エレクトロサウンドを取り入れてはいるが
Title:Butterflies
Musician:BUMP OF CHICKEN
昨年は初となる紅白歌合戦への出場も経て、精力的な活動を続けるBUMP OF CHICKENの約2年ぶりとなる新作。紅白出場もそうですが、初となるスタジアムツアーを敢行するなど広い層に受け入れられることに対してこれまで以上に躊躇がなくなってきたように感じます。バンドとしてのスケール感のさらなる広がりを感じさせます。
今回の作品では表題曲の「Butterflies」はエレクトロサウンドを全面的に取り入れ、他の曲でもエレクトロテイストが強くなるなどいままでと異なるサウンドアプローチが特徴的なアルバムになっていました。このエレクトロ路線に関しては賛否両論のようですが、個人的にはあまり気になりませんでした。というのもエレクトロサウンドを取り入れているものの基本的な楽曲構成やメロディーラインはいつものBUMP OF CHICKEN。アルバム全体としてはバンプらしさが貫かれており、その中の「Butterflies」にもさほど違和感は覚えませんでした。正直言ってしまえば、エレクトロサウンドを取り入れるならもっと大胆にイメージチェンジしてもよかったのでは?とすら思ってしまいました。
そんな訳で、アルバム全体としては基本的にはいつものBUMP OF CHICKEN。冒頭を飾る「GO」も最初、エレクトロサウンドのイントロからスタートしますが、本編の爽やかなメロディーラインはいかにもバンプ。「宝石になった日」のキラキラしたギターサウンドもバンプらしいアレンジといった感じですし、最後を飾る「ファイター」のスペーシーなサウンドで盛り上がっていく構成なども、これぞBUMP OF CHICKENといった感じがします。そんな王道のバンプサウンドがアルバムの中の要所要所に見られるため、アルバム全体としてはエレクトロサウンドの導入もあまり気になりませんでした。
さてそんな彼らの新作。歌詞については今回、平凡であっても人生は素晴らしいというメッセージ性を感じました。例えば「Hello,world!」での
「ご自分だけがヒーロー 世界の真ん中で」
(「Hello,world!」より 作詞 Motoo Fujiwara)
なんて歌詞であったり、表題曲の「Butterflies」の「量産型」といった表現もまた、平凡な私たちと重ね合わせることが出来る表現だったりします。また「大我慢大会」で歌われる
「まともな奴ってどこだ 普通の人って誰だ
隣にいるのは僕だ 隣にいるのも君だ」
「同じものを持っていなくても 同じように出来やしなくても」
(「大我慢大会」より 作詞 Motoo Fujiwara)
という歌詞も、誰もがみんな一緒だし、みんな違うというメッセージを感じますし、その上での前向きなメッセージ性を感じる歌になっていました。
良くも悪くもいつものBUMP OF CHICKENらしさがつまったアルバム。個人的にはエレクトロサウンドの導入ばかりが先走ってしまって、アルバム全体の出来としては前作の方がよかったかな、とも感じるのですが、それを差し引いてもバンプらしい魅力的な傑作だったと思います。精力的な活動を続ける彼らですが、まだまだこれからの活躍も楽しみです。
評価:★★★★★
BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]
RAY
ほかに聴いたアルバム
剥製/Plastic Tree
約3年ぶりとなるニューアルバム。ノイジーな分厚いサウンドが心地よい作品で、いつもよりもギターサウンドは若干へヴィーに仕上がっている印象が。ただ全体的にはPlastic Treeらしさを感じられる作品で、そういう意味では安心して楽しめる作品になっていました。
評価:★★★★
Plastic Tree 過去の作品
B面画報
ウツセミ
ゲシュタルト崩壊
ドナドナ
ALL TIME THE BEST
アンモナイト
インク
echo
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