1枚目と同様
Title:Every Open Eye
Musician:Chvrches
スコットランドのグラスゴー出身の3人組バンドCHVRCHES(チャーチズ)。イギリスBBCによる有望な新人に与えられる「The Sound Of 2013」で5位になるなど話題となり、デビュー作である前作「The Bones Of What You Believe」もイギリスのアルバムチャートで9位にランクインするなど、大きな話題となりました。
ただ、この手のバンドは1枚目調子よくても、2枚目は失速、というのはよくあるパターンです。しかし彼女たちに関しては、2作目となる本作、イギリスのチャートでは4位にアップ。さらにはアメリカのビルボードチャートでも最高位8位を記録した上、日本のオリコンチャートでも39位まであがってくるなど、好調な結果となりました。
もっとも、このアルバムが好調だった理由もわかるような気がします。彼女たちの奏でるサウンドは、ちょっとチープさも感じるエレクトロサウンドにポップなメロディーライン。エレクトロサウンドも耳馴染みやすいのですが、メロディーラインにはしっかりと耳に残るインパクトがあります。さらにボーカル、ローレン・メイベリーのキュートなボーカルも魅力的。ポップでキュートなガールズポップは、良くも悪くも幅広く受け入れられそうなポップソングで、だからこそ、2作目となった本作は、デビューアルバム以上のヒットとなったと思います。
また、彼女たちの書くメロディーは展開がわかりやすく、サビの部分もはっきりした楽曲も多いため、ある意味、J-POP的。ちょっと80年代なサウンドも入ったりして、懐かしさを感じつつ、素直なポップソングにワクワクする、という点は前作と同様でした。
典型的なのは「Make Them Gold」。イントロのリズムの入り方なんか、もろ80年代(笑)。こちらは日本盤のボーナストラック曲なのですが、「Bow Down」なども軽いバスドラでテンポをとりつつ、手拍子らしき音でリズムを取るというスタイルにももろ80年代を感じます。
一方では「Down Side Of Me」ではミニマルで細かいビートのサウンドに、ちょっと今風の匂いを感じたり、本編ラストの「Afterglow」ではドリーミーなサウンドに仕上げてきたりと、ここらへんのバリエーションは前作同様。今回も男性ボーカル曲も2曲入っています。
そんな訳で、基本的にはデビュー作を踏襲した2作目になっています。ともすればデビュー作とは異なることをやりがちな2枚目で目新しいことをせずに前作と同様の作品をつくってくるというあたり、彼女たちがあくまでもポップであることを真摯に追及しているようにも感じました。そしてそんな彼女たちのアルバムは前作同様、聴いていてワクワクするポップソングらしい楽しさがつまった作品になっていたと思います。
前作同様の傑作だったのは間違いないと思うのですが、ただし、勢いという点ではやはり前作の方に分が上がるかも・・・。はじめて彼女たちを聴く方は、まずはデビューアルバムから入るのがお勧め。その後このアルバムを聴けば、間違いなく満足すると思うのですが。
評価:★★★★★
Chvrches 過去の作品
The Bones Of What You Believe
ほかに聴いたアルバム
今回はプリンスが2枚同時にリリースしたアルバムの紹介。
ART OFFICIAL AGE/PRINCE
こちらはプリンス単独名義となるアルバム。
PLECTRUMELECTRUM/Prince & 3rdeyegirl
こちらはプリンスと、バックバンド3rdeyegirlとの合同名義となるアルバムです。
「ART OFFICIAL AGE」は実にプリンスらしい作品といった感じでしょうか。基本的にファンキーなサウンドを聴かせてくれるのですが、エレクトロビートが主体。それが今風だったり80年代の雰囲気を感じたりして、懐かしさと新しさが同居したようなアルバム。まさに2010年代のプリンスといった感じの作品でした。
一方、「PLECTRUMELECTRUM」はバンドサウンドメインのロックアルバム。ギタリストとしてのプリンスの才も感じられたりするあたりがユニーク。ファンキーなサウンドをロックに奏でてくれるあたり、純粋にロックリスナーとしては楽しめる作品。ただ、ちょっとロックサウンドが一昔前っぽいというか、良くも悪くもベタなのが気になりましたが。
評価:
ART OFFICIAL AGE ★★★★★
PLECTRUMELECTRUM ★★★★
PRINCE 過去の作品
PLANET EARTH
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