前作に続いてベスト10ヒットも
Title:Depression Cherry
Musician:Beach House
前作「Bloom」が高い評価を受け、大きな評判となったアメリカの男女ポップ2人組ユニットの約3年ぶりとなる新作。その前作「Bloom」はアメリカビルボードチャートで最高位7位を記録するなど、売上面でもヒットを記録。続く本作も、前作の余波を受けるような形で、最高位8位のヒットを記録しています。
評価の高かった前作からの次の一歩としての本作。どのような作品をリリースしてくるのか、期待がかかった作品ですが、良きにつれ悪しきにつれ、基本的には前作と同じ方向性のように感じました。女性ボーカルヴィクトリア・ルグランのクリアな歌声に、ドリームポップと称される、シンセをつかったホワイトノイズのサウンドが繰り広げられるスタイル。心地よいサウンドでつつまれたポップな作品が続きます。
ホワイトノイズが繰り広げられるといっても、圧巻のノイズで包んで・・・というスタイルではありません。楽曲の中であくまでもメインとなるのはヴィクトリア・ルグランの歌う唄。前作の感想でも書いたのですが、この手のバンドにありがちな、「歌は楽器の一部」というスタイルではなく、楽曲の真ん中に歌がデンと鎮座ましましているような感じになっています。
そんなBeach Houseらしさを感じるのが「Beyond Love」でしょうか。ノイジーなサウンドからスタートするイントロは、いかにもドリームポップらしいサイケっぽい雰囲気になっているものの、歌がはじまると一変、しっかりとポップなメロディーラインを聴かせるような構成になっています。「Sparks」あたりも美メロともいえるメロディーが耳に残りながらも、アレンジが微妙にゆがんだ感じなのがおもしろい印象を受けました。
ただ、今回の作品、前作に比べるとメロディーラインがちょっと後ろに下がってしまい、逆にサウンドが前に出てきてしまったような印象を受けます。まあ、基本的には本作もメロディー主体なのは変わらず、若干といった程度の印象なのですが・・・。しかしその結果、サウンドが正直ちょっとチープに聴こえてしまったような感を受けます。
彼らの用いるサウンドは、80年代的というか、おそらく狙っているのでしょうが、チープさを感じるサウンド。それはそれでおもしろいといえばおもしろいのですが、今回のアルバムに関しては、メロディーに比べてサウンドが前に来た点、また前作に比べるとサウンドが少々シンプルになったことから、悪い意味でチープな印象が前に出てきてしまったように思います。
ポップなメロディーは前作同様、気持ちよいですし、前作が気に入ればおそらく聴いて損のない内容だとは思うのですが・・・。良質なポップアルバムだった前作に比べると、ちょっと物足りなさも感じてしまったアルバムでした。
評価:★★★★
Beach House 過去の作品
Bloom
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