政治状況を皮肉ったような歌詞で、彼らとしては珍しい社会派を感じさせる歌詞になっています。
そんなここ数作と同じような方向性ながらも曲によって微妙にバリエーションをつけ単純に「マンネリ化」を防いでいるのもここ最近の彼らのアルバムに共通する点。例えば4つ打ちダンスチューンの「Golden Dawn」だったり、幻想的なサウンドが特徴的な「Faithful」だったり、へヴィーなギターリフからスタートするロックテイストの強い「HESO」だったりアルバム全体としてはこれぞGRAPEVINEとしか言えないようなスタイルで統一しつつも、曲によって様々な顔をのぞかせてくれる作品になっています。
そんな訳でいい意味で安心してきける安定した傑作。GRAPEVINEというバンドの実力がしっかりと発揮されたアルバムになっていました。
評価:★★★★★
GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE
愚かな者の語ること
Burning Tree
ほかに聴いたアルバム
TOKYO SKA Plays Disney/東京スカパラダイスオーケストラ
スカパラの新作はディズニーソングのカバー。正直選曲はベタベタな上、「Let It Go」なんかが収録されている点、いかにも売りを狙いすぎな感じですし、「星に願いを」のカバーはいまひとつ楽曲の良さもスカパラの良さも生かされていない感じ。その他の曲に関しては無難に仕上がっているのですが、無難すぎて面白味もない感じ。いかにも企画先行の面白みのないカバーアルバムでした。
評価:★★★
東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
FIXION/THE ORAL CIGARETTES
これがメジャー2作目となるギターロックバンドの新作。初のベスト10ヒットを記録するなど人気上昇中のバンドです。楽曲的には軽快でリズミカルなポップ。わかりやすいキャッチーなメロディーラインは良くも悪くもJ-POP的。そのベタなメロディーラインにしろちょっとカッコつけたような歌い方にしろ、ヴィジュアル系っぽい雰囲気も漂っていたりして・・・。ただ、インパクトは十分あって耳に残るメロディーを書いてくるだけに今後さらに人気を伸ばしそうな予感もするバンドです。
評価:★★★★
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