過去を振り返る
Title:おまけのいちにち(闘いの日々)
Musician:筋肉少女帯
前作からちょうど1年ぶりとなる筋肉少女帯の新作。今回のアルバムは簡単に言ってしまうと、とても筋少っぽいアルバムということを感じました。比較的、オーソドックスなメタリックのバンドサウンド。そこに三柴理の独特なピアノのフレーズが重なるのがユニーク。「混ぜるな危険」のような、ベタな戦隊モノのテーマ曲のような、これでもかというほど盛り上げる曲があったり、「おわかりいただけただろうか」のようなメタリックなサウンドながらも歌謡曲風な曲があったり。
歌詞にしても、芸能界の大物に、「枕営業」をしにいくつもりがなぜか「枕投げ」を要求されるというユーモラスな「枕投げ営業」なんて曲があったり。そんな中で、「特捜最前線」の主題歌としても知られる、これでもかというほどムーディーな「私だけの十字架」をオーケンが抒情感たっぷりにカバーしていても、アルバムの中で全く浮いていないのもまた、筋少らしさを感じます(笑)。
今回のアルバムはテーマが「過去・現在・未来」だそうで、大人らしいシニカルな視点で現在から過去を振り返るような曲が多いような印象を受けました。「別の星の物語」などはそんな中で歌詞が印象に残った曲。昔の彼女に出会ったという内容ながら、昔の恋愛を「別の星の物語りが絵本になったみたい」とどこか醒めた視点で振り返る描写がユニークながらも、切なさも感じさせる曲になっていました。
ちなみに本作、初回限定盤だと、本編のほか、アルバム収録曲をインストで収録したボーナスCD、今年4月のEX THEATER ROPPONGIでのライブを収録したライブDVD、さらには3曲のうち1曲が任意で収録されるランダム封入CDがついてきており、アイドル並みに複数枚を買わせよう(笑)というセコイ戦略が取られています。
今回初回盤を聴いたのですが、インストCDは、本編だとピアノのフレーズが目立ったのに対して、インストで聴くと、なぜかギターサウンドが目立つように感じました。ただ、基本、曲あっての演奏といった感じで、これだけ単品で聴くとちょっと物足りない印象が。またライブDVDでは演奏がよりへヴィーにメタリックな内容になっており、彼らのライブバンドとしての実力を垣間見ることができました。
なお、ランダム封入CDは、私は「別の星の物語り(Vo.内田 Ver.)」。こちらに関しては・・・うーん、完全におまけといった感じ。ま、本気で複数枚買い戦略を狙ったわけじゃないでしょうからね。よっぽどの熱狂的なファンじゃない限り、全種類網羅は狙う必要性はないかと。
そんなわけで、全体的に今回のアルバムは筋肉少女帯らしい内容で卒なくまとめてきた印象。今回も前作に引き続き、「中2病」的な歌詞はなく、「過去を振り返る」という内容からして、大人のアルバムになっていました。ベテランバンドらしい安定感をおぼえたアルバムでした。
評価:★★★★
筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星
公式セルフカバー4半世紀
THE SHOW MUST GO ON
ほかに聴いたアルバム
OPERA/OKAMOTO'S
OKAMOTO'Sの新作は、「ロックオペラ」という形態の作品。ロックオペラといえばTHE WHOの名盤「TOMMY」が有名。ひとりの主人公を設定し、アルバム全体をひとつの物語りのよに展開していくテーマ性のある内容。ちなみに「TOMMY?」なんて曲が収録されていたりします。
アルバム全体としては「オペラ」という形式を反映させたように、様々なタイプの楽曲が展開していく内容に。彼ららしいギターロックやブルースロックから、ディスコ、バラード、シティーポップ、さらにはラップまで取り入れており、歌詞の面で統一されているからこそ、逆に音楽的な面ではあえてバラバラな作風を目指したようにも感じます。バラエティー富んだ内容が最後まで楽しめるアルバムでした。
評価:★★★★★
OKAMOTO'S 過去の作品
10'S
オカモトズに夢中
欲望
OKAMOTO'S
Let It V
VXV
PACK TO THE FUTURE/真心ブラザーズ
真心ブラザーズの新作はカバーアルバム。それもユニークなことに70年代80年代の女性アイドルソングのカバーアルバムに仕上がっており、松田聖子の「風立ちぬ」からはじまり、安田成美「風の谷のナウシカ」や太田裕美「木綿のハンカチーフ」などをカバーしています。
選曲については申し分なし。アレンジについても真心らしいロックサウンドにまとめており、ちゃんと真心の曲になっているのですが・・・。ただ正直なところ、YO-KINGのボーカルで、これから女性ボーカル曲を聴くのはちょっと辛かった・・・。1曲2曲なら、逆にユニークな組み合わせがおもしろいのですが、11曲も続くと、聴いていてちょっと厳しいところがありました。こればかりはボーカルの声質の問題なのでいかんともしがたいのですが・・・。
評価:★★★
真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST
Keep on traveling
Do Sing
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コメント
筋肉少女帯の「おまけのいちにち」は聴いていてどこか客観性の強いアルバムだなと感じました。
投稿: ひかりびっと | 2016年9月 8日 (木) 16時07分
>ひかりぴっとさん
筋少は・・・というかオーケンはどこか客観性のある歌詞(メタ視点的ともいえるかもしれませんが)が魅力的ですよね!
投稿: ゆういち | 2016年10月11日 (火) 22時48分