突然の新作リリース
Title:untitled unmastered.
Musician:Kendrick Lamar
おそらく今世界でもっとも注目を集めているラッパー・・・というよりも「HIP HOP」という枠組みにとらわれず、もっとも注目を集めるミュージシャン、Kendrick Lamar。昨年リリースされたアルバム「To Pimp a Butterfly」も各種メディアで軒並み年間1位を獲得。グラミー賞でも最多11部門にノミネートされるなど大きな話題となりました。
そんな彼が3月に突然リリースされた新作が本作。Twitterのアカウントで突如公表され、基本的にはダウンロードオンリーでの販売(アメリカではCDでも販売されたようですが)、全8曲入35分というミニアルバム程度のボリューム。全曲が「untitled」と名付けられた曲名なしの楽曲になっています。「untitled unmasterd.」というタイトル通りの若干ラフさを感じる内容で、7曲目の後半には録音風景まで収録されてます。ただそれでもアメリカのビルボードチャートでは見事1位を獲得するあたり、彼に対する高い注目を感じさせます。
楽曲的にはKendrick Lamarらしい比較的シンプルなサウンドに現代風のジャズの要素がちりばめられたサウンドにラップが重なるスタイルが特徴的。そういう意味では基本的には前作までの彼のスタイルの延長線上にある作品と言えるでしょう。
ただ一方で今回の作品はHIP HOP以上にソウルやファンク、あるいはジャズといった要素が強く感じさせるアルバムになっていたと思います。特にその傾向が強いのがアルバム後半。4曲目は2分弱という短い長さの曲なのですが、ソウルテイストの女性ボーカルが印象的なナンバー。5曲目もメロウな女性ボーカルを主軸にしつつ、リズミカルなドラムとジャジーなサックスが薄く重なるサウンドが印象的なソウルの色合いが濃い作品になっています。
6曲目もジャジーなトラックが印象的なナンバー。ラップでスタートしますが、途中、男性ボーカルによるソウルでメロウな歌パートが印象に残ります。特に印象に残るのが最後の8曲目。シンセによるファンキーなサウンドが強く耳に残るナンバー。軽快なラップがのる中で基本、ファンキーなリズムが貫かれており、その軽快で心地よいリズムが印象に残ります。
残念ながらダウンロード販売で聴いたために歌詞の内容はわからなかったのですが歌詞がわからなくても十分すぎるくらい彼の楽曲の魅力を堪能できるアルバムだったと思います。特に彼の、HIP HOP以外のブラックミュージックからの影響をより強く感じることができるアルバムだったと思います。彼は未発表曲のパフォーマンスを数多く披露しており、またサンプリングの権利関係で発売できない楽曲の数々があることを公表していました。それだけに、こういうタイプのアルバムが今後もリリースされる可能性があるかも??
評価:★★★★★
Kendrick Lamar 過去の作品
Good Kid M.a.a.D City
To Pimp A Butterfly
ほかに聴いたアルバム
The 30 Biggest Hits XXX/ROXETTE
ちょっと懐かしいなぁ~と思って聴いてみたスウェーデン出身の男女2人組ロックユニットロクセットのベスト盤。80年代後半から90年代にかけて数多くのヒット曲を世に送り出したユニットで、アラフォー世代以上にとっては懐かしさを感じる名前ではないでしょうか。結成30周年を迎えてリリースされたベスト盤のようですが、まさに一世を風靡した彼女たちらしくヒット曲揃いの内容になっています。
彼女たちの楽曲はほどよくハードなギターを聴かせつつ、メロディーはポップにまとめ上げているという点でまさに幅広い層が楽しめそうなポップスロックといった印象。しっかりとしたインパクトのあるサビをつくってくるという点ではJ-POP的な印象を受けますし、実際、90年代のJ-POPへの影響も少なからずあったように感じます。良くも悪くもJ-POP的な感覚で楽しめる作品。少々時代を感じさせる部分もあったりしますし、楽曲のバリエーションもさほど多くないため最後はお腹いっぱいになってきますが、懐かしい感情と共に聴き入ってしまうベスト盤でした。
評価:★★★★
American Beauty/American Psycho/Fall Out Boy
アメリカで絶大な人気を誇るポップパンクグループの1年7ヶ月ぶりとなる新作。ポップスパンクというよりは、エレクトロサウンドを取り入れつつ、分厚いサウンドでダイナミックに展開する構成に。もちろんポップなメロディーラインはいままで通り。ダイナミックなサウンドが心地よい作品でした。
評価:★★★★
Fall Out Boy 過去の作品
infinity on high
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