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2016年3月

2016年3月31日 (木)

ベスト盤が1位2位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は1位2位とベスト盤が並びました。

まず今週の1位は5月1日をもって活動休止となるジャニーズ系アイドルグループKAT-TUNのベストアルバム「10TH ANNIVERSARY BEST “10Ks”」がランクインです。タイトル通り10周年を記念してのベストアルバム。初動売上は16万7千枚。直近のオリジナルアルバム「come Here」の7万5千枚(1位)からはさすがに大幅増となっています。ただベスト盤としてはこれが2枚目となり、2006年にリリースされた前作「Best of KAT-TUN」の55万6千枚(1位)からは大幅減となっています。

2位は先週1位を獲得したいきものがかりのベストアルバム「超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~」がワンランクダウンで2位をキープ。これで1位2位はベスト盤が並びました。

3位初登場は松野チョロ松&松野十四松(神谷浩史&小野大輔)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ チョロ松&十四松『バー』」。人気アニメ「おそ松さん」から、ドラマCDがベスト3入り。初動売上は3万1千枚。同シリーズの前作松野おそ松&松野一松(櫻井孝宏&福山潤)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ おそ松&一松『占い師』」の3万9千枚(2位)よりはダウンしています。

続いて4位以下の初登場です。5位に浦島坂田船「CRUISE TICKET」が初登場。ニコニコ動画で人気を集める男性ボーカルグループのメジャーデビューアルバムだそうです。初動売上は1万4千枚でデビュー作ながらベスト10入りを記録しています。

6位には韓流の男性アイドルグループU-KISS「One Shot One Kill」がランクイン。日本での5枚目となるアルバム。初動売上は1万2千枚。直近作は企画盤「THE CHRISTMAS ALBUM」で、こちらの初動8千枚(12位)よりはアップ。オリジナルとしての前作「Action」の2万枚(4位)からは大きくダウンしてしまいました。

7位8位にはアイドル育成ゲームのアルバムが並んでいます。7位には女性向けアイドル育成ゲームアイ★チュウより「soleil」が、8位には男性向けアイドル育成ゲーム、アイドルマスターよりライブをテーマとしたアルバム「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 06」がそれぞれランクイン。前作は初動1万1千枚、後作は初動1万枚を記録。ちなみにアイドルマスターは同シリーズの前作「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 05」(8位)から横バイの結果となっています。

9位初登場は浜崎あゆみ「A BEST -15th Anniversary Edition-」が入ってきました。2001年にリリースされた浜崎あゆみのベスト盤を、発売からちょうど15年目の3月28日にリマスター盤として再リリースしたアルバム。初動売上は9千枚。直近作はクラシックアルバム「Winter diary~A7 Classical~」の8千枚(11位)。ちょうど発売日から15年目にリリースされたため月曜日販売となりフライング販売分のみの売上となりました。この手のリマスターアルバムの売上としてはさすがというべきか全然伸びないというか微妙なところ。

最後10位には人気女性声優豊崎愛生「all time Lovin'」がランクインしています。前々作「love your life,love my life」以来アルバムでは2作ぶりのベスト10入り。ただし初動売上は7千枚で前作「Love letters」の1万枚(13位)を下回りました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年3月30日 (水)

今週は女性アイドルグループだらけ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

1位の恩恵にあずかるためでしょうか、今週は女性アイドルグループが目立つチャートとなりました。

まず1位は乃木坂46「ハルジオンが咲く頃」がランクイン。清純派路線の爽やかな王道アイドルポップ。初動売上74万9千枚は前作「今、話したい誰かがいる」の62万6千枚(1位)よりアップ。

2位初登場もアイドルグループ東京パフォーマンスドール「逆光×礼賛」。浅倉大介作曲による思いっきり浅倉大介らしいトランシーなナンバー。初動売上3万9千枚は前作「DREAMIN'」の3万7千枚(3位)より若干のアップ。

3位初登場も女性アイドルグループ。avex初の女性アイドルグループGEM「Fine! ~fly for the future~」。90年代のavexサウンドを彷彿するようなエレクトロダンスチューン。初動売上2万5千枚は前作「Baby,Love me!」の1万枚(18位)から大幅アップし2作ぶりのベスト10ヒットで3位は自己最高位。ただ単純に販売形態がCDで11種類(前作は1種類のみ。ただしミュージックカードで10種類販売)と大幅に増加した影響の模様。

女性アイドルグループの初登場はもう1組。6位に福岡のローカルアイドルグループLinQ「Supreme」がランクイン。本人たち主演の映画「みんな好いとうと♪」主題歌。初動売上1万5千枚は前作「LinQuest~やがて伝説へ…」(8位)から横バイ。

他の初登場曲は・・・アイドル系以外の最高位は5位に演歌歌手山内惠介「流転の波止場」。これといって特徴も目新しさもない演歌で単純にアイドル人気に寄ったヒットといった感じでしょうか。初動売上1万9千枚は前作「スポットライト」の1万2千枚(10位)から大きくアップ。

初登場曲は今週はあと1枚。10位にヴィジュアル系バンドNIGHTMARE「Awakening.」が入ってきました。前々作「blur」より2作ぶりのベスト10入り。ただし初動売上1万枚は前作「落園」の1万1千枚(15位)から若干のダウンです。

今週の初登場は以上ですが、今週は1曲、ベスト10圏外からの返り咲きがありました。それは先週のベスト50圏外から4位にランクアップしたコブクロ「未来」。昨年の12月28日付チャートで初登場4位を獲得して以来のベスト10入り。これは本作が主題歌を担当した映画「orange-オレンジ-」とコラボした「Spring Package」が3万枚の生産限定で発売された影響のようです。売上的には2万1千枚を売り上げての4位ランクインでした。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年3月29日 (火)

バンドのキャラクター性を生かし切った傑作

Title:不良品
Musician:氣志團

ここ最近、シングルが再びベスト10入りしてくるようになり人気が再燃してきた氣志團。なぜここに来ていきなり?タイアップに恵まれたからか??などと若干いぶかしく思っていました。そんな中でリリースされた約3年9ヶ月ぶりとなる氣志團のニューアルバム。人気再燃に伴いアルバムでもオリジナルとしては4作ぶりにベスト10ヒットをするなど順調な売上を記録しているようです。

しかし今回のアルバム、聴いてみてビックリしました。それは本作が予想を大きく上回る傑作となっていたから。氣志團といえばキャラクター設定に基づいた楽曲のユーモアさはともかくとして楽曲自体はベタな80年代のビートロック。それはそれであえて狙って演っている部分はあるのですが、正直、楽曲自体を切り取ると少々物足りなさも感じてしまっていました。

今回のアルバムにもそのベタなビートロック路線はもちろん収録されています。「幸せにしかしねーから」なんかはその典型例。歌詞も典型的なヤンキーイメージで特にひねりもありませんし、少々男尊女卑的な内容でも許容されるのは氣志團のキャラクター性があるからでしょう。氣志團らしい曲なのですがその反面、楽曲のみを切り取ると、正直あまり面白味はありません。

しかし今回のアルバムはそんなよくも悪くも氣志團らしいビートロックのみならず様々なタイプの楽曲が収録されていました。オープニングの「Bring it on!」はEDMチューンですし、続く「喧嘩上等」はキャバレーロック。「アビイ・ロード」は木更津の床屋について歌った曲なのですが、タイトルから想像できるイメージ通り、マージービートのナンバーですし、「恋のタラレバ」はハードコア風で、どこかマキシマム・ザ・ホルモン風な雰囲気も・・・(となるとタイトルは「恋のメガラバ」のパロディーか?)。

そんなバラエティー富んだ楽曲の数々も魅力的だったのですが、今回のアルバムで一番魅力的だったのは楽曲が氣志團というバンドとメンバーそれぞれのキャラクター性をしっかりと生かしていた、という点でしょう。メンバーそれぞれの自己紹介ソングでもある「ツッパリHigh School Mucical(登場編)」からはじまり、綾小路翔以外のメンバーがメインをつとめる曲も収録。それもそれぞれが趣味性をいかんなく発揮しており、「トミーのここまで言って委員会(仮)」はHIP HOP風ですし、「元祖早乙女光伝説」は思いっきり特撮ドラマの主題歌のような楽曲に仕上がっています。

「16歳」「ロックバンド」のような青春期のノスタルジーあふれる歌詞もまた氣志團というバンドのキャラクター性に沿っており魅力的。「16歳」は心を許せる友人との出会いを描いた未来に対する希望を感じる曲。「もっと自由で良いよ」という歌詞といい、「16歳」という年齢といい、尾崎豊の「15の夜」の次を歌ったようにも感じます。「ロックバンド」は星グランマニエがボーカルを取ったオルタナ系のギターポップ。氣志團の普段の作風とはちょっと異なるメロディーラインをしっかり聴かせるナンバーで、これもまた幅広い楽曲のタイプという本作の魅力のひとつを形作っている作風となっています。

アルバムは「ツッパリHigh School Mucical(出発編)」で一区切り。ミュージカルのフィナーレを彷彿とさせるような楽曲で、おそらくここまでが「本編」というイメージなのではないでしょうか。だとすると、その後に控えるアンコール曲2曲が実に素晴らしい。タイトルチューンでもある「不良品」は綾小路翔が氣志團と、他のメンバーに対する想いを綴った楽曲。その歌詞にグッと来る、一聴の価値がある楽曲をアコギ一本で聴かせてくれます。そしてラストの「ライバル」は逆にメンバー全員がそれぞれの想いを語るナンバー。このラストの流れは氣志團というバンドやメンバーへのメンバー全員の強い思いを感じることが出来る楽曲で、アルバムのラストに実にふさわしい楽曲になっています。

正直なところ氣志團というバンドは、「ヤンキー」というキャラクター一本勝負なところがあり、ここ最近は完全に「ネタ切れ」という印象がありました。それだけにこれからの活動は厳しいなぁ・・・と思っていたのですが、まさかそんな中、ここまでの傑作がリリースされるとは思ってもいませんでした。氣志團というキャラクターをきちんと生かした極上のエンタテイメント作品。まだこの手があったか!とすら感心してしまう内容。氣志團というバンドは私が思っていたよりもずっとずっと才能も実力もあるバンドなんですね・・・間違いなく氣志團というバンドの最高傑作であり、年間ベストクラスの傑作。まだまだ彼らの活躍から目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

氣志團 過去の作品
房総魂~Song For Route 127
木更津グラフィティ
蔑衆斗 呼麗苦衝音
日本人
氣志團入門


ほかに聴いたアルバム

10(TEN)/大橋トリオ

タイトル通り10枚目となる大橋トリオの新作。斉藤和義とコラボを組んだ「恋するライダー」をはじめ、全体的には若干ロック志向になっているような印象が。ただ基本的な路線としてはピアノの音色を軸にジャズの要素を組み込んだ「大人のポップス」という志向性は同一。良くも悪くも大橋トリオらしい楽曲を貫いて安心して聴ける良質なポップスアルバムになっています。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY

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2016年3月28日 (月)

どこかコミカルさも

Title:Painting With
Musician:Animal Collective

前々作「Merriweather Post Pavilion」が大きな評判を呼んだアメリカのインディーロックバンドAnimal Collective。ちょっと過剰とも思われるような美しい音の洪水に魅了されたアルバムでした。ただ一方、それに続く前作「CENTIPEDE HZ」はあまりにも過剰な音の世界に少々食傷気味になってしまったアルバム。個人的には少々過剰な音の世界が微妙なバランスの上に立っているバンド、という印象がありました。

今回のアルバムに関してもひとつの曲の中に様々な音が展開していきます。そういう意味では少々過剰気味とも言えるかもしれません。また今回のアルバムに関して特徴的だったのが非常にポップさを感じる軽いメロディーラインに、様々にからむ音はリズイカルで、どこかコミカルにも感じさせる点でした。

例えば「Hocus Pocus」はドラムスの強いリズムが鳴り響く中奏でられるエレクトロサウンドのスペーシーなサウンドがどこかコミカル。一言ずつボーカルを変えて歌っていくスタイルもコミカルさを感じます。この一言ずつボーカルを変えて言葉をつないで歌っていくというスタイルはその後「Spilling Guts」「Summing The Wretch」でも展開されるのですが、いずれもどこかコミカルさを感じてしまいます。

またこの様々な音を入れつつもどこかコミカルさを感じるサウンドには同時にアバンギャルドな要素も感じました。例えば「Vertical」などがそうなのですが、次々と新しいサウンドが展開され、次がどのような音が来るのかわからないこのサウンド構成は実にアバンギャルドに感じます。

それでいて同時にポップスさも感じさせるのもまた、これは以前のAnimal Collectiveの楽曲も同様なのですが、ひとつの大きな特徴。例えば「Golden Gal」なども独特な展開のエレクトロサウンドを入れつつも、メロディーラインはインパクトすら感じさせるポップなものとなっています。

ただ、そんな今回のアルバム、最後まで聴いていて疲れてしまった前作と比べるとポップさが前に出てきてサウンドももうちょっとすっくりしていたため、聴いていて疲れた、といった感じはしませんでした。それでも・・・サウンド的に目新しいというかおもしろいと感じさせる要素は薄かったかも。一言ずつボーカルを変えて歌うスタイルも何曲も同じようなパターンが続いてしまっていてちょっと退屈だったし。また最後の「Michael Rember」も23分にも及ぶ実験的なエレクトロチューンなのですが、ちょっと長すぎてダレた。完全に蛇足だったかも。

ポップでコミカルなサウンドは純粋に楽しめた部分も大きかったのですが、前々作と比べるとやはり物足りなさが多かった点は否めませんでした。前作に続いてちょっと残念な部分を感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★

Animal Collective 過去の作品
Merriweather Post Pavilion
CENTIPEDE HZ


ほかに聴いたアルバム

Music Complete/New Order

約10年ぶりとなるNew Orderのニューアルバム。リズミカルなエレクトロチューンが全面的に展開。一方、そこに流れるメロディーラインはポップで哀愁さも感じます。EDMが流行っている昨今ですが、サウンドはそれなりに今風にアップデートされていながらも、流行りのEDMとは一線を画するサウンドに。良い意味でサウンドもメロもストレートな作風で、難しいこと抜きに楽しめる名盤でした。

評価:★★★★★

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2016年3月27日 (日)

仲間たちのリズム

Title:UTARHYTHM
Musician:OKI DUB AINU BAND

アイヌ民族出身のミュージシャン、OKI率いるOKI DUB AINU BANDの5年ぶりとなる新作。今回のアルバムタイトルの「UTARI」とはアイヌ語で「仲間」という意味。そこにリズムという言葉を重ねた造語。ただ、「仲間たちのリズム」というのは、OKI DUB AINU BANDのイメージにもピッタリくるような言葉に感じます。

「仲間」という言葉がピッタリに感じる曲は本作でも収録されています。「ARAHUY」「UTARI OPUNPAREWA」などはまさしくそんな「仲間たち」を意識させる曲。どちらもコールアンドレスポンス形式の楽曲で、仲間の連帯感が強まりそうな楽曲。彼らはもともとアイヌの民族音楽を取り入れたスタイルが大きな特徴であり、「ARAHUY」もまた道東地方の民族音楽だそうです。民族音楽といえば仲間の連帯を強めるためみんなで歌うスタイルの曲が多いのですが、まさにそんなイメージもピッタリくる作品と言えるでしょう。

そしてOKI DUB AINU BANDのもうひとつの大きな特徴としては、アイヌの民族音楽を取り入れながらも、そこに現在の音楽を融合させるスタイル。例えば「ARAHUY」はコールアンドレスポンスの中に強いビートのドラムが刻むリズムがインパクトとなっていますし、「UTARI OPUNPAREWA」はシンセのサウンドが楽曲にダイナミズムさを加えています。

今回のアルバムに関していえば、前半に関してはより「民族音楽」という部分が強く感じたのに対して後半はよりバンドサウンド、現在の音楽との融合という側面が強くなったように感じます。

例えば終盤の曲「TAMA KOOTO」はダブの要素を取り入れた楽曲で、ここはまさに「DUB AINU BAND」というバンド名の本領発揮といった感じでしょうか。「RERA TASA BOO」は楽曲全体を覆うようなホワイトノイズがドリーミーでサイケな空間を作り出している楽曲。最後を飾る「NT SPECIAL」ではソウルっぽいグルーヴさも感じます。

基本的なスタイルは前作「SAKHALIN ROCK」と同じ。またメンバーには本作でもドラムスに沼澤尚、エンジニアに内田直之が参加し、ロックリスナーにとってもなじみのある音づくりがされています。アイヌの音楽と現在の音楽の融合。彼らだけが奏でうる独特の音の世界にどっぷり楽しめる傑作です。

評価:★★★★★

OKI 過去の作品
SAKHALIN ROCK(OKI DUB AINU BAND)
北と南(OKI meets 大城美佐子)


ほかに聴いたアルバム

童謡/山本精一

ROVOやMOSTへの参加など様々なバンド、ユニットで精力的に活動を続ける山本精一のソロアルバム。「童謡」と書いて「わざうた」と読むようで、「世相等を風刺的に歌う古代のはやり唄」だそうです。楽曲はアコースティックなサウンドをベースにしんみりと歌い上げる曲がメイン。今回は「うた」を中心とした作品だそうで、本人も「いままででもっともポップ」と語っていますが、フォーキーで叙情的な雰囲気が印象的な、いい意味で聴きやすさのあるポップアルバムに仕上がっています。とはいえ、ところどころにサイケなギターが顔をのぞかせていますし、「ポップ」といっても決してわかりやすいサビでフックを効かせた、というタイプの曲ではないのですが。ポップな作品とはいえ、きちんと山本精一らしい「癖」も強く感じるアルバムでした。

評価:★★★★

山本精一 過去の作品
PLAYGROUND
PLAYGROUND acoustic+
ラプソディア
Falsetto

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2016年3月26日 (土)

ラストアルバム

Title:Sea and The Darkness
Musician:Galileo Galilei

今年4月まで続く予定のライブツアーを最後にバンドの「終了」を宣言したギターロックバンドGalileo Galilei。本作はその彼らのラストアルバムとなります。

Galileo Galileiといえば、バンド当初からアルバム毎にそのスタイルを大きく変えてきたバンドでした。デビュー当初は楽曲がauのCMソングとなったり進研ゼミのCMソングとなったりと、かなり強いバックアップを受けた売れ線のギターロックバンドというイメージ。それがメジャー2枚目「PORTAL」ではエレクトロサウンドを大胆に取り入れてそれまでの「売れ線」というイメージを一新しファンを驚かさせました。さらにミニアルバムを挟み3枚目「ALARMS」ではギターロックに回帰。今度はシューゲイザー色の強い作品となり、基本的には「PORTAL」の変化に比べればその驚きは少なかったものの、また方向性を変えてくる作品となりました。

その後ミニアルバム1枚を挟みリリースされたのが今回のアルバム。基本的にギターのホワイトノイズを聴かせつつドリーミーなサウンドを聴かせるというスタイルは前作「ALARMS」を踏襲した方向性に感じます。

ただ一方ではアルバム後半は比較的シンプルでポップ志向なギターロック。特に先行シングルにもなった「恋の寿命」はよくあるタイプのストレートなオルタナ系ギターロックで、メロディーラインも良くも悪くもベタ。デビュー当初の「売れ線」路線がチラッと顔をのぞかせたような作品になっています。同じく先行シングルでもある「クライマー」もアップテンポなオルタナ系ギターロック。ダイナミックさも感じるギターサウンドは心地よいのですが、こちらも良くも悪くもベタさを感じます。

そんなドリーミーな路線とギターロック路線を2本立てとしながら、アルバム全体としてはラストアルバムらしい、彼らのやりたいことを好き勝手詰め込んだ作品に感じました。序盤の「カンフーボーイ」は60年代のガレージロックの雰囲気を感じますし、アルバムの中でもユニークあった「ベッド」はAimerをゲストボーカルに迎えて50年代のガールズポップの雰囲気を漂わせたポップとなっています。

他にもAOR風な「Sea and The DarknessII」なんて曲もあったり、自由な作風が目立つ作品。ただその結果、アルバム全体としてはいまひとつ、一つの軸を感じされないアルバムになってしまったように思います。それはGalileo Galileiというミュージシャンのいままでの活動にも感じた部分があり、確かに様々な音楽性への挑戦という意欲は買う部分が大きいものの、目新しさという部分はちょっと薄く、ミュージシャンとしての一本の柱がちょっと細いようにも感じていました。その彼らの特徴が良くも悪くも今回のアルバムでは強く出たように感じました。

そういう意味ではラストアルバムらしいラストアルバムと言えるのかもしれません。これが最後で残念・・・というよりもGalileo Galileiというバンドを続けるには限界が来たのかなぁ、とも感じてしまうアルバムでした。メンバーそれぞれのこれからの活躍に期待したいところです。

評価:★★★★

Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL
Baby,It's Cold Outside
ALARMS
SEE MORE GLASS


ほかに聴いたアルバム

ワイルド・サイドを行け/GLIM SPANKY

男女2人組ロックデゥオによるミニアルバム。ルーツ志向のブルースロック、ハードロックを奏でつつもポップなメロディーラインは良い意味でのベタさも感じて聴きやすい楽曲・・・とうーん、はっきりいってSUPERFLYそのまんま、といった感じ・・・。いや「劣化版SUPERFLY」とは言えないだけのしっかりしたサウンドとメロディーを奏でているんですよ。ただ、このままだとSUPERFLYと明確な差がないように感じてしまいます・・・。次回作でもっとGLIM SPANKYだけしか奏でらない何かを聴きたいのですが。

評価:★★★★

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2016年3月25日 (金)

突然の新作リリース

Title:untitled unmastered.
Musician:Kendrick Lamar

おそらく今世界でもっとも注目を集めているラッパー・・・というよりも「HIP HOP」という枠組みにとらわれず、もっとも注目を集めるミュージシャン、Kendrick Lamar。昨年リリースされたアルバム「To Pimp a Butterfly」も各種メディアで軒並み年間1位を獲得。グラミー賞でも最多11部門にノミネートされるなど大きな話題となりました。

そんな彼が3月に突然リリースされた新作が本作。Twitterのアカウントで突如公表され、基本的にはダウンロードオンリーでの販売(アメリカではCDでも販売されたようですが)、全8曲入35分というミニアルバム程度のボリューム。全曲が「untitled」と名付けられた曲名なしの楽曲になっています。「untitled unmasterd.」というタイトル通りの若干ラフさを感じる内容で、7曲目の後半には録音風景まで収録されてます。ただそれでもアメリカのビルボードチャートでは見事1位を獲得するあたり、彼に対する高い注目を感じさせます。

楽曲的にはKendrick Lamarらしい比較的シンプルなサウンドに現代風のジャズの要素がちりばめられたサウンドにラップが重なるスタイルが特徴的。そういう意味では基本的には前作までの彼のスタイルの延長線上にある作品と言えるでしょう。

ただ一方で今回の作品はHIP HOP以上にソウルやファンク、あるいはジャズといった要素が強く感じさせるアルバムになっていたと思います。特にその傾向が強いのがアルバム後半。4曲目は2分弱という短い長さの曲なのですが、ソウルテイストの女性ボーカルが印象的なナンバー。5曲目もメロウな女性ボーカルを主軸にしつつ、リズミカルなドラムとジャジーなサックスが薄く重なるサウンドが印象的なソウルの色合いが濃い作品になっています。

6曲目もジャジーなトラックが印象的なナンバー。ラップでスタートしますが、途中、男性ボーカルによるソウルでメロウな歌パートが印象に残ります。特に印象に残るのが最後の8曲目。シンセによるファンキーなサウンドが強く耳に残るナンバー。軽快なラップがのる中で基本、ファンキーなリズムが貫かれており、その軽快で心地よいリズムが印象に残ります。

残念ながらダウンロード販売で聴いたために歌詞の内容はわからなかったのですが歌詞がわからなくても十分すぎるくらい彼の楽曲の魅力を堪能できるアルバムだったと思います。特に彼の、HIP HOP以外のブラックミュージックからの影響をより強く感じることができるアルバムだったと思います。彼は未発表曲のパフォーマンスを数多く披露しており、またサンプリングの権利関係で発売できない楽曲の数々があることを公表していました。それだけに、こういうタイプのアルバムが今後もリリースされる可能性があるかも??

評価:★★★★★

Kendrick Lamar 過去の作品
Good Kid M.a.a.D City
To Pimp A Butterfly


ほかに聴いたアルバム

The 30 Biggest Hits XXX/ROXETTE

ちょっと懐かしいなぁ~と思って聴いてみたスウェーデン出身の男女2人組ロックユニットロクセットのベスト盤。80年代後半から90年代にかけて数多くのヒット曲を世に送り出したユニットで、アラフォー世代以上にとっては懐かしさを感じる名前ではないでしょうか。結成30周年を迎えてリリースされたベスト盤のようですが、まさに一世を風靡した彼女たちらしくヒット曲揃いの内容になっています。

彼女たちの楽曲はほどよくハードなギターを聴かせつつ、メロディーはポップにまとめ上げているという点でまさに幅広い層が楽しめそうなポップスロックといった印象。しっかりとしたインパクトのあるサビをつくってくるという点ではJ-POP的な印象を受けますし、実際、90年代のJ-POPへの影響も少なからずあったように感じます。良くも悪くもJ-POP的な感覚で楽しめる作品。少々時代を感じさせる部分もあったりしますし、楽曲のバリエーションもさほど多くないため最後はお腹いっぱいになってきますが、懐かしい感情と共に聴き入ってしまうベスト盤でした。

評価:★★★★

American Beauty/American Psycho/Fall Out Boy

アメリカで絶大な人気を誇るポップパンクグループの1年7ヶ月ぶりとなる新作。ポップスパンクというよりは、エレクトロサウンドを取り入れつつ、分厚いサウンドでダイナミックに展開する構成に。もちろんポップなメロディーラインはいままで通り。ダイナミックなサウンドが心地よい作品でした。

評価:★★★★

Fall Out Boy 過去の作品
infinity on high

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2016年3月24日 (木)

新譜ラッシュを制したのは・・・?

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は10枚中9枚が初登場という新譜ラッシュとなりました。

今週の1位はいきものがかりのベストアルバム「超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~」が獲得しました。デビュー10周年を記念してリリースされたベストアルバム。通常盤で3枚組、初回盤はさらに1枚追加され豪華4枚組という内容になっています。初動売上は13万6千枚。直近のオリジナルアルバム「FUN!FUN!FANFARE!」の10万1千枚(1位)からはアップ。ただベスト盤としては2010年に「いきものばかり」をリリースしており、約5年半というインターバルはあるものの、「いきものばかり」の初動45万7千枚(1位)よりは大幅ダウンしています。

2位初登場はロックバンドflumpool「EGG」。途中にベスト盤のリリースはありましたが、オリジナルとしては約4年4ヶ月ぶり、久々のニューアルバムとなります。初動売上は2万枚。直近のベスト盤「The Best 2008-2014『MONUMENT』」の4万1千枚(3位)からはダウン。オリジナルとしての前作「experience」の5万枚(5位)からも半減以下という結果となっており、厳しい結果となりました。

3位には大滝詠一「DEBUT AGAIN」が入ってきました。「はっぴいえんど」のメンバーとしてデビュー。ソロ活動以降はナイアガラサウンドと呼ばれる独自のサウンドを確立し数多くのミュージシャンへ影響を与えた彼。2013年の年末に急逝し、多くの音楽ファンがショックを受けました。本作は彼が数多くのミュージシャンへ提供した楽曲を自らのボーカルで歌った曲を集めたアルバム。ベスト盤を除く大滝詠一名義のアルバムとしては1984年の「EACH TIME」以来32年ぶりのアルバムという位置づけだそうです。初動売上は2万枚。直近作は「NIAGARA MOON 40th Anniversary Edition」で初動売上4千枚(20位)なのでこちらからはもちろん大幅にアップ。おととしリリースされたベスト盤「Best Always」の3万7千枚(2位)よりはダウンしています。

続いて4位以下の初登場です。4位には韓国の男性アイドルグループB1A4「3」が入ってきました。タイトル通り日本では3枚目おなるオリジナルアルバム。4位はアルバムでは自己最高位ですが、初動売上1万1千枚は前作「2」の1万3千枚(9位)よりダウンしています。

5位にはロックバンドNICO Touches the Walls「勇気も愛もないなんて」がランクインです。途中、ベスト盤やアコースティックアレンジのアルバムリリースはあったものの純粋なオリジナルアルバムとしては約3年ぶりとなるアルバム。初動売上1万枚は直近作のアコースティックアレンジアルバム「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」の6千枚(10位)よりアップ。オリジナルとしての前作「Shout to the Walls!」の1万枚(5位)からは横バイ。久々のアルバムでこの結果は健闘といったところでしょう。

6位には女性シンガーMay J.「Sweet Song Covers」が入ってきています。80年代の歌謡曲中心となるカバーアルバム。「Let It Go~ありのままで~」のカバーのヒットで一躍ブレイクした彼女ですが、これで直近、3作連続カバーアルバムのリリースとなりました。初動売上は8千枚。前作「May J. sings Disney」の9千枚(6位)かば微減。なんだかんだいっても一定以上は売れるカバーが無難と言った感じなのでしょうか。

7位初登場はシンガーソングライター角松敏生「SEA BREEZE 2016」。1981年にリリースされた彼のデビューアルバムを、デビュー35周年を記念してリミックスした作品。アルバムでは2003年にリリースされたコンセプトアルバム「Summer 4 Rhythm」で記録した最高位9位以来、13年ぶりとなるベスト10ヒット。ただし初動売上7千枚は前作「THE MOMENT」の8千枚(16位)より若干ダウンしています。

残る初登場2枚はアニメ系。8位にあんこうチーム、ChouCho、佐咲紗花「パチンコ・パチスロ『ガールズ&パンツァー』ボーカルミニアルバム「音楽道、はじめました!」」がランクイン。こちらはアニメ「ガールズ&パンツァー」のパチンコ・パチスロ機のために書き下ろされた楽曲を集めたアルバム。初動売上7千枚。9位にAIKATSU☆STARS!「TVアニメ/データカードダス『アイカツ!』3rdシーズンベストアルバム「Lovely Party!!」」がランクイン。こちらはタイトル通り、アニメ「アイカツ!」のベストアルバム。AIKATSU☆STARS!名義では初となるベスト10ヒット。初動売上6千枚は前作「TVアニメ/データカードダス「アイカツ!」4thシーズン挿入歌ミニアルバム「Wonderful Tour」」の4千枚(23位)よりアップしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年3月23日 (水)

また日韓の男性アイドルグループが・・・

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

よくあるパターンなのですが・・・1位2位に日韓の男性アイドルグループが並びました。

1位はジャニーズ系、Kis-My-Ft2「Gravity」がランクイン。日テレ系ドラマ「MARS~ただ、君を愛してる~」主題歌。基本的なメロディーラインはいかにもジャニーズ系といった感じの曲に、アレンジは今風のEDMが載った感じ。初動売上21万2千枚は前作「最後もやっぱり君」の19万1千枚からアップし、ここ2作増加傾向。

2位はHIP HOPグループという体裁の韓流男性アイドルグループ防弾少年団「RUN-Japanese Ver.-」がランクイン。まあ「HIP HOP」といってサビの部分では普通のアイドルポップになるのですが。初動売上12万4千枚は前作「I NEED U(Japanese Ver.)」の9万5千枚(3位)からアップ。

3位初登場はVOICE by トト子 feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松×トド松「SIX SHAME FACES ~今夜も最高!!!!!!~」が入ってきました。大人気アニメ、テレビ東京系「おそ松さん」エンディングテーマ。初動売上4万9千枚。「おそ松さん」がらみのシングルでは直近作、オープニングテーマA応P「全力バタンキュー」が初動2万5千枚(2位)でこちらよりは大幅アップ。エンディングテーマの前作イヤミ feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松×トド松「SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~」の6万6千枚(3位)よりはダウンしています。

続いて4位以下の初登場です。まず4位に男性声優下野紘「リアル-REAL-」がランクイン。前向き応援歌的な歌詞も、メロディーラインも90年代のヴィジュアル系バンドを彷彿とさせるような楽曲。初動売上は2万3千枚。ソロ名義では初となるシングルです。

6位にはケツメイシ「さらば涙」が入ってきました。DHCのCMソング。テンポよいリズミカルなトラックに切ないメロがのるケツメイシらしい楽曲。初動1万4千枚は前作「RHYTHM OF THE SUN」の1万1千枚(10位)からアップ。約1年9ヶ月ぶりという久々のシングルとなりましたが、そこそこ健闘した結果となっています。

7位初登場はJY「最後のサヨナラ」。KARAの元メンバーであるジヨンによるソロデビュー作。日テレ系ドラマ「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」主題歌。楽曲はピアノバラードでちょっと古内東子っぽい雰囲気が。初動売上は1万3千枚。ちなみに同じくKARAの元メンバー、ニコルのソロデビュー作「Something Special」は初動1万1千枚(8位)でしたので、そちらよりは若干ですが上回る結果となっています。

8位にはDEEP「MAYDAY」がランクイン。EXILEの弟分的な男性ボーカルグループ。初動1万1千枚は前作「ラスト・グッバイ」の1万6千枚(7位)よりダウン。前作はMUSIC CARD5種でドーピングしてきましたが、MUSIC CARDが売上集計の対象からはずされた結果、売上を大きく落としました。

9位に入って来たのはASIAN KUNG-FU GENERATION「Re:Re:」。フジテレビ系アニメ「僕だけがいない街」オープニング・テーマ。もともとは2004年にリリースされたアルバム「ソルフェ」に収録された曲を今回、再レコーディングを行って再リリースしたもの。初動売上1万枚は前作「Right Now」の7千枚(8位)より大きくアップ。再発としてはかなりの健闘ぶりを見せました。

最後10位には女性アイドルグループFES☆TIVE「進めジパング」がランクイン。お祭りをテーマとした女性アイドルグループだそうで、この曲も「日本讃歌」的な曲になっていますが、楽曲は平凡なEDM風の楽曲で、日本的な部分が全くなく、コンセプトを誰が考えたんだろうという安っぽい感じになっています。初動売上1万枚は前作「金魚のきんちゃん」の8千枚(20位)よりアップし初のベスト10入り。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2016年3月22日 (火)

豪華な参加メンバーも魅力的ですが。

Title:0655/2355 ソングBest! 明日がくるのをお知らせします

NHK教育テレビで、朝6時55分から放送されている「Eテレ0655」とその兄弟番組として夜23時55分から放送されている「Eテレ2355」。わずか5分のミニ番組ながら高視聴率を記録しているそうなのですが、その中で1日のはじまりとおわりにふさわしい「おはようソング」と「おやすみソング」が流れるそうです。このアルバムは、その「Eテレ0655」「2355」の中で流れている曲をまとめたベストアルバムです。

このミニ番組については残念ながらいままで一度も見たことはありません。今回、このアルバムを聴いてみたのはなにより豪華な参加メンバーに惹かれたから。レキシ、柴田聡子、GOING UNDERGROUNDの松本素生、細野晴臣、大橋トリオと名前を聴いただけで興味をひく豪華な面々がズラリと並んでいます。

ただ残念ながらこの豪華なメンバーが参加しているのはボーカルとしてのみ。主に作曲を担当しているのは近藤研二と堀江由朗・うちのますみ・佐藤雅彦というトリオ。ただ、こちら近藤研二は栗コーダーカルテットの元メンバー。堀江由朗・うちのますみ・佐藤雅彦はかの「だんご三兄弟」の作家でもあります(佐藤雅彦は「バザールでござーる」や「ピタゴラスイッチ」を手掛けた方としても知られていますね)。そんなメンバーによる作品なだけに、豪華な面々に惹かれて聴いた方にも十分満足できる名曲がそろっていました。

例えば「チョココロネをたべるのどっちから?」は柴田聡子のボーカルをきちんと生かしたピアノで軽快な楽しいナンバーですし、「小石川植物園に行ってみました1」などもアコギでしんみり聴かせつつ、実際に小石川植物園にいった気分になれる風景が浮かぶような描写が楽しいナンバー。童謡風の「toi toi toi!!」はなによりもデーモン小暮の歌のうまさが光るナンバーですし、「顕微鏡で覗く世界 ボルボックス編」はアコースティックギター1本でしんみりと聴かせる曲が(歌っている内容はともかく)心にしみてくるようなナンバー。BEGINの比嘉栄昇が歌う「あるヤドカリの唄」も沖縄民謡風に聴かせてくれますし、最後を締める「factory of dream 夢を作る工場   I don't want to play in your yard」は主に1940年代から60年代に活躍した歌手ペギー・リーによるナンバーなのですが、アコースティックに聴かせる優しい歌声が心に残るナンバーになっています。

歌詞も非常にユニークで、身近なことを題材にちょっとユーモラスな視点でまとめあげられたり、あるいはトリビア的なネタを加えたりしながら、難しいことを考えずに耳に残るような歌詞がメインとなっています。曲によっては映像を前提とした曲もあるのですが、シンプルな内容が多いだけにそんな曲でも映像抜きで楽しめる内容になっていました。

全28曲入り。1曲あたり2分弱の短い曲が並んでいるのですが、どの曲も難しいこと抜きにシンプルに楽しめる愉快な曲が並んでいました。番組も一度も見たことないのですが、これを機に見てみたいなぁ・・・。参加している豪華なメンバーも魅力的なのですが、それを抜きにしてもとても楽しめたアルバムでした。うーん「Eテレ」、あなどりがたし。ポップソングの楽しさを体現したような楽しい1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

THE SAME AS YOU/SEAMO&AZU

ご存じSEAMOが女性シンガーAZUと組んでリリースしたコラボアルバム。ラッパーと女性シンガーといえば、いかにもよくありがちな、一昔前に流行った「着うた」系ヒットのスタイルで正直全く期待していなかったのですが・・・聴いてみたら予想以上にずっとよかったのでほっとしました。90年代に一世を風靡した「恋のマカレナ」をカバーした「DAKARENA」(=抱かれな)はシーもネーターばりの下ネタソングが気持ちいいですし、EDMチューンの「ドンマイDon't Cry」や80年代テイストを感じる「She is mine」などもなかなか心地よい作品。ポップで楽しくかつ踊れるというSEAMOらしさがきちんと出ていた意外と楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説

REVOLUTION
TO THE FUTURE
LOVE SONG COLLECTION

CRASHED SEDAN DRIVE/SHERBETS

前作からわずか半年のインターバルでのリリースとなるSHERBETSの新作。前作はようやく今後に期待できそうな作品に仕上がっていましたが、一方本作は良くも悪くもベンジーらしい作品に。美しいメロディーラインなどところどころに光る部分はあるものの、全体的には目新しさはなく、悪い意味でまとまってしまった感じもしました。出来としては決して悪いわけじゃないと思うのですが・・・このままここで足踏みしてしまうのでしょうか。

評価:★★★

SHERBETS 過去の作品
MIRACLE
GOD
MAD DISCO
FREE
STRIPE PANTHER
きれいな血

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2016年3月21日 (月)

まさかの2枚目

Title:セカンド
Musician:初恋の嵐

こちらのサイトでも以前紹介したことがあるのですが、初恋の嵐というバンドをご存じでしょうか。2000年にインディーズからアルバム「バラードコレクション」を、さらに2001年にシングル「Untitled」をリリース。その作品に高い評価が集まり一気に注目のバンドとなったのですが、2002年3月、バンドのギターボーカルでありかつ作詞作曲を手掛けた西山達郎が急逝。同年8月にリリースされたメジャーデビューアルバム「初恋に捧ぐ」がメジャーでの最初で最後のアルバムとなってしました。

その後2012年、スピッツがアルバム「おるたな」で彼らの曲「初恋に捧ぐ」をカバーし大きな話題を呼び、同年6月に、アルバム「初恋に捧ぐ」にスタジオライブ音源を追加した「初恋に捧ぐ プラス」をリリース。さらに昨年、西山達郎の演奏やボーカルが入ったデモ音源が発見され、なんとまさかのセカンドアルバムがリリースされることになりました。

デビュー当初ははっぴいえんどチルドレンとも称されていた彼ら。今回収録されているアルバムでもその傾向は強く感じます。それが特に強いのが後半。叙情的なフォークの色合いが強い「君が待つ場所」「君さえ居れば」はどこか四畳半フォーク的な歌詞の世界観もあわせて彼らの大きな特徴となっています。特に「雨やどり」はマイナーコードのギターサウンドがまんま60年代フォークな楽曲。彼らがデビューした2000年の頃は、ゆずやコブクロがデビューし「ネオフォーク」とも呼ばれる流れが生まれ、60年代フォークが再注目を集めた頃だったのですが、彼らの作風からもそんな時代の流れも感じます。

特に今回のアルバムでおもしろかったのはそんなネオフォーク的な流れとは異なる初恋の嵐の音楽的志向を強く感じた点でした。1曲目「どこでもドア」はノイジーなギターサウンドが覆い尽くすような楽曲。フォーク的な色合いはほとんど感じず、むしろシューゲイザーからの影響すら感じてしまう作品。さらに2曲目「ジョイント」はこのノイジーなギターにシティポップ風のブラックミュージックから影響を強く受けた楽曲になっています。この方向性はかなり意外に感じましたし、むしろシティポップの影響を受けたバンドが次々とデビューしている今の時代には新鮮にすら感じる作風になっていました。

これらの楽曲はフォークロックという初恋の嵐のイメージを超えて新たな可能性を感じさせるような楽曲。西山達郎の音楽的興味がフォークロックという狭い枠組みにとらわれず、あらたな可能性を模索していた跡を感じます。もし彼がいまでも生きていたら初恋の嵐はどんな音を奏でていたのだろうか・・・そんな想像をたくましくさせるような楽曲でしたし、同時にそれがかなわない事実にあらためて非常に悲しくなってくるような作品でした。

ちなみに今回のアルバム、西山達郎のボーカルによる曲もあるのですが、彼のボーカルが残されていない曲に関してはほかのメンバーがボーカルを取っているほか、フジファブリック山内総一郎、スクーピードゥーのコヤマシュウ、そして堂島孝平がボーカルをとっています。同じくメインライターが早世したフジファブリックの山内総一郎が参加している点もぐっと来るものがありますが。堂島孝平はかなり個性のあるボーカリストなのですが、意外と楽曲にマッチしていたのもおもしろかったです。

デビューアルバム同様、まだまだ成長の途上にあることを感じると同時に、その先に光り輝くものを感じる作品だったと思います。そしてその先に光り輝くものが、デビューアルバム以上にはっきりと感じることができるアルバムだったと思います。本当にあまりにも早い西山達郎の急逝をあらためて残念に感じるアルバム。全ポップリスナーにぜひとも聴いてほしいアルバムです。

評価:★★★★★

初恋の嵐 過去の作品
初恋に捧ぐ プラス


ほかに聴いたアルバム

BEST POSITIVE/lecca

女性レゲエシンガーleccaの初となるベストアルバム。基本的には軽快なレゲエをベースにしつつも、「TSUBOMI」のようなラテンのりの楽しいナンバーがあったり、HIP HOP的な要素を入れたりとバラエティーを持たせつつ、全体的には本格的なレゲエというよりはポップ志向の曲が多かったように感じました。また「BEST POSITIVE」というタイトルの通り、前向きの力強い歌詞が多かったのも印象的。レゲエのアルバムというよりも前向きに楽しめるポップアルバムとして聴けた1枚でした。

評価:★★★★

lecca 過去の作品
パワーバタフライ

TWELVE/Mrs.GREEN APPLE

ここ最近、急速に注目を集めている5人組ギターロックバンド。初のフルアルバムとなる本作でいきなりアルバムチャートでベスト10入りを記録し話題となっています。楽曲は軽快で明るいポップスロック。疾走感のあるメロディーラインが心地よく楽しむことが出来ます。また歌詞の方は、前向きな応援歌的な歌詞が特徴的。メロディーライン含めて陽性なバンドといった感じでしょうか。インパクトもあり確かにいい意味で売れそうな要素のあるバンドに感じます。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★

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2016年3月20日 (日)

人気も実力も飛躍

Title:I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it
(邦題 君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)
Musician:The 1975

セルフタイトルの前作はデビューアルバムでいきなり全英チャート1位を記録し一気に注目を集めたイギリスはマンチェスター出身の4人組バンド。2作目である本作は、イギリスでは2作連続で1位を獲得したほか、アメリカビルボードでも1位を獲得し、人気の面ではさらなる飛躍がみられたアルバムになっていました。

前作「The 1975」はメロディアスなポップス路線の楽曲が楽しめた反面、最後の方はちょっとダレてしまった印象がありました。それに続く本作も全17曲というボリューミーな内容に若干の不安も感じたのですが・・・ただ人気の面での飛躍と同様、アルバムのクオリティー自体にも大きな飛躍を感じたアルバムでした。

まずアルバム全体としては前作で感じたロック寄りのスタンスが薄まり一方ではファンク、ブラックミュージックにより軸足を置いた作風になっていました。ただ、前作で感じたポップでインパクトあるメロディーラインは本作も健在。またサウンドにどこか80年代の雰囲気を感じるのも前作同様。基本的に前作のスタイルを踏襲しつつも新たな音楽性を模索したアルバムといっていいかもしれません。

今回のアルバムでユニークだったのがアルバム全体が3つのスタイルから構成されていた点でした。まず一番最初に聴かせてくれるのは軽快なファンクネスなサウンドを聴かせてくれる楽曲たちでした。今回のアルバムの中でブラックミュージック的な要素を一番感じる部分。特に序盤「Love Me」「UGH!」はファンキーなリズムが非常に心地よい作品でライブでも盛り上がりそう。ただそんな中でも「She's American」のような彼らの持ち味であるメロディーラインを聴かせる曲が入っていたりして、ポップという側面でも楽しむことができます。

そして中盤ではサイケなノイジーギターやエレクトロサウンドなどを取り入れた実験的な作風に仕上げてきています。分厚いノイズギターを前面的に押し出した「Lostmyhead」はドリーミーなサウンドがシューゲイザーちっくで個人的には壺。非常に幻想的な作風の曲が並ぶ中、特に表題曲である「I like it when you sleep~」では静かに展開されるエレクトロサウンドがポストロックの色合いすら感じられる作品。この曲をアルバムタイトルにするあたり、彼らの興味がどこをむいているのか感じさせます。

さらに後半は彼らの美しいメロディーラインをしっかりと聴かせるポップな楽曲が並んでいます。ドラムのリズムパターンがおもいっきり80年代な「The Must Be My Dream」も楽しいのですが、続く「Paris」はちょっとメロウさも感じるメロディーラインが美しいポップチューン。続く「Nana」もアコギを軸としたシンプルな楽曲なだけに彼らのメロディーセンスの良さがキラリと光る楽曲になっています。

そんなわけで全17曲入り、国内盤ではボーナストラックを入れて全19曲入りというボリューミーな内容ながらも、様々なタイプの曲が並んでいるだけに全く飽きることがありません。またそのどの曲もThe 1975というバンドの音楽性の幅広さと実力を感じさせる曲ばかり。実にすばらしい傑作アルバムでした。妙に長いアルバムタイトルに、いまどき珍しい邦題がついている(直訳だけど・・・)のもインパクトあり。あえて邦題をつけたあたりに日本のレコード会社がこのアルバムを売っていこうという姿勢を感じられるのですが、確かにこれは日本でももっと注目をあつめていい傑作アルバムだったと思います。2作連続1位獲得でさらに大きなバンドとなった彼ら。まだまだこの快進撃は続きそうです。

評価:★★★★★

The 1975 過去の作品
The 1975


ほかに聴いたアルバム

2013年に突然この世を去った大瀧詠一。その彼が、生前、自宅で愛用していたジュークボックスに入れられていた楽曲を集めたコンピレーションアルバムが3枚リリースされました。

大瀧詠一のジュークボックス~ワーナーミュージック編

こちらはワーナーミュージックからリリースされた音源を集めたアルバム。

大瀧詠一のジュークボックス~ユニバーサル ミュージック編

そしてこちらはユニバーサルからリリースされた音源を集めたアルバム。

大瀧詠一のジュークボックス~エルヴィス・プレスリー編/Elvis Presley

さらに最後はエルヴィス・プレスリーの楽曲のみを集めたコンピ盤。

いずれもアメリカンオールディーズの楽曲を集めたコンピレーション。知る人ぞ知る的な楽曲もおさめられている一方、誰もが知っているようなスタンダードナンバーもしっかりと収録されており、古き良きアメリカンポップスを網羅的に楽しめるコンピになっています。大瀧詠一の音楽的ルーツを知るという意味でも貴重なコンピレーション。もちろん、アメリカンオールディーズのコンピとしても大瀧詠一関係なく楽しめる作品でした。

評価:いずれも★★★★★

Elvis Presley 過去の作品
VIVA ELVIS THE ALBUM

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2016年3月19日 (土)

スガシカオの現在位置

Title:THE LAST
Musician:スガシカオ

2011年にデビュー以来所属していたオフィス・オーガスタを脱退。その後、フリーランスとして活動を続けていましたが、SPEEDSTAR RECORDSと契約を結び、メジャーレーベルでの活動を再開。そして約5年半ぶり、かなり久々となる待ちに待ったニューアルバムがリリースされました。

この5年半の間、何も活動をしなかったわけではなく配信を中心にシングルもコンスタントにリリースしており、そういう意味ではオリジナルアルバムのリリースが5年半ぶりというのはちょっと意外にも感じました。そして今回のアルバム、初回限定盤のみとなりますがインディーズ時代にリリースした楽曲を集めた「THE BEST」が特典CDとしてついてきています。

で、実は今回のアルバムリリースにあわせてかつての所属事務所、オフィスオーガスタよりオーガスタ時代の曲を集めたベスト盤がリリースされています。

Title:THE BEST-1997~2011-
Musician:スガシカオ

まあよくありがちな移籍前のレコード会社が本人の許可を得ずにお小遣い稼ぎ的にリリースするベスト盤。ただ今回、「THE LAST」にもインディーズ時代の「THE BEST」が収録されたことにより、このアルバムと通して聴くことによりスガシカオの音楽的変革がよりわかる結果となりました。

「THE BEST-1997~2011-」を聴いてあらためて感じるのはデビュー当初のスガシカオは耳馴染みやすいポップなメロディーラインの裏で、かなりユニークかつ凝ったサウンドを鳴らしていたということをあらためて実感しました。例えばデビューシングル「ヒットチャートをかけぬけろ」はポップなメロディーラインの裏では実にファンキーなリズムが奏でられていますし、「ドキドキしちゃう」もメロディーは軽快なポップですが、こちらもファンキーなリズムがとても楽しくかつユニークに裏では鳴り響いています。

ところが後期になるとこのユーモラスなサウンドがグッと減ってしまいます。もちろんファンキーなリズムは鳴っていますしインパクトあるメロディーラインもそのままなのですがユーモラスで特には変態性すら感じられたサウンドはなりをひそめてしまいます。良くも悪くもわかりやすくなった、といったところでしょうか。

ところが、インディーズ時代の作品を聴くとデビュー当初で聴かれた独特のサウンドがパワーアップして復活しています。オフィスオーガスタ脱退後、初の配信シングルとなった「Re:you」はファンキーでワウワウ鳴り響くギターサウンドがこの上なくカッコイイサウンドを奏でていますし、本人曰くロックフェス用につくった「したくてたまらない」もファンキーなサウンドがダイナミックに展開し、歌詞も含めてスガシカオのファンクへの愛情が非常に感じる実に黒いナンバーが展開しています。

そしてその流れから、スガシカオの現在位置と言えるのが最新作「THE LAST」。インディーズ時代の楽曲の延長線上にあるとも言える作品はスガシカオがまさに今、演りたい作品ばかりが並んでいるという印象を受けました。

まず1曲目の「ふるえる手」。父親への思いを綴った歌詞もとても心に響く作品なのですが、ストリングスにギターノイズを重ねたアレンジが印象的に残りますし、続く「大晦日の宇宙船」も最初は静かにスタートしながらもB面で雰囲気が一転。ダイナミックなバンドサウンドを聴かせる構成が非常におもしろく感じます。「おれ、やっぱ月に帰るわ」もファンキーなワウワウギターがこれまたカッコいいナンバー。孤独を描いた歌詞もユーモアさを感じつつも切なく胸に響いてくるよう。「愛と幻想のレスポール」のようなホーンセッションを入れたこれぞファンクといったナンバーも挟みつつ、「真夜中の虹」みたいなシングル向きのポップなメロディーラインを奏でつつ、サウンドはHIP HOPやクラブミュージックなどの要素も入っており非常にユニーク。また、この曲、ガンと闘病中の友人に向けて書かれた曲だそうで、歌詞も非常に印象に残ります。

「THE BEST」から「THE LAST」へと続けて聴くと、スガシカオがなぜオフィスオーガスタをやめたのか、痛いほどわかってしまう流れになっています。それと同時に、今、スガシカオは自分のやりたい音楽をやりたいようにやっているんだな、ということも感じられました。スガシカオの最高傑作・・・とまで言えるかどうかは微妙ですが、ただ間違いなくスガシカオの音楽キャリアを代表する重要作であることは間違いありません。これからの活躍が非常に楽しみになってくるアルバムでした。

で、「THE BEST-1997~2011-」の方ですが、これはこれでもちろん悪くありません。ただわずか2年前に「BEST HIT!! SUGA SHIKAO」というベスト盤をリリースしており、わずか2年で、それも対象となる期間が同じ時期のベスト盤をリリースしてくるのはさすがにちょっと・・・。という訳で、評価は1つマイナスということで。

評価:
THE LAST ★★★★★
THE BEST-1997~2011- ★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-


ほかに聴いたアルバム

TOWA/ゆず

途中、ライブ盤などのリリースはあったもののオリジナルとしては約2年ぶりとなるゆずの新作。前作「LAND」はムダにスケール感を出したサウンドに少々違和感を覚えたのですが、今回の作品は残念ながらその傾向を引き継いだもの。分厚いサウンドは心地よいものもありますし、楽曲自体はいつものゆずらしい感じで決して悪くはありませんが、よく言えばスケール感を出した、悪く言えば少々仰々しい楽曲が並んでおり、ゆずらしいシンプルな曲が少なくなってしまっていました。様々な音を取り込むことは決して悪いことではないと思うのですが、横浜スタジアムのライブをほぼアコギのみで成功させた彼らだけに、必要以上に分厚い音でスケール感を出す必要性はないと思うのですが・・・。

評価:★★★★

ゆず 過去の作品
WONDERFUL WORLD
FURUSATO
2-NI-
YUZU YOU[2006-2011]
LAND
新世界
二人参客 2015.8.15~緑の日~
二人参客 2015.8.16~黄色の日~

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2016年3月18日 (金)

愚直なまでにギターロック

Title:Across the metropolis
Musician:the pillows

4月に待望のニューアルバムをリリースするthe pillows。その新作に先立ってリリースされたのがいわゆるB面ベストである本作。2007年以降にリリースされたシングルのカップリング曲が収録されている他、ライブ会場限定シングルとしてリリースされた「TABASCO DISCO」やthe pillows & Ben Kweller名義でタワレコ限定シングルとしてリリースされた「Lightning Runaway ~NO MUSIC, NO LIFE~」、さらには新録曲の「世界は屋上で見渡せた」「チェルシーホテル」が収録されています。また、B面ベストとしては2002年に「Another morning, Another pillows」以来の第2弾。本作もアルバム2枚組というボリュームある内容となっています。

シングルのカップリング曲といえばともすればアルバムにも収録されない知る人ぞ知る的な曲が多いのが通例。ただ、そんな曲だからこそ、ともすればシングル曲やアルバムではあまり聴けないようなタイプの実験的な曲が聴けるのもカップリング曲のよくあるパターンだったりします。

しかしthe pillowsについてはそんな一般的なカップリング曲のパターンとは違いました。シングルのカップリング曲も含めて、愚直なまでにストレートなオルタナ系ギターロック。「BOYS BE LOCKSMITH」などはこれぞthe pillows節とも言えるようなポップなメロディーラインにノイジーなギターサウンドが耳を惹く作品になっていますし、「Sad Fad Love」「Go!Go!Jupiter」などなど、軽快なギターロックのthe pillowsらしいナンバーが並んでいます。

歌詞の方もthe pillowsらしさを感じる歌詞が並んでいます。「ファイティングポーズ」の競争の敗れた人たちの心境を描いた歌詞は胸に響くものがありますし、「Snoozer」

「持って生まれた自分の
傲慢さに躓く夢想家
誰も足を踏み入れない
砂漠でまだうたた寝してるのさ」

(「Snoozer」より 作詞 SAWAO YAMANAKA)

という孤独を描いた歌詞もthe pillowsらしさを感じます。

特に新録の「世界は屋上で見渡せた」が素晴らしかったです。学生の頃の風景を描写した歌詞がノスタルジックな気持ちにさせられる歌詞で、「世界は屋上で見渡せた」というタイトルも、まだ外に広がる世界を知らない中高生の頃の世界を象徴するようなタイトルがまたとても印象に残ります。

カップリング曲ということで特徴的なのはあえていえば英語詞の曲が多かったことくらいでしょうか。the pillowsといえば非常にシンプルで愚直なギターロックを奏でるバンドなのですが、その特徴がカップリングにも貫かれていたということがこのB面ベストでわかります。

そのためともすれば「マンネリ」とさえ捉えかねないのですが、このB面ベストを聴いてもそのような印象をあまり受けません。それはB面ベストに収録された曲がいずれもシングルとしても通用できるインパクトとクオリティーがあったから、というのも大きな理由なのですが、とことんポップなメロディーラインを下手に凝らないギターサウンドにのせて歌っているからこそ、普遍的な魅力を持つメロディーラインと歌詞が表に出ているからなのでしょう。シンプルゆえに飽きの来ない楽曲、といってもいいかもしれません。

B面ベストですが、通常のアルバムと並べて聴いても遜色ないどころか、ベスト盤クラスの魅力的な曲が並んでいるアルバムです。B面ベスト=ファン向けアイテムみたいに感じて敬遠しているのならかなりもったいないアルバムだと思います。ファンならずとも要チェックな傑作です。

評価:★★★★★

the pillows 過去の作品
LOSTMAN GO TO YESTERDAY
PIED PIPER
Once upon a time in the pillows
Rock stock&too smoking the pillows

OOPARTS
HORN AGAIN
トライアル
ムーンダスト


ほかに聴いたアルバム

30th anniversary THE BLUE HEARTS re-mix「re-spect」

手を変え品を変えリリースされるブルーハーツ便乗商法ですが、正直言ってこれは酷い。クリエイティブディレクター箭内道彦プロデュースにより10組のミュージシャンが参加したアルバムなのですが、カバーではなく、既存のブルハの曲をリミックスするスタイル。結果、自分なりにカバーしたわけではなく中途半端に原曲を残したアレンジに、無理やり自分のボーカルやバンドの演奏をのっけた内容になっています。特に酷かったのがSilent Sirenの「リンダリンダ」と片平里菜の「情熱の薔薇」で、甲本ヒロトのボーカルも入った原曲に、むりやり自分の歌を重ねたリミックスとも言えるのか微妙な酷い内容。神聖かまってちゃんの「夕暮れ」のようなボーカルとマッチしたなにげによく出来た曲も中にはあったのですが、「re-spect」というタイトルから反するような、原曲に対してあまり愛情を感じられない企画でした。4人の顔を漫画で並べただけというジャケットもなんだかなぁ、といった感じですし。

評価:★★

今の時代がいちばんいいよ/前野健太

シンガーソングライター前野健太の新作はCDブックというスタイルで発売された全編弾き語りによるアルバム。ただCDブックといっても一般書籍と同じ大きなのパッケージというだけで、「本」にあたる部分も単なる歌詞カード。あまり「CDブック」とする意義は感じません。

ただ内容の方はあいかわらずの名曲揃い。都会で生きる人たちの風景を哀愁感あふれるフォーキーなサウンドで歌い上げます。もともとこの都会で生きる人たちの描写というのは、いままでの前野健太の世界観をそのまま引き継ぐものなのですが、弾き語りというシンプルなスタイルで歌い上げることにより、その特徴がより強調されたようなアルバムになっていました。

評価:★★★★★

前野健太 過去の作品
オレらは肉の歩く朝
ハッピーランチ
LIVE with SOAPLANDERS 2013~2014

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2016年3月17日 (木)

日韓のアイドルが1位2位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

まあ最近ではよくある話ですが、1位2位は日韓の男性アイドルグループが並びました。

1位はNEWS「QUARTETTO」がランクイン。これで7作連続の1位獲得。ただし初動売上10万8千枚は前作「White」の11万4千枚(1位)よりダウンしています。

一方、2位には韓流の男性アイドルグループBEAST「GUESS WHO?」が入ってきました。日本国内向けのオリジナルアルバム第2弾。シングルやソロ作ではベスト10の常連ですが、意外なことにアルバムは同じく日本向けのオリジナルアルバム「So Beast」以来2作目。直近のベスト盤「BEAST JAPAN BEST」も最高位25位と奮っていません。初動売上は2万3千枚。ちなみに「So Beast」の5万枚(3位)より大幅ダウンしています。

3位はavexのオーディションより誕生した女性アイドルグループSUPER☆GiRLS「SUPER★CASTLE」が入ってきました。初動売上は1万1千枚。ちなみに直近作はベスト盤「超絶少女☆BEST 2010~2014」で、こちらの初動3千枚(35位)より大幅アップ。オリジナルアルバムでの直近作「Celebration」の2万51千枚(3お)より大幅減となっています。

続いて4位以下の初登場です。まず5位にJUJU「TIMELESS」がランクインしてきました。いままで2枚のJ-POPのカバーアルバムをリリースしてきた彼女ですが、本作は洋楽のカバー。で、この手の洋楽カバーに必ず収録されている定番中の定番、「Can't Take My Eyes Off Of You」もきちんと収録されています。しかしなんで猫も杓子も「洋楽のカバー」といったらこの曲を選ぶんだろう・・・。初動売上は9千枚。直近作はオリジナルアルバム「What You Want」でこちらの4万2千枚(4位)よりは大幅ダウン。またカバーアルバムとしての前作「RequestII」の3万4千枚(4位⇒最高位は2週目の3位)よりもダウンしています。

7位は女性ソロシンガーMs.OOJAのベスト盤「Ms.OOJA THE BEST『あなたの主題歌』」が入ってきました。ベスト10ヒットは2012年にリリースしたカバーアルバム「WOMAN-Love Song Covers-」で記録した10位以来3作目。初動売上は8千枚。直近作のカバーアルバム「THE HITS ~No.1 SONG COVERS~」の3千枚(19位)よりアップしています。

9位にはMichael Jackson「Off The Wall Deluxe Edition」が入ってきました。1979年にリリースされ、全世界で1,500万枚を売り上げた大ヒットアルバムにドキュメンタリーフィルムを追加した2枚組仕様。初動売上は5千枚。マイケルの前作は「Xcape」で、国内盤リリースの週の3万2千枚(4位)が週間での最高売上。今回はそれを大きく下回りましたが、既発アルバムのリイシューでかついままで何度も再発売されているアルバムと考えると、それでもベスト10入りしちゃうあたり、マイケルの根強い人気を感じます。

最後10位にはMISIA「MISIA 星空のライヴ SONG BOOK HISTORY OF HOSHIZORA LIVE」がランクインしてきています。彼女が15年間にわたり実施しているライブ「MISIA星空のライヴ」のベストテイクを収録したライブ盤。初動売上4千枚は直近作「LOVE BEPOP」の1万3千枚(5位)よりダウンしていますが、ライブ盤としてはまずまず健闘といった感じでしょう。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年3月16日 (水)

ミリオン落ちの次

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

前作、シングルが初動ミリオンから陥落したAKB48。次の一手が気になりましたが・・・。

ニューシングル「君はメロディー」は予想通り大型イベントが用意されたほか、卒業したはずの前田敦子や大島優子らが参加。結果、初動売上は123万7千枚と前作「唇にBe My Baby」の90万51千枚(1位)より大幅増。2作ぶりの初動ミリオンとなりました。ただ、イベントによるドーピングはいまさらながらの話ですが、卒業したはずのメンバーを呼び戻すという施策はグループとして「終わっている」といった感じだよなぁ。

2位はハロプロ系アイドルグループ、カントリー・ガールズ「ブギウギLOVE」がランクインしています。初動売上4万1千枚は前作「わかっているのにごめんね」の3万枚(5位)よりアップ。2位は自己最高位。

3位初登場はaiko「もっと」。TBSテレビ系ドラマ「ダメな私に恋して下さい」主題歌。ピアノとストリングスで聴かせるaikoらしい切ないラブバラード。初動売上3万4千枚は前作「プラマイ」の2万9千枚(5位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場です。4位に動画サイト「ニコニコ動画」で人気を博したコスプレダンスユニット、アルスマグナ「マシュマロ」が入ってきました。初動売上2万8千枚は前作「ひみつをちょーだい」の2万枚(5位)よりアップ。ダンスユニットなのですが本作は聴かせるウィンターバラード。どちらかというと、というよりも完全にアイドルグループですね。

6位には男性シンガーソングライター高橋優「さくらのうた」が初登場でこの位置。TBSテレビ系ドラマ「悪党たちは千里を走る」主題歌。初動売上1万6千枚は前作「明日はきっといい日になる」の8千枚(12位)よりアップ。シングルのベスト10入りは2012年の「卒業」以来7作ぶり2作目。しかしあまりにもベタベタなタイトルにビックリしちゃいます。歌詞もベタなラブソングで、正直、高橋優の良さは出ていないような印象が・・・。

7位にはEXILE ATSUSHI + AI「No more」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「ナオミとカナコ」主題歌。ミュージシャン名通り、EXILEのATSUSHIと女性R&BシンガーAIとのコラボシングルで、昨年9月にリリースした「Be Brave」に続く第2弾。ATSUSHIのファルセットボイスとAIの力強いボーカルの相性はなかなかよさげで、それだけに第2弾のリリースとなったのでしょう。初動売上1万5千枚は前作の2万5千枚(7位)よりダウン。

初登場最後は10位にBLUE ENCOUNT「Survivor」が入ってきています。TBSテレビ系アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」オープニング・テーマ。初動売上9千枚は前作「はじまり」の7千枚(5位)よりアップ。疾走感あるサウンドはインパクト十分ですが、「ガンダム」のタイアップ効果は限定的だった模様。ただバンドとして変な「色」がつくのは避けられたでしょうか。もっとももともとベスト10ヒットを出せるくらいの人気はあったバンドなだけに、「ガンダム」のイメージが強くなりすぎるという心配は杞憂でしょうが。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年3月15日 (火)

実力派5人がゆるく連帯

Title:META
Musician;METAFIVE

今回紹介するMETAFIVEというグループ。本作がスタジオ録音としては初となるフルアルバムとなるのですが、非常に大きな注目を集めています。というのもこのバンド、超有名な実力派ミュージシャンたちが揃ったいわゆるスーパーグループだから。メンバーは高橋幸宏を中心に、小山田圭吾、砂原良徳、テイトウワ、コンドウトモヒコ、LEO今井という面々。もともとは高橋幸宏のユニットとして結成され、2014年のライブ「EX THEATER OPEINING SERIES 2014 NEW YEAR PREMIUM GO LIVE vol.1」限定として結成されたそうですが、その後も数々の音楽フェス、イベントに参加。そしてついにはアルバムリリースにまで至りました。

そんな大物たちが集まったグループがゆえに、良くも悪くも個性がぶつかりあって・・・といった予想もしつつ聴いてみたのですが、これが意外とお互いの個性を出しつつも、「YMOチルドレン」というキーワードをひとつの軸にしながらゆる~く連帯しているアルバムに感じました。そのため、個性がぶつかりあって火花がちっているような緊張感はないものの、それぞれの個性が様々なタイプの音としてアルバムにバリエーションを加えているようなアルバムになっていました。

インタビュー記事など読むと1人2曲を持ち寄ったそうですが、それが微妙にそれぞれのメンバーの色が出ているのがおもしろいところ。例えばMETAFIVE結成のきっかけとなり本作でも「META version」が収録されているテイトウワの「Radio」や同じくテイトウワが作曲で参加した「Albore」などはテイトウワらしい尖った中でもユーモラスを感じるエレクトロサウンドが特徴的。「Luv U Tokyo」などは砂原良徳らしい軽快なテクノポップのナンバーになっていますし、高橋幸宏作曲による「Anodyne」「Threads」などはメロウな曲調でちょっと落ち着いた大人な雰囲気を感じるナンバーになっています。

またLEO今井による「Disaster Baby」などは彼の端整なボーカルに軽快なエレクトロサウンドによりシングル向けとも言える、ある種のわかりやすさとインパクトを持ったナンバーに。同じく彼の手による「Maisie's Avenue」もシンプルでメロディアスなポップス色の強いナンバー。アルバムの中でひとつのアクセントになっています。

そしてなによりカッコいいのが冒頭を飾る「Don't Move」。エッジの効いたファンキーなサウンドが最高にカッコいい楽曲。LEO今井によるボーカルもピッタリはまって、アルバムの冒頭にふさわしい、まずはリスナーをギュッと惹きつけるナンバーになっています。

そんな訳で1曲1曲が微妙に違う色を持つナンバー。ただ、エレクトロサウンドに同じYMOからの影響というのを軸としてゆるくつながりを持っていて、アルバム全体としてはどこか統一感も覚えるアルバムになっていました。音的には今風にアップデートされている部分も大きいものの、流行のEDMなどとは無縁で、実力あるメンバーが自信をもって自分たちの音を届けようとしているアルバムにも感じます。

今回参加した5人のメンバーの名前にビビッと来たら間違いなく要チェックのアルバムだと思います。参加メンバーの実力はさすが伊達ではありません。またどこかゆるさと自由さも感じるだけに、今後もマイペースな活動になりそうですが、2枚目3枚目もリリースされそうな予感も・・・。これからのMETAFIVEにも期待できそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

The Reggae Power 2/SPICY CHOCOLATE and SLY&ROBBIE

日本のレゲエミュージシャンSPICY CHOCOLATEが、レゲエ界の重鎮、SLY&ROBBIEと組んでリリースした「The Reggae Power」の第2弾。前作はなんとグラミー賞にノミネートされるなど大きな注目を集めました。

その第2弾となる本作ですが、残念ながら前作のようなインパクトは薄く、わかりやすい形でのカッコよさはなくなってしまった感じはします。ただ非常に丁寧なつくりのアルバムといった印象で、地味だけどしっかりと聴かせるレゲエをつくりあげている真面目な仕事ぶりを感じさせるアルバムでした。後に印象に残りにくいのは残念ですが、レゲエが好きなら要チェックのアルバムには間違いないと思います。

評価:★★★★

SPICY CHOCOLATE and SLY & ROBBIE 過去の作品
THE REGGAE POWER

しるぶぷれっ!!!/The Mirraz

The Mirrazの新作はなんとEDMに挑戦。とはいえボーカル畠山承平の歌い方はいつも通りですし、今時の用語を取り入れつつ現在をシニカルに描写した歌詞はいつも通り。いつものThe Mirrazの曲をむりやりEDMにのっけてしまった感じ。そのためエレクトロサウンドに曲がいまひとつマッチしていない感もあり、特にボーカルの癖のある声が無機質なエレクトロサウンドとミスマッチを起こしています。ハイテンポなのは相変わらずなのですが、今回はあまりにも早すぎて歌詞が聴きとれなかった点も残念なところ。あらたな音へのチャレンジという挑戦心は買いますが、いまひとつ上手くいっていないようにも感じたアルバムでした。

評価:★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ
夏を好きになるための6の法則
OPPOTUNITY

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2016年3月14日 (月)

シンプルでハッピーなポップソングたち

Title:VERY YES
Musician:堂島孝平

2015年は堂島孝平にとってデビュー20周年というアニバーサリーイヤーとなりましたが、その1年の最後にリリースされたのが本作。7月には「オモクリ名曲全集」というテレビの企画から産まれたアルバムもリリースしているものの、純然たるオリジナルとしては1年ぶりとなる新作となりました。

既にデビュー20年を迎えるベテランミュージシャンの彼ですが、ここ最近の彼の作品を聴くと、20年目を迎えた今むしろ脂がのった状況であることを感じます。連作となった「A.C.E.」「A.C.E.2」も傑作でしたし、前作「フィクション」も好き勝手やったハチャメチャな展開が楽しいアルバムになっていました。そして企画盤的だった「オモクリ名曲全集」にしてもDVDは「・・・」だったものの楽曲については美しいメロディーラインを聴かせる名曲揃いとなっていました。

今回のアルバムについてもその勢いは止まることがありません。彼らしい明るいポップスがズラリと並んだアルバム。堂島孝平といえば以前から明るいポップソングがひとつの売りでしたが、本作に関してはインタビューで「ついにハッピーなアルバムを作るときが来たぞ」と語っていました。そして今回のアルバムはその言葉を裏付けるようなとても楽しいアルバムに仕上がっていました。

まさに「ハッピー」という言葉そのままの「H.A.P.P.Y」というタイトルのモータウンビートが楽しい曲があったりしますし、免許を取った後の恋人とのドライブを想像する素朴なラブソングの「免許を取ったら」なんかも聴いているこちらまで楽しくなってきます。また「アルコール&レスポンス」などはお酒をのみはじめる前のワクワク感を歌ったもの。こちらもいわば小市民的な楽しさなれど、小さな幸せにウキウキしてくるようなポップソングとなっています。

そんな楽しいポップソングが並んだ今回のアルバムですが、本作のもうひとつ大きな特徴が、ひねりのないシンプルなポップソングばかりということ。これは様々なバリエーションのあった前作「フィクション」とは対照的な内容。ホーンセッションとピアノで盛り上がる「きみのため」みたいな曲があったりするのですが、基本的には「ワンダーサレンダー」のような明るいシティポップな楽曲がメイン。ここらへんもインタビューで「わざとわかりにくくすることはもうやめた」と語っていましたが、いい意味で無駄なひねりのないストレートなポップソングが並んでいたと思います。

まさに「VERY YES」というタイトルがピッタリの、現状を圧倒的に肯定するようなハッピーな曲たちが並んでいました。いつもの堂島孝平と同様、今回のアルバムもわくわくするような珠玉のポップソング揃い。さらにシンプルなポップソングが並んでいるという点でもデビュー20年を迎え、ポップシンガーとしての一種の自信も感じさせます。

20年目を迎えてますます脂ののった勢いを感じる堂島孝平。21年目からの活躍も非常に楽しみになってくる傑作でした。

評価:★★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP
Best of HARD CORE POP!
A.C.E.
A.C.E.2
シリーガールはふり向かない
フィクション
オモクリ名曲全集 第一集 堂島孝平篇


ほかに聴いたアルバム

柴田聡子/柴田聡子

ここ最近、注目度が増している女性シンガーソングライター。アコースティックなサウンドをメインに爽やかなポップソングを奏でつつも、歌詞には強烈な毒を混ぜてくるあたりがユニーク。ただ、全編山本精一プロデュースの作品となった結果、ギターの音が完全に山本精一になってしまっていますし、メロディーもどこか山本精一っぽさが漂ってしまっているのが残念。セルフタイトルの作品ながらも、柴田聡子の個性がいまひとつ表に出ていないように感じてしまいました。

評価:★★★★

METAL MONSTER/SEX MACHINEGUNS

あいかわらずメタルとはかけ離れたテーマをへヴィーなメタルサウンドにのせてユーモアたっぷりに歌い上げるSEX MACHINEGUNS。1曲目「メタル経理マン」では「減価償却」といった難しい会計用語がメタルのサウンドにのってしまうあたり彼ららしさを感じます。ネタ的にはいつも通りのマンネリ気味なのは間違いないのですが、「大いなるマンネリ」路線でこれはこれで楽しめる内容。デビュー当初のようなインパクト満点の切れっ切れのネタこそなくなりましたが、なんだかんだいってもいろんなネタで続くなぁ、と感心しつつもしっかり楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES

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2016年3月13日 (日)

前作からわずか2ヶ月での新作

Title:Thank Your Lucky Stars
Musician:Beach House

前作「Depression Cherry」が昨年の8月にリリース。ビルボードチャートでもベスト10入りしてくるなど大ヒットを記録したアメリカのインディーバンド、Beach House。その前作からわずか2ヶ月というインターバルでニューアルバムがリリースされました。アルバムのリリースがバンドメンバーのTwitter経由で発売日のわずか9日前にリリースされるなど突然のリリースとなった本作。そのため、チャート的にはビルボードで最高位39位とちょっと残念な結果に終わっています。

ただバンド自体、このアルバムを「『Depression Cherry』と対になるような作品でも、不意打ちのような作品でもB面集でもない」と言っている通り、彼らにしてみれば列記とした6枚目となるオリジナルアルバムということになるのでしょう。実際、内容的にも短いインターバルだからアコースティックメインだとか特に短い内容になっているだとか、そういった部分はなく、「Depression Cherry」などと同様、しっかりと作り込まれたオリジナルアルバムとなっています。

また基本、楽曲の構成もいつものBeach Houseと同様。ドリーミーなサウンドにカルヴィクトリア・ルグランの透明感ある歌声がのり、メロディアスなポップに仕上がっている、これぞドリームポップだ、と言うような楽曲の連続。そういう意味でも前作からわずか2ヶ月でのリリースといえ、通常営業のBeach Houseの楽曲を聴くことが出来ます。

もっと言ってしまえば、個人的にはこのアルバム、前作「Depression Cherry」より良い出来だったと思っています。前作はメロディーラインが後ろに下がって、サウンドが前に出てきた結果、サウンドに少々チープさを感じてしまいましたが、今回の作品はカルヴィクトリア・ルグランが歌うメロディーが主体となった構成。サウンド的にも歌の部分が前に出てきた影響か、サウンドの構成の問題か、「チープさ」があまり気にならない内容になっていました。

特に心地よかった曲のひとつが「One Thing」でしょう。まず終始鳴り響くノイジーなギターサウンドがドリーミーで心地よく感じます。さらにそこに流れるルグランの透明感ある美しい歌がまた印象に残ります。「The Traveller」などもドリーミーなサウンドにポップなメロディーラインが心地よい楽曲。まさにBeach Houseの真骨頂とも言えるでしょう。

前作は正直言って、Beach Houseの新作としては物足りなさも感じたのですが、今回の作品はBeach Houseの魅力を存分に感じさせる傑作になっていました。それだけに前作からわずか2ヶ月というインターバルでのリリースだったためか、前作の「影」になってしまったみたいにさほど話題になっていないのが残念・・・。聴き逃した!という方がいれば、いまからでも遅くないので、要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

Beach House 過去の作品
Bloom
Depression Cherry


ほかに聴いたアルバム

2015 GRAMMY NOMINEES

毎年恒例、アメリカグラミー賞ノミネート作品をあつめたコンピレーションアルバム。毎年、その年のアメリカの音楽動向がよくわかるコンピなのですが、2015年版は大ヒットしたPharrell Williamsの「Happy」をはじめ、とにかく明るい作風の曲が多いのが特徴的。個人的にはレトロなソウルテイストをふんだんに取り込みつつポップにまとめあげたMeghan Trainorの「All About That Bass」が壺にはまる大ヒット。2014年版も傑作が多く、音楽シーンに活況を感じられたのですが、2015年版も引き続き、活況を感じられるコンピになっていました。

評価:★★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES

Uptown Special/Mark Ronson

本作が今年のグラミー賞の最優秀レコードに輝き話題となったイギリスのDJ兼音楽プロデューサー、マーク・ロンソン。少々80年代っぽい空気を感じるR&B路線が実に魅力的な作品。楽曲によってメロウであったりファンキーであったり様々な顔をのぞかせつつ、しっかり壺をついた作品にまとめあげています。ある種の卒のなさを感じるのがグラミー賞受賞作らしいといった感じもするのですが。

評価:★★★★★

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2016年3月12日 (土)

様々な顔を見せるピアノ

Title:SPARK
Musician:上原ひろみ THE TRIO PROJECT

上原ひろみがベーシストアンソニー・ジャクソンとドラマーサイモン・フィリップスと組んだトリオ・プロジェクトの第4弾。毎回、傑作アルバムをリリースしているこのTHE TRIO PROJECTですが、今回もまた文句なしの傑作に仕上がっていました。

毎回、ピアノ、ベース、ドラムスでスリリングな演奏を聴かせてくれるのですが、特に今回の作品も序盤の曲が実に緊張感あふれる演奏を楽しむことが出来ます。1曲目のタイトルチューン「SPARK」では最初こそ美しいピアノの音色からスタートするものの、終始ドラムスとピアノが対峙するような演奏に。特に変拍子で複雑に聴かせるドラムの迫力が印象に残ります。2曲目「IN A TRANCE」も同じく疾走感あるピアノとドラムスの絡みが緊張感あふれる作品。終盤にはダイナミックなドラムソロも展開されています。

基本的にはピアノとドラムスがまるでその演奏を競い合うようなダイナミックな演奏を繰り広げつつも、その下ではしっかりとベースが下支えしているような演奏といった感じでしょうか。ジャズという枠組みにとらわれない演奏は、以前の作品もそうなのですがジャズリスナー以上にロックリスナーが楽しめそうな内容。今回も基本的にその方向性を引き継いでいます。

それに続く「TAKE ME AWAY」「WONDERLAND」はいわゆるジャズのイメージに近い雰囲気の作品。特にピアノの音色がメロディアスにしっかり聴かせる演奏を繰り広げており、ダイナミックで迫力ある演奏だった序盤の曲とは違う顔を見せてくれています。このメロディアスなピアノの音色というのは中盤から終盤にかけての特徴。「DILEMMA」のように、またドラムと対決するかのようなドラマチックな曲も間に入っているのですが、基本、ジャジーなピアノの音色を美しく聴かせてくれるような曲が並びます。

後半に特に印象的だったのが「WAKE UP AND DREAM」。こちら、上原ひろみのピアノソロ曲。トリオ・プロジェクトなのにピアノソロが印象的、という表現は申し訳ないのですが・・・ただ、美しくメロディアスなピアノの音色が心に響く曲。ジャズというよりもクラシック風のピアノ曲といったイメージが強いのですが、この優雅な演奏もまた、上原ひろみの違う顔と言えるでしょう。

そして最後を締めくくる「ALL'S WELL」はドラムスのリズムやピアノの音色も楽しい軽快なナンバー。このアルバムの中で曲をしっかり下支えしてきたベースのソロも披露され、こちらもどこか軽快で楽しげな雰囲気。最後は楽しい雰囲気の中、アルバムは幕をおろします。

このトリオでのアルバムも4作目を迎え息もあってきた感のある彼女たちですが、今回のアルバムは9曲の中で上原ひろみのピアノがいろいろな顔を覗かせてきたのが特に印象に残る内容だったと思います。文句なしに今回も彼女たちの魅力が存分に発揮された傑作でした。ジャズファン以上にロックリスナー必聴の1枚です。

評価:★★★★★

上原ひろみ 過去の作品
BEYOUND THE STANDARD(HIROMI'S SONICBLOOM)
Duet(Chick&Hiromi)
VOICE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
MOVE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
ALIVE(上原ひろみ THE TRIO PROJECT)


ほかに聴いたアルバム

Year Book 1971-1979/坂本龍一

坂本龍一がまだ無名だったアマチュア時代からプロデビュー直後の作品をまとめたアーカイブ的な作品。いわゆる現代音楽から、山下達郎の「パレード」のようなポップソングや友部正人の「ひとり部屋に居て」のようなフォークまでジャンルを問わない活動に彼の才能の懐の深さを感じます。ただ現代音楽に関しては少々頭でっかちな部分を感じてしまって、やはり良くも悪くも若さを感じてしまう他、エレクトロサウンドには時代性も感じてしまいました。

評価:★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'

POSITIVE REMIXS/tofubeats

2枚組のリミックスアルバム。タイトルの最新アルバム「POSITIVE」だけではなく、前作「First Album」のリミックスも収録されています。中田ヤスタカや小室哲哉などの大物から新進気鋭のトラックメイカーまで名前を連ねているなにげに豪華な作品。基本的には原作のイメージを大きく変えるようなアレンジはなかったのですが、どの曲も個性あふれるリミックスになっており最後まで飽きさせないアルバムになっていました。

評価:★★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
STAKEHOLDER
POSITIVE
POSITIVE instrumental

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2016年3月11日 (金)

エレクトロサウンドを取り入れてはいるが

Title:Butterflies
Musician:BUMP OF CHICKEN

昨年は初となる紅白歌合戦への出場も経て、精力的な活動を続けるBUMP OF CHICKENの約2年ぶりとなる新作。紅白出場もそうですが、初となるスタジアムツアーを敢行するなど広い層に受け入れられることに対してこれまで以上に躊躇がなくなってきたように感じます。バンドとしてのスケール感のさらなる広がりを感じさせます。

今回の作品では表題曲の「Butterflies」はエレクトロサウンドを全面的に取り入れ、他の曲でもエレクトロテイストが強くなるなどいままでと異なるサウンドアプローチが特徴的なアルバムになっていました。このエレクトロ路線に関しては賛否両論のようですが、個人的にはあまり気になりませんでした。というのもエレクトロサウンドを取り入れているものの基本的な楽曲構成やメロディーラインはいつものBUMP OF CHICKEN。アルバム全体としてはバンプらしさが貫かれており、その中の「Butterflies」にもさほど違和感は覚えませんでした。正直言ってしまえば、エレクトロサウンドを取り入れるならもっと大胆にイメージチェンジしてもよかったのでは?とすら思ってしまいました。

そんな訳で、アルバム全体としては基本的にはいつものBUMP OF CHICKEN。冒頭を飾る「GO」も最初、エレクトロサウンドのイントロからスタートしますが、本編の爽やかなメロディーラインはいかにもバンプ。「宝石になった日」のキラキラしたギターサウンドもバンプらしいアレンジといった感じですし、最後を飾る「ファイター」のスペーシーなサウンドで盛り上がっていく構成なども、これぞBUMP OF CHICKENといった感じがします。そんな王道のバンプサウンドがアルバムの中の要所要所に見られるため、アルバム全体としてはエレクトロサウンドの導入もあまり気になりませんでした。

さてそんな彼らの新作。歌詞については今回、平凡であっても人生は素晴らしいというメッセージ性を感じました。例えば「Hello,world!」での

「ご自分だけがヒーロー 世界の真ん中で」
(「Hello,world!」より 作詞 Motoo Fujiwara)

なんて歌詞であったり、表題曲の「Butterflies」の「量産型」といった表現もまた、平凡な私たちと重ね合わせることが出来る表現だったりします。また「大我慢大会」で歌われる

「まともな奴ってどこだ 普通の人って誰だ
隣にいるのは僕だ 隣にいるのも君だ」
「同じものを持っていなくても 同じように出来やしなくても」

(「大我慢大会」より 作詞 Motoo Fujiwara)

という歌詞も、誰もがみんな一緒だし、みんな違うというメッセージを感じますし、その上での前向きなメッセージ性を感じる歌になっていました。

良くも悪くもいつものBUMP OF CHICKENらしさがつまったアルバム。個人的にはエレクトロサウンドの導入ばかりが先走ってしまって、アルバム全体の出来としては前作の方がよかったかな、とも感じるのですが、それを差し引いてもバンプらしい魅力的な傑作だったと思います。精力的な活動を続ける彼らですが、まだまだこれからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]

RAY


ほかに聴いたアルバム

剥製/Plastic Tree

約3年ぶりとなるニューアルバム。ノイジーな分厚いサウンドが心地よい作品で、いつもよりもギターサウンドは若干へヴィーに仕上がっている印象が。ただ全体的にはPlastic Treeらしさを感じられる作品で、そういう意味では安心して楽しめる作品になっていました。

評価:★★★★

Plastic Tree 過去の作品
B面画報
ウツセミ
ゲシュタルト崩壊
ドナドナ
ALL TIME THE BEST
アンモナイト
インク
echo

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2016年3月10日 (木)

ギャルバンが並んだチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートはなぜかギャルバンが目立つチャートとなりました。まず2位にSCANDAL「YELLOW」がランクイン。2位はアルバムでは自己最高位ながらも初動売上2万9千枚は前作「HELLO WORLD」の3万5千枚(3位)よりダウンしています。

そして3位には同じくギャルバンSilent Siren「S」がランクイン。初動売上2万1千枚は前作「サイレントサイレン」の1万9千枚(7位)よりアップ。シングルアルバム通じて初のベスト3ヒットとなりました。

この2組はどちらかというとアイドル色が強く、事務所などによって「作られた」バンドといった感じなのですが、もう1組は高校の同級生によって結成され、徐々に注目を集めてきた実力派スリーピースバンド。SHISHAMOのニューアルバム「SHISHAMO3」が初登場で7位にランクイン。シングルアルバム通じて初のベスト10ヒットとなりました。昨年のミュージックステーションへの初出場や今年1月の初の武道館ワンマンなど知名度を徐々に上げていますが、本作の初動売上8千枚は前作「SHISHAMO2」の6千枚(17位)からアップし、着実に人気を伸ばしています。

さてそんな中今週1位を獲得したのは、EXILEの弟分的ボーカルグループGENERATIONS from EXILE TRIBE「SPEEDSTAR」でした。これでアルバムはデビュー以来3作連続の1位獲得。初動売上7万1千枚は前作「GENERATION EX」の6万4千枚(1位)からもアップしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まずは4位に加藤ミリヤ「LIBERTY」が入ってきました。初動売上は1万4千枚。直近作は女性ミュージシャンとのコラボ曲を集めた企画盤「MUSE」でこちらの1万8千枚(9位)よりダウン。オリジナルアルバムとして前作となる「LOVELAND」の2万9千枚(3位)よりダウン。かなり厳しい結果となっており、オリジナルアルバムのベスト3陥落は2008年の「TOKYO STAR」以来5作ぶりとなっています。

今週の初登場はもう1枚。顔出しをせずアニメイメージで活動を続ける2人組アイドルデュオClariS「SPRING TRACKS -春のうた-」が8位にランクイン。オリジナル曲1曲の他、春をテーマとしたカバー曲4曲を加えた全5曲入りのミニアルバム。初動売上7千枚で、直近作であるベスト盤「ClariS~SINGLE BEST 1st~」の3万1千枚(4位)から大幅にダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年3月 9日 (水)

アニメのキャラソンがずらり

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートはアニメのキャラソンがズラリと並ぶチャートとなりました。

まず2位にアニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ! School idol project」よりμ's「MOMENT RING」がランクインしています。楽曲的にはいつも通り。いかにもアニメ声のボーカルによる90年代J-POPチューン。初動売上9万6千枚は前作「HEART to HEART!」の7万枚(3位)よりダウン。本作がラストシングルだそうで、その影響で売り上げが伸びています。

そして7位から10位にはゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の登場人物によるキャラソンがズラリと並びました。

7位 二宮飛鳥(青木志貴) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 043 二宮飛鳥(共鳴世界の存在論)」
8位 大槻唯(山下七海) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 041 大槻唯(Radio Happy)」
9位 五十嵐響子(種崎敦美) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 045 五十嵐響子(恋のHamburg♪)」
10位 相葉夕美(木村珠莉) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 044 相葉夕美(lilac time)」

と並んでいます。ちなみに11位には中野有香(下地紫野) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 042 中野有香(恋色エナジー)」がランクインしておりこれで同時発売の5作が並んでいます。楽曲的にはアイドルポップの色合いが濃く、悪い意味でもいかにもアニソンはμ'sと比べると聴きやすい印象はあります。「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER」の第9弾として041から045まで同時リリース。初動売上は7位が1万6千枚で以下8位から10位まで1万4千枚。ちなみに第8弾も5作同時リリースだったのですが、こちらは唯一、橘ありす「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 036 橘ありす(in fact)」のみ8位にランクイン。初動売上は1万5千枚だったので、今週の7位二宮飛鳥はそちらよりは微増という結果となりました。

さてそんな中で1位初登場だったのがKAT-TUN「UNLOCK」。メンバーの亀梨和也主演の日テレ系ドラマ「怪盗 山猫」主題歌。今月末にメンバーの田口淳之介のグループ脱退が予定されており、現体制でのラストシングルとなります。初動売上19万4千枚は前作「TRAGEDY」の12万9千枚(1位)より大幅アップ。現体制でのラストシングルという影響が大きかったのでしょうか。

また3位には嵐「復活LOVE」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位には男性アイドルグループ超特急「Yell」がランクインしています。フジテレビ系ドラマ「お義父さんと呼ばせて」主題歌。初動売上2万7千枚は超特急feat.マーティー・フリードマン名義の前作「Beautiful Chaser」の初動4万8千枚(2位)から大幅減となっています。

5位には志倉千代丸と桃井はるこの共同プロデュースのアイドルグループアフィリア・サーガ 「いつか見た虹のその下で」が入ってきました。初動売上2万3千枚は前作「Embrace Blade」の2万6千枚(7位)から減少しています。

最後6位にはヴィジュアル系バンド己龍「彩」が入ってきています。初動売上は1万7千枚。前作は己龍/Royz/コドモドラゴン名義のコラボシングル「FAMILY PARTY」で、そちらの初動3万枚(7位)より減少。単独名義の前作「九尾」の初動5万7千枚(4位)よりも大幅減となっています。シングルの発売形態を増やして露骨にドーピング効果を狙った売り方をしていましたが、さすがにそのドーピング効果も切れてきたといった感じでしょうか。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2016年3月 8日 (火)

久々のベスト10ヒットに

Title:6×9=53
Musician:KAN

本作でなんと23年ぶりのベスト10ヒットを記録したKAN。ただ、ヒットチャートのコーナーでも書いたのですが、初動売上としては前作を下回っており残念ながら「人気再燃」といった感じではありません。人気が上昇しているというよりも昔から根強い人気を保持しており、その根強い昔からのファンに支えられ見事ベスト10に返り咲いたという見方の方が正しいのでしょう。そういう意味では一時的な人気になるおそれもある「人気再燃」という状況よりも望ましい形でのベスト10入りと言えるのかもしれません。

今回の作品の特徴として数多いミュージシャンがゲストとして参加しています。スタレビの根本要や馬場俊英、SING LIKE TALKINGの佐藤竹善といった、近いフィールドでのミュージシャンも多いのですが、その他にはここ最近親交のあるTRICERATOPSも参加している他、ミスチルの桜井和寿が「安息」での歌詞提供で参加しています。この幅広いミュージシャンとの交流もまた、様々なミュージシャンにも根強い支持を得ている彼ならでは、といった感じでしょう。

さて今回のアルバム、「6×9=53」というタイトルが付けられていたり、ラストに「ロックンロールに絆されて」という曲があったりとロックであることが強調されています。ロックバンドTRICERATOPSが演奏で参加しているのもロック志向を目指している表れなのかもしれません。ただいままでの楽曲でもそうですし、今回のアルバムに関してもそうなのですが、ロックであること以上にポップに対するこだわりを感じます。それは参加ミュージシャンにもあらわれていて、例えばTRICERATOPSはルーツロック志向のバンドである反面、楽曲は全面的にポップ志向のある曲を書いていますし、ミスチル桜井もベスト盤リリース後のツアーで「POPSAURUS」と名付けるなどポップであることに自覚的だったりします。

そんなポップであることへのこだわりを感じたのは今回のアルバム、KANのルーツ志向な側面を強く感じることが出来たからです。サイモン&ガーファンクルテイストの「ポカポカの日曜日がいちばん寂しい」やドナルド・フェイゲン風のAORナンバー「どんくさいほどコンサバ」、最後を締めくくる「ロックンロールに絆されて」はKANちゃんファンにはおなじみのビリー・ジョイルと洋楽テイストの強い曲が並んでいます。もちろんいままでの彼の曲も様々なミュージシャンからの影響を強く感じる曲が多かったのですが、今回のアルバムでは特に強い影響を感じる曲が多かったようい感じます。そしてこれらのミュージシャンはいずれもポップなメロディーラインが魅力的なミュージシャンばかり。そういう意味で彼の持つポップス指向を強く感じる内容になっていました。

もちろんKANちゃんらしいユーモア路線は本作も健在で、タイトルだけで内容が想像できそうな「胸の谷間」や「桜」の側から桜に騒ぎすぎる日本人への疑問を提起した「桜ナイトフィーバー」なんて歌詞がユニークな曲はもちろんなのですが、「ブログ!ブログ!ブログ!」はPerfumeの、というよりも中田ヤスタカの曲真似になっていますし、「scene」はMr.Childrenの曲真似になっています。この「曲真似」はファンの方にも是非聴いてほしいところです。ただ、一種の「ネタ」である「曲真似」が1つのアルバムの中に2曲も入っているのはちょっとやりすぎな感もあるのですが・・・。

あえていえば前作「カンチガイもハナハダしい私の人生」の方がよかったかな、という感じもするのですが、こちらももちろんKANちゃんの魅力がしっかりつまった傑作なのは間違いありません。ユーモア路線から彼の高い音楽性を感じられる曲まで様々、魅力的なポップソングが揃っています。間違いなくお勧めの1枚です。

なお本作、DVDが付属しておりこちらはレコーディングドキュメンタリーとなっていますがこちらも秀逸。普通、この手のレコーディングドキュメンタリーは例えばバンドならメンバーの馴れ合いシーンが多く、ファン以外にはちょっと辛いものがあるのですが、本作のレコーディングドキュメンタリーはきちんとKANちゃんのレコーディングの中でこだわるポイントが収録されており、彼がどういう意図で曲をつくったのかがわかるようになています。こちらもあわせてチェックしたいところでしょう。

評価:★★★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!


ほかに聴いたアルバム

LOVE BEBOP/MISIA

昨年は3年ぶり2度目の紅白出演を果たした彼女による2年ぶりとなるニューアルバム。基本的にはいつも通りのMISIAといった感じなのですが、アルバム全体としてエレクトロサウンドが多く、かつそのサウンドもちょっとチープさが漂う内容に。決して悪い出来ではないのですが、無難といった印象を持ってしまう内容でした。

評価:★★★

MISIA 過去の作品
EIGHTH WORLD
JUST BALLADE
SOUL QUEST
MISIAの森-Forest Covers-
Super Best Records-15th Celebration-
NEW MORNING

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2016年3月 7日 (月)

ここ数作のスタイルを踏襲

Title:BABEL,BABEL
Musician:GRAPEVINE

コンスタントに安定感ある新作をリリースし続けるGRAPEVINE。今回の作品も前作からわずか1年というインターバルでのリリースとなりましたが、本作もリリース間隔の短さを感じさせない安定感ある傑作に仕上がっていました。

GRAPEVINEの曲のここ最近の傾向として爽やかな雰囲気の楽曲が多いという点があげられます。本作も基本的にその傾向を引き継いだ作品。1曲目「EAST OF THE SUN」も爽快なアコギの音色からスタートし、「SPF」も爽快さを感じるメロディアスなギターロックになっており、アルバム全体としてもゴリゴリのグルーヴ感を聴かせるというよりも軽快なポップソングを聴かせるという方向性の強い仕上がりになっています。

歌詞にしてもあいかわらず田中和将が書く文学的で深読みできそうな歌詞、あるいはグルーヴ感重視であきらかに意味のわからない歌詞という方向性は相変わらずなのですが、その中でも比較的意図がわかりやすい歌詞がチラホラ見受けられるというのもここ最近の作品に共通する方向性。例えば本作で言えば

「天空に唾して
溢れ出す言葉を操ろうと
憂国かざして
群衆を単純化してしまうのでしょうね」

(「BABEL」より 作詞 田中和将)

なんて歌詞はまさに今の政治状況を皮肉ったような歌詞で、彼らとしては珍しい社会派を感じさせる歌詞になっています。

そんなここ数作と同じような方向性ながらも曲によって微妙にバリエーションをつけ単純に「マンネリ化」を防いでいるのもここ最近の彼らのアルバムに共通する点。例えば4つ打ちダンスチューンの「Golden Dawn」だったり、幻想的なサウンドが特徴的な「Faithful」だったり、へヴィーなギターリフからスタートするロックテイストの強い「HESO」だったりアルバム全体としてはこれぞGRAPEVINEとしか言えないようなスタイルで統一しつつも、曲によって様々な顔をのぞかせてくれる作品になっています。

そんな訳でいい意味で安心してきける安定した傑作。GRAPEVINEというバンドの実力がしっかりと発揮されたアルバムになっていました。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE
愚かな者の語ること
Burning Tree


ほかに聴いたアルバム

TOKYO SKA Plays Disney/東京スカパラダイスオーケストラ

スカパラの新作はディズニーソングのカバー。正直選曲はベタベタな上、「Let It Go」なんかが収録されている点、いかにも売りを狙いすぎな感じですし、「星に願いを」のカバーはいまひとつ楽曲の良さもスカパラの良さも生かされていない感じ。その他の曲に関しては無難に仕上がっているのですが、無難すぎて面白味もない感じ。いかにも企画先行の面白みのないカバーアルバムでした。

評価:★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last

FIXION/THE ORAL CIGARETTES

これがメジャー2作目となるギターロックバンドの新作。初のベスト10ヒットを記録するなど人気上昇中のバンドです。楽曲的には軽快でリズミカルなポップ。わかりやすいキャッチーなメロディーラインは良くも悪くもJ-POP的。そのベタなメロディーラインにしろちょっとカッコつけたような歌い方にしろ、ヴィジュアル系っぽい雰囲気も漂っていたりして・・・。ただ、インパクトは十分あって耳に残るメロディーを書いてくるだけに今後さらに人気を伸ばしそうな予感もするバンドです。

評価:★★★★

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2016年3月 6日 (日)

12年ぶりの新作!

Title:幸福
Musician:岡村靖幸

ついに、ついに岡村靖幸待望のニューアルバムがリリースされました!2011年には再録盤の「エチケット」を2枚同時にリリースしていましたが、純然たるオリジナルアルバムとしては前作「Me-imi」からなんと12年ぶりのアルバム。まさに待ちに待った1枚といっていいでしょう。

ただもっとも残念ながらこの12年というブランクは決して彼のアルバム制作活動が長く続き要してしまった時間ではありません。ご存じの通り、2度にわたる覚せい剤所持による逮捕、そして懲役という非常に残念な出来事があったためこれほどの月日がたってしまいました。しかしそれだけに無事復帰し、オリジナルアルバムをリリース出来た、ということだけでとてもうれしい出来事だったりします。

さらに今回のアルバム、そんなブランクをものともしない傑作に仕上がっていました。ファンキーなリズムでの楽しいダンスミュージックに、エロチックと純情さを兼ね備えた歌詞。本作で聴くことが出来る岡村靖幸の楽曲はまさにこれぞ岡村ちゃん!と感じることが出来る楽曲ぞろい。特に「ラブメッセージ」などはアレンジの雰囲気を含めて彼が精力的に活動していた90年代そのままの楽曲になっていますし、ちょっとメロウな雰囲気が漂う「彼氏になって優しくなって」もどこか90年代の匂いが漂う楽曲になっています。

それじゃあこの作品は90年代そのままの楽曲かと言われればそうでもなくて、例えば「新時代思想」などのエレクトロアレンジはいかにも今時。ラップを入れているスタイルも2010年代の今ならではといった感じがしますし、「ビバナミダ」などもメロディーや歌詞自体はいかにも岡村靖幸といった感じの曲調なのですが、強いビートのエレクトロサウンドは今時の雰囲気を感じます。

そんなこともあり今回のアルバム、90年代、精力的に活動していた時代の岡村靖幸と2016年の岡村靖幸を1枚のアルバムでむすびつけているアルバムといった印象を受けました。ただ2016年の岡村靖幸は90年代と比べて決定的な新機軸を示しているかといわれるとそうではなく、基本的にはいつもの岡村ちゃん。時代を超えて変わらない「岡村節」ともいえる彼の個性がしっかりと貫かれているアルバムでもありました。

今回のアルバム、純粋な新曲は3曲のみで残りはすべてシングルなど既発表曲という点はちょっと残念な部分ではありました。ただその点を差し引いてもはずれなしの名曲がズラリと並んだアルバムになっており、3度の覚せい剤所持による逮捕を乗り越えて、50歳を超えて脂にのりまくっている岡村靖幸の姿を感じることが出来ます。今回のアルバム、冒頭を飾る「できるだけ純情でいたい」はミディアムテンポのナンバーで、ファンキーなダンスチューンを期待していると肩すかしをくらうような出だしなのですが、インパクトという面でちょっと薄いミディアムテンポのナンバーを1曲目にあえて配置するあたり、このアルバムに対する自信もうかがうことが出来ます。

現在、このアルバムも含めツアーも数多く行い精力的な活動を続ける彼。このアルバムは間違いなく今年を代表する傑作に仕上がっていました。これからはまたコンスタントに名曲をリリースしてくれることを期待したいのですが・・・3度の逮捕の後、リハビリ施設に入ったという話も聞かないし、正直言って、本当に4度目がないのか心配な部分もあるのですが・・・。

評価:★★★★★

岡村靖幸 過去の作品
Me-imi~Premium Edition~
エチケット(パープルジャケット)
エチケット(ピンクジャケット)


ほかに聴いたアルバム

Shine/Crystal Kay

EXILEの事務所であるLDHに移籍して第1弾となるニューアルバム。LDH移籍が効いたのか久々のベスト10ヒットも記録するなど人気の面でも復活傾向にあります。本作は安室奈美恵やm-floのverbal、AK-69など豪華ゲストも話題に。楽曲は今時らしいエレクトロ主体のアレンジ。卒ない出来といった感じできちんと聴かせる今時のR&Bポップに仕上がっていますが、「無難」という印象がつきまとう作品に。ポップソングとしては悪い出来ではないものの、Crystal Kayらしさはあまり出ておらず、これをCrystal Kayが歌う必然性があるのか?という疑問も感じたアルバムでした。

評価:★★★

Crystal Kay 過去の作品
Shining
Color Change!
BEST of CRYSTAL KAY
THE BEST REMIXES of CK
FLASH
Spin The Music
LOVE SONG BEST
VIVID

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2016年3月 5日 (土)

中毒性あるユニークな傑作

Title:女の46分
Musician:チャラン・ポ・ランタン

昨年リリースしたメジャーデビュー作「テアトル・テアトル」も大きな話題となった女性2人組ユニット、チャラン・ポ・ランタンの1年ぶりとなるメジャー2作目。一般的にサーカスの音楽とイメージされることの多いバルカン音楽にシャンソンの音楽を加えた、とても楽しく、同時に哀愁感も漂う音楽性が魅力的なユニット。祝祭色あふれる軽快な音楽は非常に中毒性の高い楽曲になっています。

今回のアルバムタイトルは「女の46分」というタイトルですが、このタイトル通りアルバムの長さはちょうど46分。そして歌詞のテーマもそのものズバリ「女」をテーマとした歌詞になっています。

前作は歌詞にいまひとつひねりがない点がマイナス点として指摘しました。正直今回のアルバムに関しても「女」をテーマとした題材としては少々ベタと感じられるような部分もあります。例えば「私間違ってた」の「間違っていた」スタイルの例示はちょっとステレオタイプにも感じさせます。ただそれ以上に「女」というテーマをユーモラスに切り取った歌詞がとてもおもしろさを感じさせてくれました。例えば「時計仕掛けの人生」では人生を1日に例えた歌詞がとてもおもしろいですし、「貴方の国のメリーゴーランド」も幻想な歌詞描写が彼女たちの音楽の世界にもマッチ。ゆとり世代をテーマとした「ちゃんとやってるもーん」もちょうどゆとり世代ドンピシャな彼女たちならではのテーマ性といった感じでしょう。

また楽曲的にもサーカスチックなどこか幻想的な雰囲気も混じる楽しいサウンドをベースとしながらも、「ちゃんとやってるもーん」ではチープな打ち込みを取り入れていたり、強い低音のリズムが特徴的な「テイラーになれないよ」のような新機軸の曲もあったり、「ミルクティー」のようなレトロな雰囲気の曲もあったり(ちょっと小島麻由美テイスト?)とバリエーション豊富で最後まで飽きさせません。

特にラストを飾る「ハバナギラ」がユニーク。イスラエル舞曲で結婚式の定番らしいのですが、ヘブライ語の歌詞が不思議な雰囲気を醸し出しており非常にユニーク。最後の最後まで個性的な音楽で楽しませてくれます。

前作では平坦さが気になったボーカルも今回の作品では表情がグッと増したように感じます。時にはコミカルに、時には迫力をもって歌い上げており、ボーカリストとしての成長も感じられました。

そんな訳で、前作「テアトル・テアトル」はおもしろいけど気になる点も多かった惜しい作品でしたが、今回の作品は非常に中毒性の高いおもしろい傑作に仕上がっていました。これはライブがとても楽しそうだなぁ。一度行ってみたいのですが・・・。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル


ほかに聴いたアルバム

MUSICK/宮沢和史

2014年にTHE BOOMを解散させ、さらに今年の春からは音楽活動を休止する宮沢和史のソロ集大成となるアルバム。新曲3曲にセルフカバー、さらにいままでのソロでの楽曲をおさめたベスト盤的な内容。楽曲はおなじみ沖縄民謡からブラジル音楽、スカ、さらには和の要素を入れた曲やディスコナンバーまで収録されており、ワールドミュージックを中心とした彼の幅広い興味が感じられる内容になっています。THE BOOMよりも活動の自由度の広がりは感じる反面、この内容ならTHE BOOMでもやれたのでは・・・とも思う部分も。そういう意味ではTHE BOOM解散後、ソロで積極的に活動する訳ではなく音楽活動を休止してしまったのは、やはりやりたい音楽をある程度やってしまった、という部分もあるのかなぁ、と感じました。

評価:★★★★★

宮沢和史 過去の作品
寄り道
MIYATORA(宮沢和史&TRICERATOPS)

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2016年3月 4日 (金)

話題の現役高校生ラッパー

Title:hollow world
Musician:ぼくのりりっくのぼうよみ

最近話題の男性ラッパーによるメジャーデビュー作。現在高校3年生。若干17歳という年齢も大きな話題となりましたし、またもともとは動画サイトの投稿から音楽活動をスタートしているという話も、いかにも今時の若者といった感じもします。すべてひらがなというちょっと珍しいミュージシャン名も逆に今時らしいという感じもしますし。

そんな話題のアルバムですがまず耳に残ったのがトラックでした。基本的にシンプルで音数を絞ったようなアレンジ。曲によってはストリングスを入れてきたり、ブラックミュージック的な要素を入れてシティポップ風に入れてきたり。特に「Venus」のスペーシーなトラックなどサウンド自体に奥深さも感じられて強いインパクトを感じられます。

ただこのトラック自体は彼自身の作品ではなく、彼の楽曲に対するイメージを伝えたうえで第三者によって作成されたトラックだとか。様々なトラックメイカーに自分のイメージを上手く伝えて楽曲を組み立てていくプロデュース的能力も彼の才能、と言えるかもしれません。

楽曲的には本格的なラップというよりもメロディーラインがはっきりとした歌とラップ「風」なフレーズが交互に入るようなポップス色が強いもの。トラックに歌詞を載せていくというスタイルだったりライムを踏んでいる部分があったりとそれなりにHIP HOPマナーに沿った楽曲構成になっているものの特定のジャンルにはこだわらないような自由さもあり、その点も今時といった印象も受けます。

また一番話題になっているのが歌詞の世界で、抽象的な部分が多く、いわゆる「深読み」を誘うような歌詞も特徴的。歌詞はイメージ的には強い自意識を抱えたような若者が現実社会をネガティブに描いたような楽曲が多いという印象。例えば「CITI」の

「世界はもうとっくに色褪せた
仕方なしに網膜をも濁らせた
明日にしか希望を見出せない
きっとそこに待つのは淀んだ未来」

(「CITI」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

などという歌詞も今への失望と未来への不安を描いていますし、

「全て未来は決まってる
そんな振りをした
そして夜が訪れた
悲しみが空を覆った
放り出されたまっくらやみ」

(「sub/objective」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

という歌詞もまたシニカルな現実描写を感じさせます。ここらへんはまだ思春期の高校生らしいといった感じでしょうか。

ただ一方でちょっと気になるのは彼の歌い方。端整な歌声も印象に残るのですが、必要以上に巻き舌を使った歌い方のためせっかくの歌詞が聴き取りにくいものとなっています。またその歌詞もインパクトあるフレーズをメロディーと上手く組み合わせているような部分は少なく、巻き舌を多用した歌い方と含めて歌詞が聴いていてストレートに響いてこない点が気になりました。

そんな訳で様々な部分で「今時」な部分、あるいは「現役高校生」らしさを感じられるアルバムになっていました。確かに絶賛されるように才能が感じられるのは間違いありません。ただ一方で強い自意識を抱えた歌詞の世界は良くも悪くも高校生らしい青さも感じますし、また歌詞をリスナーに伝えようとする部分についてはもう少し工夫が必要かも、と思う部分も少なくありません。そういう意味ではまだこれからといった点も否めませんが、それを差し引いても今後が非常に楽しみなミュージシャンなのは間違いないでしょう。今後の活躍が楽しみになってくる1枚でした。

評価:★★★★

で、そんな彼のデビューEP。本作リリースにあたって、クリスマス限定でTwitter上、無料ダウンロードされていたのでダウンロードして聴いてみました。

Title: Parrot's paranoia
Musician:ぼくのりりっくのぼうよみ

Folder

基本的なイメージは新作と同じ印象。特にこの作品では非常に美しいトラックが耳を惹きます。巻き舌のラップのため歌詞がちょっと聴きとりにくいという点も同様。デビュー作としては非常に完成度の高いという意味では間違いないかと思います。一般発売されていないようなので公式サイトなどでのリリースは現状ありませんが・・・「hollow world」が気に入った方なら機会があれば、是非。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

15th ANNIVERSARY TOUR-THE BEST-LIVE/LOVE PSYCHEDELICO

昨年2月にリリースしたベストアルバムに伴うライブツアーの模様を収録したライブ盤。ベスト盤直後のライブツアーを収録したアルバムなだけにこちらもベスト盤的な内容。そういう意味で2月にリリースされたベスト盤の延長的な作品といった感じでしょうか。ライブは非常に完成度の高い内容なために、良くも悪くも安心して聴けるといった印象。もっともライブ演奏はスタジオ録音以上に洋楽志向が強くなっている感じもしますし、ベスト盤同様、彼女たちの魅力をしっかりと伝えてくれるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ

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2016年3月 3日 (木)

こちらも1位はジャニーズ系

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートも1位はジャニーズ系。Sexy Zoneのニューアルバム「Welcome to Sexy Zone」が1位を獲得しています。これでデビュー以来アルバムは4作連続1位だそうです。初動売上は11万枚。前作「Sexy Power 3」の10万1千枚(1位)より若干のアップ。

2位初登場は松野おそ松&松野一松(櫻井孝宏&福山潤)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ おそ松&一松『占い師』」。人気アニメ「おそ松さん」からドラマCDだそうです。さすがに熱心なファン以外はちょっと厳しい作品だと思うのですが、それでも初動売上3万9千枚でこの位置に来るのは、アニメの人気の高さを物語っています。

3位はE-girlsのベスト盤「E.G.SMILE-E-girls BEST-」が先週の3位から同順位をキープして今週もベスト3入りを果たしています。

続いて4位以下の初登場です。4位はロックバンドamazarashi「世界収束二一一六」がランクインしています。ボーカル秋田ひろむの独特の歌詞の世界も話題のバンド。初動売上1万7千枚。直近作は彼らの代表曲をアコースティックアレンジに仕上げた企画盤「あまざらし 千分の一夜物語 スターライト」で、こちらの6千枚(10位)より大幅アップ。また直近のオリジナルアルバム「夕日信仰ヒガシズム」の9千枚(12位)よりもアップしています。バンドとしては3作目のベスト10入りでベスト5入りは本作が初。人気上昇中の注目のバンドです。

5位初登場は3人組ポップデゥオソナーポケット「ソナポケイズム6~愛をこめて贈る歌~」。悪い意味でJ-POP的な前向き応援歌が特徴的な彼ら。「愛をこめて贈る歌」というベタベタな副題も彼ららしい感じ。初動売上1万6千枚は前作「ソナーポケット5~笑顔の理由。~」の2万1千枚(5位)からダウン。

今週、初登場はあと1枚。9位に「Heavensward: FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」がランクイン。タイトル通り、ゲーム「FINAL FANTASY XIV」のサントラ。初動売上は1万枚。ファイナルファンタジーがらみのサントラとしては前作「BEFORE THE FALL FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」の1万4千枚(4位)よりダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2016年3月 2日 (水)

韓流男性アイドル勢が上位に

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週はなぜか上位には韓流男性アイドル勢が並びました。

2位BTOB「Dear Bride」、3位超新星「またキミと…」、4位U-KISS「Kissing to feel」、5位Block B「Jackpot」と並びました。ここまで同時に発売してくる理由は不明なのですが・・・。お互い、相乗効果を狙ったのでしょうか。

BTOBと超新星はベタなJ-POP的なアイドルチューンで日本市場狙いでしょうか。BTOBは初動9万4千枚で前作「夏色 MY GIRL」の7万6千枚(4位)からアップ。超新星はこれがメンバーの軍隊入隊前最後のシングルだそうです。初動売上4万8千枚は前作「きっと」の5万4千枚(4位)からダウン。

U-KISSはK-POPらしいEDMナンバー。初動売上3万4千枚は前作「Stay Gold」の4万4千枚(3位)からダウン。Block Bも軽快で楽しいパーティーチューンでこの手の曲も韓流ではよくありがちな印象が。初動売上2万5千枚は前作「HER」の3万枚(7位)からダウンしています。

そんな韓流男性アイドル勢を抑え見事1位を獲得したのが嵐「復活LOVE」。NTTドコモCMソング。作詞竹内まりや、作曲山下達郎という豪華な作家陣を迎えた曲で、山達らしいメロウな雰囲気を加えた王道歌謡曲的に聴かせる曲はさすがの一言。一部の女性アイドルみたいに奇抜系に走るのではなく、こういう王道だけど職人技で作り込まれた曲をきちんとリリースしてくるあたりが、例のSMAP騒動でいろいろと問題点は浮き彫りにされたけど、やはりジャニーズ系の強さだな、ということを感じます。初動売上48万5千枚は前作「愛を叫べ」の46万2千枚(1位)よりアップ。

ジャニーズ系は今週もう1曲。7位にTOKIO「fragile」がランクイン。メンバーの長瀬智也主演のフジテレビ系ドラマ「フラジャイル」主題歌。いかにもプロの仕事の嵐と対照的に良くも悪くも素人っぽさが漂うのは作詞作曲が長瀬智也だからか。初動売上1万9千枚は前作「東京ドライブ」の1万7千枚(9位)から若干のアップ。

さて、他の初登場曲は・・・まず6位に男装の女性アイドルグループ風男塾「友達と呼べる君へ」が初登場。作詞も作曲も何のひねりもないJ-POPチューン。初動売上2万1千枚は前作「もしも これが恋なら」の2万3千枚(8位)よりダウンしています。

8位には人気男性声優神谷浩史「Danger Heaven?」が入ってきています。初動売上1万8千枚。直近作は神谷浩史+小野大輔名義の「Monster’s Show」でこちらの初動9千枚(9位)よりアップ。単独名義の前作「START AGAIN」の1万6千枚(10位)からも若干アップしています。

9位は「旅」をテーマとした女性アイドルグループPASSPO☆「Mr.Wednesday」がランクイン。まあ「旅」には全く関係ない曲なのですが・・・90年代のガールズロックを彷彿とさせるナンバー。初動1万4千枚は前作「向日葵」の初動売上2万4千枚からダウン。

最後10位にはヴィジュアル系バンドDOG inTheパラレルワールドオーケストラ「BLACKブルドッグ」が入ってきています。カラフルな雰囲気の軽快でアイドル色の強いポップスロックナンバー。初動売上1万2千枚は「メテオライト」の1万4千枚(10位)よりダウンしています。

今週のシングルチャートは以上。明日はアルバムチャート!

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2016年3月 1日 (火)

豪華メンバーが参加

Title:Valentine
Musician:ACO

オリジナルアルバムとしては2年ぶりとなるACOのニューアルバム。今回のアルバムの大きな特徴がその強力なバンド勢。ベースはおなじみ元NUMBER GIRLの中尾憲太郎、ギターにはトクマルシューゴのライブメンバーとしても活躍している岩谷啓士郎、ドラムスはtoeやthe HIATUSとしても活躍している柏倉隆史、キーボードには塚本亮と豪華なメンバーが参加していることでも話題になりました。

今回のアルバムは全10曲入りですが、うち2曲はインターリュード的な曲。その2曲に区切られた3部構成のような内容になっています。まず「1部」である1曲目から3曲目はへヴィーなバンドサウンドを前面に出したブルースロックの曲が並びます。まさに今回の豪華メンバーを参加させた真骨頂ともいうべきへヴィーで緊張感あふれるサウンドが特徴的。さらにそこへ負けず劣らずなのがACOのボーカル。しゃがれた声で力強く歌うボーカルが楽曲の雰囲気にピッタリマッチ。どこかくすんだ雰囲気が実に魅力的な曲が並んでいます。

「2部」である5曲目から8曲目はピアノやストリングスを主軸としてしんみりと聴かせるパート。「Say Goodbye」「Diamond」などピアノやストリングスの音を美しく聴かせつつ、「鳥になった男」のような悲しいメロディーラインで歌を聴かせる曲もあり、「1部」よりも歌の部分、ACOのボーカルの部分がより前に押し出され魅力を発揮されている楽曲になっています。

そして最後、「3部」にあたるのがくるりの岸田繁が参加した「未成年」。メロディーラインにもインパクトのあるシングルカットもできそうな作品なのですが、なによりも歌詞が印象的。「未成年」に対しての愛情あふれるメッセージ性の強い曲で、もし私が未成年だったらかなり心に響いてきそうな楽曲になっています。

そんな「3部」構成だった今回のアルバムですが、どの曲に関してもバンドサウンドが実に力強く魅力的。「2部」にあたる曲たちにもピアノやストリングスに対峙した分厚いサウンドを響かせますし、ラストの「未成年」もピアノを入れつつそのサウンドで印象的なメロディーをしっかりと下支えしています。

一方、そんなバンドサウンドに負けずしっかりと魅力を伝えているのがACOのボーカル。曲によって優しく聴かせるような曲から、ハスキーボイスでくすんだ雰囲気を醸し出している曲までバラエティー豊富。ボーカリストとしての魅力をしっかりと感じられるアルバムになっていました。

そんな訳で今回のアルバム、ACOの最高傑作じゃないか?とすら思うほどの素晴らしい作品だったと思います。サウンドもしっかりと聴かせつつ、ロック色の強い作品から「鳥になった男」や「未成年」のようなポップとしてのインパクトも十分な作品までいろいろな色彩を感じさせる傑作アルバム。ACOの作品としてもというものもちろんのこと、今年を代表する年間ベストクラスの傑作だったと思います。デビュー20年目を超えたベテランの彼女ですが、ベテランらしさをいい意味で感じられない実に意欲的な作品でした。

評価:★★★★★

ACO 過去の作品
devil's hands
LUCK
TRAD

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