ポップで楽しいHIP HOPアルバム
Title:10
Musician:RIP SLYME
タイトル通り、メジャー10枚目となるRIP SLYMEのニューアルバム。今回のニューアルバム、簡単に言ってしまうと、非常にポップで楽しいアルバム。ちょっとひねた言い方をすると、わかりやすい、ともいえる内容になっているアルバムでした。
その影響もあってか、Amazonのレビューコメントなどを見ると賛否両論・・・というよりも、正直言って、あまり評価の高いアルバムではないようです。確かにポップでわかりやすい作風の一方、RIP SLYMEの作品にみられた、いわゆる尖ったような部分は今回のアルバムであまり感じられません。
確かにあえて「実験的」と言えるのであれば、今風のエレクトロサウンドを取り込んだ「だいたいQuantize」や「いつまでも」あたりでしょうか。ただ、ここらへんの楽曲にしてもよくありがちといえばありがちな感じで、いまさら目新しさはあまり感じられません。一方で、「ピース」あたりはRIP SLYMEらしい作品になっているものの、悪く言ってしまえばベタ。「青空」で聴かせる女性とのデゥオによるボッサ風の曲調もよくありがちといえばよくありがちな内容になっています。
しかし、そこらへんのマイナスポイントを考慮しつつも、個人的にはこのアルバム、最後までとても楽しめて聴けたアルバムだったと思います。ここ最近の彼らのアルバムは、どうも楽曲としてのインパクトの弱さが気になっていたのですが、ある種ベタなポップ路線かもしれませんが、インパクトを持って聴けたポップな曲が多く、インパクトという面ではRIP SLYMEの良さがしっかり発揮されたアルバムだったように感じます。
楽曲にしても「JUMP」の疾走感ある軽快なエレクトロビートと、ゲストボーカルchayのちょっと色っぽさのあるボーカルがインパクト十分の楽しいナンバーになっていたり、在日ファンクがゲストで参加している「Vibeman」も期待どおりのファンキーなサウンドがカッコいいナンバー。ちゃんとRIP SLYMEらしい傑作も要所要所で聴かせてくれるアルバムだったと思います。
確かに気になる部分があるのは事実なものの、十分すぎるほど楽しむことが出来た傑作だったと思います。とにかくポップで楽しいという側面でRIP SLYMEらしさはしっかり発揮されていたのではないでしょうか。メジャー10枚目の一区切りとなるオリジナルアルバムですが、これからの彼らの活躍も楽しみです。
評価:★★★★★
で、このアルバムがリリースされる前、レンタル限定ですが、この「10」のダイジェスト盤アルバムがリリースされました。
Title:DIGEST 10
Musician:RIP SLYME
えっと、内容は「10」からの抜粋。「10」は最初から聴く予定だったので、このアルバムをわざわざレンタルで借りてまで聴く意味はないはずなのですが、それでもあえて聴いたのは、アニメ「秘密結社 鷹の爪団」このコラボレーションドラマが収録されていたからです、はい(笑)。
まあ、「コラボドラマ」というよりもはっきりいってしまって「コント」で、楽曲が完全にコントの「ネタ」になっているだけ。「鷹の爪団」が好きなので軽い気持ちで聴いたのですが、予想していたよりもおもしろかった(笑)。もともとの「鷹の爪団」のキャラクターありきのコントなのですが、ただ、「鷹の爪団」を全く知らない人でもおそらく楽しめそうな内容になっています。これはこれでレンタルで聴く価値あり(笑)。曲の印象もより強くなりますよ。
評価:★★★★★
RIP SLYME 過去の作品
FUNFAIR
JOURNEY
GOOD TIMES
BAD TIMES 2000-2010 URA-BAN BEST
STAR
GOLDEN TIME
ほかに聴いたアルバム
オーディション/ドレスコーズ
志磨遼平ソロプロジェクトになってから2枚目となるフルアルバム。バンドサウンドの薄くなった前作から一転、今回はバンドサウンドが前に出てきた構成になっていました。一方メロディーは彼らしい、キュートでポップ、ちょっとレトロなテイストのメロが印象的。今回も胸をかきむしられるような切ないメロを聴かせる反面、全体的に「これ」といった核になるような曲がなく、インパクトは薄めだったかも・・・。ドレスコーズとしてはちょっと薄味に感じてしまいました。
評価:★★★★
ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.
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