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2016年3月15日 (火)

実力派5人がゆるく連帯

Title:META
Musician;METAFIVE

今回紹介するMETAFIVEというグループ。本作がスタジオ録音としては初となるフルアルバムとなるのですが、非常に大きな注目を集めています。というのもこのバンド、超有名な実力派ミュージシャンたちが揃ったいわゆるスーパーグループだから。メンバーは高橋幸宏を中心に、小山田圭吾、砂原良徳、テイトウワ、コンドウトモヒコ、LEO今井という面々。もともとは高橋幸宏のユニットとして結成され、2014年のライブ「EX THEATER OPEINING SERIES 2014 NEW YEAR PREMIUM GO LIVE vol.1」限定として結成されたそうですが、その後も数々の音楽フェス、イベントに参加。そしてついにはアルバムリリースにまで至りました。

そんな大物たちが集まったグループがゆえに、良くも悪くも個性がぶつかりあって・・・といった予想もしつつ聴いてみたのですが、これが意外とお互いの個性を出しつつも、「YMOチルドレン」というキーワードをひとつの軸にしながらゆる~く連帯しているアルバムに感じました。そのため、個性がぶつかりあって火花がちっているような緊張感はないものの、それぞれの個性が様々なタイプの音としてアルバムにバリエーションを加えているようなアルバムになっていました。

インタビュー記事など読むと1人2曲を持ち寄ったそうですが、それが微妙にそれぞれのメンバーの色が出ているのがおもしろいところ。例えばMETAFIVE結成のきっかけとなり本作でも「META version」が収録されているテイトウワの「Radio」や同じくテイトウワが作曲で参加した「Albore」などはテイトウワらしい尖った中でもユーモラスを感じるエレクトロサウンドが特徴的。「Luv U Tokyo」などは砂原良徳らしい軽快なテクノポップのナンバーになっていますし、高橋幸宏作曲による「Anodyne」「Threads」などはメロウな曲調でちょっと落ち着いた大人な雰囲気を感じるナンバーになっています。

またLEO今井による「Disaster Baby」などは彼の端整なボーカルに軽快なエレクトロサウンドによりシングル向けとも言える、ある種のわかりやすさとインパクトを持ったナンバーに。同じく彼の手による「Maisie's Avenue」もシンプルでメロディアスなポップス色の強いナンバー。アルバムの中でひとつのアクセントになっています。

そしてなによりカッコいいのが冒頭を飾る「Don't Move」。エッジの効いたファンキーなサウンドが最高にカッコいい楽曲。LEO今井によるボーカルもピッタリはまって、アルバムの冒頭にふさわしい、まずはリスナーをギュッと惹きつけるナンバーになっています。

そんな訳で1曲1曲が微妙に違う色を持つナンバー。ただ、エレクトロサウンドに同じYMOからの影響というのを軸としてゆるくつながりを持っていて、アルバム全体としてはどこか統一感も覚えるアルバムになっていました。音的には今風にアップデートされている部分も大きいものの、流行のEDMなどとは無縁で、実力あるメンバーが自信をもって自分たちの音を届けようとしているアルバムにも感じます。

今回参加した5人のメンバーの名前にビビッと来たら間違いなく要チェックのアルバムだと思います。参加メンバーの実力はさすが伊達ではありません。またどこかゆるさと自由さも感じるだけに、今後もマイペースな活動になりそうですが、2枚目3枚目もリリースされそうな予感も・・・。これからのMETAFIVEにも期待できそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

The Reggae Power 2/SPICY CHOCOLATE and SLY&ROBBIE

日本のレゲエミュージシャンSPICY CHOCOLATEが、レゲエ界の重鎮、SLY&ROBBIEと組んでリリースした「The Reggae Power」の第2弾。前作はなんとグラミー賞にノミネートされるなど大きな注目を集めました。

その第2弾となる本作ですが、残念ながら前作のようなインパクトは薄く、わかりやすい形でのカッコよさはなくなってしまった感じはします。ただ非常に丁寧なつくりのアルバムといった印象で、地味だけどしっかりと聴かせるレゲエをつくりあげている真面目な仕事ぶりを感じさせるアルバムでした。後に印象に残りにくいのは残念ですが、レゲエが好きなら要チェックのアルバムには間違いないと思います。

評価:★★★★

SPICY CHOCOLATE and SLY & ROBBIE 過去の作品
THE REGGAE POWER

しるぶぷれっ!!!/The Mirraz

The Mirrazの新作はなんとEDMに挑戦。とはいえボーカル畠山承平の歌い方はいつも通りですし、今時の用語を取り入れつつ現在をシニカルに描写した歌詞はいつも通り。いつものThe Mirrazの曲をむりやりEDMにのっけてしまった感じ。そのためエレクトロサウンドに曲がいまひとつマッチしていない感もあり、特にボーカルの癖のある声が無機質なエレクトロサウンドとミスマッチを起こしています。ハイテンポなのは相変わらずなのですが、今回はあまりにも早すぎて歌詞が聴きとれなかった点も残念なところ。あらたな音へのチャレンジという挑戦心は買いますが、いまひとつ上手くいっていないようにも感じたアルバムでした。

評価:★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ
夏を好きになるための6の法則
OPPOTUNITY

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