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2016年3月27日 (日)

仲間たちのリズム

Title:UTARHYTHM
Musician:OKI DUB AINU BAND

アイヌ民族出身のミュージシャン、OKI率いるOKI DUB AINU BANDの5年ぶりとなる新作。今回のアルバムタイトルの「UTARI」とはアイヌ語で「仲間」という意味。そこにリズムという言葉を重ねた造語。ただ、「仲間たちのリズム」というのは、OKI DUB AINU BANDのイメージにもピッタリくるような言葉に感じます。

「仲間」という言葉がピッタリに感じる曲は本作でも収録されています。「ARAHUY」「UTARI OPUNPAREWA」などはまさしくそんな「仲間たち」を意識させる曲。どちらもコールアンドレスポンス形式の楽曲で、仲間の連帯感が強まりそうな楽曲。彼らはもともとアイヌの民族音楽を取り入れたスタイルが大きな特徴であり、「ARAHUY」もまた道東地方の民族音楽だそうです。民族音楽といえば仲間の連帯を強めるためみんなで歌うスタイルの曲が多いのですが、まさにそんなイメージもピッタリくる作品と言えるでしょう。

そしてOKI DUB AINU BANDのもうひとつの大きな特徴としては、アイヌの民族音楽を取り入れながらも、そこに現在の音楽を融合させるスタイル。例えば「ARAHUY」はコールアンドレスポンスの中に強いビートのドラムが刻むリズムがインパクトとなっていますし、「UTARI OPUNPAREWA」はシンセのサウンドが楽曲にダイナミズムさを加えています。

今回のアルバムに関していえば、前半に関してはより「民族音楽」という部分が強く感じたのに対して後半はよりバンドサウンド、現在の音楽との融合という側面が強くなったように感じます。

例えば終盤の曲「TAMA KOOTO」はダブの要素を取り入れた楽曲で、ここはまさに「DUB AINU BAND」というバンド名の本領発揮といった感じでしょうか。「RERA TASA BOO」は楽曲全体を覆うようなホワイトノイズがドリーミーでサイケな空間を作り出している楽曲。最後を飾る「NT SPECIAL」ではソウルっぽいグルーヴさも感じます。

基本的なスタイルは前作「SAKHALIN ROCK」と同じ。またメンバーには本作でもドラムスに沼澤尚、エンジニアに内田直之が参加し、ロックリスナーにとってもなじみのある音づくりがされています。アイヌの音楽と現在の音楽の融合。彼らだけが奏でうる独特の音の世界にどっぷり楽しめる傑作です。

評価:★★★★★

OKI 過去の作品
SAKHALIN ROCK(OKI DUB AINU BAND)
北と南(OKI meets 大城美佐子)


ほかに聴いたアルバム

童謡/山本精一

ROVOやMOSTへの参加など様々なバンド、ユニットで精力的に活動を続ける山本精一のソロアルバム。「童謡」と書いて「わざうた」と読むようで、「世相等を風刺的に歌う古代のはやり唄」だそうです。楽曲はアコースティックなサウンドをベースにしんみりと歌い上げる曲がメイン。今回は「うた」を中心とした作品だそうで、本人も「いままででもっともポップ」と語っていますが、フォーキーで叙情的な雰囲気が印象的な、いい意味で聴きやすさのあるポップアルバムに仕上がっています。とはいえ、ところどころにサイケなギターが顔をのぞかせていますし、「ポップ」といっても決してわかりやすいサビでフックを効かせた、というタイプの曲ではないのですが。ポップな作品とはいえ、きちんと山本精一らしい「癖」も強く感じるアルバムでした。

評価:★★★★

山本精一 過去の作品
PLAYGROUND
PLAYGROUND acoustic+
ラプソディア
Falsetto

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