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2016年3月 6日 (日)

12年ぶりの新作!

Title:幸福
Musician:岡村靖幸

ついに、ついに岡村靖幸待望のニューアルバムがリリースされました!2011年には再録盤の「エチケット」を2枚同時にリリースしていましたが、純然たるオリジナルアルバムとしては前作「Me-imi」からなんと12年ぶりのアルバム。まさに待ちに待った1枚といっていいでしょう。

ただもっとも残念ながらこの12年というブランクは決して彼のアルバム制作活動が長く続き要してしまった時間ではありません。ご存じの通り、2度にわたる覚せい剤所持による逮捕、そして懲役という非常に残念な出来事があったためこれほどの月日がたってしまいました。しかしそれだけに無事復帰し、オリジナルアルバムをリリース出来た、ということだけでとてもうれしい出来事だったりします。

さらに今回のアルバム、そんなブランクをものともしない傑作に仕上がっていました。ファンキーなリズムでの楽しいダンスミュージックに、エロチックと純情さを兼ね備えた歌詞。本作で聴くことが出来る岡村靖幸の楽曲はまさにこれぞ岡村ちゃん!と感じることが出来る楽曲ぞろい。特に「ラブメッセージ」などはアレンジの雰囲気を含めて彼が精力的に活動していた90年代そのままの楽曲になっていますし、ちょっとメロウな雰囲気が漂う「彼氏になって優しくなって」もどこか90年代の匂いが漂う楽曲になっています。

それじゃあこの作品は90年代そのままの楽曲かと言われればそうでもなくて、例えば「新時代思想」などのエレクトロアレンジはいかにも今時。ラップを入れているスタイルも2010年代の今ならではといった感じがしますし、「ビバナミダ」などもメロディーや歌詞自体はいかにも岡村靖幸といった感じの曲調なのですが、強いビートのエレクトロサウンドは今時の雰囲気を感じます。

そんなこともあり今回のアルバム、90年代、精力的に活動していた時代の岡村靖幸と2016年の岡村靖幸を1枚のアルバムでむすびつけているアルバムといった印象を受けました。ただ2016年の岡村靖幸は90年代と比べて決定的な新機軸を示しているかといわれるとそうではなく、基本的にはいつもの岡村ちゃん。時代を超えて変わらない「岡村節」ともいえる彼の個性がしっかりと貫かれているアルバムでもありました。

今回のアルバム、純粋な新曲は3曲のみで残りはすべてシングルなど既発表曲という点はちょっと残念な部分ではありました。ただその点を差し引いてもはずれなしの名曲がズラリと並んだアルバムになっており、3度の覚せい剤所持による逮捕を乗り越えて、50歳を超えて脂にのりまくっている岡村靖幸の姿を感じることが出来ます。今回のアルバム、冒頭を飾る「できるだけ純情でいたい」はミディアムテンポのナンバーで、ファンキーなダンスチューンを期待していると肩すかしをくらうような出だしなのですが、インパクトという面でちょっと薄いミディアムテンポのナンバーを1曲目にあえて配置するあたり、このアルバムに対する自信もうかがうことが出来ます。

現在、このアルバムも含めツアーも数多く行い精力的な活動を続ける彼。このアルバムは間違いなく今年を代表する傑作に仕上がっていました。これからはまたコンスタントに名曲をリリースしてくれることを期待したいのですが・・・3度の逮捕の後、リハビリ施設に入ったという話も聞かないし、正直言って、本当に4度目がないのか心配な部分もあるのですが・・・。

評価:★★★★★

岡村靖幸 過去の作品
Me-imi~Premium Edition~
エチケット(パープルジャケット)
エチケット(ピンクジャケット)


ほかに聴いたアルバム

Shine/Crystal Kay

EXILEの事務所であるLDHに移籍して第1弾となるニューアルバム。LDH移籍が効いたのか久々のベスト10ヒットも記録するなど人気の面でも復活傾向にあります。本作は安室奈美恵やm-floのverbal、AK-69など豪華ゲストも話題に。楽曲は今時らしいエレクトロ主体のアレンジ。卒ない出来といった感じできちんと聴かせる今時のR&Bポップに仕上がっていますが、「無難」という印象がつきまとう作品に。ポップソングとしては悪い出来ではないものの、Crystal Kayらしさはあまり出ておらず、これをCrystal Kayが歌う必然性があるのか?という疑問も感じたアルバムでした。

評価:★★★

Crystal Kay 過去の作品
Shining
Color Change!
BEST of CRYSTAL KAY
THE BEST REMIXES of CK
FLASH
Spin The Music
LOVE SONG BEST
VIVID

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コメント

岡村ちゃんのはもうちょっと変態色が欲しかったですね・・・

投稿: ひかりびっと | 2019年4月 4日 (木) 19時33分

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