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2016年1月10日 (日)

賛否両論の仕掛けが・・・

内容の割に安いというのは事実なものの、それでもそれなりの金額となるので、買おうかどうか迷っていたのですが、結局買ってしまいました。

マキシマム ザ ホルモンのDVD/Blu-ray作品「Deka Vs Deka~デカ対デカ~」。彼らの人気を反映するように大ヒットを記録。CD屋でも売り切れ続出という事態となった作品。今回、本作を紹介するのですが、これは厳密にはネタバレになるのですが、このレビューを見て買おうと思った方がいたとしたら、次の点は事前に知っておいた方がいいかもしれません。

・本編を見るためには「START UP DISC」のゲームを解いて、パスワードを入手する必要があります。
・「START UP DISC」にはセーブ機能はなく、章が終わるたびに表示される「ふっかつのじゅもん」を入手する必要があります。一章が終了するのに、およそ1時間程度がかかります。

この「パスワード機能」はかなり賛否両論を巻き起こしています。ただ、今回、この映像作品を見て強く感じたのは、一部でホルモンは「ファン想いのバンド」みたいな言われ方をしていますが、「パスワード機能」などを含めて、彼らは決してファンフレンドリーなバンドではないよな、ということでした。

だって、ファンフレンドリーなら、こんなめんどくさいパスワード機能なんて作らないし、例えばライブにしてもチケットが取りやすいように、幕張メッセみたいな会場を使うだろうし、アルバムにしてもレンタル配信禁止という措置は取らないだろうし。

むしろ彼らにとってまず重要なのは、自分たちの主張をファンに伝えること。それが第一。さらには自分たちの楽しいと思う「おふざけ」を大人の財力で本気でやること。さらに、そんな自分たちの主張をファンにひとつ残らず伝え、自分たちがやりたいことをファンと一緒に楽しむこと。彼らはこの映像作品に収録されている林間学校やら地獄絵図やらといった楽しい企画を、それも無料で実施していますが、ファンを楽しませたい、というよりも自分たちがファンと楽しみたいんだなぁ、ということを強く感じました。

特に彼らの(というよりも亮君の)スタンスとして強く感じるのがバンドのファンなら、バンドのことを隅々まで知ってほしい、という主張。これは最新作「予襲復讐」のブックレットでも強く感じましたし、本作からも要所要所でバンドのことを全部知ってほしい、ということを強く感じます。そんなバンドのスタンスは、時としてうざさすら感じるのですが、ただ、私も同年代として亮君の主張はすごくわかる部分があります。

昨今、「バンドのファン」と名乗っていてもCDを買わずにYou Tubeの動画で音楽を聴いているだけ、とか、バンドのメンバーの名前すら知らない、というような「自称ファン」が少なくありません。でも、自分たちが中学生の頃って、ミュージシャンのファン、といったらCDのブックレットを読み込んで、サポートメンバーの名前まで覚えて歌詞も暗記して・・・と、好きなミュージシャンのことは隅から隅まで知っていて当然、という時代だったと思います。おそらく亮君が目指しているのはまさにそれ。ファンならホルモンのことを隅から隅まで知ってほしい、そんなスタンスをこの作品からは強く感じます。

さて今回の映像作品は、START UP DISCのゲームを含めて、すべて見るとおよそ10時間強がかかるボリューム満載な内容になっています。基本的にライブ映像もMVも文句なしにカッコいいし、民放のバラエティーテイストに作られている林間学校の映像も地獄絵図やMASTER OF TERRITORYの映像もとても楽しめました。ただ、有名ナレーターなどを起用し、いろいろな部分を凝った結果、少々やりすぎ感は否めない感じになってしまっています。下手にお金があった結果、不必要な装飾を増やしてしまった・・・そんな部分も目立ちました。

それでは今回のこの映像作品をお勧めできるかどうか、と言われると、買おうかどうか迷っているならば文句なしに買うべき作品と思います。ゲームをクリアする面倒くささはありものの、間違いなく7千円強という値段に見合うだけの満足感は得られる作品になっていると思います。また、このボリューミーな内容ゆえに、この映像作品を見れば、ホルモンのメンバーはどんな人たちなのか、ホルモンとはどんなバンドなのか、さらにホルモンの目指す方向性は何なのか、初心者でもわかる内容になっています。この作品の帯に「腹ペコデビュー推奨作品」と書いてありますが、まさにホルモンを知るための最初の作品としてはピッタリだと思います。ちょっとやりすぎ、亮君のこだわりが変な部分に出てしまった部分が少なくないのは否めませんが、そのマイナス要素を差し引いても、フルボリュームの内容を一気に見てしまった、とても楽しく、かつホルモンの魅力を感じさせる作品でした。

ちなみに同封のCD「耳噛じる真打」については、明日、別にレビューを予定しています。

以下、内容についてのネタバレレビュー。

【START UP DISC】

内容は他のディスクを見るためのパスワードを探すため、亮君の「脳内」を探検するゲーム。DVDのチャプター機能を使い、無理やりゲームに仕上げており、スタイルとしてはテレビゲーム黎明期の、すべての選択肢を選ばないと前に進めないようなアドベンチャーゲーム。かなり癖が強い内容なので、正直、好き嫌いは激しいかもしれません。

ただ、亮君のスタンスを考えると、この作品を見るすべてのユーザーに強制的にやらされるこのゲームこそが、おそらく彼が一番やりたかったことのように感じました。中身的にはアラフォーのメンバーが小中学生時代に体験した懐かしいネタが詰め込まれており、自分たちが懐かしく感じるネタをファンと共有したい、という願望が感じられます。

もっとも残念だったのは後半に行くにつれて選択肢が少なくなり、ゲームとして完全に失速しちゃっている部分。そのため全体的にゲームとしての完成度は低め。まあ、本編のパスワードを探すためのゲームなだけにあまりに難易度が高すぎるのも問題なのですが・・・。

【メインDISC】

ホルモン林間学校や地獄絵図、ライブイベント「MASTER OF TERRITORY」の模様を収録したドキュメンタリーテイストのDVDになっていますが、作品の構成は完全に民放のバラエティー番組になっています。聞覚えのある有名ナレーターを起用し、ナレーションやテロップを多用したつくりに。特に「地獄絵図」はBGMも含めて完全に「はじめてのおつかい」シリーズのパロディーになっています。

そのため、ホルモン初心者にとっても楽しめる、いい意味でわかりやすい、かつ笑える内容になっていました。ただその反面、昨今の民放バラエティーの悪い部分もモロに出てしまった構成に。要するにナレーションやテロップ過多。基本、企画自体が民放バラエティーみたいな「ホルモン林間学校」はまだしも「地獄絵図」や「MASTER OF TERRITORY」に関してはライブシーンのナレーションやテロップはあきらかに邪魔。これこそまさに下手にお金があったため増やしてしまった不必要な装飾に感じました。

また、「地獄絵図」や「MASTER OF TERRITORY」に関してはライブシーンもダイジェストだったのが残念。ブルーレイのZepp TokyoライブやMV集に収録されていない曲に関しては、フルコーラスで聴かせてほしかったな。十分楽しめた作品ではあったのですが、反面、残念に感じる部分も少なくなかった内容でした。

【オフショットDISC】

こちらは普通のオフショット集。1コンテンツにつき30分程度、全2時間程度で、ボリュームは満点で、内容も笑えるコンテンツ満載。ただ、基本的にはミュージシャンのDVDによくありがちなオフショット集で、ホルモンならでは、という要素は少な目でした。

【ブルーレイDISC】

Zepp Tokyo公演は、MCも含めてノーカット。彼らのライブの魅力がこれでもかというほど味わえる内容に。また、MV集も文句なしにカッコいいです。これを見るためだけでも間違いなく買い。ただ、Zepp Tokyo公演については、途中、意味不明なダイスケはんの母親の映像が入って来たりして、これも完全に不必要な装飾。全然おもしろくないし、ライブの雰囲気を壊しているし、今回の作品の中で間違いなく最悪の演出と感じました。

また、裏コンテンツについては、一番の見どころはナヲの出産ドキュメント。出産シーンまで収録してしまっているあたり、ホルモンのことを隅から隅まで知ってほしいという、亮君の強い意思を感じますし、それをちゃんと受け入れてくれるメンバーもすごいな、という感じはします。分娩室まで撮影させるって、テレビの芸人とかじゃないんだから・・・(^^;;

ただ、それ以外の裏コンテンツについては、まあお遊び映像程度。あまり過度な期待は禁物かも。それなりにおもしろかったのですが。

そんな訳で、見ていていろいろと語りたくなってくるあたり、それだけ亮君のこだわり、バンドとしての主張がつまっているからなんでしょうね。その「こだわり」が必ずしもプラスにばかり機能しているわけではなく、むしろマイナスに機能しちゃっている部分も目立ってしまったのですが、それを差し引いてもフルボリュームな内容を楽しみながら一気に見ることが出来た作品でした。

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