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2016年3月 5日 (土)

中毒性あるユニークな傑作

Title:女の46分
Musician:チャラン・ポ・ランタン

昨年リリースしたメジャーデビュー作「テアトル・テアトル」も大きな話題となった女性2人組ユニット、チャラン・ポ・ランタンの1年ぶりとなるメジャー2作目。一般的にサーカスの音楽とイメージされることの多いバルカン音楽にシャンソンの音楽を加えた、とても楽しく、同時に哀愁感も漂う音楽性が魅力的なユニット。祝祭色あふれる軽快な音楽は非常に中毒性の高い楽曲になっています。

今回のアルバムタイトルは「女の46分」というタイトルですが、このタイトル通りアルバムの長さはちょうど46分。そして歌詞のテーマもそのものズバリ「女」をテーマとした歌詞になっています。

前作は歌詞にいまひとつひねりがない点がマイナス点として指摘しました。正直今回のアルバムに関しても「女」をテーマとした題材としては少々ベタと感じられるような部分もあります。例えば「私間違ってた」の「間違っていた」スタイルの例示はちょっとステレオタイプにも感じさせます。ただそれ以上に「女」というテーマをユーモラスに切り取った歌詞がとてもおもしろさを感じさせてくれました。例えば「時計仕掛けの人生」では人生を1日に例えた歌詞がとてもおもしろいですし、「貴方の国のメリーゴーランド」も幻想な歌詞描写が彼女たちの音楽の世界にもマッチ。ゆとり世代をテーマとした「ちゃんとやってるもーん」もちょうどゆとり世代ドンピシャな彼女たちならではのテーマ性といった感じでしょう。

また楽曲的にもサーカスチックなどこか幻想的な雰囲気も混じる楽しいサウンドをベースとしながらも、「ちゃんとやってるもーん」ではチープな打ち込みを取り入れていたり、強い低音のリズムが特徴的な「テイラーになれないよ」のような新機軸の曲もあったり、「ミルクティー」のようなレトロな雰囲気の曲もあったり(ちょっと小島麻由美テイスト?)とバリエーション豊富で最後まで飽きさせません。

特にラストを飾る「ハバナギラ」がユニーク。イスラエル舞曲で結婚式の定番らしいのですが、ヘブライ語の歌詞が不思議な雰囲気を醸し出しており非常にユニーク。最後の最後まで個性的な音楽で楽しませてくれます。

前作では平坦さが気になったボーカルも今回の作品では表情がグッと増したように感じます。時にはコミカルに、時には迫力をもって歌い上げており、ボーカリストとしての成長も感じられました。

そんな訳で、前作「テアトル・テアトル」はおもしろいけど気になる点も多かった惜しい作品でしたが、今回の作品は非常に中毒性の高いおもしろい傑作に仕上がっていました。これはライブがとても楽しそうだなぁ。一度行ってみたいのですが・・・。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル


ほかに聴いたアルバム

MUSICK/宮沢和史

2014年にTHE BOOMを解散させ、さらに今年の春からは音楽活動を休止する宮沢和史のソロ集大成となるアルバム。新曲3曲にセルフカバー、さらにいままでのソロでの楽曲をおさめたベスト盤的な内容。楽曲はおなじみ沖縄民謡からブラジル音楽、スカ、さらには和の要素を入れた曲やディスコナンバーまで収録されており、ワールドミュージックを中心とした彼の幅広い興味が感じられる内容になっています。THE BOOMよりも活動の自由度の広がりは感じる反面、この内容ならTHE BOOMでもやれたのでは・・・とも思う部分も。そういう意味ではTHE BOOM解散後、ソロで積極的に活動する訳ではなく音楽活動を休止してしまったのは、やはりやりたい音楽をある程度やってしまった、という部分もあるのかなぁ、と感じました。

評価:★★★★★

宮沢和史 過去の作品
寄り道
MIYATORA(宮沢和史&TRICERATOPS)

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