« THE STRYPESの魅力満載 | トップページ | 爽やかシティポップ »

2015年12月 7日 (月)

今年もまた恒例の・・・

Title:2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

Bluescalender2016

毎年恒例、今年もブルースカレンダーの季節がやってきました。アメリカのブルース・イメージ社という会社が毎年リリースしているカレンダーで、CDの付録がついてきています。当時のブルースレコードの広告が載っているカレンダーも貴重なのですが、それ以上に貴重なのが付録のCD。カレンダー記載の広告に沿った戦前ブルースが12曲に、今回はボーナストラックとして8曲が追加。20曲入り60分にも及ぶ内容で、むしろこちらが本編では?というよりも、カレンダーももちろんですが、毎年、こちらのCDを目当てで勝っているわけで(笑)。

また、毎回、マニア垂涎の貴重な音源が収録されていることでも話題となる本作。今年は、長年、現存が確認されていなかったHattie Hydeという女性ブルースミュージシャンの「Special Question Blues」「T&N O Blues」という2曲と、戦前から戦後にもかけて活躍したJaydee Shortの「Tar Road Blues」「Flaggin' It To Georgia」の2曲が収録されています。

Hattie Hydeはしんみりと歌い上げるボーカルが実に味わい深く、力強さと、女性らしいやさしさが包含されたようなボーカルが印象的。他にもHattie Hartという名義でレコーディングを行っているものの、録音が残されているのは20曲程度だそうで、これだけの歌を聴かせながらも「知る人ぞ知る」的な存在なのは実に残念に思いました。一方Jaydee Shortはノイズ混じりで聴くのがかなり辛い録音状況。残念ながらちょっとマニア向けの音源かも。

他にも相変わらず魅力的な音源が揃っているアルバム。軽快なブギウギの、Papa Charlie McCoyのタイトルそのまま「Boogie Woogie」や、ブルースハープで汽車の音を表現しているようなジャグバンドの音が楽しいJed Davenport And His Beale Street Jug Band「Beale Street Breakdown」など楽しいナンバーや、タイトル通り、歩く速度でゆっくりと、味のあるボーカルが魅力的なCharlie Kyle「Walking Blues」のような聴かせるナンバー。また、牧師の説教をおさめたBlack Billy Sundayの「The High Cost Of Sin」「Will You Spend eternity In Hell」などはやはり日本では紹介されにくいだけになかなか貴重で、かつ、当時のアメリカ黒人文化を垣間見れることが出来ます。

名前のインパクトはおそらくブルース界No.1のBarbecue Bobの「Atlanta Moan」が収録されていたり(名前は以前から知っていたのですが、今回、彼の曲をはじめて聴きました・・・)、Blind Lemon JeffersonやBlind Blakeという有名所も。特にBlind Lemon Jeffersonはギターのフレーズが実にユニークで個性的。彼が戦前、絶大な人気を博していた理由も納得。ちなみに今回、彼の代表曲「See That My Grave Is Kept Clean」がボーナストラックとして収録されていました。この曲、今年亡くなったB.B.KINGが最後のオリジナルアルバム「One Kind Favor」の中でカバーしていたのですが、ひょっとして今回、この曲を取り上げたのは、B.B.への追悼の意味もあったのか???

そんな訳で、戦前ブルースで音が若干悪く、万人向けではないのかもしれませんが、文句なしに楽しめたブルースカレンダーでした。また、私の部屋の壁には2015年版が飾ってあるのですが、もちろん年明けと共にこのカレンダーがまた1年、私の部屋の壁に飾られる予定。また1年間、魅力的なブルースのレコード広告のアートワークを楽しめそうです。

評価:★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

|

« THE STRYPESの魅力満載 | トップページ | 爽やかシティポップ »

アルバムレビュー(洋楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今年もまた恒例の・・・:

« THE STRYPESの魅力満載 | トップページ | 爽やかシティポップ »