どこかコミカルさも
Title:Painting With
Musician:Animal Collective
前々作「Merriweather Post Pavilion」が大きな評判を呼んだアメリカのインディーロックバンドAnimal Collective。ちょっと過剰とも思われるような美しい音の洪水に魅了されたアルバムでした。ただ一方、それに続く前作「CENTIPEDE HZ」はあまりにも過剰な音の世界に少々食傷気味になってしまったアルバム。個人的には少々過剰な音の世界が微妙なバランスの上に立っているバンド、という印象がありました。
今回のアルバムに関してもひとつの曲の中に様々な音が展開していきます。そういう意味では少々過剰気味とも言えるかもしれません。また今回のアルバムに関して特徴的だったのが非常にポップさを感じる軽いメロディーラインに、様々にからむ音はリズイカルで、どこかコミカルにも感じさせる点でした。
例えば「Hocus Pocus」はドラムスの強いリズムが鳴り響く中奏でられるエレクトロサウンドのスペーシーなサウンドがどこかコミカル。一言ずつボーカルを変えて歌っていくスタイルもコミカルさを感じます。この一言ずつボーカルを変えて言葉をつないで歌っていくというスタイルはその後「Spilling Guts」や「Summing The Wretch」でも展開されるのですが、いずれもどこかコミカルさを感じてしまいます。
またこの様々な音を入れつつもどこかコミカルさを感じるサウンドには同時にアバンギャルドな要素も感じました。例えば「Vertical」などがそうなのですが、次々と新しいサウンドが展開され、次がどのような音が来るのかわからないこのサウンド構成は実にアバンギャルドに感じます。
それでいて同時にポップスさも感じさせるのもまた、これは以前のAnimal Collectiveの楽曲も同様なのですが、ひとつの大きな特徴。例えば「Golden Gal」なども独特な展開のエレクトロサウンドを入れつつも、メロディーラインはインパクトすら感じさせるポップなものとなっています。
ただ、そんな今回のアルバム、最後まで聴いていて疲れてしまった前作と比べるとポップさが前に出てきてサウンドももうちょっとすっくりしていたため、聴いていて疲れた、といった感じはしませんでした。それでも・・・サウンド的に目新しいというかおもしろいと感じさせる要素は薄かったかも。一言ずつボーカルを変えて歌うスタイルも何曲も同じようなパターンが続いてしまっていてちょっと退屈だったし。また最後の「Michael Rember」も23分にも及ぶ実験的なエレクトロチューンなのですが、ちょっと長すぎてダレた。完全に蛇足だったかも。
ポップでコミカルなサウンドは純粋に楽しめた部分も大きかったのですが、前々作と比べるとやはり物足りなさが多かった点は否めませんでした。前作に続いてちょっと残念な部分を感じてしまったアルバムでした。
評価:★★★★
Animal Collective 過去の作品
Merriweather Post Pavilion
CENTIPEDE HZ
ほかに聴いたアルバム
Music Complete/New Order
約10年ぶりとなるNew Orderのニューアルバム。リズミカルなエレクトロチューンが全面的に展開。一方、そこに流れるメロディーラインはポップで哀愁さも感じます。EDMが流行っている昨今ですが、サウンドはそれなりに今風にアップデートされていながらも、流行りのEDMとは一線を画するサウンドに。良い意味でサウンドもメロもストレートな作風で、難しいこと抜きに楽しめる名盤でした。
評価:★★★★★
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コメント
New Orderのは頑張っていないようで頑張ってみせたベテランの意地をみせつける秀作ですね。
投稿: ひかりびっと | 2017年3月 7日 (火) 11時11分
>ひかりぴっとさん
New Orderはかなりのベテランバンドですが、まだまだがんばっていますよね!
投稿: ゆういち | 2017年3月10日 (金) 00時07分