豪華な参加メンバーも魅力的ですが。
Title:0655/2355 ソングBest! 明日がくるのをお知らせします
NHK教育テレビで、朝6時55分から放送されている「Eテレ0655」とその兄弟番組として夜23時55分から放送されている「Eテレ2355」。わずか5分のミニ番組ながら高視聴率を記録しているそうなのですが、その中で1日のはじまりとおわりにふさわしい「おはようソング」と「おやすみソング」が流れるそうです。このアルバムは、その「Eテレ0655」「2355」の中で流れている曲をまとめたベストアルバムです。
このミニ番組については残念ながらいままで一度も見たことはありません。今回、このアルバムを聴いてみたのはなにより豪華な参加メンバーに惹かれたから。レキシ、柴田聡子、GOING UNDERGROUNDの松本素生、細野晴臣、大橋トリオと名前を聴いただけで興味をひく豪華な面々がズラリと並んでいます。
ただ残念ながらこの豪華なメンバーが参加しているのはボーカルとしてのみ。主に作曲を担当しているのは近藤研二と堀江由朗・うちのますみ・佐藤雅彦というトリオ。ただ、こちら近藤研二は栗コーダーカルテットの元メンバー。堀江由朗・うちのますみ・佐藤雅彦はかの「だんご三兄弟」の作家でもあります(佐藤雅彦は「バザールでござーる」や「ピタゴラスイッチ」を手掛けた方としても知られていますね)。そんなメンバーによる作品なだけに、豪華な面々に惹かれて聴いた方にも十分満足できる名曲がそろっていました。
例えば「チョココロネをたべるのどっちから?」は柴田聡子のボーカルをきちんと生かしたピアノで軽快な楽しいナンバーですし、「小石川植物園に行ってみました1」などもアコギでしんみり聴かせつつ、実際に小石川植物園にいった気分になれる風景が浮かぶような描写が楽しいナンバー。童謡風の「toi toi toi!!」はなによりもデーモン小暮の歌のうまさが光るナンバーですし、「顕微鏡で覗く世界 ボルボックス編」はアコースティックギター1本でしんみりと聴かせる曲が(歌っている内容はともかく)心にしみてくるようなナンバー。BEGINの比嘉栄昇が歌う「あるヤドカリの唄」も沖縄民謡風に聴かせてくれますし、最後を締める「factory of dream 夢を作る工場 I don't want to play in your yard」は主に1940年代から60年代に活躍した歌手ペギー・リーによるナンバーなのですが、アコースティックに聴かせる優しい歌声が心に残るナンバーになっています。
歌詞も非常にユニークで、身近なことを題材にちょっとユーモラスな視点でまとめあげられたり、あるいはトリビア的なネタを加えたりしながら、難しいことを考えずに耳に残るような歌詞がメインとなっています。曲によっては映像を前提とした曲もあるのですが、シンプルな内容が多いだけにそんな曲でも映像抜きで楽しめる内容になっていました。
全28曲入り。1曲あたり2分弱の短い曲が並んでいるのですが、どの曲も難しいこと抜きにシンプルに楽しめる愉快な曲が並んでいました。番組も一度も見たことないのですが、これを機に見てみたいなぁ・・・。参加している豪華なメンバーも魅力的なのですが、それを抜きにしてもとても楽しめたアルバムでした。うーん「Eテレ」、あなどりがたし。ポップソングの楽しさを体現したような楽しい1枚でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
THE SAME AS YOU/SEAMO&AZU
ご存じSEAMOが女性シンガーAZUと組んでリリースしたコラボアルバム。ラッパーと女性シンガーといえば、いかにもよくありがちな、一昔前に流行った「着うた」系ヒットのスタイルで正直全く期待していなかったのですが・・・聴いてみたら予想以上にずっとよかったのでほっとしました。90年代に一世を風靡した「恋のマカレナ」をカバーした「DAKARENA」(=抱かれな)はシーもネーターばりの下ネタソングが気持ちいいですし、EDMチューンの「ドンマイDon't Cry」や80年代テイストを感じる「She is mine」などもなかなか心地よい作品。ポップで楽しくかつ踊れるというSEAMOらしさがきちんと出ていた意外と楽しめるアルバムでした。
評価:★★★★
SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説
REVOLUTION
TO THE FUTURE
LOVE SONG COLLECTION
CRASHED SEDAN DRIVE/SHERBETS
前作からわずか半年のインターバルでのリリースとなるSHERBETSの新作。前作はようやく今後に期待できそうな作品に仕上がっていましたが、一方本作は良くも悪くもベンジーらしい作品に。美しいメロディーラインなどところどころに光る部分はあるものの、全体的には目新しさはなく、悪い意味でまとまってしまった感じもしました。出来としては決して悪いわけじゃないと思うのですが・・・このままここで足踏みしてしまうのでしょうか。
評価:★★★
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