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2016年3月13日 (日)

前作からわずか2ヶ月での新作

Title:Thank Your Lucky Stars
Musician:Beach House

前作「Depression Cherry」が昨年の8月にリリース。ビルボードチャートでもベスト10入りしてくるなど大ヒットを記録したアメリカのインディーバンド、Beach House。その前作からわずか2ヶ月というインターバルでニューアルバムがリリースされました。アルバムのリリースがバンドメンバーのTwitter経由で発売日のわずか9日前にリリースされるなど突然のリリースとなった本作。そのため、チャート的にはビルボードで最高位39位とちょっと残念な結果に終わっています。

ただバンド自体、このアルバムを「『Depression Cherry』と対になるような作品でも、不意打ちのような作品でもB面集でもない」と言っている通り、彼らにしてみれば列記とした6枚目となるオリジナルアルバムということになるのでしょう。実際、内容的にも短いインターバルだからアコースティックメインだとか特に短い内容になっているだとか、そういった部分はなく、「Depression Cherry」などと同様、しっかりと作り込まれたオリジナルアルバムとなっています。

また基本、楽曲の構成もいつものBeach Houseと同様。ドリーミーなサウンドにカルヴィクトリア・ルグランの透明感ある歌声がのり、メロディアスなポップに仕上がっている、これぞドリームポップだ、と言うような楽曲の連続。そういう意味でも前作からわずか2ヶ月でのリリースといえ、通常営業のBeach Houseの楽曲を聴くことが出来ます。

もっと言ってしまえば、個人的にはこのアルバム、前作「Depression Cherry」より良い出来だったと思っています。前作はメロディーラインが後ろに下がって、サウンドが前に出てきた結果、サウンドに少々チープさを感じてしまいましたが、今回の作品はカルヴィクトリア・ルグランが歌うメロディーが主体となった構成。サウンド的にも歌の部分が前に出てきた影響か、サウンドの構成の問題か、「チープさ」があまり気にならない内容になっていました。

特に心地よかった曲のひとつが「One Thing」でしょう。まず終始鳴り響くノイジーなギターサウンドがドリーミーで心地よく感じます。さらにそこに流れるルグランの透明感ある美しい歌がまた印象に残ります。「The Traveller」などもドリーミーなサウンドにポップなメロディーラインが心地よい楽曲。まさにBeach Houseの真骨頂とも言えるでしょう。

前作は正直言って、Beach Houseの新作としては物足りなさも感じたのですが、今回の作品はBeach Houseの魅力を存分に感じさせる傑作になっていました。それだけに前作からわずか2ヶ月というインターバルでのリリースだったためか、前作の「影」になってしまったみたいにさほど話題になっていないのが残念・・・。聴き逃した!という方がいれば、いまからでも遅くないので、要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

Beach House 過去の作品
Bloom
Depression Cherry


ほかに聴いたアルバム

2015 GRAMMY NOMINEES

毎年恒例、アメリカグラミー賞ノミネート作品をあつめたコンピレーションアルバム。毎年、その年のアメリカの音楽動向がよくわかるコンピなのですが、2015年版は大ヒットしたPharrell Williamsの「Happy」をはじめ、とにかく明るい作風の曲が多いのが特徴的。個人的にはレトロなソウルテイストをふんだんに取り込みつつポップにまとめあげたMeghan Trainorの「All About That Bass」が壺にはまる大ヒット。2014年版も傑作が多く、音楽シーンに活況を感じられたのですが、2015年版も引き続き、活況を感じられるコンピになっていました。

評価:★★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES

Uptown Special/Mark Ronson

本作が今年のグラミー賞の最優秀レコードに輝き話題となったイギリスのDJ兼音楽プロデューサー、マーク・ロンソン。少々80年代っぽい空気を感じるR&B路線が実に魅力的な作品。楽曲によってメロウであったりファンキーであったり様々な顔をのぞかせつつ、しっかり壺をついた作品にまとめあげています。ある種の卒のなさを感じるのがグラミー賞受賞作らしいといった感じもするのですが。

評価:★★★★★

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