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2016年1月

2016年1月31日 (日)

悲しい曲ばかり

Title:去年も、今年も、来年も、
Musician:中村中

個人的にはもうちょっと売れてもいいんじゃないのか?と思っているミュージシャンの一人、中村中の2年ぶりとなる新作。今回の作品は「四季折々の景色をモチーフに1年を表現」した、テーマ性ある内容になっています。

もともと、メロディーや歌詞を中心に据え、「歌」をしっかり聴かせるミュージシャンである彼女。今回の作品に関しては、アレンジが比較的シンプルな歌謡曲路線。ピアノやストリングスを用いてジャジーな雰囲気のアレンジが多いのですが、基本的には「歌」をより前面に押し出した、良い意味で癖のないアレンジになっていました。

その結果、今回の作品ではより「歌」が耳に入ってくる作品になっていました。そして、その内容がまた・・・非常に悲しい恋の歌ばかりなのが印象的。それもひとつひとつに物語が感じられる点がまた、強く印象に残りました。

例えば「散らない花物語」では好きな人と友達として仲良くなりすぎて、逆に好きと言えなくなってしまった悲劇を描いていますし、「ここにいるよ」では片思いの相手が、その恋人との写真を撮りながら、私はここにいるよ、と悲しく訴える曲になっています。

基本的にはすべて片思いの歌、もしくは失恋の歌。ただ、1曲ごとにその状況が微妙にかわっているところにおもしろさを感じます。また、唯一、両想いの曲が「逢びきの夜」なのですが、こちらも

「並んでは歩けない わけありの恋だけど
街灯りの中じゃ 名前で呼べない恋だけど」

(「逢びきの夜」より 作詞 中村中)

と禁断の恋・・・おそらく不倫ではないかと思うのですが・・・をテーマに歌っており、悲しい曲に仕上がっています。

しかし、そんな悲しい曲ばかりですが、最後を締めくくる「晦日」では、最後の最後に「来年も、生きていたいな」という歌詞で締めくくられているのもまた印象的。辛いテーマの曲ばかりの中、生きることへの力強さも感じさせてくれました。

一方でちょっと気になったのは、1年をテーマにしながらも四季の風景描写がちょっと弱い点が気になりました。そのため、あまり聴いていても「1年」というテーマ性を強くは感じません。ここらへん、せっかく「歌詞」が売りのミュージシャンなだけに、もうひとひねりあればいいのに・・・まあ、ここ数作、彼女の曲に感じる課題なのですが・・・。

とはいってもシンプルなアレンジで「歌」を重視した曲だからこそ、今回のアルバムは彼女の持ち味である「歌詞」の部分もしっかり心に響いてきたアルバムだったと思います。ある意味、彼女の曲はポップス、歌謡曲として王道ともいえる路線。それだけにもっと売れてもいいと思うのですが・・・。

評価:★★★★★

中村中 過去の作品
私を抱いて下さい
あしたは晴れますように
少年少女
若気の至り
二番煎じ

聞こえる
世界のみかた


ほかに聴いたアルバム

LIBERTY/中田裕二

こちらも歌謡曲風な曲を歌うシンガーソングライターの新譜なのですが、どんどんと明確に70年代、80年代の歌謡曲を意識したようなスタイルになってきています。今回の作品も、基本的には前作「BACK TO MELLOW」と同じスタイル。ただそんな中でも軽快でファンキーなナンバーがちょうどよいインパクトになっていたように感じました。

評価:★★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW

ただいま/ズクナシ

ライブは一度見たことがあるものの、CD音源としてはこれがはじめて聴く、女性3人組ソウルバンド、ズクナシの新作。ソウルミュージックの要素が強い、ルーツ志向の楽曲を聴かせてくれるバンド。一方では「映画館」のように、ノイジーなギターサウンドを入れてきたロックテイストの強い作品や、ジャムインストの「ウメジャム」のような、バンドとしてのこだわりも感じます。ただ、全体的にルーツ志向という「趣味性」の部分が強く出て、楽曲としてはインパクトが弱く感じられたのが残念。

評価:★★★★

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2016年1月30日 (土)

矢沢永吉の魅力をより深く伝える

Title:ALL TIME BEST ALBUM II
Musician:矢沢永吉

わずか2年前に、レコード会社を横断的に網羅したオールタイムベストをリリースしたばかりの矢沢永吉。そこからわずか2年、またもオールタイムベストをリリースしてきました。ただし、ベスト盤の焼き直し・・・ではもちろんなく、前作に収録できなかった作品を収録したセカンドベスト的なアルバムといった感じでしょうか。今回も3枚組のフルボリューム。ただ「ベスト」と言ってしまえる作品が、前作を含めてCD6枚分も収録できるあたり、さすが長いキャリアで人気を保ち続けた永ちゃんらしい、といった感じでしょうか。

3枚組のアルバムですが、曲順としては特に発表順というわけでもなく、アルバムの流れを考えた選曲になっているようです。とはいえ、Disc1の1曲目に収録されているのがソロデビューシングル「アイ・ラヴ・ユー、OK 」のカップリング「セクシー・キャット」だったり、Disc3に新曲「What Do You Want?」が収録されていたりと、Disc1は比較的初期の作品が、Disc3は比較的最近の作品が多いような印象を受けます。

さて今回のベスト盤、「セカンドベスト」という言い方をしましたが、ただ前作「ALL TIME BEST ALBUM」に比べて楽曲的に劣るか、と言われると全くそんなことはありません。むしろ、「ALL TIME BEST ALBUM」の収録曲よりこちらの方が名曲なのでは、とさえ思うような曲も数多くありました。

特にロックンロールの色合いが濃いナンバーが多かった印象も受けます。「BIG BEAT」「Wonderful Life」「JAMMIN' ALL NIGHT」など、ギターリフ主導の昔ながらもロックンロールナンバーが特にDisc3には多く、彼のルーツロック志向な部分も強く感じます。

また今回のアルバムではなにげに矢沢永吉がストレートなロックにこだわらない幅広い音楽性を模索していることを感じさせる曲も多く収録されていました。この点は前作「ALL TIME BEST ALBUM」でも感じたのですが、この「II」ではその方向性がさらに顕著。モータウンビートを取り入れて軽快に聴かせる「シーサイド#9001」や、シティポップ風の「SEPTEMBER MOON」などの曲もありますし、さらにエレクトロサウンドにギターの音を重ねた「ワン・ナイト・ショー」など、かなり挑戦的にも感じる曲でした。

ただ一方では、特にDisc2の曲に多かったのですが、いかにも80年代的なシンセの音を入れた曲が、今となってはちょっとチープに聴こえてしまいます。これらの曲に関しても、その時代時代の音を積極的に取り込んでいった彼の挑戦心のあらわれでしょう。残念ながら時代に寄り添いすぎたために、今聴くとちょっと古さも感じてしまいますが、それも含めて彼の挑戦心を感じさせるのは事実です。

そんなロックンロールなナンバーや挑戦的なナンバーは文句なしにカッコよかったのですが、正直、個人的にちょっと苦手だったのが、ミディアムテンポのナンバー。感情たっぷりにムーディーに聴かせる彼のスタイルは、楽曲によっては「ムード歌謡曲か?」と思うほど、悪い意味でのベタさすら感じます。もっとも、ファンにとってはこういうムーディーな曲も含めて彼の大きな魅力なんでしょうね。個人的には苦手なのですが、セクシーさも感じさせるこれらのミディアムチューンに感じても、矢沢永吉の魅力がなんとなく伝わってきました。

「ALL TIME BEST ALBUM」がヒット曲中心の選曲だったのですが、今回の「II」がヒット曲にとらわれない、矢沢永吉の人気曲を収録したベスト盤だったからこそ、むしろ矢沢永吉の本質的な魅力をより感じさせるベスト盤になっていたように感じます。私個人としては、「ALL TIME BEST ALBUM」よりむしろこちらの方が好きだったかも。初心者にとっては「ALL TIME BEST ALBUM」だけではなく、こちらも、いやむしろこちらこそ要チェックなベスト盤では?とも感じる作品でした。

評価:★★★★★

矢沢永吉 過去の作品
ALL TIME BEST ALBUM

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2016年1月29日 (金)

とことん楽しいポップアルバム

Title:YELLOW DANCER
Musician:星野源

おそらく星野源は、今、もっとも勢いのあるミュージシャンの一人ではないでしょうか。昨年末には紅白歌合戦に初出場。お茶の間レベルでも話題になったほか、ドラマにも多く出演し、ミュージシャンとしてばかりではなく俳優としても知名度を一気にあげました。そんな中リリースされたアルバムも、自身初となるアルバムチャート1位を獲得。その人気のほどを見せつける結果となりました。

今回のアルバムは前作「Stranger」から1年7ヶ月ぶりとなるアルバム。くも膜下出血の予後が悪く、「Stranger」発売後に活動休止。その動向が心配されましたが、その後無事復活。そんな完全復帰後初となるのが本作です。

その久々の新作。今回、大きな変化を感じたのがその音楽性でした。いままでのアルバムはアコースティックなサウンド主体の、どちらかというとカントリー風の作品がメインでした。しかし、本作に収録されているのはむしろブラックミュージックからの影響を強く感じる作品がメイン。ファンキーなリズムの「Week End」からはじまり、軽快なシティポップの「SUN」「Soul」はファルセットボイスを多用した彼のボーカルスタイルといい、エレピのサウンドといいタイトル通り、ソウルミュージック直系のポップスになっています。

さらにホーンセッションと軽快なピアノがニューオリンズ的な楽しさを感じる「地獄でなぜ悪い」やアーバンソウル風にしんみり聴かせる「Snow Man」などなど、終始ブラックミュージックの影響をダイレクトに感じる曲が並んでいます。

いままでもシングルのカップリングなどでブラックミュージックからの影響を感じる曲を歌っていたようなのですが、アルバム単位で前面に押し出してくるのはこれがはじめて。それだけに熱心なファンではない方は意外に感じたかもしれません。しかし、今回の作品、そんな意外性がある驚きより先に、とてもポップで楽しい曲の連続にとにかくワクワクさせられたのではないでしょうか。

今回の作品は最初から最後までとことんキュートでポップな作品が並んでいます。例えば「SUN」なんかはストリングスの音色も楽しいポップチューン。途中の「Ah Ah」のメロディーラインなんかは個人的には壺にはまりまくり「キュン」としてしまいます。また、同じく「桜の森」のストリングスを使った間奏なんかも軽快でフックの効いたメロが耳に残ります。

難しいことを考えず、そのポップな楽曲を心の底から楽しめる、まさにそんなポップの理想形のようなアルバムだったと思います。ただ一方で、以前からの彼らしいちょっとシニカルな歌詞も健在。

「無駄だ ここは元から楽しい地獄だ
生まれ落ちた時から 出口はないんだ」

(「地獄でなぜ悪い」より 作詞 星野源)

といった現実社会を「地獄」に例える描写や

「祈り届くなら
安らかな場所にいてよ
僕たちはいつか終わるから
踊る いま」

(「SUN」より 作詞 星野源)

といった「死」をイメージさせる歌詞など、楽曲からはどこかシニカルさを感じさせます。ただ歌詞の面からも以前に比べると明るさを感じさせる曲が多く、アルバム全体としてはポップな内容になっているのは間違いありません。

ちなみに私、このアルバムを聴いていて、小沢健二の名盤「LIFE」を彷彿とさせました。どちらもブラックミュージックの要素を取り入れながらも、とことんウキウキするポップチューンに仕上げているという点でどこか共通項を感じさせます。オザケンも星野源も、のっぺり顔の文系男子という点でも共通するものも感じますし(笑)。本作も「LIFE」と同様、日本のポップスシーンに残る傑作になりそうな予感がします。

年間ベスト発表直前の紹介ですが、間違いなく、2015年の年間ベスト候補の傑作だったと思います。本当に勢いにのっているんだなぁ。2016年も彼が音楽シーンでもドラマの世界でも間違いなく話題の中心となりそうです。

評価:★★★★★

星野源 過去の作品
ばかのうた
エピソード
Stranger

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2016年1月28日 (木)

バラードベストでまさかの1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

バラードベストといえば、どちらかというとファン向けアイテム的な要素の強い企画盤。売上的には通常のオリジナルアルバムほど振るわないケースが多いのですが・・・

miwaのバラードベスト「miwa ballad collection ~graduation~」が見事1位を獲得しました。アルバムでの1位獲得は2013年にリリースした「Delight」以来3作目。初動売上3万2千枚での1位で、大物のアルバムがない谷間の週ともいえます。ただ、オリジナルアルバムの直近作「ONENESS」の初動が5万枚(3位)からすると、バラードベストでこの売上は健闘といったところでしょう。5万枚の生産限定というファンの購買意欲をあおる売り方はしていたのですが。

2位初登場は倖田來未「WINTER of LOVE」。冬をテーマとしたこちらもバラード集で、昨年7月にリリースされた「SUMMER of LOVE」に続くコレクションアルバム。初動売上2万3千枚は、直近作でもあるその「SUMMER of LOVE」の1万7千枚(7位)よりアップしており、こちらもまずまずの健闘。

3位にはシンガーソングライタースガシカオのニューアルバム「THE LAST」がランクインです。2011年にオフィスオーガスタを脱退して以来、フリーランスとして活動を続けてきましたが、2014年からSPEEDSTAR RECORDSに加入。そしてようやく、なんと5年7ヶ月ぶりとなる新作をリリースしました。初動売上1万9千枚で、直近作の2枚同時リリースとなったベストアルバム「BEST HIT!! SUGA SHIKAO -1997~2002-」(21位)、「BEST HIT!!SUGA SHIKAO -2003~2011-」(19位)のそれぞれ7千枚からはアップ。オリジナルとしての前作「FUNKASTiC」の2万5千枚(2位)からはダウンしていますが、5年半以上のインターバルをあけながらのこの結果は大健闘でしょう。

続いて4位以下の初登場盤です。5位にAAA日高光啓のソロ、SKY-HI「カタルシス」がランクイン。先週のシングルチャートでシングル「アイリスライト」が初のベスト10ヒットを記録しましたが、アルバムチャートでも初のベスト10ヒットとなりました。初動売上1万3千枚は前作「TRICKSTER」の6千枚(19位)からアップ。

今週、初登場はあと1枚。6位に元東方神起のメンバーで、現在はJYJとして活躍しているユチョン「あなたの財布にはいくらの愛がありますか」がランクイン。初動売上は1万1千枚。現在、兵役中の彼が、兵役に就く前にレコーディングした曲が収録されているそうです。見方によっては「ファンなら金を出せ」とも捉えかねないかなり露骨なアルバムタイトル。是非、ファンに同じCDを何枚も買わせようと熱心な日本のアイドルグループに歌ってほしいタイトルなのですが。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年1月27日 (水)

購買運動の結果、ついに・・・

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先週もここで紹介したSMAPの解散騒動。その解散を止めようと、ファンの間で購買運動が行われ、先週、最新シングル「Otherside」が見事ベスト10入りを果たしました。さらに今週はなんと3位に彼らの代表曲とも言える「世界に一つだけの花」が先週の75位から急浮上。売上も4万6千枚を記録し、ベスト3に返り咲きました。

また今週の1位もジャニーズ系。NEWS「ヒカリノシズク」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「傘をもたない蟻たちは」主題歌。ミディアムテンポのこれといって特色のないJ-POPナンバー。初動売上14万8千枚は前作「チュムチュム」の12万4千枚(1位)からアップ。

2位初登場はBiBi「錯覚CROSSROADS」。ゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」登場人物によるキャラソン。かなりベタベタな80年代歌謡曲路線。初動売上5万1千枚は前作「冬がくれた予感」の5万8千枚(2位)からダウン。ちなみに今週、BiBiの売上に引っ張られる形で、同じく「ラブライブ!」登場キャラクターによるユニットlily white「思い出以上になりたくて」が先週の24位から10位にランクアップし、ベスト10返り咲き。売上も1千枚から4千枚にアップしています。

続いて4位以下の初登場ですが、今週は女性アイドルグループ初登場が3組。4位に夢みるアドレセンス「舞いジェネ!」、7位にStella☆Beats「星空シンフォニー」、8位にCANDY GO!GO!「overdrive」がそれぞれランクインしています。

この3曲、いずれも「ロック風」な楽曲という点が偶然なのですが共通項。夢みるアドレセンスは作詞作曲がOKAMOTO'Sのオカモトショウを起用していますし、Stella☆Beatsは青春パンク風、CANDY GO!GO!はアイドルとロックの融合を目指しているそうです。最近はロックフェスでも女性アイドルが呼ばれたりして、ロックリスナー受けを狙った感じなのでしょうか。ただ、「かわいらしさ」ばかりを強調するべたっとしたユニゾンのボーカルスタイルはロックからほど遠い存在だと思うのですが。

ちなみに夢みるアドレセンスは初動2万2千枚で前作「サマーヌード・アドレセンス」の1万9千枚(7位)よりアップ。Stella☆Beatsの初動9千枚は前作「Trick or treat」の0.4千枚(144位)から大きくアップし、初のベスト10入り。CANDY GO!GO!も初動8千枚で、前作「ありのまま、思うままに走れ!」の7千枚(19位)から微増で、こちらも初のベスト10入りとなりました。

続いて6位にはソナーポケット「ベストフレンド」が入ってきました。アニメ「虹色デイズ」オープニング・テーマ。相変わらず、抽象的で陳腐なメッセージを並べた前向き応援歌。初動売上1万2千枚。6位はシングルでの自己最高位ですが、前作「HERO」の1万8千枚(7位)よりダウン。ただアニメタイアップが続き、2作連続でベスト10ヒットとなりました。

最後9位にはロックバンドKANA-BOON「ランアンドラン」が入ってきました。ギターフレーズも美しいメロディアスでポップなナンバー。ベスト10入りは昨年5月リリースの「なんでもねだり」以来。ただ初動売上4千枚は直近作はシナリオアートとのスプリットシングル「talking」の初動8千枚(14位)からも単独名義での直近作「ダイバー」の1万1千枚(11位)からもダウンしており、低水準のチャートに助けられた結果。もっとも今回の初動ダウンは2月にリリースが予定しているアルバム「Origin」の先行シングルという影響が大きいと思われます。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2016年1月26日 (火)

エレカシ本領発揮の充実作

Title:RAINBOW
Musician:エレファントカシマシ

2012年、ボーカル宮本浩次の左耳が突然聴こえなくなる病気のため、活動休止を余儀なくされたエレカシ。その後、病気からも無事回復し、音楽活動を再開。そして、その活動休止後初となるオリジナルアルバムがリリースされました。前作「MASTERPIECE」から約3年半ぶりとなる新作となります。

エレカシは、ブレイク後はポップ路線に走ったり、かと思えばハード路線に振れたりと、「名曲」は数多くリリースしてきたものの、アルバム単位ではいまひとつ安定感がない、という印象がありました。しかし、ここ数作はバンドとしての方向性も安定してきており、文句なく傑作といえるアルバムが続いていました。

そんな中での活動中止なだけにその勢いが止まってしまうのではないか、とちょっと懸念していたのですが、ただそんな心配は杞憂でした。今回のニューアルバムも、前作と同様、ここ最近の彼ららしい安定感ある傑作に仕上がっていました。いや、前作同様どころか、ここ数年来のエレカシの中では最高傑作といえる作品だったようにも思います。

まずこのアルバムを聴き始めて耳を惹かれるのはエレカシのハードな側面を前に押し出した序盤の曲。タイトル曲「RAINBOW」は宮本浩次のシャウト気味なボーカルが耳を惹く作品。一方ではピアノとストリングスで構成されるスケール感あるサウンドが、アルバムのこれからの展開に期待を持たせます。そして続く先行シングルでもある「ズレてる方がいい」はへヴィーなギターリフと宮本浩次のボーカルで力強い楽曲になっています。「ズレてる方がいい」という曲名も、まさにエレカシらしさを感じさせる部分でしょう。

そんな力強い楽曲からスタートする今回のアルバムですが、本作が傑作であるのは、このへヴィーな方向性を見せつつも、一方ではエレカシの様々な側面をアルバムの中に織り込ませた作品である、という点が大きな理由でした。

例えば「永遠の旅人」「Destiny」はメロディアスでポップの色合いが濃く、エレカシのポップス路線を強く反映させたようなナンバー。「Under the sky」はちょっと幻想的な作風にユニークさを感じますし、「あなたへ」は歌謡曲風のナンバー。さらに最後を飾る「雨の日も風の日も」はホーンセッションを取り込んだナンバーで、最後にふさわしいにぎやかなナンバーになっています。

また宮本浩次の書く歌詞にしても彼らしい、力強く、かつ前向きな一歩を感じさせるものが目立ちます。

「どんなときも歩くのさ おお ベイビー 雨の日も風の日も」
(「愛すべき今日」より 作詞 宮本浩次)

「今日も何かを目指してゆく ゆくぜ ゆくぜ ゆくぜ」
(「永遠の旅人」より 作詞 宮本浩次)

といったように、困難な中に前向きに進もうとする姿勢を感じますし、その歌詞のスタイルもリスナーに抽象的なエールをおくるJ-POPらしい応援歌ではなく、宮本浩次自身が前を向いて進もうとする姿を描く歌詞で、それゆえに聴いているこちらも胸をうつものがあります。

また今回のアルバムの中で一番ユニークだったのはタイトルもユニークな「TEKUMAKUMAYAKON」。楽曲もファルセットのボーカルが入るディスコ調のナンバーで、エレカシとしては異質な印象。ただこの曲も宮本の力強いボーカルが入ることにより、しっかりエレカシの曲となっているのがさすがです。

そんな様々なタイプの曲で構成されていながらも、そんな中に一本、宮本浩次のパワフルで感情豊かなボーカルが入ることにより、きちんと統一感ある作品になっているのはさすが。エレカシの実力がこれでもかというほど発揮されていた傑作になっていました。

久々の新作だったのですが、これだけの充実作になっていたのには驚かされました。今年デビューから28年を迎える大ベテランの彼らですが、その勢いは全く止まっていない模様。これからの活躍もますます楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★★

エレファントカシマシ 過去の作品
STARTING OVER
昇れる太陽
エレカシ自選作品集EPIC 創世記
エレカシ自選作品集PONY CANYON 浪漫記
エレカシ自選作品集EMI 胎動記

悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~
MASTERPIECE
THE BEST 2007-2012 俺たちの明日
the fighting men's chronicle special THE ELEPHANT KASHIMASHI LIVE BEST BOUT


ほかに聴いたアルバム

Are You Coming?/WANIMA

PIZZA OF DEATH所属の新人パンクバンド。期待のバンドとして注目を集めており、この1stフルアルバムがいきなりオリコンチャート4位を記録するなど、人気も急上昇中のバンドです。基本的には正統派のメロコア路線なのですが、メロディーラインは至ってポップで、むしろ歌謡曲のテイストを感じるほど。歌詞もどこか青臭さを感じさせる歌詞が魅力的。Aメロはスカ→サビで普通のパンクという展開の曲がちょっと多かったのが気にかかったのですが、デビュー段階で彼らだけの個性も感じられますし、これからの成長が楽しみなバンドです。

評価:★★★★

運命開花/THE BACK HORN

大ブレイクといった感じではないものの、なにげに安定した良作を生み続けているTHE BACK HORNの新作。今回も、途中、悪い意味で「アニソンっぽい?」と感じるようなベタなギターロック路線に中だるみはあったものの、インパクトあるメロディーラインと、奇をてらわずしっかり壺をついたギターロック路線に最後まで惹きこまれて楽しむことが出来た傑作になっていました。ここ数作続いていたアルバムでのベスト10入りが途切れてしまったようですが、これだけの作品をリリースできるのならば、また問題なく人気は回復しそう。

評価:★★★★★

THE BACK HORN 過去の作品
BEST
パルス
アサイラム
リヴスコール
暁のファンファーレ

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2016年1月25日 (月)

脂がのった時期のライブ音源

Title:1980/11/05 Tempe,AZ
Musician:Bruce Springsteen&The E Street Band

Blues_live

今回紹介するのは、ブルース・スプリングスティーンのライブ音源。それも無料ダウンロードにて公開されている音源です。

参考サイト
ブルース・スプリングスティーン、1980年の未発表ライヴ音源集を無料ダウンロード配信

タイトル通り、本作は1980年11月5日に行われた「ザ・リバー・ツアー」アリゾナ公演での未発表ライヴ音源。昨年12月にリリースされた「The River」の35周年記念ボックスの中に映像として収録されているライブ音源なのですが、今回紹介する音源は、それとは別音源だそうで、ハイレゾ音源及びCDでのリリースも行われているようです。

全10曲入りとなる今回の音源は、まずライブ会場の臨場感がそのまま伝わってくるような録音となっています。録音が演奏のみにクローズアップされていないため、客席のざわめきや歓声、また会場のスケール感をそのまま感じられるような録音状況になっており、実際に会場にいるような空気感を味わうことが出来ました。

また、当日のMCをそのまま収録されているのもライブの雰囲気を味わえる重要なポイント。もちろん、英語力のない私にとってはその内容は不明なのですが(苦笑)、「Independence Day」のように、ブルースの語りをバックに演奏が流れ、そこから曲に入っていくスタイルになっているのはライブならではといった感じでしょうか。ライブ音源はやはりMCも入れてほしいですよね・・・。

さて、そんなライブ音源に収録されている曲なのですが、ミディアムテンポの聴かせるナンバーが多く収録されていたのがちょっと意外でした。個人的に、ブルース・スプリングスティーンは正直さほど詳しくないのですが、イメージ的にダイナミックなロックといったイメージがあっただけに、しんみりと聴かせるナンバーが主体というのは私の中のイメージとは異なるものでした。

ただ、このミディアムテンポのナンバーが素晴らしい曲ばかり。「The Ties That Bind」「Wreck On The Highway」など、美メロといっていいほどの切なく美しいメロディーラインを聴かせつつ、感情たっぷりに聴かせるブルースのボーカルも実に素晴らしい。実に充実したライブパフォーマンスを感じられます。

1980年といえば、アルバム「The River」が初のチャート1位を獲得し、まさにブルースにとっても脂ののりまくっている時期。それを見事に反映した素晴らしいライブだった、ということが、このmp3音源を通じても感じることが出来ました。無料ダウンロードなだけに、熱心なファンじゃなくてもチェックして損のない音源だと思います。まだ無料ダウンロードは続いているみたいなので、是非、今のうちに。

無料ダウンロードはこちらのサイトから。

評価:★★★★★

BRUCE SPRINGSTEEN 過去の作品
Working On A Dream
WRECKING BALL
High Hopes

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2016年1月24日 (日)

パラレルワールドを通じて現在社会を皮肉る

Title:昭和九十年
Musician:アーバンギャルド

前作「鬱くしい国」では社会派なテーマに挑み、意外と骨太な側面を見せたアーバンギャルド。その次はどんな作品を聴かせてくれるのか、楽しみにしていたのですが、これが予想以上におもしろい作品をリリースしてきました。

今回のアルバムはコンセプトアルバム。「昭和九十年」というタイトルが印象的ですが、テーマとなっているのはパラレルワールドの現代社会。そのパラレルワールドでは、昭和時代が今もなお続き、かつ、世の中は戦争状態という世界を舞台となっています。そして、このパラレルワールドを通じて、現在社会を痛烈に皮肉った作品となっています。

いうまでもなく昭和がそのまま続いていたらと仮定すると昭和90年というのは、ちょうど平成27年、要するに本作が発売された年ということ。また、パラレルワールドが戦争状態であるというのも、戦後70年で、かつ、一部では「戦争法案」と皮肉られた新安保法案が話題となり、平和というものをあらためて考えさせられた今の時代に重ね合わせられる内容になっています。

ただ、明確に現在社会を、特に政治にまで踏み込んで皮肉った前作と異なり、本作の舞台はあくまでもパラレルワールド。そのためストレートなメッセージはあまりありません。もっともぼやかした内容なだけに、逆にその中に潜むメッセージ性はより強烈なものに感じられる部分もありました。

例えば1曲目を飾る「くちびるデモクラシー」。戦争の中でのラブソングを描いたようにも感じられるこの曲ですが、

「殺すな殺すな言葉を殺すな
殺すな殺すな声を殺すな」

(「くちびるデモクラシー」より 作詞 松永天馬)

という歌詞には言論の自由に対しての強いメッセージ性を感じることが出来ます。

また、ネット社会に対する痛烈な皮肉を感じさせる曲も多く

「指先でタップして
調べたらもう終わりの毎日
戦争も不景気も君も」

(「コインロッカーベイビーズ」より 作詞 松永天馬)

なんて歌詞が登場したり、楽曲全体が「Line」をテーマとした「あいこん哀歌」なんて曲もあったり、さきほど紹介した「くちびるデモクラシー」にも

「液晶を覗いてばかりいる国民たちには知らされていない、
既に戦争が始まっていること。」

(「くちびるデモクラシー」より 作詞 松永天馬)

なんていう、近未来の出来事を予感させるような歌詞が登場したりします。

さらに終盤、「平成死亡遊戯」では吉田豪によるアイドルへのインタビュー音源がサンプリングされているのですが、これが非常に病んだ内容になっており、現代社会の「闇」を映し出しているよう(これに関してはちょっと「狙いすぎ」な印象も受けたのですが)。そしてラストは「オールダウトニッポン」という、タイトルからして今の日本を強烈に皮肉った曲で締めくくられています。

そんな訳で、コンセプトが非常におもしろかった今回のアルバム。また今回のアルバム、コンセプトもおもしろかったのですが、アルバム全体の出来としても非常に良く出来た内容になっていました。というのもいままでのアーバンギャルドで感じていた問題点が、この作品では見事クリアになっていたように感じたからです。

その問題点、まず1点目は理屈っぽいこと。今回のアルバムも確かに理屈っぽい部分も残っていました。ただそれでも全体として作品の舞台をパラレルワールドとして戯曲化、あるいは抽象化することにより、アルバムのテーマを純粋に楽しむことが出来、理屈っぽさが気にならない程度まで抑えられていたように感じました。

またもう1点としてチープな音で飽きが来るのが早い、という点。こちらに関しては今回のアルバムも正直、チープなエレクトロサウンドです(笑)。ただ今回の作品に関してはむしろ開き直ったかのようにチープさをさらに推し進め、さらには「昭和」をテーマに、いままでの彼らの作品でも感じられた「昭和歌謡」的な部分をさらに前に出したことによって、チープさを逆に「味」として引き立てることに成功したように感じました。

いままでずっとアーバンギャルドはアルバムを聴いていたものの、絶賛するにはひっかかりのあるバンドでした。しかし前作「鬱くしい国」に引き続き本作で、彼らに対する認識はガラリと変わりました。本作は文句なしの傑作。もちろん、アーバンギャルドにとっても最高傑作だと思います。前作でも感じたのですが、これだけしっかり現在社会と向き合って、そしてそこから逃げることなく作品を作り上げる姿勢は非常に絶賛すべきものを感じます。これからの彼らの活動がますます楽しみになる傑作でした。

評価:★★★★★

アーバンギャルド 過去の作品
少女の証明
メンタルヘルズ
ガイガーカウンターカルチャー
恋と革命とアーバンギャルド
鬱くしい国


ほかに聴いたアルバム

Tommy's Halloween Fairy tale/Tommy february6/Tommy heavenly6

the brilliant greenの川瀬智子によるソロプロジェクトによる2年ぶりのアルバム。ハロウィンをテーマとした6曲入りのミニアルバムで、Tommy february6とTommy heavenly6の連名でのリリースとなっています。正直、特に目新しさもないし、このキャラ設定にも完全に飽きてきているので、まだ続けるんだ・・・というのが感想。いろいろな意味でこのキャラクターを続けるのも厳しいような気もするのですが・・・。

評価:★★★

Tommy february6/Tommy Heavenly6 過去の作品
I KILL MY HEART(Tommy Heavenly6)
Strawberry Cream Soda Pop “Daydream”(Tommy February6)
Gothic Melting Ice Cream’s Darkness “Nightmare”(Tommy heavenly6)
FEBRUARY&HEAVENLY(Tommy february6/Tommy heavenly6)
HALLOWEEN ADDICTION-ハロウィン中毒-(Tommy february6/Tommy heavenly6)
TOMMY CANDY SHOP SUGAR ME
(Tommy February6)
TOMMY ICE CREAM HEAVEN FOREVER(Tommy heavenly6)

VENA/coldrain

名古屋出身の5人組ハードコアバンドの新作。彼らの作品を聴くのはこれが3枚目なのですが、デス声も用いたハードコアなサウンドと、その合間にさっと音が引くようなポップなメロの部分のバランスが良く、また、メロディーラインにはどこか哀愁も感じられインパクトもあります。カッコいいバンドなのは間違いないのですが、3枚聴いて感じるのはもうちょっとバリエーションが欲しいかな、とも感じる部分もあるのですが。

評価:★★★★

coldrain 過去の作品
THE REVELATION
Until The End

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2016年1月23日 (土)

軽快なアフロビートに心に残るメロディーライン

Title:Anapipo
Musician:Fabregas Le Metis Noir

昨日に続いて、聴き逃した2015年の名盤聴きなおしシリーズ。先日と同じく「Music Magazine誌」の「ワールドミュージック」部門で、こちらは年間2位にランクインしたアルバム。コンゴはキンシャサ出身の若手シンガーによるアルバムだそうです。

今回、このレビューを書くにあたって、基本情報にあたろうとネット上で探ってみたのですが・・・日本語のページがほとんどありませんでした。さらに英語のページもいまひとつで(Wikipediaもないみたいでした)で、詳しい情報はわかりませんでした・・・。

基本的にはコンゴ音楽らしい、アフロ風のリズミカルなビートが鳴り響く楽曲が並びます。基本的にはなぜか「歌」の部分を担うボーカルと、歌と同時並行に「語り」を行うボーカルの2人体制で曲はすすみます。この歌のパートと語りのパートの組み合わせがなかなかユニーク。「Chaud Partout(Moto)」のように、どこかコミカルに感じさせる曲もありました。

そんなアフロビートに耳を惹かれる作品なのですが、そんな中、メロディーラインが妙にメロディアスなことに気が付かされます。冒頭の「Mascara」なども、タイトルをコールするコーラスが奏でるメロディーラインが妙に耳に残ったりします。

メロディーラインが特に印象に残るのが最後を飾る「Nouveau marie」。こちらも「歌」を歌うボーカルと「語り」のボーカルが重なる構成の曲なのですが、哀愁たっぷりに力強く歌い上げる歌が非常に印象的。ムーディーな雰囲気なメロディーラインは心に残ります。正直、「語り」の部分はちょっと邪魔に感じたのですが。

個人的にそれなりに楽しめたアルバムだったのですが、今回の作品もサウンドのチープさがちょっと気になります。まあ、これはこれでアフリカ音楽らしい味とも言えるのですが・・・。昨日と同様、いいアルバムだと思うけど、年間2位・・・かぁ・・・といった印象を受けたアルバム。ただ、MP3ダウンロードで、わずか900円だったので、興味がある方は聴きやすい作品かも。

評価:★★★★

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2016年1月22日 (金)

耳なじみあるメロディーが魅力

Title:Merdi L'amour
Musician:Reda Taliani

毎年、前年の名盤で聴き逃した作品を各種雑誌等の年間ランクを参考に聴いているのですが、今回はまず、「MUSIC MAGAZINE」誌で年間1位となった作品です。ジャケット写真が馬鹿ジャケっぽくて笑えてくるのですが(笑)、アルジェリアのライという音楽の人気歌手の新作。Wikipediaによると「現在では非常に多様化し、ライというジャンル名も濫用、誤用されたものが定着しており、その全体を音楽として統一的に定義するのは困難である。」と書かれており、日本で言えば「歌謡曲」のようなジャンルと考えるのが妥当でしょうか?

そのためでしょうか、楽曲としては「ワールドミュージック」というイメージよりは普通の「ポップソング」的なノリで楽しめるような作品になっていました。基本的にはラテンフレーバーの作品は確かにアラブ音楽といった感じですし、例えば「Soiree Hbale」のイントロ部分などにはアフリカ的な色合いも感じたのですが、それ以上にポップス色が強いメロディーラインがはっきりしたナンバーになっており、そういう意味では聴きやすさを感じさせるアルバムだったと思います。

特に私たちに耳なじみやすく感じるのは、そのメロディーラインはどこか郷愁感漂い、歌謡曲のテイストが強く感じられるため。その中でも印象的だったのが「Mi Amor」。まずピアノから入るイントロが実に美しい。そこにのるメロディーラインの切ないこと切ないこと。さらに楽曲構成としてサビに行くに従い盛り上がり、わかりやすいサビが存在するなど、私たちにもいい意味で聴きやすい楽曲になっていました。

「Reditini Ma Neswache」もアコーディオンの音色とストリングスが哀愁たっぷりのムーディーなナンバー。このサウンドとメロディーラインが相まって、実に歌謡曲テイストの強いナンバー。こちらも私たちによって耳なじみありそうなポップソングになっています。

一方では「Ya Chaba」などホーンセッションを入れて盛り上がるナンバーがあったり、バリエーションある音楽性も、「歌謡曲的」と言えるのかもしれません。また「Lguitha Fi Larret」のような疾走感ある細かいリズムなどは今風と言えるかもしれません。

そんな耳なじみやすく楽しめるポップアルバムで十分に楽しめる作品でした。ただ、これが年間1位と言われるとうーん、どうなんだろう?と思ってしまいます。確かにいいアルバムだとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

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2016年1月21日 (木)

こちらも話題のあのグループが・・・

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

昨日紹介したシングルチャートでは、今、世間を賑わせているSMAPのシングルがランクインしましたが、こちらも同じように芸能ニュースを騒がしているグループのアルバムがランクインしてきています。

それもこちらは見事チャート1位を獲得。ゲスの極み乙女。のニューアルバム「両成敗」が今週の1位でした。

ご存じボーカルでメインライターである川谷絵音がタレントのベッキーとの不倫騒動で大きな話題となりました。個人的にも川谷は人間的に最悪だと思うし、擁護するつもりは少しもありませんが、ただ彼の人間性と音楽は全く別の話。結果として、不倫騒動が知名度向上という意味でプラスに働いたのか、あるいはマイナスに働いたのかはわかりませんが、チャート1位という結果はちゃんと川谷の人間性と音楽の良し悪しをわけて考えている人が多いんだな、ということで安心しました。初動売上7万1千枚は前作「魅力がすごいよ」の3万8千枚(4位)から大幅増で、もちろん初の1位獲得です。

2位はゆず「TOWA」が獲得。2年ぶりとなるニューアルバムです。初動売上は6万5千枚。直近作は2枚同時リリースとなったライブアルバム「二人参客 2015.8.15~緑の日~」「二人参客 2015.8.16~黄色の日~」でそれぞれの3万枚(1位)、2万9千枚(2位)よりアップ。ただ、オリジナルアルバムとしての前作「新世界」の11万3千枚(2位)から大幅減という結果となってしまいました。

3位初登場は韓流の男性アイドルグループiKON「WELCOME BACK」でした。初動売上は6万1千枚。本作が日本でのデビューアルバムだそうです。

続いて4位以下の初登場です。まず4位に一ノ瀬トキヤ(宮野真守),愛島セシル(鳥海浩輔) 四ノ宮那月(谷山紀章)「うたの☆プリンスさまっ♪シアターシャイニング ポラリス」。ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」の登場キャラクターによる映画をテーマとしたドラマCDの第4弾。初動売上2万枚は同シリーズの前作来栖翔(下野紘) 寿嶺二(森久保祥太郎)「うたの☆プリンスさまっ♪シアターシャイニング エヴリィBuddy!」の1万8千枚(4位)から若干のアップ。

6位にはヴィジュアル系バンドシド「SID ALL SINGLES BEST」が入ってきました。彼らのシングルをインディーズ時代も含め、発売順に2枚組にまとめたベスト盤。初動売上1万3千枚は直近のオリジナルアルバム「OUTSIDER」の3万2千枚(5位)からダウン。ベスト盤としては3年前に「SID 10th Anniversary BEST」をリリースしたばかりで、同作の初動4万5千枚(1位)からも大幅にダウンしています。

初登場はあと1枚。10位にMrs. GREEN APPLE「TWELVE」が入ってきました。5人組のロックバンドで、これがフルアルバムとしては初の作品となります。初動売上は9千枚。前作「Variety」の1千枚(38位)より大幅アップ。ブレイク候補の最右翼として話題のバンドでしたが、見事初となるベスト10ヒットを記録しました。

さて、今週の初登場は以上でしたが、先週、このコーナーでも話題を出したDavid Bowie「★」が先週の9位から5位にランクアップ。さらに売上も7千枚から1万9千枚にアップしています。彼の逝去のニュースで話題となり、手に取った方が多い結果となりました。アルバムの出来自体の評判もいいだけに、今後、ロングヒットとなりそうな予感がします・・・。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年1月20日 (水)

あの話題のグループの作品が・・・

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今、最も話題となっている芸能ニュースといえばSMAP解散騒動。先日行われた生放送での「謝罪会見」も、いかにも言わされているような会見に、この騒動の闇の深さを感じさせました。今週のシングルチャートはそんな彼らのCDを買って応援しようとするファンが多かった影響でしょう。SMAPのCDが大きく順位を上げました。

そんな中でも昨年9月にリリースされた直近のシングル「Otherside」が先週の198位から10位に一気にランクアップ。見事ベスト10に返り咲いており、彼らの人気の高さを感じさせる結果となりました。

しかし今回の騒動で感じるのは、ブレイク直後のグループならまだしも、25年間も組織に貢献してきたにも関わらず、組織を抜け出すと裏切り者呼ばわりされるという、ヤクザ顔負けの非常識な業界の体質にあらためて驚かされると共に、たかが一介の芸能事務所の顔色をうかがい、世間一般の見方に反して脱退しようとするメンバー側に批判し、芸能事務所の太鼓持ちしかできないマスメディアの、ジャーナリズムの致命的な欠如に絶望的な気持ちになる、そんな騒動でした。

さて、チャートに戻ります。まず今週1位を獲得したのはB'zのボーカリスト稲葉浩志のニューシングル「羽」でした。

ビーイング系の指定席、日テレ系アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ。シンセを取り入れたり四つ打ちのリズムを取り入れたり、B'zと異なる方向性を模索しつつも、彼の歌声が入ると「稲葉浩志の曲だ」とすぐにわかるあたりがさすがといった感じです。初動売上8万8千枚は前作「Okay」の10万枚(1位)からダウン。

2位初登場はSKY-HI「アイリスライト」。K-POPの歌手みたいな名前ですが、AAAの日高光啓のソロプロジェクト。バラードナンバーですが、Aメロでラップが入るあたり、いかにも今のJ-POP的な感じ。ソロ5枚目にして初のベスト10ヒット。初動売上1万8千枚は前作「Seaside Bound」の1万2千枚(11位)からアップしています。

3位は飯田里穂「KISS!KISS!KISS!」が入ってきました。「ラブライブ!」への参加で人気を伸ばした女性声優で、アルバムでは直近作がベスト10入りしていますが、シングルでは初のベスト10ヒットとなりました。初動売上は1万枚。前作「HeartにSkip!」はベスト200圏外でした。

続いて4位以下の初登場です。5位にはロックバンドBLUE ENCOUNT「はじまり」がランクインです。「第94回全国高校サッカー選手権大会」の日本テレビの応援歌。こちらもアルバムでは直近作がベスト10入り。ミディアムテンポのオルタナ系ギターロック。歌詞的には応援歌らしい、ちょっとベタさも感じる前向きソングになっています。初動売上7千枚は、前作「DAY×DAY」(14位)から横バイで、低水準のチャートに助けられてのベスト10入りとなりました。

シングルの初登場はもう1枚。9位にさくらとしめじ「はじまるきせつ」がランクイン。これが3枚目となるシングルの男性2人組のフォークデゥオ・・・なのですが、スターダストプロモーションの「EBiDAN39&KiDS」のメンバーからなるユニットで、実質的にはアイドルグループといった感じでしょうか。メンバーは13歳と14歳の2人なのですが、ちょうど声変わりの直後といった感じで、「聴き苦しい」レベルのボーカルがかなり気になります。

今週の初登場は以上ですが、今週は10位で3千枚という低水準のチャートだったこともあり、返り咲きが2曲。まず8位にモーニング娘。'15「冷たい風と片思い」が先週の14位からランクアップ。握手券付きのCDを再発売したそうで、その影響のようです。また、韓流の男性アイドルグループHISTORY「LOST」も先週のベスト50圏外から6位にランクアップ。こちらもイベント券付CDを再発売した影響のようです。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日!

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2016年1月19日 (火)

16年ぶりの新譜

Title:Find What You Love And Let It Kill You
Musician:HURRICANE#1

90年代後半にイギリスで活動し、2枚のアルバムを残したギターロックバンド、HURRICANE#1。もともとはRIDEで活躍したアンディ・ベルを中心に結成したバンド。そのアンディ・ベルがその後、かのoasisに参加したため、そのタイミングでよくHURRICANE#1という名前は雑誌などで見かけました。

そのHURRICANE#1が2014年に15年ぶりに再結成。さらに2015年、16年ぶりとなるニューアルバムを発表し話題となりました。ただし、オリジナルメンバーはボーカルのアレックス・ロウのみで、それ以外のメンバーは新たなメンバーになっているみたいですが・・・。

HURRICANE#1というバンドは、名前は知っていたのですが、基本的に音を聴くのはこれがはじめて。ただ、RIDEやらoasisやら、私好みのバンドにからんでくるようなバンドなだけに、それなりに期待してこのアルバムを聴いてみました。

その結果としては基本的には予想通りといった感じの内容。シンプルなオルタナ系ギターロックな作品になっていました。ただ、アコースティックギターを中心に構成された曲が多く、さらには意外と泥臭さを感じさせるナンバーも。メロディーラインをしっかり聴かせる歌主導のナンバーも多く、「Has It Begun(Imitating Life)」などはちょっと切ないメロディーが心に響くナンバー。「Heathen Mother」のようなちょっとフォーキーなナンバーなどもあり、しっかりとしたメロディーラインを聴かせるバンドといった印象を受けました。

一方ではギターロックをゴリゴリと聴かせる、いかにもなUKギターロックの曲もちらほら。ギターリフ主導の「Crash」などもまさにそういうイメージの曲でしたし、その典型例は間違いなく「Where to Begin」でしょう。ミディアムテンポのグルーヴィーなギターロックという点もまさにそのまんまなのですが、ボーカルアレックス・ロウのしゃがれ声のボーカルなど、まさにいかにもといった感じ。個人的には壺をつきまくられたナンバーでした。

そんな訳で個人的には満足度の高いアルバム。ただ一方、新鮮味があったか、といわれると、良くも悪くも昔ながらのUKギターロック。新鮮味という観点ではHURRICANE#1のみが持っている何か、という部分はさほど感じられませんでした。

RIDEやoasisのファンなら聴いて損はないアルバムだと思います。癖のない内容は幅広く楽しめそう。無難といえば無難ですが、難しいこと抜きに楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

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2016年1月18日 (月)

よりバンド色が強く

Title:EXTRA11
Musician:KIRINJI

2013年、それまで2人組ユニットとして活動していたキリンジから、そのメンバーの1人、堀込泰行が脱退。その上、5人のメンバーが新規加入して6人組バンドとなったKIRINJI。名前もカタカナからローマ字表記となり、心機一転。あまりの変貌ぶりにファンも驚いた結果となりました。

そんな彼らはアルバム「11」をリリースした後、新作の発表はなかったのですが、新生KIRINJIとして2作目となるニューアルバムがリリースされました。とはいえ純然たる新作ではありません。「11」の楽曲を今年6月、ビルボードライブ東京でのライブ音源をベースに、オーバーダビングやエフェクトなどをほどこしてあらたに生まれ変わらせた新作。タイトル通り、「11」の番外とでもいうべき作品になっています。

そしておもしろいのは、単純なライブアルバム的感覚の内容ではなく、いずれの曲も原曲からアレンジがかなり異なっている点でした。一番イメージが変わったのは「ONNA DARAKE!」でリズム中心のシンプルなアレンジだった原曲から一転、スライドギターを押し出した南国ムードを感じさせる楽曲になっていますし、「だれかさんとだれかさん」ではピアノをより前に押し出し、爽やかさが増したアレンジに。インストナンバーの「狐の嫁入り」ではよりジャズの側面が前に出てきたようにも感じます。

「心晴れ晴れ」でも、同じピアノとストリングスでしんみり聴かせるスタートながらも、バンドサウンドを序盤から入れてきた原曲と変わって、「EXTRA11」では序盤はピアノとストリングスのみでより「聴かせる」ことを重視しな内容になっていますし、一番印象的だったのは「進水式」。新生KIRINJIを象徴するようにアルバム1曲目に収録されたこのナンバーは本作ではアルバムの最後に配置。さらにピアノからスタートし、いきなり歌がスタートする原曲から変わり、アコギからスタートし、最初しばらくアコギのイントロを聴かせるような内容に変わっています。

楽曲の雰囲気として「11」の印象からガラリと変化した、といった感じはありません。ただ、アルバムを通じての印象としては「11」から大きく変わった点があり、それはよりバンド色が前に出てきた点でした。「11」でもいままでのキリンジと比べてバンドであることを前に出してきた印象がありましたが、本作ではよりその面を強調。特にメロディーとサウンドのバランスが変わり、あくまでもメロディー主体だった「11」と比べると、グッと楽曲全体にサウンドが締める割合が増えたのが強く印象に残りました。

あくまでもライブ音源を中心としたアルバムなだけにライブならではのバンド色が強いのは当たり前という部分もあります。ただ、「11」の後にリリースしたのが本作ということは、彼らとしてもより今後はバンド志向を強めたいという意思を感じることが出来ました。バンドになってから若干リリースペースが遅いのは気にかかりますが・・・これからの彼らの活躍もまた楽しみになってくるようなアルバムでした。

評価:★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ
11


ほかに聴いたアルバム

C2/Base Ball Bear

実にベボベらしい新作。ディスコチューンやちょっと歌謡曲テイストのメロ、ファンキーな楽曲、シティポップ風な曲など様々なジャンルに挑戦しつつも、基本路線はベボベらしい、ちょっと青っぽい歌詞が青春路線のポップなギターロック。ベボベのファンなら文句なしに納得できそうなアルバム。ただ個人的にはもうひとつインパクトが欲しかったような気もするのですが。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳

組曲(Suite)/中島みゆき

いまなおコンスタントにアルバムをリリースし続ける中島みゆきの、ちょうど1年ぶりとなる新作。ピアノとストリングスで聴かせるバラードナンバーも目立つ本作は、良くも悪くもいつもの中島みゆきといった感じ。今回は、これといって核となるような作品もなかったのですが、ちゃんとリスナーの壺をついた作品になっていました。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集

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2016年1月17日 (日)

愚直にシューゲイザー

Title:PURE MODE
Musician:Ringo Deathstarr

アメリカのオルタナティブロックバンド、Ringo Deathstarrのフルアルバムとしては3年ぶりとなる新作。もともと、80年代90年代のシューゲイザー系バンドの音を忠実に現在に再現したようなバンドで、個人的には思いっきり壺のバンド。それだけ期待して聴いた作品ではあるのですが、それでも聴いた時にこう思ってしまいました。え?Ringo Deathstarrって、こんなによかったっけ??

今回の作品でももちろん王道とも言えるシューゲイザーサウンドがさく裂しています。特に典型的だったのが「Boys In Heat」あたりでしょうか。ホワイトノイズが楽曲を埋め尽くす中、聴こえてくる歪んだギターフレーズ。さらにその向こうに聴こえてくる女性ボーカルのメロディーライン・・・はっきりいって、まんまマイブラなのですが(^^;;個人的に壺をつきまくった構成がとても心地よい、名前の通りのドリームポップに仕上がっています。

そんなアルバム全体を埋め尽くすようなギターノイズが心地よい楽曲。ノイジーな音の向こうから聴こえてくるのは、アレックス・ゲーリングのクリアでポップな歌声。今回も実に心地よいシューゲイザーなサウンドを楽しませてくれます。

今でもシューゲイザー系バンドから強い影響を受けたバンドは少なくありません。ただそんなバンドもアルバムの枚数を重ねるうちに、徐々に違ったスタイルに変わっていきがち。それだけにフルアルバムとして3枚目となりながらも、ここまで愚直にマイブラ直系のシューゲイザーサウンドを追及するバンドも、逆に珍しいように思います。そしてそれだけに悪い意味でのひっかかりもなく、気持ちよくノイジーなサウンドに身を任せられるアルバムになっていました。

それに加えて今回のアルバム、「こんなによかったっけ?」と思ったのはバンドとしてのダイナミックさがより強くなった印象を受けたからでした。イントロ色の強い「Dream Again」に続く「Heavy Metal Suicide」はタイトル通りのメタリックなギターリフがいきなりガツンと耳に飛び込んできますし、「Guilt」も、ノイジーなギターにクリアな女性ボーカルというシューゲイザーらしい楽曲なのですが、力強いドラムの音と分厚いバンドサウンドが楽曲にダイナミズムを与えています。また「Never」もハードロックテイストの力強いギターサウンドが楽曲を引っ張る疾走感あるナンバー。こちらも実にダイナミックな作品に仕上がっています。

心地よいシューゲイザーサウンドを愚直に追及する一方で、バンドとしてのダイナミズムも兼ね備え、バンドとしてのタフネスさが強くなった印象のあるアルバム。個人的には今まで聴いた中では文句なしにベストのアルバムでしたし、Ringo Deathstarrにさらにはまってしまいそうな傑作でした。いや、本当に気持ちいいや。マイブラ好きなら必聴の作品です。

評価:★★★★★

Ringo Deathstarr 過去の作品
Shadow
Mauve


ほかに聴いたアルバム

With a Little Help From My Fwends/The Flaming Lips

The Beatlesの名盤「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」をカバーしたThe Flaming Lipsの新作。強烈なノイズの向こうに、「Sgt Pepper'~」収録曲のメロが流れているようなイメージ。これでもかというほどのノイズ処理が行われており、良い意味でも悪い意味でも吹っ切れているようなカバーアルバムになっています。The Beatlesのカバーアルバムというイメージで聴くとビックリするかも。聴く人を選びそうな作品です。

評価:★★★★

THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
THE TERROR

First Demo/FUGAZI

徹底的に反商業主義の姿勢を貫き、そのスタイルも含め数多くのミュージシャンに影響を与えた、今や「伝説のバンド」ともいえるアメリカのハードコアバンドFUGAZI。その彼らが1988年に録音したデモ音源がCD化されリリース。楽曲はかなり荒々しさが残るものの、後のFUGAZIの魅力は既に本作にはつまっており、ダイナミックなギターサウンドが実にカッコいい作品に仕上がっています。ロック好き、特にハードコア好きなら要チェックの1枚。

評価:★★★★★

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2016年1月16日 (土)

意外とオーソドックス

Denki_movie1

公開が決まって以来、非常に楽しみにしていた音楽ドキュメンタリー映画を観てきました。「DENKI GROOVE THE MOVIE?-石野卓球とピエール瀧-」。電気グルーヴのドキュメンタリー映画を映画「モテキ」などで知られる映画監督の大根仁によって録られた作品。年末年始のわずか2週間のみの限定公開(一部では1週間延長されたそうですが)だったので、見れるかどうか不安だったのですが、なんとか時間をつくって見に行きました。

今回見たのは、平日の20時15分スタートの回。平日なのですが会社帰りのサラリーマンも多く(というか私もそうですし)、会場は8割程度の入り。客の入りは好調のようで、さすがの人気を感じさせます。

さて、その映画の内容なのですが、予想以上にオーソドックスな構成。基本的に2014年のフジロックのステージを主軸にしつつ、デビュー当初から丹念に彼らの歩みを追ったスタイル。その当時の貴重なライブ映像やオフショット映像に関係者のインタビューから電気グルーヴというミュージシャンがどんなミュージシャンなのか追いかけています。

ライブ映像はかなり貴重な映像も満載。なんといっても大阪ファンタンゴでのデビューライブの模様までおさめてあり、今とは全く雰囲気もスタイルも異なるステージングに電気の長い歴史を感じます。残念ながら貴重なライブ映像は短め。まあ、撮影状況がかなり悪いので、長く見せられても厳しいものもあるのですが・・・機会があればもうちょっと長い映像を見たいな。

インタビューも、電気と深い関係を持つ人たちにきちんと話を聴いており、最適な人選といった感じ。特にCMJKとまりんこと砂原良徳といった元メンバーの証言はかなり貴重で、2人それぞれ電気を脱退した理由も語られており、この脱退の理由(CMJKはこれから大スターになる他の2人と一緒に活動していく絵が思い浮かばなかったから、まりんは同じテクノでもドイツ寄りの卓球とイギリス寄りの自分に音楽的な違いが出てきたから)も納得いくものでした。

映画では電気グルーヴのその時々の音楽の方向性、彼らが目指したものが関係者の証言により語られており、リアルタイムで彼らの活動を追っていた私も、あらためて彼らの歩みを体系立ててなぞれるような内容になっており、映画を観ていると、あらためて過去に戻って彼らのアルバムを聴いてみたいような衝動にもかられました。

Denki_movie2

ちなみにナレーションは全部英語で、字幕付。おそらくナレーションを入れることにより、変な「色」がつくことを避けたのでしょう。その試みは成功していた反面、映画を観ていて字幕を読まなくてはいけないため、映像に集中できない、という面ではマイナス面も感じました。また、電気グルーヴがどんなミュージシャンで音楽的にどんな方向を目指していたのかを、ナレーションで全部説明している、いわば「説明過多」な状況なのもよくも悪くもいかにも日本映画といった感じ。まあ、これに関しては、ドキュメンタリーという性質上、「わかりやすい」というプラスの面が多かったように思いますが。

そんな電気グルーヴの魅力をきちんととらえた内容になっているため、電気グルーヴ入門としても最適な映画だったと思いますし、長年のファンにとっても、あらためて彼らの実力を再認識できた内容でした。映画として目新しさはなく、良くも悪くも無難な内容なのですが、それだけに電気グルーヴがどんなバンドなのか知るにはムダのない内容だったように思います。もうおそらく公開は終わってしまいましたが、貴重な映像も多いだけに、DVDでリリースされたらファンなら要チェックの作品だと思います。大満足の2時間でした。

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2016年1月15日 (金)

メジャーデビューで変わってしまったのか?

Title:猫とアレルギー
Musician:きのこ帝国

今回、メジャーデビューを果たしたきのこ帝国の、メジャーからの1stアルバム。きのこ帝国といえば、楽曲を埋め尽くす圧倒的なギターノイズの、王道ともいえるシューゲイザーフォロワー的なバンドで、その迫力あるサウンドがインディー時代から話題になっていました。そんな彼女たちがメジャーでどんな音楽を展開していくのか・・・楽しみでもあるメジャーデビューでした。

ただ一方で、インディーズ最後のアルバムとなった前作「フェイクワールドワンダーランド」は聴きやすさを追求した結果、ノイジーなギターサウンドが後ろに下がってしまい、確かにポップな作風になったもののシューゲイザー色は後退してしまい、ちょっと残念な作品に仕上がっていました。そのため、今回のメジャーデビュー作で彼女たちがどのような方向性に進むのか、不安でもありました。

そんな彼女たちのメジャーデビュー作だったのですが、残念ながら不安の方が的中してしまいました。ポップ路線にシフトした前作よりもさらにポップにシフト。シューゲイザーの影響はほとんど皆無。残念ながら普通のギターロックバンドになってしまいました。

それでもギターロックバンドとしてバンドサウンドにしろメロディーにしろそれなりの独自性を発揮しているのなら、それはそれで新たな方向性としてアリかもしれません。ただ、残念ながらそんな独自性はあまり感じられません。メロディーラインにしても正直、至って平凡。メジャーデビューシングルとなった「桜が咲く前に」に至っては、サビ先という典型的なJ-POPスタイル。いかにも売れ線狙いといった感じでガッカリしました。

終盤の「YOUTHFUL ANGER」「ひとひら」に至って、ようやくギターのノイズが前面に押し出されたシューゲイザーっぽいポップスが顔をのぞかせましたが、とりあえずいままでの作風も入れておきました的なおざなり感も。前作同様「これじゃない」感は最後まで否めませんでした。

それでもそれなりにシューゲイザーという方向性とポップという方向性がマッチした曲もあった前作に比べて、今回の作品はそういう曲も皆無。はっきり言ってしまえば、平凡なギターロックのアルバムといった印象から最後まで抜け出せていませんでした。非常に残念な作品。いまどき、メジャーデビューで売れ線にシフトというバンドは逆に珍しいようにも思うのですが・・・インディー時代は好きなバンドのひとつだっただけに、非常に残念です。

評価:★★★

きのこ帝国 過去の作品
渦になる
eureka
ロンググッドバイ
フェイクワールドワンダーランド


ほかに聴いたアルバム

人生はまだまだ続く/キュウソネコカミ

メジャーでは初となるキュウソネコカミのフルアルバム。シンセをつかった強烈にハイテンポなサウンドと、毒の効いた歌詞はそのまんま。ただ、メジャーデビュー後のミニアルバム2枚「チェンジ ザ ワールド」と「ハッピーポンコツランド」が似たようなノリの曲が多かったのに対して、今回のアルバムはノリのパターンがいままでとはちょっと異なる印象が。勢いがあり、一気に畳みかけるような曲は聴いていて楽しいことは間違いないのですが、ただ、歌詞はネタに走りすぎて若干違和感を覚えるのもあったりするのが気にかかります。良くも悪くも若さゆえの勢いがあるバンドといった感じ。

評価:★★★★

キュウソネコカミ 過去の作品
チェンジ ザ ワールド
ハッピーポンコツランド

We are DISCO!!! ~tribute to the telephones~

今年11月に活動を休止したロックバンドthe telephones。そのthe telephonesの楽曲を様々なミュージシャンがカバーしたトリビュートアルバムです。参加メンバーはなかなか豪華。POLYSICSやTHE BAWDIES、ストレイテナーや、LUNA SEAのJなど、豪華な面子が揃っています。カバーは基本的には原曲そのままディスコテイストにカバーするか、バンド色を前に出して「ロック」であることを強調するかどちらか。そういう意味では意外性がなかったのですが、ただ、どれも良いカバーに仕上がっていたと思います。特にPOLYSICSとthe telephonesの良さを両立されたPOLYSICSの「Urban Disco」は、ポリとthe telephonesの相性の良さを感じましたし、ストレイテナーの「I Hate DISCOOOOOOO!!!」もファンキーなベースラインがカッコいいカバーに仕上がっていました。the telephonesのファンはもちろん、参加バンドのファンにもお勧めの1枚です。

評価:★★★★★

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2016年1月14日 (木)

大変悲しいニュースです。

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先日、突然飛び込んできた衝撃的なニュース。大きなニュースとなったので既にみなさんご存じかと思いますが・・・。

英ロックシンガー デビッド・ボウイさん死去

このニュースが衝撃をもって受け取られたのは、突然の訃報だったのもさることながら、ここ最近、勢力的な活動が目立っていた中のニュースだったからでしょう。2013年にリリースした「The Next Day」は高い評価を得て、さらには新作がリリースされたばかりでした。

そして今週のアルバムチャートにはそのDavid Bowieの新作「★」がランクインしてきました。初動売上7千枚で9位にランクイン。初動売上は前作「The Next Day」の1万8千枚(5位)からダウン。ただ、全世界同時発売の影響で金曜日のリリースだったのと、今週のこの訃報の影響で来週は売上が伸びるかもしれません。

さて上位に戻り今週の1位ですが、「歌物語-〈物語〉シリーズ主題歌集-」がランクイン。「<物語>シリーズ」と呼ばれるライトノベルを元としたアニメの主題歌集だそうです。

2位初登場はDa-iCE「EVERY SEASON」。男性5人組のアイドルグループの、これが2作目となるアルバム。初動売上4万9千枚は前作「FIGHT BACK」の1万4千枚(3位)を大幅に上回り、自己最高位を記録しています。

3位は福山雅治のベストアルバム「福の音」が先週からワンランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場ですが、4位にLittle Glee Monster「Colorful Monster」がランクイン。女性6人組のあくまでも実力のあるボーカリストによるボーカルユニットだそうです。初動売上2万4千枚でアルバムでははじめてのランクイン。直近のシングル「好きだ。」は初動9千枚(6位)だったので、そこよりは大幅にアップしています。

5位にはMISIAの2年ぶりとなる新作「LOVE BEBOP」が入ってきました。先日の紅白にも出演し、お茶の間にもその健在ぶりをアピールした彼女。ただ、初動売上は1万3千枚と前作「NEW MORNING」の1万9千枚(7位)からダウン。ここ数作、7万→5万4千枚→1万9千枚→1万3千枚と凋落傾向が止まっていません。

6位初登場はTHE ORAL CIGARETTES「FIXION」。男性4人組のロックバンドで、これがシングルアルバム通して初となるベスト10ヒット。初動売上は1万1千枚で、前作「The BKW Show!!」の4千枚(20位)から枚数、順位ともに大幅アップとなる結果となりました。

最後10位には女性声優上坂すみれ「20世紀の逆襲」がランクイン。初動売上7千枚は前作「革命的ブロードウェイ主義者同盟」の9千枚(9位)よりダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年1月13日 (水)

正月明けながらも新譜は多め

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

通常は正月明けの今週、新譜はまだ少な目なのですが、今年は比較的多くの新譜がランクインしています。売上枚数が減っているので数を増やしたといった感じなのでしょうか。

そんな中で1位を獲得したのは名古屋のローカル男性アイドルグループBOYS AND MEN「BOYMEN NINJA」。初動売上10万2千枚は前作「ARC of Smile!」の3万4千枚(6位)から大幅アップし、初の1位獲得。正直、ここまで売上が上がるというのは予想外だったのですが・・・。飽和状態の女性アイドルグループに対して、男性アイドルグループはまだ席が空いている感じなのでしょうか。

一方、それに続いたのが韓流の男性アイドルグループSUPER JUNIOR「Devil」が入ってきました。初動売上5万1千枚は前作「MAMACITA-AYAYA-」の6万5千枚(1位)からダウン。

3位は女性アイドルグループベイビーレイズJAPAN「走れ、走れ」がランクイン。爽快な典型的J-POPナンバー。3位は自己最高位で自身初となるベスト3ヒットとなりましたが、初動売上1万5千枚は前作「Pretty Little Baby」の1万7千枚(9位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、女性アイドルグループがもう1枚。橋本環奈が所属していて話題の福岡のローカルアイドルグループRev.from DVL「屋上のスキマ 白いソラ」が5位にランクイン。メタリックなアニソン歌謡曲で、ヒャダインプロデュースだそうですが、初動売上1万2千枚は前作「君を見つけたあの日から僕の想いは一つだけ」の1万9千枚(4位)からダウンしています。

女性アイドル系の初登場はもう1枚。AKB48のメンバーで、演歌歌手としてソロデビューしている岩佐美咲「ごめんね東京」が6位に入ってきています。特に特徴もないド演歌。初動売上1万1千枚は前作「初酒」の1万6千枚(13位)からダウン。2作ぶりのベスト10ヒットですが、全体の売上が落ちたことによる影響。

8位にようやく非アイドル系がランクイン。ロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATION「Right Now」がこの位置。映画「ピンクとグレー」主題歌。彼ららしい疾走感ある分厚いサウンドのパワーポップ。初動7千枚は前作「Easter」の1万1千枚(8位)よりダウン。

最後10位にはMION「Summer Magic」が入ってきています。この方、いきなりベスト10入りしてきた理由がいまひとつ謎なのですが、女性シンガーソングライター。ただアイドルテイストの強いシンガーのようで、イベント開催などの影響か?初のランクインで、初のベスト10ヒット。初動売上は6千枚という低水準でしたが・・・。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年1月12日 (火)

J-POPの原点

Title:eyes-30th Anniversary Edition-
Musician:渡辺美里

このリリースにはちょっとビックリしました。渡辺美里のデビューアルバム「eyes」の、リリース30周年を記念してリリースされた30th Anniversary Edition。リアルタイムで聴いていた作品ではないので、「そっか、もう30年になるのか」みたいな感慨はないのですが、「My Revolution」でのブレイク前の作品であり、華々しいデビュー作といった感じではないだけに、この作品で30周年記念盤がリリースされる、というのはちょっと意外にも感じました。

デビュー作である本作の特徴は、まずはやはりこの段階で渡辺美里の黄金期を支えた作家陣、小室哲哉、岡村靖幸、大江千里、木根尚登の名前がズラリと揃っていることでしょう。小室先生も岡村ちゃんも木根尚登もまだブレイク前の無名の存在。なんとか大江千里が「十人十色」でブレイクしていたものの、まだまだ若手。才気あふれる若手ミュージシャンが、知名度とは関係なくズラリと揃っているのが印象的です。

また、渡辺美里本人がほとんど作詞を手掛けていないのもひとつの特徴に感じられます。本作で彼女が作詞を手掛けているのは11曲中わずか2曲。その後、彼女自身が作詞を手掛ける曲が増え、次々作「BREATH」では全曲で作詞を手掛けているのですが、本作では基本的には「プロ」の作家陣に作詞は任せています。

そんな「プロ」を揃えたデビュー作だからこそ、渡辺美里をどのように売りだそうか、という強いコンセプトを感じるアルバムになっています。当時19歳の彼女ですが、そんな子供と大人の端境期である彼女が、等身大の本音を歌う、それが本作のコンセプト。

「大人に見えても 大人じゃない
子供に見えても 子供じゃない」

(「18才のライブ」より 作詞 竹花いち子)

と歌う「18才のライブ」が典型例ですが、この等身大の女性の本音というスタイルは、その後の渡辺美里の曲に共通するコンセプトとなっていきます。

もうひとつ、歌詞のコンセプトとしては同世代に対する応援歌というものもあります。典型的なのは、本作の事実上の1曲目であり、今なおライブの定番曲でもある「GROWIN'UP」。力強い前向きのメッセージを感じます。

ただ、この「等身大の自分」「前向きの応援歌」というコンセプト、よくよく考えると、典型的なJ-POPのスタイルなんですよね。もちろんいまから30年前、1985年はそんなJ-POPが産まれる前。要するにこのアルバムは、今のJ-POPの原点ともいうべきアルバム。そういう意味でも、意義のある作品のように感じます。

ちなみに音の方はリマスターでBlue spec CD2ということでやはり音はよくなっている・・・のですが、80年代らしいチープな音なので、そんなに劇的な印象の違いは感じなかったかも。とはいえ、音はグッとリアルにはなっているのですが。

また今回の30周年記念盤で残念だったのは、記念盤で追加になったのが、シングル「I'm Free」とそのカップリング、またアルバム未収録の「GROWIN'UP」のカップリング「ルージュの色よりもっと」だけだった点。デビュー当初のライブ音源とかつけてほしかったなぁ。残っていればだけども。

そんな訳で、渡辺美里を聴いたことない方でも、これを機にチェックしてみて損のないアルバム。来年は「Lovin' You」の30周年記念盤とかリリースされるんでしょうか。それならそれでかなり楽しみだったりするのですが・・・どうでしょうか?

評価:★★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ


ほかに聴いたアルバム

実録! グループ魂の納涼ゆかた祭り 東京仙台大阪福岡の隠し録り/グループ魂

グループ魂のライブ盤。以前リリースされたベスト盤でも感じたのですが、CDのオリジナル音源に比べ、バンド色が増したのが特徴的。ただ、ちょっと残念だったのが、アルバム「20名」リリース後のツアーだったので仕方ないといえば仕方ないのですが、ほとんどがアルバム「20名」からの曲で、ベスト的な選曲からほど遠いのが残念だったことと、MCの部分があまり入っていなかったのは残念。以前リリースされたライブ盤でも同じことを感じたのですが、彼らのライブの魅力がいまひとつ伝わってこなかったような・・・。

評価:★★★★

グループ魂 過去の作品
ぱつんぱつん
1!2!3!4!
実録!グループ魂全国ツアー「客vs俺!どっちがスケベか競争して来たど!15番勝負」
グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~
20名

ghost is dead/Spangle call Lilli line

途中、ベスト盤やカバーアルバム、ミニアルバムのリリースはあったものの、純然たるオリジナルフルアルバムとしては約5年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム。バンドサウンドを主軸にエレクトロサウンドを入れてポストロック的に仕上げている手法で、サウンドは凝っており、確かに曲によってはおもしろいと思える瞬間も少なくないのですが、以前から課題と感じていたメロディーラインの弱さは改善されるどころかさらに薄くなっている印象も。ぶっちゃけていうと、頭でっかちな感じがしておもしろくなかった・・・。

評価:★★★

Spangle Call Lilli Line 過去の作品
VIEW
forest at the head of a river

New Season
Piano Lesson
SINCE2

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2016年1月11日 (月)

確かに「もはや新アルバム」

Title:耳噛じる真打
Musician:マキシマム ザ ホルモン

Mimikajiru_shinuchi

今回紹介するアルバムは、昨日、つらつらと感想を書いたマキシマム ザ ホルモンの映像作品「Deka Vs Deka」の中の1枚としてリリースされたアルバム。彼らが2002年にリリースした「耳噛じる」を大幅にリアレンジ&再録したアルバム。このアルバムのリリースをきっかけに「耳噛じる」は廃盤になったとか。ちなみに本作はあくまでもDVD作品の中の1枚であって、単独にリリースする予定はないそうです。

今回、個人的にホルモンのDVDを買った理由の何割かがこのアルバムを聴きたかったから。そして今回、このアルバムを聴いてみたのでせっかくなので、元の「耳噛じる」の方も聴いて、聴き比べてみました。

DVDの煽り文句で、「これはもはや新アルバム」と書かれているのですが、確かに元の「耳噛じる」と聴き比べると、大きく進化しています。例えば、今のライブの定番曲らしい「握れっっ!」を進化させた「握れっっっっっっっ!!」なども、サウンドがあきらかに分厚くなっている他、歌も間違いなく上手くなっている・・・特にダイスケはんのリズムへの歌詞の載せ方は、特に進化しているように感じます。さらに明確にかわっているのが「薄気味ビリー~濃気味再録編~」で、イントロのリフは薄気味悪さを増し、さらに最初のお経のようなラップも、キレが増して、間違いなくカッコよく進化しています。

全体的には元の「耳噛じる」はパンキッシュで勢いがある反面、サウンドのバリエーションが乏しかった一方、「耳噛じる真打」では、楽曲の中に様々なアイディアが登場してきます。例えば「アブラ・ボブ<アブラ・カプセル・マーケッボブ>」では、THE MAD CAPSULE MARKETSとして活躍し、現在はAA=として活動している上田剛士がプログラミングを手掛けたデジタルロック仕様になっていますし、最後の「パトカー燃やす~卒業~」では、なぜかいきなり児童合唱団による合唱からスタートしています。あ、あと「もっとポリスマンファック」の最後に、なぜかLINDBERGの「BELIEVE IN LOVE」のギターフレーズが入ってくるのはなぜ??

そんな訳で、元の「耳噛じる」に比べると明らかな進化が見え、これはこれで1本の新作として成り立っているといっても過言ではない作品。とはいえ一方で、今も続くホルモンらしさという要素、亮君の書く中2的な歌詞やへヴィーでメタリックなサウンドとそれと相反するようなポップでセンスの良いメロディーラインといったものは、元の「耳噛じる」から健在。そして、そんな良さは、きちんと「真打」にも伝わっていました。

また一方で、元の「耳噛じる」では感じられた若手バンドらしい向こう見ずな勢い、みたいな部分は「真打」ではちょっとおとなしくなってしまい、その点だけは元の方がよかったかも、と思う部分も。亮君は曲解説で元の「耳噛じる」を「ブスなこと!ブスなこと!」と語っていますが、ブスというよりも、お化粧のやり方も知らない田舎の女子大生といった感じでしょうか。そんな彼女が都会に出てきて洗練され、キレイな女性へと生まれ変わったのが「真打」といった印象があります。ただ、かつてのお化粧のやり方も知らなった素朴な時代も、これはこれで良かった・・・という見方もできるわけで(笑)。そういう意味では元の「耳噛じる」が廃盤になってしまったのはちょっと残念にも思います。もっとも、レンタルにしても中古にしても比較的簡単に手には入るのですが。

そんな訳で、マキシマム ザ ホルモンの新作として聴くべき傑作アルバム。これを聴くためだけでも「Deka vs Deka」を購入する価値はあるかも。

評価:★★★★★

マキシマム ザ ホルモン過去の作品
予襲復讐

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2016年1月10日 (日)

賛否両論の仕掛けが・・・

内容の割に安いというのは事実なものの、それでもそれなりの金額となるので、買おうかどうか迷っていたのですが、結局買ってしまいました。

マキシマム ザ ホルモンのDVD/Blu-ray作品「Deka Vs Deka~デカ対デカ~」。彼らの人気を反映するように大ヒットを記録。CD屋でも売り切れ続出という事態となった作品。今回、本作を紹介するのですが、これは厳密にはネタバレになるのですが、このレビューを見て買おうと思った方がいたとしたら、次の点は事前に知っておいた方がいいかもしれません。

・本編を見るためには「START UP DISC」のゲームを解いて、パスワードを入手する必要があります。
・「START UP DISC」にはセーブ機能はなく、章が終わるたびに表示される「ふっかつのじゅもん」を入手する必要があります。一章が終了するのに、およそ1時間程度がかかります。

この「パスワード機能」はかなり賛否両論を巻き起こしています。ただ、今回、この映像作品を見て強く感じたのは、一部でホルモンは「ファン想いのバンド」みたいな言われ方をしていますが、「パスワード機能」などを含めて、彼らは決してファンフレンドリーなバンドではないよな、ということでした。

だって、ファンフレンドリーなら、こんなめんどくさいパスワード機能なんて作らないし、例えばライブにしてもチケットが取りやすいように、幕張メッセみたいな会場を使うだろうし、アルバムにしてもレンタル配信禁止という措置は取らないだろうし。

むしろ彼らにとってまず重要なのは、自分たちの主張をファンに伝えること。それが第一。さらには自分たちの楽しいと思う「おふざけ」を大人の財力で本気でやること。さらに、そんな自分たちの主張をファンにひとつ残らず伝え、自分たちがやりたいことをファンと一緒に楽しむこと。彼らはこの映像作品に収録されている林間学校やら地獄絵図やらといった楽しい企画を、それも無料で実施していますが、ファンを楽しませたい、というよりも自分たちがファンと楽しみたいんだなぁ、ということを強く感じました。

特に彼らの(というよりも亮君の)スタンスとして強く感じるのがバンドのファンなら、バンドのことを隅々まで知ってほしい、という主張。これは最新作「予襲復讐」のブックレットでも強く感じましたし、本作からも要所要所でバンドのことを全部知ってほしい、ということを強く感じます。そんなバンドのスタンスは、時としてうざさすら感じるのですが、ただ、私も同年代として亮君の主張はすごくわかる部分があります。

昨今、「バンドのファン」と名乗っていてもCDを買わずにYou Tubeの動画で音楽を聴いているだけ、とか、バンドのメンバーの名前すら知らない、というような「自称ファン」が少なくありません。でも、自分たちが中学生の頃って、ミュージシャンのファン、といったらCDのブックレットを読み込んで、サポートメンバーの名前まで覚えて歌詞も暗記して・・・と、好きなミュージシャンのことは隅から隅まで知っていて当然、という時代だったと思います。おそらく亮君が目指しているのはまさにそれ。ファンならホルモンのことを隅から隅まで知ってほしい、そんなスタンスをこの作品からは強く感じます。

さて今回の映像作品は、START UP DISCのゲームを含めて、すべて見るとおよそ10時間強がかかるボリューム満載な内容になっています。基本的にライブ映像もMVも文句なしにカッコいいし、民放のバラエティーテイストに作られている林間学校の映像も地獄絵図やMASTER OF TERRITORYの映像もとても楽しめました。ただ、有名ナレーターなどを起用し、いろいろな部分を凝った結果、少々やりすぎ感は否めない感じになってしまっています。下手にお金があった結果、不必要な装飾を増やしてしまった・・・そんな部分も目立ちました。

それでは今回のこの映像作品をお勧めできるかどうか、と言われると、買おうかどうか迷っているならば文句なしに買うべき作品と思います。ゲームをクリアする面倒くささはありものの、間違いなく7千円強という値段に見合うだけの満足感は得られる作品になっていると思います。また、このボリューミーな内容ゆえに、この映像作品を見れば、ホルモンのメンバーはどんな人たちなのか、ホルモンとはどんなバンドなのか、さらにホルモンの目指す方向性は何なのか、初心者でもわかる内容になっています。この作品の帯に「腹ペコデビュー推奨作品」と書いてありますが、まさにホルモンを知るための最初の作品としてはピッタリだと思います。ちょっとやりすぎ、亮君のこだわりが変な部分に出てしまった部分が少なくないのは否めませんが、そのマイナス要素を差し引いても、フルボリュームの内容を一気に見てしまった、とても楽しく、かつホルモンの魅力を感じさせる作品でした。

ちなみに同封のCD「耳噛じる真打」については、明日、別にレビューを予定しています。

以下、内容についてのネタバレレビュー。

続きを読む "賛否両論の仕掛けが・・・"

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2016年1月 9日 (土)

予想外の傑作

Title:Second line&Acoustic collection II
Musician:ACIDMAN

ACIDMANが、自分たちの楽曲を大幅にリアレンジしてシングルのカップリングとして収録している「Second line」シリーズ。その楽曲を1枚のアルバムにまとめたのが本作。タイトル通り、これが第2弾となります。

正直言ってしまうと、今回の本作、聴く前にはさほど期待していませんでした。このシリーズの前作は、既存の作品をジャズ風にアレンジしただけの平凡な内容で期待はずれでしたし、ACIDMANとしても直近のオリジナルアルバムはいまひとつインパクトに欠けており、ミュージシャンとしての勢いが失速してしまっている、と感じられたからです。

しかし、今回の本作はそんな予想をいい意味で大きく裏切る内容になっていました。まずアレンジとしてもジャジーなアレンジに留まらない幅広さが感じられました。「type-A」「スロウレイン」のようなジャジーな雰囲気の楽曲を取り混ぜつつも、「±0」ではm-floのverbalによるラップを入れてきたり、「I stand free」ではカントリー風、「波、白く」ではちょっとボッサな雰囲気と、楽曲のバリエーションに幅が感じられます。

特にユニークさを感じたのは「swayed」。トライバルなパーカッションにアコギがからみ、さらに途中からストリングスの音色が重なる、ちょっと幻想的にも感じられる音の空間が実にユニーク。強いインパクトを感じさせてくれる曲になっていました。

さらに今回のアレンジで印象的だったのはメロディーラインの美しさ。例えば「Under the rain」の切なく美しいメロディーラインや、「Your Song」の軽快でポップなメロディーなどが印象に強く残りました。

もっともこれに関しては、既存楽曲のアレンジなだけに、今回のアルバム独特なものではありませんが、アコースティックメインのシンプルなアレンジだっただけに、そのメロディーの美しさがより前面に出てきており、ACIDMANのメロディーの良さを再認識できる内容になっていました。

そんな訳で、聴く前はそもそも聴くべきかどうか迷ったほどの内容だったのですが、結果としていい意味で予想を大きく裏切る傑作に仕上がっていました。ともすれば、最近のバンドサウンドメインの曲よりもこちらのスタイルの方が彼らの良さが引き出されているのでは?とすら感じてしまいます。ACIDMANというバンドの良さに気が付かされたアルバムでした。

評価:★★★★★

ACIDMAN 過去の作品
LIFE
A beautiful greed
ALMA
Second line&Acoustic collection
ACIDMAN THE BEST 2002-2012
新世界
有と無


ほかに聴いたアルバム

いのちのかたち/plenty

オリジナルアルバムのフルアルバムとしては2年半ぶりとなるplentyのニューアルバム。基本的にいつも通りシンプルなギターロックに、孤独を歌ったような寂しい歌詞が印象的な内容。アコギやストリングス、ピアノを取り入れ、より美しさが増した印象もあります。バンドとしてのスタイルはほぼ確立しているのですが、以前から同様、歌詞にしてもメロにしてももうひとつひっかかりが欲しいところ・・・。

評価:★★★★

plenty 過去の作品
拝啓。皆さま
理想的なボクの世界
plenty
this
re(construction)
空から降る一億の星

GIRLS/フジファブリック

6月にリリースされたミニアルバム「BOYS」と連動する形でリリースされたミニアルバム。ここ最近のフジファブリックは、メインライターの山内総一郎の成長を感じさせる作品が続いていましたが、残念ながら今回のアルバムに関しては悪くはないが平凡といった印象。明るく爽やかなテイストのポップチューンが並んでいますが、それ以上はさほど印象に残らない作品になっており、同じくミニアルバムながらもフジファブリックの今後の可能性を感じさせた「BOYS」と比べて、ちょっと残念な仕上がりに感じてしまいました。次のオリジナルアルバムこそ、傑作を期待したいのですが・・・。

評価:★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE
BOYS

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2016年1月 8日 (金)

相変わらず

Title:風の果てまで
Musician:斉藤和義

斉藤和義の2年ぶりとなるニューアルバム。ここ最近、楽曲的にも人気の面でも勢いのある彼ら。前作はその勢いさながらに2枚組となるアルバムをリリースしてきましたが、続く本作は1枚組。とはいえ、初回版には「特典CD」と題する3曲入りのおまけCDがついてきていますし、なによりも楽曲を聴く限り、その勢いはいまだに止まっていません。

ただ、勢いがあるとはいえ今回のアルバム、なにか大きな特徴のある作品、といった感じではありません。アルバム的には初のLAレコーディングというのも大きな売りのようですが、そこが直接的に楽曲に対してどうこうといった感じはありません。むしろ、いつも通りの斉藤和義。来年50歳を迎える彼の、大人としての視点から描かれたメッセージ性の強い歌詞をロックなアレンジで歌う楽曲が並んでいます。

特にインパクトがあるのが、先行シングルにもなった「攻めていこーぜ!」「攻めていこーぜ! 守りはゴメンだ」というサビもインパクトあるこのナンバー。メロディーもアレンジも彼らしいロックナンバー。キャリア20年以上となる彼が、いまだに前向きに攻めていこうという強い挑戦心を感じさせるナンバーになっています。

他にも今のミュージックシーンに対して

「さよならキャディラック 一発当てたって
そんなもんじゃもう買えっこない」

(「さよならキャディラック」より 作詞 斉藤和義)

と悲観的な状況をユーモラスに歌った「さよならキャディラック」。好きな人の過去へ思い悩む男性を幻想的なタッチの楽曲で描く「恋」、自殺をはかろうとする男性のまわりにあつまった人間模様を描く「時が経てば」など、彼らしいちょっとユーモラスな視点で、でもリアリティーがあり、ちゃんと地に足をつけたような歌詞が耳を惹く楽曲が並んでいます。

ただ本編もよかったのですが、ともすれば本編以上によかったのが「特典CD」の方。特に1曲目の「NO!」はへヴィーなギターリフで展開されるロックナンバーですが、ストレートな社会批判が大きなインパクトとなっています。

「なんでなんでなんで
どしてどしてどして
人を殺せなんて
そんなこと言うの

Oh やめてくれよ おっさん
クルクルパーか おっさん」

(「NO!」より 作詞 斉藤和義)

なんて歌詞は、安保法案が話題となったこの時期にリリースされた作品なだけに、やはり安倍総理への批判か?とも捉えられる歌詞になっていたりもします。

そんな訳で、今回のアルバムは相変わらずのせっちゃん、といった感じの内容。目新しい感じはないのですが、一方で高レベルで安定している、とも感じられる内容になっていました。まだまだ斉藤和義の勢いは続いていきそうと感じることが出来た新作でした。

評価:★★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12


ほかに聴いたアルバム

今年、2枚立て続けにリリースされたTHEラブ人間のミニアルバムを同時に紹介。

きっとずっと彼女は友達/THEラブ人間

恋は全部まぼろし/THEラブ人間

いままで、「恋愛至上主義」をかかげつつ、かなり強烈なラブソングを書いてきた彼らですが、今回の2枚のアルバムに関しては普通のラブソングになってしまっています。それでも「恋は全部まぼろし」の方は「暮らしのすゝめ」「いつまでも愛し合ってばかり」など、インパクトがあっておもしろい歌詞の曲があったりするのですが、「きっとずっと彼女は友達」は歌詞に彼ららしさをほとんど感じませんでした。

またどちらもラストにエレクトロアレンジのナンバーが収録されており、新機軸を模索しているのですが、これはどちらもイマイチ。「All Tomorrow's Tokyo」のリミックスなど、いかにも流行りの音を取り入れてみました感が鼻に突く内容。メジャーからインディーに戻ってしまった彼らですが、どうも悪い意味でおとなしくまとまってしまったように感じたアルバムでした。

評価:
きっとずっと彼女は友達 ★★★
恋は全部まぼろし ★★★★

THEラブ人間 過去の作品
恋に似ている
SONGS

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2016年1月 7日 (木)

ポップで楽しいHIP HOPアルバム

Title:10
Musician:RIP SLYME

タイトル通り、メジャー10枚目となるRIP SLYMEのニューアルバム。今回のニューアルバム、簡単に言ってしまうと、非常にポップで楽しいアルバム。ちょっとひねた言い方をすると、わかりやすい、ともいえる内容になっているアルバムでした。

その影響もあってか、Amazonのレビューコメントなどを見ると賛否両論・・・というよりも、正直言って、あまり評価の高いアルバムではないようです。確かにポップでわかりやすい作風の一方、RIP SLYMEの作品にみられた、いわゆる尖ったような部分は今回のアルバムであまり感じられません。

確かにあえて「実験的」と言えるのであれば、今風のエレクトロサウンドを取り込んだ「だいたいQuantize」「いつまでも」あたりでしょうか。ただ、ここらへんの楽曲にしてもよくありがちといえばありがちな感じで、いまさら目新しさはあまり感じられません。一方で、「ピース」あたりはRIP SLYMEらしい作品になっているものの、悪く言ってしまえばベタ。「青空」で聴かせる女性とのデゥオによるボッサ風の曲調もよくありがちといえばよくありがちな内容になっています。

しかし、そこらへんのマイナスポイントを考慮しつつも、個人的にはこのアルバム、最後までとても楽しめて聴けたアルバムだったと思います。ここ最近の彼らのアルバムは、どうも楽曲としてのインパクトの弱さが気になっていたのですが、ある種ベタなポップ路線かもしれませんが、インパクトを持って聴けたポップな曲が多く、インパクトという面ではRIP SLYMEの良さがしっかり発揮されたアルバムだったように感じます。

楽曲にしても「JUMP」の疾走感ある軽快なエレクトロビートと、ゲストボーカルchayのちょっと色っぽさのあるボーカルがインパクト十分の楽しいナンバーになっていたり、在日ファンクがゲストで参加している「Vibeman」も期待どおりのファンキーなサウンドがカッコいいナンバー。ちゃんとRIP SLYMEらしい傑作も要所要所で聴かせてくれるアルバムだったと思います。

確かに気になる部分があるのは事実なものの、十分すぎるほど楽しむことが出来た傑作だったと思います。とにかくポップで楽しいという側面でRIP SLYMEらしさはしっかり発揮されていたのではないでしょうか。メジャー10枚目の一区切りとなるオリジナルアルバムですが、これからの彼らの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

で、このアルバムがリリースされる前、レンタル限定ですが、この「10」のダイジェスト盤アルバムがリリースされました。

Title:DIGEST 10
Musician:RIP SLYME

Digest10

えっと、内容は「10」からの抜粋。「10」は最初から聴く予定だったので、このアルバムをわざわざレンタルで借りてまで聴く意味はないはずなのですが、それでもあえて聴いたのは、アニメ「秘密結社 鷹の爪団」このコラボレーションドラマが収録されていたからです、はい(笑)。

まあ、「コラボドラマ」というよりもはっきりいってしまって「コント」で、楽曲が完全にコントの「ネタ」になっているだけ。「鷹の爪団」が好きなので軽い気持ちで聴いたのですが、予想していたよりもおもしろかった(笑)。もともとの「鷹の爪団」のキャラクターありきのコントなのですが、ただ、「鷹の爪団」を全く知らない人でもおそらく楽しめそうな内容になっています。これはこれでレンタルで聴く価値あり(笑)。曲の印象もより強くなりますよ。

評価:★★★★★

RIP SLYME 過去の作品
FUNFAIR
JOURNEY
GOOD TIMES
BAD TIMES 2000-2010 URA-BAN BEST
STAR
GOLDEN TIME


ほかに聴いたアルバム

オーディション/ドレスコーズ

志磨遼平ソロプロジェクトになってから2枚目となるフルアルバム。バンドサウンドの薄くなった前作から一転、今回はバンドサウンドが前に出てきた構成になっていました。一方メロディーは彼らしい、キュートでポップ、ちょっとレトロなテイストのメロが印象的。今回も胸をかきむしられるような切ないメロを聴かせる反面、全体的に「これ」といった核になるような曲がなく、インパクトは薄めだったかも・・・。ドレスコーズとしてはちょっと薄味に感じてしまいました。

評価:★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.

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2016年1月 6日 (水)

2016年最初のチャート

今週は2016年最初のチャート。正月をまたぐチャートのため初登場は極端に少なく、シングルアルバム同時更新となります。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まず今年最初の1位はこの曲。ただし、発売は2015年中ですが。

今週1位はモーニング娘。'15「冷たい風と片思い」。モーニング娘。らしい王道のアイドルソング。変に奇をてらわないあたりがつんく♂らしい感じ。本作はメンバーの鞘師里保が参加する最後のシングルということでしたが、初動売上は14万3千枚で前作「Oh my wish!」の14万1千枚(2位)より若干アップと影響は限定的。なお彼女たちの1位獲得は2014年の「時空を超え 宇宙を超え」以来、4作ぶりとなります。

2位はゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」をモチーフとしたミュージカル「刀剣乱舞」のキャラクターによるキャラソン刀剣男士team三条with加州清光「刀剣乱舞」。初動売上2万1千枚。これといって特色のない男性アイドルソング。

実は今週の新譜はこの2枚のみ。3位には先週8位のVOICE by イヤミ feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松×トド松「SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~」がランクアップし、2週ぶりにベスト3返り咲き。ただし売上は先週の1万6千枚から8千枚に大きくダウンしています。

4位以下も新譜が少なかった影響でベスト10返り咲きが並びました。

40位→5位 HKT48 feat.氣志團「しぇからしか!」(1千枚→5千枚)
13位→8位 乃木坂46「今、話したい誰かがいる」(1万1千枚→3千枚)
17位→9位 Sexy Zone「カラフル Eyes」(7千枚→3千枚)

また、今週は年始年末をまたぐチャートということでレコ大や紅白の影響も期待されましたが、今年もその影響はかなり限定的。一番目立ったのが初登場の演歌歌手、三山ひろし「お岩木山」が32位から14位(2.1千枚→2.4千枚)ですが、売上的にはほぼ横バイ。西野カナ「トリセツ」が36位から17位にランクアップしましたが、売上も1.8千枚→2.2千枚と若干の増加にとどまっています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート今年最初の1位は韓流でした。

今週の1位は韓流の男性アイドルグループSHINee「DxDxD」が獲得。これで日本盤では2作連続のアルバム1位獲得。初動売上は4万4千枚。直近のアルバムは、韓国盤の「Married To The Music」で、その初動7千枚(10位)よりは大きくアップ。日本盤の前作「I'm Your Boy」の4万5千枚(1位)よりは微減にとどまりました。

2位は先週1位福山雅治「福の音」がワンランクダウンでベスト3をキープ。3位にはシングルチャートで2位に入ってきた刀剣男士team三条with加州清光「刀剣乱舞」がアルバムチャートにもランクイン。こちらおそらく予約限定盤が2枚組になっており、その2枚目にライブ音源が入っていたため、アルバム扱いになったのではないかと思われます。初動売上は2万枚。ただ、シングル扱いのバージョンとアルバム扱いのバージョンをあわせても、売上は4万1千枚で、シングル1位のモーニング娘。、アルバム2位の福山雅治(4万4千枚)を下回る結果になっており、シングルとアルバムに泣き別れとなりましたが、チャート順位には影響がなかった模様です。

4位以下では初登場が2枚。7位に中森明菜「FIXER」がランクインです。彼女にとって約6年4ヶ月ぶりとなるオリジナルアルバム。初動売上8千枚は直近作でカバーアルバムの「歌姫4 -My Eggs Benedict-」の1万5千枚(5位)よりダウン。ただオリジナルアルバムとしての前作「DIVA」の6千枚(29位)よりアップしており、オリジナルアルバムとしては1995年の「la alteración」以来、約20年5ヶ月ぶり(!)となるベスト10入りを果たしました。

初登場はもう1枚。10位にラッパー、AK-69「HALL TOUR 2015 FOR THE THRONE FINAL-COMPLETE EDITION-」がランクイン。インディーズのHIP HOPミュージシャンとしては初となる全国ホールツアーの模様を収録したライブアルバム。初動売上は5千枚で、直近作はオリジナルアルバム「THE THRONE」の初動1万枚(8位)。ライブ盤で、かつ定価6,900円という高額商品の割には健闘した印象。

今週のチャート評は以上。次回はまた来週の水曜日の予定です。

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2016年1月 5日 (火)

解散が惜しまれるベスト盤

Title:best+ 2009-2015
Musician:FACT

もともとは1999年結成。日本のみならず海外での活動も注目をあつめ、さらに全員、能面をかぶるというインパクトあるスタイルも話題となったバンドFACT。結成から10年を経た2009年にメジャーデビューし、アルバム「FACT」をリリース。その後、メジャー2作目となる「In the blink of an eye」ではオリコンアルバムチャート最高位6位を記録するなど人気を集めました。

2014年には新ギタリストAdamが加入し、6人組バンドになるなど「成長」を続けてきた彼らですが、残念ながら今年4月に年内いっぱいでの解散を発表。本作はそんな彼らが、2009年のメジャーデビュー後に発表してきた曲を、発表順に並べたベストアルバムです。

彼らの音楽はスクリーモ、ポスト・ハードコアと呼ばれるようなジャンルだそうで、デス声も使ったハードでメタリックなサウンドを展開する一方、ポップでメロディアスなメロディーラインも展開する点も特徴的。私はメジャーデビュー後の「FACT」ではじめて彼らの音楽を聴いたのですが、シンセのサウンドなども取り入れつつ、洋楽っぽいエッジの効いたサウンドに、メロディーラインについては逆にどこか「歌謡曲」的、例えば「paradox」のような和のテイストも感じられる哀愁を帯びたようなメロディアスなものが強いインパクトを持っていました。

また、音楽性についても幅広いものがあり、例えばベスト盤に収録されている曲に関しても「slip of the lip」はパンク色の強いナンバーですし、「FOSS」はエレクトロテイストの強いナンバー。「ape」ではレゲエを取り入れるなど、ハードコア的なジャンルにとどまらず、幅広い音楽性を取り入れていることによりリスナーを飽きさせません。

そんな彼らの代表曲が収録されている今回のベスト盤。彼らのアルバムについては基本的に聴いている私ですが、今回のアルバムを聴いてひとつ彼らについて誤解していたことに気が付かされました。このベスト盤を聴くまで、彼らについてひとつ思っていたことがあります。それは、デビュー作「FACT」が最高傑作で、その後はデビュー作ほどの勢いもなく、またバラエティー富んだ音楽性が逆に散漫に聴こえてしまう作品・・・そんなイメージで聴いていました。

しかし、今回のアルバムでその印象が誤解だったと気が付きました。というか、最近の作品になるほどカッコいい(^^;;特にバンドサウンドの分厚さが圧倒的に増し、へヴィーで迫力あるバンドサウンドが耳に突き刺さるようなナンバーが並んでいます。特に「wait」など、わずか1分30秒程度のナンバーながらもハイテンポなシャウトとちょっと哀愁を感じるメロディーラインの対比が見事なナンバー。また、本作の1曲目「look away」と2曲目「choices」は新曲なのですが、こちらも彼らの特徴であるへヴィネスさとポップスさがバランスよく融合されたカッコいいナンバーに仕上がっています。

そういう意味ではこのベスト盤を聴いて、このタイミングで解散か、と逆に残念に感じてしまいました。新曲も傑作だったし、まだまだこれからも名曲を作ってくれそうな予感もするのですが・・・。仕方ないことかもしれませんが、非常に残念です。これからのそれぞれのメンバーのさらなる活躍を期待したいところです。

評価:★★★★★

FACT 過去の作品
FACT
In the blink of an eye
burundanga
witness


ほかに聴いたアルバム

FEVER/三浦大知

約2年ぶりとなるニューアルバム。楽曲に関しては、正直、よくありがちな今風のエレクトロポップであまり面白味はありません。ただ一方で、彼の伸びやかなボーカルが実に魅力的。このボーカルを聴くだけで一聴の価値ありな内容。ただ、作風としては前作、前々作からほとんど変わっておらず、そろそろもう一工夫ほしいところなのですが。

評価:★★★★

三浦大知 過去の作品
D.M.
The Entertainer

LIFE is BEAUTIFUL/ROTTENGRAFFTY

今年で既にデビュー14年目を迎えるベテランバンドなのですが、このアルバムで初となるベスト10ヒットを記録し、話題となりました。私も彼らの名前は以前から知っていたものの、音源を聴くのはこれがはじめて。ただ・・・正直、期待したほどじゃなかったなぁ。へヴィーなギターサウンドにエレクトロのサウンドを取り入れつつ、メロディーはポップというスタイルなのですが、エレクトロサウンドとポップなメロを前に押し出しすぎ、バンドとしてのダイナミズムが失われているように思います。またメロディーもいかにもな歌謡曲風でおもしろみはほとんどなく、いまひとつ。期待はずれの残念な作品でした。

評価:★★★

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2016年1月 4日 (月)

音楽の明るさを伝えるミニアルバム

Title:Saint Cecilia EP
Musician:FOO FIGHTERS

Saintcecilia

11月24日に突如、無料ダウンロードという形でリリースされたFOO FIGHTERSの5曲入りのミニアルバム。もともとはワールドツアー終了にあたり、ファンへの感謝の意味を込めてリリースを予定していたそうです。ただ、そこへ起こったのが11月13日にパリで起こったテロ事件。それに伴いこのEPにあらたな意味合いがもたらされたということ。公式サイトのメッセージでデイヴ・グロールは「たとえ僅かであっても、音楽が今の暗い世界へ光をもたらしてくれるものとなってほしいということ。」と、テロが起こった以降における、このEPの新たな意味合いを説明しています。

そんなメンバーの強い意志のこもったこのミニアルバム。わずか5曲のアルバムなのですが、どの曲も聴きごたえある内容になっていました。1曲目を飾るのはタイトルチューンでもある「Saint Cecilia」。本作のレコーディングが行われたアメリカテキサス州はオースティンのホテルの名前だそうですが、力強いギターのイントロからはじまり、サビは疾走感あるギターロックがポップスさも感じられ気持ち良いナンバー。続く「Sean」も軽快なリズムのオルタナ系ギターロックなのですが、明るいサウンドに若々しさも感じられます。

中盤に展開される「Savior Breath」はこのアルバムの中でひとつのインパクト。へヴィーなギターリフにシャウト気味のボーカルのハードなナンバーに耳を惹きつけられます。かと思えば4曲目「Iron Rooster」は一転、ピアノの音色も入れ、ミディアムテンポで聴かせるナンバー。メロディーの良さを感じるナンバーになっています。そして最後を締めくくる「The Neverending Sigh」はダイナミックなバンドサウンドを聴かせる疾走感ありパンキッシュなナンバー。なにげにメロディアスなメロディーとあわせて、FOO FIGHTERSの魅力をしっかり伝える1曲になっています。

そんな訳でわずか5曲入りのミニアルバムですが、FOO FIGHTERSの良さを感じられるアルバム。無料だし、5曲あわせてもわずか18分というコンパクトさですし、初心者にもうってつけのEP盤だと思います。

ちなみにダウンロードは以下の公式サイトから

http://www.saintceciliaep.com/

なお、iTunes Storeからもダウンロード可能なので、めんどくさい登録なども不要なので、お手軽かも。

評価:★★★★★

SONIC HIGHWAYS/FOO FIGHTERS

そんな彼らが昨年11月にリリースしたアルバム。アメリカの代表的な8都市でレコーディングが行われ、それと共にデイヴ・グロールが監督をつとめる同タイトルのドキュメンタリー番組が放送されるなど、コンセプチュアルな作品になっています。

楽曲は彼ららしい骨太のサウンドに、メロディアスなメロディーがのった作風。そういう意味ではFOO FIGHTERSらしい作品。ただ全体的には若干地味め。これといったインパクトある作品がなく、ちょっと物足りなさも。個人的には「Saint Cecilia EP」の方が好きかも・・・。

評価:★★★★

FOO FIGHTERS 過去の作品
ECHOES,SILENCE,PATIENCE&GRACE
GREATEST HITS
WASTING LIGHT

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2016年1月 3日 (日)

2015年最後のアルバムチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

昨日に引き続き、2015年最後のアルバムチャートです。

2015年最後のチャートで1位を飾ったのは福山雅治「福の音」。2015年にデビュー25周年を迎えた福山雅治の3枚組からなるオールタイムベスト。「桜坂」「HELLO」などといった大ヒットシングルも収録されている本作。初動売上17万8千枚は、直近のアルバム「魂リク」の12万3千枚(1位)よりアップしています。

ただし彼のオールタイムベストは5年前に20周年記念ということでリリースされたばかり。その5年前のベスト盤「THE BEST BANG!」の初動38万枚より半減以下という結果に。直近のオリジナルアルバム「HUMAN」の21万3千枚(1位)よりもダウンしています。そりゃあ、この5年間でアルバム1枚しかリリースされずに、もう新たなベスト盤と言われても、よほど熱狂的なファンか、この5年間で新たに福山雅治のファンになった人しか買わないよなぁ。

2位は先週まで2週連続1位だったback number「シャンデリア」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。売上は5万3千枚から3万4千枚とダウンしていますが、ロングヒットの兆しをみせています。

3位はTHE ALFEE「三位一体」が初登場。オリジナルとしては2010年にリリースされた「新世界-Neo Universe-」以来、約5年9ヶ月ぶりの新作となります。なにげにオリジナルアルバムでのベスト3入りは1995年の「夢幻の果て」以来、約20年ぶりとなります。初動売上は2万9千枚。直近作のセルフカバーアルバム「Alfee Get Requests! 2」の1万9千枚(6位)よりアップ。また、オリジナルとしての前作「新世界-Neo Universe-」の2万4千枚(4位)よりアップしており、好調な結果となっています。

続いて4位以下の初登場です。4位以下の初登場盤3枚のうち、3枚はアニメがらみのキャラソン。4位にゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」より来栖翔(下野紘) 寿嶺二(森久保祥太郎)「うたの☆プリンスさまっ♪シアターシャイニング エヴリィBuddy!」が、9位に同じくゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」より「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 04」がそれぞれランクインしています。

「うたプリ」は映画をテーマとしたドラマCDの第3弾。初動売上1万8千枚は同シリーズの第2弾黒崎蘭丸(鈴木達央)、カミュ(前野智昭)、一十木音也(寺島拓篤)「うたの☆プリンスさまっ♪シアターシャイニング Pirates of the Frontier」の2万枚(7位)よりダウン。一方、「アイマス」の方はライブを行っているという建付けのアルバム。初動売上1万枚は、同シリーズの第3弾「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 03」の1万1千枚(10位)から若干ダウンしました。

初登場最後は8位にハロプロ系女性アイドルグループ℃-ute「℃maj9」がランクイン。初動売上1万1千枚は前作「(8) Queen of J-POP」(6位)から横バイ。

今週のアルバムチャートは以上。次のチャート評は6日水曜日の予定です。

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2016年1月 2日 (土)

2015年最後のチャート

新年1発目の通常更新です。で、いきなりヒットチャートから。2016年最初の更新なのですが、こちらは2015年最後のヒットチャートです。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

2015年最後の1位は、AKB48「唇にBe My Baby」が2週ぶりにベスト10返り咲きです。

先週は売上2万6千枚で4位でしたが、今週は通販の売上分が加算されたようで7万枚を売り上げ1位返り咲き。また、累計売上も100万2千枚を達成し、ミリオン到達となったようです。

ちなみにAKB48がらみでは10位にAKB48のメンバー、藤田奈那のソロデビューシングル「右足エビデンス」がランクインしています。アレンジは今風のEDMなのですが、歌詞もメロもベタベタな歌謡曲。初動売上は1万2千枚。昨年9月に開催された「じゃんけん大会」に優勝した特典としてのソロデビューだそうです。

初登場のベスト10入り最高位は2位のL'Arc~en~Ciel「Wings Flap」。ラルクらしいちょっと耽美な雰囲気で、メロディーラインは歌謡曲調のナンバー。初動売上5万2千枚は前作「EVERLASTING」の5万4千枚(2位)からダウン。

3位はアニメ系のキャラソン。lily white~園田海未,星空凛,東條希from μ’s~「思い出以上になりたくて」。チープなアレンジを含め、もろ70年代歌謡曲な哀愁感漂うナンバー。ゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」挿入歌。ゲーム内のキャラクターによるキャラソン。初動売上4万枚は前作「秋のあなたの空遠く」(3位)から横バイ。

今週はアニメ系のキャラソンがあと2曲ランクインしています。女性向け男性アイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!」登場キャラクターによるキャラソン流星隊「『あんさんぶるスターズ!』ユニットソングCD Vol.5『流星隊』(夢ノ咲流星隊歌)」が5位、2wink「『あんさんぶるスターズ!』ユニットソングCD Vol.6『2wink』(シュガー・スパイス方程式)」が7位にそれぞれランクイン。初動売上はそれぞれ2万9千枚と2万1千枚。「あんさんぶるスターズ!」関連では同シリーズの第3弾、第4弾fine「『あんさんぶるスターズ!』ユニットソングCD Vol.3『fine』」、紅月「『あんさんぶるスターズ!』ユニットソングCD Vol.4「紅月」」が初動1万9千枚(9位)、2万2千枚(8位)を記録しています。

4位にはEXILEの事務所、LDH所属の女性アイドルグループの合同ユニット、E-girls「Merry × Merry Xmas★」がランクイン。クリスマスソングにも関わらず、リリースが12月23日。普通、クリスマスソングといえば、11月下旬あたりにリリースしてクリスマスまで引っ張ろうという営業戦略を取るのですが、極端に初動偏重主義になってしまった現在、もう23日から25日の3日だけ売れれば問題なし、というスタンスになったのでしょう。音楽業界全体の流れとしてはいい傾向とはいえないのですが・・・。初動売上は3万1千枚は前作「Dance Dance Dance」の4万6千枚(4位)からダウン。

6位初登場は韓流の男性アイドルグループHISTORY「LOST」。日本デビュー2作目となるシングル。初動売上2万4千枚は前作「消えてしまった My Love」の1万7千枚(7位)よりアップ。

9位には東海地区のローカル男性アイドルグループMAG!C☆PRINCE「絶対☆アイシテル!」がランクイン。初動売上1万4千枚。これがデビューシングルで初のベスト10ヒット。楽曲は平凡なジャニーズ系タイプのアイドルポップ。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2016年1月 1日 (金)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。

昨年は当サイトをご愛顧くださり、まことにありがとうございました。本年もまた、「ゆういちの音楽研究所」をよろしくお願いします。

例年、正月一発目の更新は、いきなり通常更新モードもなんだかな、ということから紅白の感想をつらつらと書いています。昨日の紅白は興味ある部分のみザッピング的に見ていて、全体はあまり見ていません(^^;;なので、ざっとした感想になるのですが・・・

個人的に先日の紅白で一番驚いたのは、椎名林檎のステージに、いきなり向井秀徳があらわれたこと(笑)。それもテロップ付きで。いや、思わず声を出して驚いてしまいました。まさか紅白を見ていて、向井秀徳が見れて、さらに「繰り返す諸行無常 よみがえる性的衝動」というおなじみのフレーズがテレビから流れてくるとは・・・・・。

まあ、他には星野源とかBUMP OF CHICKENとか見ていたのですが、ちょっと感じたのは、一部で話題になったμ'sとか、小林幸子に関してのネットコミュニティー発そのままの演出とか、ちょっといくらなんでも紅白が特定層に媚びすぎでは?という印象がどうしても否めません。ただ逆に言えば、一部のマニア層に頼らざるを得なくなるほど、今の音楽シーンが薄っぺらくなってしまった、ともいえるし、あるいは細分化しすぎている、とも言えるのかもしれませんが。

ただ、小林幸子に関しては、ゴシップ的なネタも含まれるため、全面的には信用できないのですが、彼女のステージを見ながら、↓のサイトで書かれている話を思い起こしていました。

ボカロの曲にニコ動的弾幕で復活…小林幸子が語る紅白への思い、芸能界のドンの圧力に耐えて

ある意味、もっとも「芸能界」的な演歌の歌手が、ネットコミュニティーという、「芸能界」からの圧力が効かないような世界で活躍できる、ということを証明してしまった点、彼女の復活劇というのは非常に驚異ではあるんでしょうね。ただ、それでも正式に「紅白出場」ではなく、幕間の余興的だった点はまだまだ「限界」なのかもしれませんが。来年はどうなるんだろ?

そんな訳で、みなさま、よいお正月を。明日からは通常更新です。

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