耳なじみあるメロディーが魅力
Title:Merdi L'amour
Musician:Reda Taliani
毎年、前年の名盤で聴き逃した作品を各種雑誌等の年間ランクを参考に聴いているのですが、今回はまず、「MUSIC MAGAZINE」誌で年間1位となった作品です。ジャケット写真が馬鹿ジャケっぽくて笑えてくるのですが(笑)、アルジェリアのライという音楽の人気歌手の新作。Wikipediaによると「現在では非常に多様化し、ライというジャンル名も濫用、誤用されたものが定着しており、その全体を音楽として統一的に定義するのは困難である。」と書かれており、日本で言えば「歌謡曲」のようなジャンルと考えるのが妥当でしょうか?
そのためでしょうか、楽曲としては「ワールドミュージック」というイメージよりは普通の「ポップソング」的なノリで楽しめるような作品になっていました。基本的にはラテンフレーバーの作品は確かにアラブ音楽といった感じですし、例えば「Soiree Hbale」のイントロ部分などにはアフリカ的な色合いも感じたのですが、それ以上にポップス色が強いメロディーラインがはっきりしたナンバーになっており、そういう意味では聴きやすさを感じさせるアルバムだったと思います。
特に私たちに耳なじみやすく感じるのは、そのメロディーラインはどこか郷愁感漂い、歌謡曲のテイストが強く感じられるため。その中でも印象的だったのが「Mi Amor」。まずピアノから入るイントロが実に美しい。そこにのるメロディーラインの切ないこと切ないこと。さらに楽曲構成としてサビに行くに従い盛り上がり、わかりやすいサビが存在するなど、私たちにもいい意味で聴きやすい楽曲になっていました。
「Reditini Ma Neswache」もアコーディオンの音色とストリングスが哀愁たっぷりのムーディーなナンバー。このサウンドとメロディーラインが相まって、実に歌謡曲テイストの強いナンバー。こちらも私たちによって耳なじみありそうなポップソングになっています。
一方では「Ya Chaba」などホーンセッションを入れて盛り上がるナンバーがあったり、バリエーションある音楽性も、「歌謡曲的」と言えるのかもしれません。また「Lguitha Fi Larret」のような疾走感ある細かいリズムなどは今風と言えるかもしれません。
そんな耳なじみやすく楽しめるポップアルバムで十分に楽しめる作品でした。ただ、これが年間1位と言われるとうーん、どうなんだろう?と思ってしまいます。確かにいいアルバムだとは思うのですが・・・。
評価:★★★★
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