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2016年1月12日 (火)

J-POPの原点

Title:eyes-30th Anniversary Edition-
Musician:渡辺美里

このリリースにはちょっとビックリしました。渡辺美里のデビューアルバム「eyes」の、リリース30周年を記念してリリースされた30th Anniversary Edition。リアルタイムで聴いていた作品ではないので、「そっか、もう30年になるのか」みたいな感慨はないのですが、「My Revolution」でのブレイク前の作品であり、華々しいデビュー作といった感じではないだけに、この作品で30周年記念盤がリリースされる、というのはちょっと意外にも感じました。

デビュー作である本作の特徴は、まずはやはりこの段階で渡辺美里の黄金期を支えた作家陣、小室哲哉、岡村靖幸、大江千里、木根尚登の名前がズラリと揃っていることでしょう。小室先生も岡村ちゃんも木根尚登もまだブレイク前の無名の存在。なんとか大江千里が「十人十色」でブレイクしていたものの、まだまだ若手。才気あふれる若手ミュージシャンが、知名度とは関係なくズラリと揃っているのが印象的です。

また、渡辺美里本人がほとんど作詞を手掛けていないのもひとつの特徴に感じられます。本作で彼女が作詞を手掛けているのは11曲中わずか2曲。その後、彼女自身が作詞を手掛ける曲が増え、次々作「BREATH」では全曲で作詞を手掛けているのですが、本作では基本的には「プロ」の作家陣に作詞は任せています。

そんな「プロ」を揃えたデビュー作だからこそ、渡辺美里をどのように売りだそうか、という強いコンセプトを感じるアルバムになっています。当時19歳の彼女ですが、そんな子供と大人の端境期である彼女が、等身大の本音を歌う、それが本作のコンセプト。

「大人に見えても 大人じゃない
子供に見えても 子供じゃない」

(「18才のライブ」より 作詞 竹花いち子)

と歌う「18才のライブ」が典型例ですが、この等身大の女性の本音というスタイルは、その後の渡辺美里の曲に共通するコンセプトとなっていきます。

もうひとつ、歌詞のコンセプトとしては同世代に対する応援歌というものもあります。典型的なのは、本作の事実上の1曲目であり、今なおライブの定番曲でもある「GROWIN'UP」。力強い前向きのメッセージを感じます。

ただ、この「等身大の自分」「前向きの応援歌」というコンセプト、よくよく考えると、典型的なJ-POPのスタイルなんですよね。もちろんいまから30年前、1985年はそんなJ-POPが産まれる前。要するにこのアルバムは、今のJ-POPの原点ともいうべきアルバム。そういう意味でも、意義のある作品のように感じます。

ちなみに音の方はリマスターでBlue spec CD2ということでやはり音はよくなっている・・・のですが、80年代らしいチープな音なので、そんなに劇的な印象の違いは感じなかったかも。とはいえ、音はグッとリアルにはなっているのですが。

また今回の30周年記念盤で残念だったのは、記念盤で追加になったのが、シングル「I'm Free」とそのカップリング、またアルバム未収録の「GROWIN'UP」のカップリング「ルージュの色よりもっと」だけだった点。デビュー当初のライブ音源とかつけてほしかったなぁ。残っていればだけども。

そんな訳で、渡辺美里を聴いたことない方でも、これを機にチェックしてみて損のないアルバム。来年は「Lovin' You」の30周年記念盤とかリリースされるんでしょうか。それならそれでかなり楽しみだったりするのですが・・・どうでしょうか?

評価:★★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ


ほかに聴いたアルバム

実録! グループ魂の納涼ゆかた祭り 東京仙台大阪福岡の隠し録り/グループ魂

グループ魂のライブ盤。以前リリースされたベスト盤でも感じたのですが、CDのオリジナル音源に比べ、バンド色が増したのが特徴的。ただ、ちょっと残念だったのが、アルバム「20名」リリース後のツアーだったので仕方ないといえば仕方ないのですが、ほとんどがアルバム「20名」からの曲で、ベスト的な選曲からほど遠いのが残念だったことと、MCの部分があまり入っていなかったのは残念。以前リリースされたライブ盤でも同じことを感じたのですが、彼らのライブの魅力がいまひとつ伝わってこなかったような・・・。

評価:★★★★

グループ魂 過去の作品
ぱつんぱつん
1!2!3!4!
実録!グループ魂全国ツアー「客vs俺!どっちがスケベか競争して来たど!15番勝負」
グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~
20名

ghost is dead/Spangle call Lilli line

途中、ベスト盤やカバーアルバム、ミニアルバムのリリースはあったものの、純然たるオリジナルフルアルバムとしては約5年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム。バンドサウンドを主軸にエレクトロサウンドを入れてポストロック的に仕上げている手法で、サウンドは凝っており、確かに曲によってはおもしろいと思える瞬間も少なくないのですが、以前から課題と感じていたメロディーラインの弱さは改善されるどころかさらに薄くなっている印象も。ぶっちゃけていうと、頭でっかちな感じがしておもしろくなかった・・・。

評価:★★★

Spangle Call Lilli Line 過去の作品
VIEW
forest at the head of a river

New Season
Piano Lesson
SINCE2

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