ラストアルバム
Title:Sea and The Darkness
Musician:Galileo Galilei
今年4月まで続く予定のライブツアーを最後にバンドの「終了」を宣言したギターロックバンドGalileo Galilei。本作はその彼らのラストアルバムとなります。
Galileo Galileiといえば、バンド当初からアルバム毎にそのスタイルを大きく変えてきたバンドでした。デビュー当初は楽曲がauのCMソングとなったり進研ゼミのCMソングとなったりと、かなり強いバックアップを受けた売れ線のギターロックバンドというイメージ。それがメジャー2枚目「PORTAL」ではエレクトロサウンドを大胆に取り入れてそれまでの「売れ線」というイメージを一新しファンを驚かさせました。さらにミニアルバムを挟み3枚目「ALARMS」ではギターロックに回帰。今度はシューゲイザー色の強い作品となり、基本的には「PORTAL」の変化に比べればその驚きは少なかったものの、また方向性を変えてくる作品となりました。
その後ミニアルバム1枚を挟みリリースされたのが今回のアルバム。基本的にギターのホワイトノイズを聴かせつつドリーミーなサウンドを聴かせるというスタイルは前作「ALARMS」を踏襲した方向性に感じます。
ただ一方ではアルバム後半は比較的シンプルでポップ志向なギターロック。特に先行シングルにもなった「恋の寿命」はよくあるタイプのストレートなオルタナ系ギターロックで、メロディーラインも良くも悪くもベタ。デビュー当初の「売れ線」路線がチラッと顔をのぞかせたような作品になっています。同じく先行シングルでもある「クライマー」もアップテンポなオルタナ系ギターロック。ダイナミックさも感じるギターサウンドは心地よいのですが、こちらも良くも悪くもベタさを感じます。
そんなドリーミーな路線とギターロック路線を2本立てとしながら、アルバム全体としてはラストアルバムらしい、彼らのやりたいことを好き勝手詰め込んだ作品に感じました。序盤の「カンフーボーイ」は60年代のガレージロックの雰囲気を感じますし、アルバムの中でもユニークあった「ベッド」はAimerをゲストボーカルに迎えて50年代のガールズポップの雰囲気を漂わせたポップとなっています。
他にもAOR風な「Sea and The DarknessII」なんて曲もあったり、自由な作風が目立つ作品。ただその結果、アルバム全体としてはいまひとつ、一つの軸を感じされないアルバムになってしまったように思います。それはGalileo Galileiというミュージシャンのいままでの活動にも感じた部分があり、確かに様々な音楽性への挑戦という意欲は買う部分が大きいものの、目新しさという部分はちょっと薄く、ミュージシャンとしての一本の柱がちょっと細いようにも感じていました。その彼らの特徴が良くも悪くも今回のアルバムでは強く出たように感じました。
そういう意味ではラストアルバムらしいラストアルバムと言えるのかもしれません。これが最後で残念・・・というよりもGalileo Galileiというバンドを続けるには限界が来たのかなぁ、とも感じてしまうアルバムでした。メンバーそれぞれのこれからの活躍に期待したいところです。
評価:★★★★
Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL
Baby,It's Cold Outside
ALARMS
SEE MORE GLASS
ほかに聴いたアルバム
ワイルド・サイドを行け/GLIM SPANKY
男女2人組ロックデゥオによるミニアルバム。ルーツ志向のブルースロック、ハードロックを奏でつつもポップなメロディーラインは良い意味でのベタさも感じて聴きやすい楽曲・・・とうーん、はっきりいってSUPERFLYそのまんま、といった感じ・・・。いや「劣化版SUPERFLY」とは言えないだけのしっかりしたサウンドとメロディーを奏でているんですよ。ただ、このままだとSUPERFLYと明確な差がないように感じてしまいます・・・。次回作でもっとGLIM SPANKYだけしか奏でらない何かを聴きたいのですが。
評価:★★★★
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