意外とオーソドックス
公開が決まって以来、非常に楽しみにしていた音楽ドキュメンタリー映画を観てきました。「DENKI GROOVE THE MOVIE?-石野卓球とピエール瀧-」。電気グルーヴのドキュメンタリー映画を映画「モテキ」などで知られる映画監督の大根仁によって録られた作品。年末年始のわずか2週間のみの限定公開(一部では1週間延長されたそうですが)だったので、見れるかどうか不安だったのですが、なんとか時間をつくって見に行きました。
今回見たのは、平日の20時15分スタートの回。平日なのですが会社帰りのサラリーマンも多く(というか私もそうですし)、会場は8割程度の入り。客の入りは好調のようで、さすがの人気を感じさせます。
さて、その映画の内容なのですが、予想以上にオーソドックスな構成。基本的に2014年のフジロックのステージを主軸にしつつ、デビュー当初から丹念に彼らの歩みを追ったスタイル。その当時の貴重なライブ映像やオフショット映像に関係者のインタビューから電気グルーヴというミュージシャンがどんなミュージシャンなのか追いかけています。
ライブ映像はかなり貴重な映像も満載。なんといっても大阪ファンタンゴでのデビューライブの模様までおさめてあり、今とは全く雰囲気もスタイルも異なるステージングに電気の長い歴史を感じます。残念ながら貴重なライブ映像は短め。まあ、撮影状況がかなり悪いので、長く見せられても厳しいものもあるのですが・・・機会があればもうちょっと長い映像を見たいな。
インタビューも、電気と深い関係を持つ人たちにきちんと話を聴いており、最適な人選といった感じ。特にCMJKとまりんこと砂原良徳といった元メンバーの証言はかなり貴重で、2人それぞれ電気を脱退した理由も語られており、この脱退の理由(CMJKはこれから大スターになる他の2人と一緒に活動していく絵が思い浮かばなかったから、まりんは同じテクノでもドイツ寄りの卓球とイギリス寄りの自分に音楽的な違いが出てきたから)も納得いくものでした。
映画では電気グルーヴのその時々の音楽の方向性、彼らが目指したものが関係者の証言により語られており、リアルタイムで彼らの活動を追っていた私も、あらためて彼らの歩みを体系立ててなぞれるような内容になっており、映画を観ていると、あらためて過去に戻って彼らのアルバムを聴いてみたいような衝動にもかられました。
ちなみにナレーションは全部英語で、字幕付。おそらくナレーションを入れることにより、変な「色」がつくことを避けたのでしょう。その試みは成功していた反面、映画を観ていて字幕を読まなくてはいけないため、映像に集中できない、という面ではマイナス面も感じました。また、電気グルーヴがどんなミュージシャンで音楽的にどんな方向を目指していたのかを、ナレーションで全部説明している、いわば「説明過多」な状況なのもよくも悪くもいかにも日本映画といった感じ。まあ、これに関しては、ドキュメンタリーという性質上、「わかりやすい」というプラスの面が多かったように思いますが。
そんな電気グルーヴの魅力をきちんととらえた内容になっているため、電気グルーヴ入門としても最適な映画だったと思いますし、長年のファンにとっても、あらためて彼らの実力を再認識できた内容でした。映画として目新しさはなく、良くも悪くも無難な内容なのですが、それだけに電気グルーヴがどんなバンドなのか知るにはムダのない内容だったように思います。もうおそらく公開は終わってしまいましたが、貴重な映像も多いだけに、DVDでリリースされたらファンなら要チェックの作品だと思います。大満足の2時間でした。
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